ケアハウス(軽費老人ホーム)の入居条件|誰が入れるか・月いくら・介護型との違い

湯のみを持つ手
  • 年金が多くない親でも入れる住まいとして、ケアハウスの名前を聞いた
  • 誰でも入れるのか、何歳から申し込めるのかが分からない
  • 月いくらかかるのか、なぜほかの老人ホームより費用が低いと言われるのか知りたい
  • 親の収入によって費用が変わると聞いたが、仕組みが分からない
  • 入ったあとに介護が必要になったら、出なければいけないのか心配
  • 有料老人ホームやサ高住と何が違うのか、並べて見たい
  • 申し込みは市役所なのか施設なのか、どこへ行けばいいのか
  • 空きがなくて入れないとき、ほかにどんな手があるのか

上記のような悩みに答えます。

ケアハウスは、年金が多くない親の住まいを探す家族が、早い段階で名前を聞く施設です。つまずきやすいのは「費用が低い」「元気な人向け」という一言の説明で判断してしまう点で、実際には入れる人の要件が厚生労働省令に書かれ、費用の一部は親の所得で変わり、その額を決めているのは都道府県です。検索の上位には施設の運営会社や紹介サイトの記事が並び、種類やメリット・デメリットは詳しい一方、要件が省令でどう書かれているか、自分の親の事務費をどこで調べるか、介護保険施設ではないことで何が変わるか、介護が必要になったあとにどんな道があるかは、あまり書かれていません。そこで、入れる人・費用・介護の受け方という基本を押さえたうえで、入れないときの次の手と、入居せずに今の家で続ける条件まで、老人福祉法・軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準・介護保険法の条文で確かめながら整理しました。

先に答え

ケアハウスと呼ばれる軽費老人ホームに入れるのは、60歳以上で、身体の衰えなどで一人の暮らしに不安があり、家族の手助けを受けにくい人です。市区町村が決めるのではなく、施設と契約して入ります。費用は所得に応じて変わる事務費と生活費・居住費などで、事務費の額は都道府県(指定都市・中核市では市)が決めます。介護保険施設ではないので、特養のような食費・居住費の軽減はありません。

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目次

ケアハウスに入れる人と費用の形

湯のみを持つ手

親がケアハウスの候補に入るかどうかは、「入れる人の要件」「費用の決まり方」「介護の受け方」の3つで判断できます。要件は年齢・暮らしの不安・家族の援助の3点、費用は所得で変わる部分とそうでない部分、介護はホームの中で受けるか外から呼ぶかに分かれます。

軽費老人ホームは、老人福祉法20条の6で「無料又は低額な料金で、老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設」と定められた老人福祉施設です。入居者の要件と、施設が受け取れる利用料の項目は、厚生労働省令の「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」に書かれています。一方で「ケアハウス」という言葉は、この省令にも老人福祉法にも出てきません。この記事では制度上の名前を軽費老人ホームとし、そのうち一般に「ケアハウス」と呼ばれる施設を念頭に置いて説明します。

確かめること 法令での扱い 親の場合に見るところ
入れる人 60歳以上で、自立した生活に不安があり、家族の援助を受けることが難しい人 年齢・一人の暮らしの不安・家族の手助けの有無
入り方 施設が重要事項を文書で説明し、文書で契約する 申し込み先は施設
費用の形 事務費(所得の状況などを勘案して都道府県知事が定める額)と生活費・居住に要する費用など 親の収入と施設の重要事項説明書
介護の受け方 特定施設の指定があればホームの介護、なければ外の居宅サービス そのホームが指定を受けているか
食費・居住費の軽減 介護保険施設ではなく、負担限度額認定の対象外 特養と同じ計算で比べない

表の5行のうち、家族が見落としやすいのは下の2行です。ケアハウスは「介護保険の施設」と思われがちですが、介護保険法が介護保険施設と呼ぶのは特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院の3つだけで、軽費老人ホームは入っていません。介護をどう受けるか、食費や居住費が軽くなるかは、この違いから決まります。

たとえば、父を亡くして一人暮らしになった母が、食事の支度がつらくなり、子は遠方に住んでいて日々は手を貸せない場合、要件の3点にはそろって当てはまる可能性があります。反対に、同じ家に子の家族が住んでいて毎日の手助けがある場合は、「家族による援助を受けることが困難」に当たるかを施設とよく話す必要があります。条文の言葉だけでは線が引けないので、申し込む施設に親の状況を具体的に伝えて確かめるところまでが一続きの作業です。

編集部の整理では、まず表の右の列を親の状況で埋めてみてください。年齢と暮らしの不安、家族の手助けの3つが埋まれば、残りは費用と介護の受け方の確認です。ほかの施設との位置づけを先に見ておきたい場合は、次の2本で全体を確かめられます。

在宅か施設か|在宅の限界が見え、施設を考え始めた人

老人ホームの種類と、親の状態から候補を絞る順番

出典:老人福祉法20条の6(e-Gov法令API)/介護保険法8条(e-Gov法令API)

法律上の軽費老人ホームと3つの類型

軽費老人ホームは、老人福祉法の老人福祉施設の一つで、個室を基本とした住まいに食事の提供などの日常生活の支えが付く施設です。有料老人ホームのように都道府県知事への届出で設置する住まいとは、法律上の置き場所が違います。

「なぜ費用が低いのか」という問いに、条文は理由を書いていません。条文から言えるのは2点です。1つは、法律の定義に「無料又は低額な料金」と書かれていること。もう1つは、利用料のうち事務費の部分が、入居者の所得の状況などを勘案して都道府県知事が定める額に限られていることです。条文は金額の数字を持っていないので、「月いくら」は都道府県の定めと施設の設定を見ないと決まりません。

設備の基準も省令で決まっています。本則の軽費老人ホームでは、一つの居室の定員は1人で、サービスの提供上必要と認められる場合は2人です。床面積は21.6平方メートル以上(洗面所・便所・収納設備・簡易な調理設備を除いた有効面積は14.85平方メートル以上)、2人部屋は31.9平方メートル以上です(十程度の居室と共同生活室で区画を構成する場合は、居室15.63平方メートル以上という別の基準があります)。居室には洗面所・便所・収納設備・簡易な調理設備・緊急連絡用のブザーなどを設けます。居室が2階以上にあればエレベーターを設け、居室を地階に設けることはできません。

区分 省令での位置 規模と居室の基準
本則の軽費老人ホーム 第3章(本則。「ケアハウス」は省令にない呼び名で、どの類型を指すかは施設の説明で確かめる) 居室は定員1人(必要なら2人)、21.6平方メートル以上
都市型軽費老人ホーム 第4章(都道府県知事が指定する小規模なもの) 入所定員20人以下、一人当たり7.43平方メートル以上
経過的軽費老人ホーム 附則(A型・B型) 本則とは別の書き方で残っている

都市型軽費老人ホームは、原則として既成市街地等に設置され、都道府県知事が地域の実情を勘案して指定する小規模な軽費老人ホームです。居室の基準が本則より小さく、入所定員も20人以下です。附則には経過的な軽費老人ホームとしてA型・B型が残っていて、入居者の要件の書き方も本則とは違います。

たとえば、市街地で見つけた施設のパンフレットに「軽費老人ホーム」とだけ書かれていた場合、本則のホームなのか都市型なのかで、居室の広さの基準が21.6平方メートル(本則の原則)と一人当たり7.43平方メートル(都市型)に分かれます。どちらも基準は最低限の線で、実際の居室はそれを上回ることがあるので、比べるときは重要事項説明書やパンフレットの居室の面積で確かめます。

編集部の整理では、候補の施設が出てきたら「本則・都市型・経過的のどれか」を最初に聞いてください。呼び方が同じケアハウスでも、居室の基準や入居者の要件の書き方が違うので、この一言がそろわないまま費用を比べると物差しがずれます。

出典:軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準10条(e-Gov法令API)/同基準35条(e-Gov法令API)

入居の要件を省令の言葉で読む

軽費老人ホームに入れるのは、省令13条の2つの要件にどちらも当てはまる人です。年齢の要件は本人が60歳以上であること、もう一つは、自立した日常生活に不安があり、家族の援助を受けることが難しいことです。

条文の言葉をそのまま並べると、次のとおりです。

  • 身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことについて不安があると認められる者であって、家族による援助を受けることが困難な者
  • 60歳以上の者(ただし、その者の配偶者、三親等内の親族その他特別な事情により当該者と共に入所させることが必要と認められる者は、この限りでない)

1つ目の要件で大事なのは、「自立した生活ができる人」ではなく「自立した生活に不安がある人」と書かれていることです。「自立していないと無理なのでは」という心配は、条文の上では当たりません。一方で、要介護度は入居の条件として書かれていません。特養のように要介護度の線があるわけではない代わりに、「介護が必要でも入れる」とも言えず、受け入れ方は施設ごとに違います。

2つ目の要件の「ただし」の部分は、夫婦や親子で一緒に入るときに効きます。60歳以上の本人と一緒に入所させる必要があると認められれば、配偶者や三親等内の親族は60歳未満でも対象から外れません。居室も、サービスの提供上必要と認められる場合は2人部屋が認められています。

たとえば、60歳以上の父が一人の暮らしに不安を感じていて、60歳未満の母と一緒に入りたい場合は、父が要件に当たり、母は配偶者として一緒に入る形を施設に相談することになります。逆に、母だけが60歳以上で父が60歳未満でも、考え方は同じです。夫婦とも要件に当たる場合も、2人部屋があるか、別々の居室になるかは施設ごとに違います。

「住民票が別の市でも申し込めるか」は、省令の要件には書かれていません。施設が入居の受付でどう扱っているかの問題なので、候補の施設に直接聞いてください。

編集部の整理では、問い合わせの前に「親の年齢」「一人の暮らしで不安なこと(食事・夜・通院など具体的に)」「家族が手を貸せない理由」の3つを短くメモにしておくと、要件の話が一度で通じます。介護認定を受けているなら、その結果も添えてください。

出典:軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)

費用の中身と所得で変わる部分

ケアハウスの月の費用は、省令16条が並べる項目(事務費・生活費・居住に要する費用など)に、介護を使った分の自己負担を足したものです。そのうち事務費(省令では「サービスの提供に要する費用」)が親の所得の状況などで変わり、その額を決めるのは都道府県知事です(省令では、指定都市・中核市の区域ではその市の長が定めます)。月額の相場はこの記事では書きません。都道府県の定めと施設ごとの設定で決まり、一次資料の全国の統計を確かめられていないためです。

費用の項目 中身 額を決めるもの
事務費(サービスの提供に要する費用) 施設のサービスの提供の費用 入居者の所得の状況などを勘案して都道府県知事が定める額
生活費 食材料費・共用部分の光熱水費 都道府県知事が定める額が上限
居住に要する費用 住まいとしての費用 重要事項説明書で確かめる
居室の光熱水費 親の居室で使った分 重要事項説明書で確かめる
特別なサービスの費用 本人が選んだ追加のサービス 重要事項説明書で確かめる
介護保険サービスの自己負担 介護を使った分 介護保険の別の契約

所得で変わる部分の具体の額は、本人の収入の階層ごとに事務費の額を定めた表の形で示している都道府県があります。たとえば大阪府は「大阪府軽費老人ホーム利用料等取扱基準」を公開しています(この基準は指定都市・中核市の区域の外が対象です)。ただ、表の区切りや額は都道府県ごとに違う可能性があるので、ほかの県の表を親に当てはめることはできません。

※事務費の額の決め方は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

自分の親の事務費を調べる順番は次のとおりです。

  1. 親の年金などの収入を、手元の書類で把握しておく
  2. 候補の施設がある都道府県(指定都市・中核市にある施設は、その市)の、軽費老人ホームの利用料の定めを確かめる
  3. 施設の重要事項説明書で、事務費・生活費・居住に要する費用の欄を見る
  4. 分からないところは、施設か都道府県・市区町村の高齢者福祉の担当に聞く

入居のときにまとまったお金が要るかどうかも、居住に要する費用の受け取り方を含めて施設ごとに違います。敷金などの扱いは契約の条項なので、重要事項説明書で確かめてください。

介護保険施設ではないので軽減は効かない

所得の低い人の食費・居住費を軽くする仕組み(特定入所者介護サービス費。負担限度額認定で使う仕組み)は、介護保険法51条の3で対象のサービスが6つに限られています。特養・老健・介護医療院・地域密着型特養・短期入所生活介護・短期入所療養介護で、軽費老人ホームの暮らしの費用はこの中に入っていません。負担限度額認定証を持っていても、ケアハウスの生活費や居住に要する費用は軽くなりません。

介護の費用も別建てです。指定を受けたホームの介護(特定施設入居者生活介護)を使う場合も、食事の提供や滞在に要する費用など日常生活の費用は保険給付の外に置かれています。また、特定施設入居者生活介護の利用料は、特養などと違って医療費控除の対象外とされています。

たとえば、特養の申し込みと並べてケアハウスを検討している場合、特養なら負担限度額認定で食費・居住費が軽くなる人でも、ケアハウスではその軽減が効きません。所得が低い親ほど、「月の費用」を比べるときにこの差を入れておかないと、思ったより手元の年金が残らないことがあります。

編集部の整理では、候補ごとに表の6行を埋め、空欄が残る項目を施設に聞いてください。介護保険の自己負担は要介護度と使うサービスで変わるので、冒頭のシミュレーターで別に見積もり、施設の費用と足して比べると、親の年金で回るかが見えてきます。

老人ホームの費用の仕組みと、比べるときの物差し

出典:軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準16条(e-Gov法令API)/大阪府軽費老人ホーム利用料等取扱基準(大阪府・PDF)/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)/介護保険法41条(e-Gov法令API)/国税庁タックスアンサーNo.1127

介護が必要になったときの3つの道

日の差す和室

ケアハウスに入ったあとに介護が必要になったときの道は、そのホームが特定施設の指定を受けているかで分かれます。指定を受けたホームなら中で介護を受け、指定がなければ外の居宅サービスを使い、それでも暮らしが支えきれなくなったら住み替えを考えます。

介護保険法では、軽費老人ホームは有料老人ホーム・養護老人ホームと並んで「特定施設」になりうる施設で、都道府県知事の指定を受けたホームは、入居している要介護者に特定施設入居者生活介護(計画に基づく入浴・排せつ・食事などの介護)を提供できます。この記事では、指定を受けたホームを「介護型」、指定のないホームを「一般型」と呼びます。指定のないホームでも、介護保険法は軽費老人ホームの居室を「居宅」に含めているので、親は自宅にいるのと同じように訪問介護などの居宅サービスを使えます(訪問看護は、主治の医師が省令の基準に適合していると認めた人が対象です)。

指定の有無で介護の受け方が分かれる
指定を受けたホーム(介護型)

  • ホームの職員が計画に基づいて介護する
  • 訪問介護やデイサービスは介護保険で別に使えない
  • 1日の単位数で自己負担が決まる
指定のないホーム(一般型)

  • 親が外の事業所と契約して居宅サービスを使う
  • 訪問介護・訪問看護などを居宅と同じように使える
  • 区分支給限度基準額の範囲で使う

介護型では、ホーム自身が介護を提供するので、特定施設入居者生活介護を受けている間は、訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・通所介護・通所リハビリテーションを介護保険で別に付けることはできません。一般型では、ケアマネジャーが立てる計画で、要介護度ごとの区分支給限度基準額の範囲でサービスを組みます。費用の物差しは次のとおりです(1単位10円の地域の目安で、地域によって単価が違います)。

要介護度 一般型:外の居宅サービスの限度額(月) 介護型:基本部分の単位数(1日・加算を含まない)
要介護1 167,650円 542単位
要介護2 197,050円 609単位
要介護3 270,480円 679単位
要介護4 309,380円 744単位
要介護5 362,170円 813単位

要支援1は月50,320円、要支援2は月105,310円が外の居宅サービスの限度額です。介護型の単位数には加算が含まれず、1単位の単価は地域区分で10円から10.90円まで分かれます。どちらも、この額のうち親の負担割合の分が自己負担になります。

「介護が必要になったら出される?」という心配には、契約の書面で答えるのが確かです。省令は、契約で入居者の権利を不当に狭めるような契約解除の条件を定めてはならないとしています。そのうえで、どの状態になったら退去や住み替えの話になるかは施設ごとの契約で決まるので、重要事項説明書と契約書の「契約の解除」の条項を読んでください。

たとえば、一般型のケアハウスにいる母が要介護2になった場合、外の訪問介護などを使いながら居室で暮らし続ける道があります。ただ、夜間の見守りが毎晩必要になると、外のサービスだけでは支えにくくなることがあり、そのときは介護型のホームや介護付有料老人ホーム、介護保険施設への住み替えが選択肢になります。リハビリをして家に戻ることを目指す段階なら、老健も候補です。

介護付有料老人ホームの費用と、介護の受け方

老健(介護老人保健施設)の費用と入れる期間

編集部の整理では、入居を決める前に「指定を受けているか」「受けていなければ、外のサービスを使っている入居者がいるか」「契約の解除の条件に何が書いてあるか」の3つを聞いてください。この3つがそろえば、介護が必要になったときの道筋を入居前に描けます。

出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省 法令等データベース)/介護報酬の算定構造(厚生労働省・PDF)/令和6年度介護報酬改定における地域区分(厚生労働省・PDF)/サービスにかかる利用料(厚生労働省 介護サービス情報公表システム)/軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準12条(e-Gov法令API)

有料老人ホーム・サ高住・養護との違い

ケアハウスと並べて比べられるのは、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、養護老人ホームです。4つとも介護保険施設ではなく、負担限度額認定で食費・居住費が軽くなる仕組みの外にある点は共通しています。違いが出るのは、法律上の置き場所と入り方です。

比べること 軽費老人ホーム 有料老人ホーム サ高住 養護老人ホーム
法律上の置き場所 老人福祉法の老人福祉施設 都道府県知事への届出で設置 都道府県知事の登録を受ける住宅 老人福祉法の老人福祉施設
入り方 施設と契約 ホームと契約 住宅と契約 市町村の措置
介護の受け方 指定があればホーム、なければ外の居宅サービス 指定があればホーム(介護付)、なければ外の居宅サービス 外の居宅サービス(指定を受けたものはホーム) 指定があればホーム、なければ外の介護保険サービス
食費・居住費の軽減 対象外 対象外 対象外 対象外

有料老人ホームは老人福祉法29条で、設置する人が都道府県知事に届け出る届出制の住まいです。サ高住は、原則として夜間を除いて職員が常駐して安否の確認と生活相談を行い、居室は登録の基準で原則25平方メートル以上とされる「住宅」で、介護は外の事業所と契約して使うのが基本です。

養護老人ホームは、入り方がほかの3つとまったく違います。市町村が、65歳以上で、環境上の理由と経済的理由の両方から家で養護を受けることが難しい人を、措置として入所させる施設です。経済的理由は、世帯が生活保護を受けている、本人と生計を維持している人の前年の所得に市町村民税の所得割の額がない、災害などで生活が困窮している、のいずれかと政令で決まっています。家族が施設を選んで契約するのではなく、窓口は市町村です。

たとえば、親の年金が少なく、家も古くて一人では住み続けにくいという相談なら、軽費老人ホームと養護老人ホームの両方が頭に浮かびます。軽費老人ホームは施設に申し込んで契約し、養護老人ホームは市町村に相談して入所の判断を待つ、と入り口が分かれます。経済的に苦しいというだけで養護老人ホームに入れるわけではなく、環境上の理由と経済的理由の両方が要件です。

元気なうちに入れる自立型老人ホームの種類と違い

高齢者向けの住宅(サ高住)の入居条件と暮らし方

編集部の整理では、表の「入り方」の行から考えるのが進めやすいやり方です。施設を自分で選んで契約するのか、市町村に相談するのかで、最初に連絡する先が決まります。

出典:老人福祉法29条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則8条(e-Gov法令API)/同規則11条(e-Gov法令API)/老人福祉法20条の4(e-Gov法令API)/老人福祉法11条(e-Gov法令API)/老人福祉法施行令6条(e-Gov法令API)

申し込みの進め方と契約前の確認

テーブルの上の鍵

ケアハウスへの申し込み先は施設です。市町村の措置で入る養護老人ホームと違い、軽費老人ホームは入居する人と施設の契約で入ります。省令は、施設が入居の前に重要事項を記した文書を渡して説明し、契約を文書で結ぶことを決めています。

この説明の文書が、一般に重要事項説明書と呼ばれるものです。運営規程の概要や職員の勤務の体制など、入居後の暮らしに関わることが書かれます。ケアハウスを比べるときの材料は、パンフレットよりもこの文書のほうが確かです。

申し込みから入居まで
  1. 1候補を集める都道府県・市区町村の高齢者福祉の担当や施設の一覧から
  2. 2要件と空きを聞く親の状況を伝えて対象になるかを確かめる
  3. 3重要事項説明書をもらう費用・介護・解除の条件を家族で読む
  4. 4見学する本人と一緒に居室と食事を見る
  5. 5文書で契約する説明を受けてから署名する

重要事項説明書で確かめたいことは次のとおりです。

  • 本則・都市型・経過的のどの類型か、特定施設の指定を受けているか
  • 事務費が親の収入でいくらになるか、生活費・居住に要する費用はいくらか
  • 介護が必要になったときの扱いと、契約の解除の条件
  • 居室の広さと設備、夫婦で入る場合の居室の扱い
  • 住民票の扱いなど、入居の受付の条件

たとえば、親と離れて住む子が代わりに問い合わせる場合は、最初の電話で「親の年齢と状態」「親の年金などの収入の目安」「介護認定の有無」を伝え、対象になりそうかと空きの状況を聞きます。そのうえで重要事項説明書を郵送してもらい、家族で読んでから見学の日を決めると、見学の場で聞くことが絞れます。

編集部の整理では、重要事項説明書は1か所だけでなく、複数の施設から取り寄せて同じ欄を並べて読むのが進めやすいやり方です。1か所だけだと、その施設の書き方が標準なのかどうかが分かりません。

出典:軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準12条(e-Gov法令API)

入れないとき・待つ間の次の手

候補のケアハウスに空きがない、要件に当たらないと言われた、というときの次の手は、親が今困っていることで選びます。食事や一人の夜の不安が中心なら似た住まいへ、お金と住まいの両方が厳しいなら市町村へ、介護が中心なら介護のある住まいへ、と行き先が分かれます。

ケアハウスに入りたい理由をほどいてみると、「食事を用意してほしい」「一人の夜が不安」「費用を抑えたい」「家族が近くにいない」のどれかが中心にあります。入れないときは、その理由のうち何を満たせればよいかを決めると、代わりの道が見えてきます。

困っていること 次に当たる先
食事と見守りが欲しい 都市型を含むほかの軽費老人ホーム、サ高住、住宅型の有料老人ホーム
お金と住まいの両方が厳しい 市区町村の高齢者福祉の担当(養護老人ホームの相談を含む)
介護が必要になってきた 介護認定を受け、介護型のホーム・介護付有料老人ホーム・介護保険施設を探す
当面は今の家で待ちたい 居宅サービスや配食などで今の家を支える(下の項)

たとえば、父が亡くなって母一人になり、母の年金だけで住まいを探している場合は、まず母の収入がどう変わったかを確かめてから候補を広げるのが順番です。遺族年金を受け取れるかどうかで母の収入は変わります。事務費の階層に遺族年金などの収入がどう数えられるかは都道府県の定めで決まるので、払える住まいの範囲とあわせて確かめてください。

父が亡くなったら母の年金はどうなるか

待つ間に家族がしておけることもあります。候補の施設の重要事項説明書を取り寄せて費用を見比べておく、介護が必要そうなら介護認定の申請を済ませておく、親と「どこに住みたいか」を話しておく、の3つです。空きが出たときに慌てて決めずに済みます。

編集部の整理では、1か所に絞って空きを待つより、ケアハウス・サ高住・住宅型の有料老人ホームを同じ条件で並べて資料を取り寄せておくほうが、選べる幅が広がります。費用の欄と、介護が必要になったときの扱いの欄だけでも、並べて読んでおいてください。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

ケアハウスの空きを待つ間や、入居の条件が合わないときに備えて、ほかの住まいも並べておくと判断を急がずに済みます。老人ホームの検索サイトでは、地域と予算で絞って有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の資料をまとめて取り寄せられます。資料では、月額に含まれるものと、介護が必要になったときの扱いを先に確かめてください。

みんなの介護で老人ホームの資料を取り寄せる

入居せず在宅で続けられる条件

ケアハウスは選択肢の一つで、正解ではありません。食事・夜の安心・家族の手助けの3つを今の家でも確保でき、本人がそこに住み続けたいと思っているなら、入居せずに在宅で続ける道があります。

ケアハウスで手に入るものは、食事の提供、緊急時に職員を呼べる居室、同じ建物に人がいる暮らしです。このうちいくつかは、今の家に外から持ち込めます。食事は配食サービス、介護が必要なら訪問介護などの居宅サービス、困りごとの相談は地域包括支援センターです。ケアハウスの一般型で使う介護サービスも、自宅で使う居宅サービスと同じ仕組みなので、介護の面では今の家と大きく変わらない部分があります。

今の家で続けるときに見ておきたい条件は次のとおりです。

  • 食事の支度が、本人か配食などで毎日回っている
  • 夜や体調の急変のときに、誰かが気づける仕組みがある
  • 通院や買い物の足が確保できている
  • 介護が要るなら、限度額の範囲で必要なサービスが組めている
  • 本人が今の家で暮らし続けたいと思っている

※配食や見守りなどの支援の中身は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

たとえば、母が一人暮らしで、近くに住む子が週末に顔を出し、平日は配食で安否も確かめられている場合は、上の条件の多くがそろっています。この状態でケアハウスに移るなら、移ることで何が新しく手に入るのかを家族で言葉にしてから決めても遅くありません。反対に、夜に具合が悪くなっても誰も気づけない家だと分かったら、見守りを足すか、職員を呼べる住まいへ移るかを比べる段階です。

親がケアハウスへの入居を嫌がっているときは、入居の話から入るより、今の家の条件のどれが崩れそうかを一緒に確かめるほうが話が進みます。

親が施設を拒むときは在宅で続ける条件から話す

迷ったときは、上の5つのうち欠けているものが「外から足せるか」を先に考えてください。足せないものが重なったときに入居を比べると、本人にも理由を説明しやすくなります。

入居したあとの実家をどうするか

親がケアハウスに移ると、それまで住んでいた家が空きます。すぐに決める必要はありませんが、空き家のまま置けば管理の手間と費用は続くので、入居の話と同時に考え始めるのが筋です。

ケアハウスは住まいなので、介護が必要になってからの住み替えまで含めると、実家に戻る可能性があるかどうかは家族によって違います。戻る可能性があるなら残して管理し、費用に充てたいなら売る時期を考え、決めきれないなら管理の分担だけ先に決める、という分け方ができます。親が判断する力を失ったあとは、親名義の家を動かす手続きが進めにくくなることがあるので、本人の考えを聞いておくのは入居前後の今が向いています。

たとえば、母がケアハウスに入り、実家に誰も住まなくなった場合、「売ってもよいか」「荷物をどうするか」「誰が鍵を持つか」の3つだけでも母に聞いておけば、あとで兄弟の判断が割れにくくなります。

親が施設に入ったあとの実家を売るか残すか

よくある質問

ケアハウスは誰でも入れるのですか?

誰でも入れるわけではありません。省令では、60歳以上で、身体機能の低下などで自立した生活に不安があり、家族の援助を受けることが難しい人が対象です。要件に当たるかと受け入れの可否は、施設に親の状況を伝えて確かめてください。

夫婦で一緒に入れますか?

本人が60歳以上なら、一緒に入所させる必要があると認められる配偶者は60歳未満でも対象になります。居室はサービスの提供上必要と認められる場合に2人部屋が認められています。2人部屋があるかどうかは施設ごとに違います。

住民票が別の市にあっても申し込めますか?

省令の入居の要件に、住所の定めは書かれていません。施設が入居の受付でどう扱っているかによるので、候補の施設に直接聞いてください。

入居金は要りますか?

省令が並べる利用料は、事務費・生活費・居住に要する費用・居室の光熱水費などです。入居のときにまとまったお金を払うか、敷金などがあるかは施設ごとの契約なので、重要事項説明書で確かめてください。

介護が必要になったら出されますか?

そのホームが特定施設の指定を受けていれば中で介護を受けられ、指定がなければ外の居宅サービスを使って暮らす道があります。省令は、入居者の権利を不当に狭める契約解除の条件を契約で定めることを禁じています。退去の条件は契約書の解除の条項で確かめてください。

負担限度額認定は使えますか?

使えません。負担限度額認定で食費・居住費が軽くなるのは、特養・老健・介護医療院など介護保険法で決まった6つのサービスで、軽費老人ホームの生活費や居住に要する費用は対象に入っていません。

ケアハウスでどこまでしてくれますか?

食事の提供など日常生活上必要な便宜が基本で、居室には緊急連絡用のブザーなどが付きます。入浴・排せつなどの介護は、指定を受けたホームならホームが、指定がなければ外の事業所が行います。どこまで対応するかは施設ごとに違うので、重要事項説明書で確かめてください。

順番のおさらい

  1. 入れる人:60歳以上で、自立した生活に不安があり、家族の援助を受けることが難しい人。施設と契約して入る
  2. 施設の形:老人福祉法の老人福祉施設で、本則・都市型・経過的の類型がある。居室は定員1人が基本
  3. 要件の読み方:「自立している人」ではなく「自立した生活に不安がある人」。要介護度は条件にない。配偶者などは60歳未満でも一緒に入れる
  4. 費用:事務費は所得の状況などで変わり、額は都道府県知事が定める。介護保険施設ではないので負担限度額認定は効かない
  5. 介護が必要になったら:指定を受けたホームなら中で介護、なければ外の居宅サービス、支えきれなければ住み替え
  6. ほかの住まいとの違い:有料は届出、サ高住は登録、養護は市町村の措置。どれも食費・居住費の軽減の対象外
  7. 申し込み:施設に直接。重要事項説明書を受け取り、文書で契約する
  8. 入れないとき:困っていることで、似た住まい・市区町村・介護のある住まいに分けて当たる
  9. 在宅で続ける条件:食事・夜の安心・足・介護・本人の意思がそろうか
  10. 実家:入居前後に、売るか残すか誰が管理するかを親に聞く

ケアハウスは費用の話から入られがちですが、家族が先に決めておきたいのは、親が介護を必要としたときにそのホームで暮らし続けられるかどうかです。要件と事務費は施設と都道府県の定めで確かめられ、介護の道は指定の有無で見通せます。まずは候補の施設に親の状況を伝え、重要事項説明書を取り寄せて、費用の欄と介護が必要になったときの欄を家族で読むところから始めてください。

軽費老人ホームの事務費の額と、入居の受付や住所の扱いは自治体や施設によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

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この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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