- ショートステイにも種類があると聞いたが、何がどう違うのか分からない
- 特養のショートと老健のショートは、中身も費用も違うのか
- 薬や処置が多い親は、どこのショートなら受けてもらえるのか
- 認知症の親でも、泊まりを受けてもらえるのか
- 食費や部屋代は別にかかるのか、負担限度額認定証は使えるのか
- 有料老人ホームの「ショートステイ」や体験入居にも介護保険は効くのか
- 申込は誰にすればいいのか、急に必要になったら間に合うのか
- ショートで慣らしてから、そのまま入所につなげたい
上記のような悩みに答えます。
ショートステイは、親に数日から数週間ほど施設に泊まってもらい、その間の介護を任せるサービスです。ところが、施設の紹介サイトや運営会社のページは自分たちの受ける場所を中心に書くので、特養・老健・有料老人ホームを横に並べて「うちの親ならどれか」を逆から引く説明や、有料老人ホームの体験入居が介護保険のショートとどう違うのかの線引きは見つけにくいところです。そこで、2つの種類の違い・受ける場所・費用という基本を押さえたうえで、親の状態からの選び方と、保険が効く宿泊と効かない宿泊の見分け方、ケアマネジャーへの頼み方まで、介護保険法の条文と厚生労働省の告示で確かめながら整理しました。
介護保険のショートステイは、特養などで暮らしの介護を受ける「短期入所生活介護」と、老健や介護医療院で医学的な管理のもとで介護を受ける「短期入所療養介護」の2つです。どこで受けるかは、施設の名前より、親に医療的な管理がどれだけ要るかで選んでください。有料老人ホームの体験入居や空室での宿泊は介護保険のショートと別の契約になることがあるので、保険が使えるかと料金を先に確かめます。申込はケアマネジャーに頼みます。
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保険のショートは2種類だけ

介護保険で使える要介護の人のショートステイは、短期入所生活介護と短期入所療養介護の2つだけです(要支援の人は、介護予防の短期入所が別にあります)。「特養のショート」「老健のショート」という呼び方は、この2つのどちらを、どの施設で受けるかを言い分けているにすぎません。
介護保険法は、短期入所生活介護を、特別養護老人ホームなどの施設や老人短期入所施設に短期間入所して、入浴・排せつ・食事などの介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を受けるサービスとして定めています(介護保険法8条9項)。一方、短期入所療養介護は、介護老人保健施設や介護医療院などに短期間入所して、看護、医学的管理の下における介護と機能訓練、その他必要な医療と日常生活上の世話を受けるサービスです(同条10項)。条文の言葉を並べると、大きな違いは「医療が付くかどうか」です。
もう1つの違いは、使える人の範囲です。療養介護の対象は、居宅の要介護者のうち「治療の必要の程度」が厚生労働省令の基準に合う人に限られています。生活介護にはこの絞り込みがありません。つまり、生活介護は介護が必要な人に広く開かれた泊まりで、療養介護は医学的な管理が要る人のための泊まり、という並びになっています。
- 特養などの施設や短期入所の事業所
- 入浴・排せつ・食事の介護と機能訓練
- 介護が必要な人に広く
- 老健・介護医療院など
- 看護・医学的管理の下の介護と医療
- 治療の必要の程度が省令の基準に合う人
条文は「短期間」が何日までかを決めていません。日数の決まりは別の通知と基準にあり、下の「日数の決まりは2つ」の項で要点を書きます。
たとえば、脳梗塞のあと自宅で暮らしている父が、服薬は自分で管理できていて、入浴と夜間のトイレに介助が要るだけなら、生活介護の泊まりが候補になります。受け入れの可否は事業所に確かめます。同じ父でも、退院して間もなく、看護師による管理が日常的に必要な状態なら、療養介護の対象に当たるかを主治医とケアマネジャーに確かめる話になります。名前で選ぶと、この分かれ目を見落とします。
迷ったら、施設の名前を並べる前に「親にいま看護や医師の管理がどれだけ要るか」を一言で書き出してください。その一言が、2つのうちどちらを探すかを決めます。
受ける場所と保険の効き方
2つの種類を受けられる主な場所は、特養に併設された事業所、短期入所だけを行う事業所、老健、介護医療院です。条文は、生活介護の泊まり先を特養などの老人福祉法の施設か老人短期入所施設、療養介護の泊まり先を老健・介護医療院その他の省令で定める施設としています。有料老人ホームの体験入居や空室を使った宿泊は、この並びの外にあり、ホームとの契約で泊まる形として分けて考えます。
施設の役割は、法律で分けて定められています。老健は、心身の機能の維持回復を図り、居宅での生活を営めるように支援が必要な要介護者に、看護や医学的管理の下の介護を行う施設です。介護医療院は、主として長期にわたり療養が必要な要介護者に、療養上の管理や看護を行う施設です。条文上、老健と介護医療院で受ける泊まりは療養介護です。
| 受ける場所 | ショートの種類 | 介護保険 | 先に確かめること |
|---|---|---|---|
| 特養に併設された事業所(併設型) | 短期入所生活介護 | 使える | 空きの状況・送迎の有無 |
| 短期入所だけを行う事業所(単独型) | 短期入所生活介護 | 使える | 空きの状況・送迎の有無 |
| 介護老人保健施設(老健) | 短期入所療養介護 | 使える | 親が対象の条件に合うか |
| 介護医療院 | 短期入所療養介護 | 使える | 親が対象の条件に合うか |
| 有料老人ホームの体験入居・空室 | 介護保険の短期入所(生活介護・療養介護)とは別の契約 | ホームとの契約・ホームの料金(介護付きの一部は保険の短期利用あり) | 保険が使えるか・料金・介護の受け方 |
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/老人福祉法29条(e-Gov法令API)
特養に併設された事業所と、短期入所だけを行う事業所では、受けるサービスは同じ短期入所生活介護です。違うのは、下の「費用を単位数で比べる」の項で見る1日の単位数と、建物の造りです。有料老人ホームは、都道府県知事への届出で設置される住まいで(老人福祉法29条1項)、介護保険法の介護保険施設(特養・老健・介護医療院)には当たりません。そのため、ホームに泊まる宿泊は、介護保険の短期入所とは別の枠組みとして考えます。
たとえば、近所に特養が1つしかなく空きが少ない地域でも、隣の市に短期入所だけを行う事業所があれば、同じ生活介護を受けられます。反対に、看護の管理が要る母のために老健を探すなら、特養の空きをいくつ当たっても答えにはなりません。探す場所を種類で絞ってから空きを当たると、電話の数が減ります。
事業所は都道府県や市町村の指定を受けて運営されているので、どこに何があるかは地域によって違います。※お住まいの市区町村で確認してください。
親の状態から種類を選ぶ
親の状態から選ぶときの軸は、医療的な管理の要否、認知症の様子、要介護度の3つです。医療の軸で生活介護か療養介護かの種類を絞り、残りの2つで受ける場所を絞ります。
療養介護は、条文上「治療の必要の程度」が省令の基準に合う人に限られています。その基準の中身はこの表では取れていないので、親が当てはまるかどうかは、主治医の意見を聞いたうえで、ケアマネジャーと受け入れる施設に確かめる順になります。誰でも老健のショートを選べるわけではない、という点は先に知っておいてください。
| 親の状態 | 探す種類 | 確かめること |
|---|---|---|
| 看護や医師の管理が日常的に要る | 短期入所療養介護(老健・介護医療院) | 対象の条件に合うか・必要な処置を受けられるか |
| 通院と薬で落ち着いていて、介護が中心 | 短期入所生活介護(併設型・単独型) | 薬の預け方と飲ませ方 |
| 認知症で環境が変わると落ち着かない | どちらの種類でも、受け入れは事業所ごと | 事前の面談や見学ができるか |
| 要介護3以上で、入所も考え始めている | 特養に併設された生活介護が候補 | 入所の申込みは別の手続き |
| 要支援1・2 | 介護予防短期入所生活介護 | 長い利用の扱いが要介護と別 |
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/介護報酬の算定構造(厚生労働省・PDF)
認知症の親の受け入れは、事業所ごとの体制を確かめる必要があります。夜間に歩き回る、帰宅したがるといった様子があるなら、ケアマネジャーに頼むときにそのまま伝え、事業所に事前の面談や見学をお願いできるかを聞いてください。
要支援の人も、介護予防の短期入所生活介護が使えます。ただし、要支援の人が長く続けて使うときの単位の扱いは、要介護の人の仕組みとは別に決まっています。要介護の話と混ぜずに、ケアマネジャーや地域包括支援センターで確かめてください。
たとえば、要介護2で認知症の初期にある母が、薬を1日3回飲んでいる場合は、医療の軸では生活介護の泊まりが候補になります。そのうえで、薬を誰がどう預かって飲ませるかと、初めての場所で夜に落ち着けるかを、事業所に事前に確かめます。同じ母が、退院直後で傷の処置が毎日要る状態なら、療養介護の対象かを先に確かめる話に変わります。
要介護度は、市区町村の要介護認定で決まります(介護保険法27条)。認定の区分が変わると、使える単位の枠や特養の入所の対象かどうかも変わるので、メモには最新の認定の区分を書いてください。
親の状態のメモは、要介護度・医療の管理・認知症の様子・夜間の様子・薬の5行で十分です。この5行をケアマネジャーに渡すだけで、探す種類と場所が絞られます。
費用を単位数で比べる
ショートの費用は、介護サービスの部分(単位数×1単位の単価×負担割合)と、食費・滞在費の部分の2つに分かれます。介護の部分は種類と場所と要介護度で決まり、食費・滞在費は事業所との契約で決まります。
介護の部分は、国の告示で1日あたりの単位数が決まっています。生活介護では、従来型個室と多床室が同じ単位数で、ユニット型個室だけが高くなります。老健の療養介護は、多床室のほうが従来型個室より高く、生活介護と並びが逆です。下の表は、加算を含まない基本の部分です。
| 要介護度 | 生活介護 併設型(従来型個室・多床室) | 生活介護 単独型(従来型個室・多床室) | 生活介護 併設型ユニット型個室 | 老健 療養介護 従来型個室 | 老健 療養介護 多床室 |
|---|---|---|---|---|---|
| 要介護1 | 603単位 | 645単位 | 704単位 | 753単位 | 830単位 |
| 要介護2 | 672単位 | 715単位 | 772単位 | 801単位 | 880単位 |
| 要介護3 | 745単位 | 787単位 | 847単位 | 864単位 | 944単位 |
| 要介護4 | 815単位 | 856単位 | 918単位 | 918単位 | 997単位 |
| 要介護5 | 884単位 | 926単位 | 987単位 | 971単位 | 1052単位 |
出典:介護報酬の算定構造(令和6年4月改定箇所・厚生労働省・PDF)
老健の欄は「基本型」の単位数で、在宅強化型やユニット型は別の単位数です。要支援1・2の介護予防短期入所生活介護は、併設型の従来型個室・多床室で451単位・561単位、単独型で479単位・596単位です。このほか、看護体制やサービス提供体制、処遇改善などの加算が事業所ごとに乗り、送迎が必要と認められて送迎を受けた日は、片道184単位が加わります。
たとえば、要介護3で1割負担の人が、特養に併設された事業所の多床室に泊まると、基本の部分は745単位です。1単位10円の地域なら約7,450円で、1割負担なら1日約745円になります。同じ人が老健の多床室に泊まると944単位で、1単位10円の地域なら約9,440円、1割負担で約944円です。送迎を往復で受けた日は368単位(1単位10円の地域で約3,680円、1割負担なら約368円)が加わります。
1単位の単価は、事業所のある地域とサービスの種類で決まります。短期入所生活介護は、地域区分によって1単位10円から11.10円の間です。負担割合は1割が原則で、所得によって2割か3割になります。
出典:地域区分(厚生労働省・PDF)/介護保険制度の概要(厚生労働省・PDF)
食費と滞在費は、介護保険の給付の対象から除かれていて(介護保険法41条1項)、事業所との契約で決まります。所得と預貯金が一定以下で負担限度額認定を受けた人は、特定入所者介護サービス費(補足給付)で負担が軽くなり、その対象には短期入所生活介護と短期入所療養介護が入っています(介護保険法51条の3第1項)。国の目安になる基準費用額と、ショートの食費の負担限度額は次のとおりです。
| 区分 | 1日の額 |
|---|---|
| 食費の基準費用額 | 1,545円 |
| 部屋代の基準費用額(ユニット型個室) | 2,066円 |
| 部屋代の基準費用額(従来型個室・特養等) | 1,231円 |
| 部屋代の基準費用額(従来型個室・老健・介護医療院) | 1,728円 |
| 部屋代の基準費用額(多床室・特養等) | 915円 |
| ショートの食費の負担限度額(第1段階/第2段階) | 300円/600円 |
| ショートの食費の負担限度額(第3段階①/第3段階②) | 1,030円/1,360円 |
出典:介護保険法41条(e-Gov法令API)/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)/利用者負担の軽減(介護サービス情報公表システム・厚生労働省)
実際に払う食費と部屋代は、事業所が契約で決める額なので、施設で確認してください。老健や介護医療院の多床室の部屋代の目安は、室料を取るかどうかで697円か437円に分かれます。
医療費控除の扱いも種類で違います。国税庁の案内では、短期入所療養介護は単独で医療費控除の対象になるサービスに入り、短期入所生活介護は訪問看護などの医療系のサービスと併せて使う場合に限って対象になります。対象になるのは自己負担額のうち「看護、医学的管理の下における療養上の世話等に相当する部分」で、領収証に対象の額が書かれているかを確かめて、確定申告のときまで取っておいてください。併せて使っているかどうかは、領収証とケアプランで確かめます。
ショートの単位も、在宅サービスの区分支給限度基準額の中で数えます。たとえば要介護3の限度額は1か月27,048単位で、デイサービスや訪問介護と合わせてこの枠に収まるかを、ケアマネジャーがケアプランで組み立てます。泊まりを増やしたい月は、ほかのサービスとの配分をケアマネジャーと相談してください。
※1単位の単価は地域によって違うため、上の円の額は目安です。お住まいの市区町村で確認してください。
有料老人ホームに泊まるとき

有料老人ホームの体験入居や空室を使った宿泊は、介護保険の短期入所とは別の、ホームとの契約として考えてください。料金はホームが決める額で、負担限度額認定で食費や部屋代が軽くなる仕組みも使えません。
有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、介護保険法の介護保険施設に当たらず、補足給付の対象にも入っていません。介護保険の短期入所生活介護は、条文上、特養などの施設か老人短期入所施設に泊まるサービスなので、ホームの空室での宿泊はこの条の生活介護には当たりません。ただし、介護付きのホームの中には、介護保険の短期利用を受けているところもあります。使う前に、その宿泊で介護保険が使えるかを、ホームとケアマネジャーの両方に確かめてください。
- 介護保険が使える宿泊か、ホームの料金だけの宿泊か
- 1泊あたりの料金に、食事と介護が含まれているか
- 泊まっている間の介護は、ホームの職員か、外部の事業所か
- 体験入居の費用が、入居したときの費用から差し引かれるか
- 体調を崩したときの連絡先と、迎えの段取り
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)
ホームの宿泊を選ぶ意味があるのは、入居を考えているホームの暮らしを、泊まって確かめたいときです。介護保険のショートは介護を任せる泊まりで、ホームの体験入居は住まいを見極める泊まり、と目的で分けると迷いません。夜の様子、食事の形、職員の声のかけ方、親がそこで落ち着けるかは、見学の短い時間では分かりにくく、泊まってみて確かめられることです。
たとえば、介護者の出張で3泊だけ預けたいなら、特養に併設された事業所などの介護保険のショートを先に当たるのが筋です。一方、入居先の候補が2つに絞れていて、母がどちらで落ち着けるかを見たいなら、候補のホームの体験入居を使う意味があります。前者を体験入居で代わりにするなら、保険が使えるかと料金を先に確かめる必要があり、後者を介護保険のショートで代わりにしても、入居先の暮らしは分かりません。
ホームの宿泊を頼むときは、上の5つを電話で聞き、料金と条件を書面でもらってから決めてください。
申込はケアマネジャーに頼む
介護保険のショートを使うときは、担当のケアマネジャーに頼みます。ケアマネジャーがケアプランに泊まりを位置付け、事業所に空きを問い合わせて予約を取る流れです。要支援の人は、地域包括支援センターなど介護予防のプランを作っている担当者に頼みます。
ケアマネジャーの運営の基準には、ショートの扱いが書かれています。ケアマネジャーは、ショートを位置付けるとき、利用者の居宅での自立した生活の維持に十分に留意し、利用者の心身の状況等から特に必要と認められる場合を除き、利用日数が認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにすることになっています。ケアマネジャー経由なら、限度額や日数とあわせて組み立ててもらえます。
- 1ケアマネジャーに頼む日程・理由・親の状態のメモを伝える
- 2種類と事業所を絞る医療の管理の要否で生活介護か療養介護か
- 3空きを問い合わせるケアマネジャーが事業所に確かめる
- 4事前の面談と契約進め方は事業所とケアマネジャーに確かめる
- 5泊まって迎える帰ってからの様子をケアマネジャーに伝える
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)
頼むときに伝えるのは、泊まってほしい日程、泊まりが要る理由(家族の出張・冠婚葬祭・介護者の休息など)、親の状態のメモの3つです。事前の面談や書類、当日の持ち物は事業所ごとに違うので、ケアマネジャーと事業所に確かめてください。どのくらい前に頼めば空きがあるかも、地域と時期によって違います。予定が決まった時点で、早めに伝えておくほうが選べる事業所が増えます。
急に必要になったときも、まずケアマネジャーに連絡します。介護者が入院した、親の在宅の介護が急に回らなくなった、といった事情をそのまま伝え、空きのある事業所を当たってもらってください。空きがすぐに見つからない場合に備えて、ふだんから使える事業所を1つ決めておき、一度使ってみておくと、いざというときに頼む先の見当がつきます。
たとえば、遠方に住む長男が、半年後の海外出張に合わせて母のショートを入れたいなら、日程が決まった段階でケアマネジャーに伝え、初めての事業所なら事前に短く1泊だけ試すかどうかも相談しておきます。逆に、明日から介護者が入院する場合は、事業所の好みは後回しにして、空きと送迎の有無を優先して当たってもらう話になります。
ケアマネジャーがまだいない場合は、親の住む市区町村の地域包括支援センターに相談すると、介護の相談とあわせて担当を探す手がかりがもらえます。
日数の決まりは2つ
ショートの日数には、2つの決まりがあります。1つは、短期入所生活介護を連続して30日を超えて使うと、31日目以降は介護保険の短期入所に当たらないこと。もう1つは、ショートの利用日数を、認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにすることです。
1つ目の連続の数え方は、厚生労働省の事務連絡で決まっています。退所した翌日に同じ事業所へ入所した場合も、連続して入所しているものとして扱われます。区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった日があっても、通算して連続とみなされ、認定期間をまたいでも30日を超えては算定できません。31日目以降に泊まり続けると、その日は事業所の料金で全額自己負担になります。
2つ目は、ケアマネジャーがケアプランを作るときの基準です。たとえば認定の有効期間が12か月なら、おおむね6か月分が目安になります。ただし、条文は日数そのものを書いておらず、利用者の心身の状況などから特に必要と認められる場合は超えることもあります。超えたら保険が止まる上限ではない、という点も押さえておいてください。
出典:短期入所生活介護関係Q&A集(厚生労働省の事務連絡の転載・岩沼市)/指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)
療養介護で連続して泊まるときの日数の扱いは、事業所とケアマネジャーに確かめてください。たとえば、介護者の入院で1か月近く母を預けたい場合は、日程の段階で連続の日数を数え、30日に届くかどうかをケアマネジャーと確かめておくと、最後の数日に保険外の料金が出る事態を避けやすくなります。
30日を超えて泊まり続ける場合の費用の扱いや、長く続けて使ったときの単位の下がり方は、別の記事で詳しく書いています。
ショートの次に施設を考えるとき
ショートを使っているうちに、入所を考え始めることがあります。そのときは、ショートの利用と施設への入所の申込みは別の手続き、という前提から始めてください。特養のショートを使っていても、その特養の入所の申込みは別に出します。
入所の決まり方は、施設の種類で違います。特養の入所の対象は原則として要介護3以上で、要介護1・2の人は、居宅での生活が困難なことについてやむを得ない事由があると認められる場合の特例入所に当たります。入所の可否と順番は、施設の判定で決まります。老健は、申込者が空きより多いとき、医学的管理の下の介護と機能訓練の必要性を考えて、必要性が高い人を優先的に入所させるよう努めることになっていて、居宅での生活に戻れるかを定期的に検討する施設です。
| 施設 | 入所の対象 | 入所の決まり方 |
|---|---|---|
| 特養 | 原則要介護3以上(要介護1・2は特例入所) | 施設の判定 |
| 老健 | 看護・医学的管理の下の介護などが必要と認められる要介護者 | 必要性が高い人を優先するよう努める |
| 介護医療院 | 長期にわたり療養が必要な要介護者 | 施設に確かめる |
| 有料老人ホーム | ホームごとの入居時の要件 | ホームとの契約 |
出典:介護保険法施行規則17条の9(e-Gov法令API)/同規則17条の10(e-Gov法令API)/介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準8条(e-Gov法令API)
ショートで泊まった経験は、入所先を選ぶ材料として使えます。親がその施設の夜に落ち着けたか、食事が合ったか、帰ってきたときの様子はどうだったか。泊まりのあとにこの3つを家族でメモしておくと、施設を比べるときの手がかりになります。
たとえば、要介護4の父が特養に併設された事業所のショートで何度か落ち着いて過ごせたなら、その特養の入所の申込みを出しながら、ほかの特養や有料老人ホームも候補に加えて比べる形になります。要介護2の母なら、特養は特例入所に当たるかの見通しを申込先に聞き、有料老人ホームの見学と体験入居も並行して進める話になります。
候補を比べるときは、施設ごとに同じ表を作り、入所の対象・費用・医療の対応・夜間の体制を並べてください。候補が1つか2つしかない場合は、地域と条件を広げて候補を足すことも考えます。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
ショートで泊まった施設に入所の申込みを出し、ほかにも比べる候補がそろっているなら、新しく資料を集める必要はありません。ショートで様子を見て入所を考え始めたものの、親の状態に合う施設が地域にどれだけあるのか分からず、比べる候補がまだ手元にないときは、老人ホームの検索サイトで地域と条件を絞って資料をまとめて取り寄せると、同じ表に並べる候補を足せます。資料では、入居の条件と医療が必要になったときの対応を先に確かめてください。
施設に入らず在宅で続ける条件
ショートを使ってみて、泊まりを挟めば家での介護が回ると分かったなら、施設に入らずに在宅を続ける道を選んでも構いません。続けられるかは、介護の量、夜間の体制、医療の管理の担い手、家族の暮らしの4つで見ます。
泊まりの日は、介護する家族が自分の体を休めたり、仕事や用事を片づけたりできる日になります。ケアマネジャーの基準にも、ショートを位置付けるときは「居宅における自立した日常生活の維持に十分に留意する」と書かれていて、泊まりは家での暮らしと組み合わせて考えるものとして扱われています。限度額の範囲で、デイサービスや訪問介護と泊まりの配分を組み直すだけで、足りなかった部分が埋まる場合があります。
- 介護の量:デイ・ヘルパー・ショートの組み合わせが、限度額の範囲に収まっている
- 夜間の体制:泊まりの日以外の夜を、家族か訪問のサービスで担えている
- 医療の管理:薬や必要な処置を、訪問看護や家族で担えている
- 家族の暮らし:主に介護する人の体と仕事に、続けられる見通しがある
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)
たとえば、要介護3の父を同居の娘が見ていて、月に数日のショートを挟めば娘の体が休まり、日中はデイサービスで過ごせているなら、4つの条件はそろっています。同じ父でも、夜中に何度も起きるようになり、娘の睡眠が削られ始めたら、2つ目と4つ目が崩れ、施設の候補を考える段階に入ります。
4つのうちどれが崩れかけているかを、ケアマネジャーとの面談で一言ずつ確かめてください。崩れているのが1つだけなら、施設に入る前に組み合わせを見直す手が残っています。
入居したあとの実家

ショートから入所へ進み、親が施設で暮らし始めると、次に表に出てくるのは空いた実家の扱いです。実家を持ち続けるあいだは、郵便物、固定資産税の通知、家の傷みへの対応が入居のあとも続きます。
入居の直後に決めるのは、貸すか売るかではなく、誰がいつ家の様子を見に行くか、郵便をどこに転送するかです。親の判断ができるうちに、家の扱いについての希望を聞いておくと、あとで兄弟の意見が分かれたときの手がかりになります。
たとえば、ショートを何度か使ったあとに母が特養に入り、実家に誰も住まなくなった場合、月に何度、誰が見に行くかを最初に決めるだけで、ポストがあふれて近所から連絡が来る事態を避けやすくなります。片付けや売却の話は、そのあとに家族の都合を合わせて進めれば足ります。
次に来ることを先に知っておくと、入居のあとの実家の問題を慌てずに迎えられます。
よくある質問
特養のショートステイの料金はいくらですか?
介護の部分は、特養に併設された事業所の従来型個室・多床室で、要介護3なら1日745単位が基本です。
1単位10円の地域で1割負担なら約745円で、ここに加算と食費・滞在費が加わります。
食費と部屋代は事業所との契約で決まるので、実際の額は事業所で確かめてください。
特養のショートステイは何日くらいまで使えますか?
短期入所生活介護は、連続して30日を超えると、31日目以降は介護保険の短期入所に当たらず全額自己負担になります。退所した翌日に同じ事業所へ入所しても連続として数えます。あわせて、利用日数を認定の有効期間のおおむね半数に収めることが、ケアプランの基準になっています。
特養のショートステイを利用する条件はありますか?
特養への入所は原則要介護3以上ですが、ショートの短期入所生活介護は、要介護1から使えます。要支援1・2の人も、介護予防の短期入所生活介護が使えます。受け入れの可否は事業所の空きや体制にもよるので、ケアマネジャーを通じて確かめてください。
ショートステイと特養の入所の違いは何ですか?
ショートは、家で暮らしながら数日から数週間だけ泊まる在宅のサービスで、特養の入所は施設で暮らす施設サービスです。特養のショートを使っていても、入所の申込みは別の手続きになり、入所の可否と順番は施設の判定で決まります。
有料老人ホームのショートステイに介護保険は使えますか?
有料老人ホームの体験入居や空室での宿泊は、介護保険の短期入所とは別の、ホームとの契約になることがあります。介護付きのホームの中には介護保険の短期利用を受けているところもあるので、使う前に保険が使えるかと料金をホームとケアマネジャーに確かめてください。負担限度額認定で食費や部屋代が軽くなる仕組みは使えません。
ショートステイの費用は医療費控除の対象になりますか?
国税庁の案内では、短期入所療養介護は単独で対象になり、短期入所生活介護は訪問看護などの医療系のサービスと併せて使う場合に限って対象になります。対象になるのは自己負担額のうち療養上の世話等に相当する部分で、領収証に対象の額が書かれているかを確かめてください。
順番のおさらい
- 2つの種類:介護保険のショートは短期入所生活介護と短期入所療養介護の2つで、違いは医療が付くかと対象の範囲
- 受ける場所:生活介護は特養の併設型と単独型、療養介護は老健と介護医療院。有料老人ホームの宿泊はホームとの契約
- 選び方:医療的な管理の要否で種類を決め、認知症の様子と要介護度で事業所を絞る
- 費用:介護の部分は単位数×単価×負担割合、食費・滞在費は契約で決まり、負担限度額認定で軽くなる
- 有料老人ホーム:住まいを見極める泊まりとして使い、保険と料金を先に確かめる
- 申込:ケアマネジャーに日程・理由・親の状態のメモを伝えて頼む
- 日数:生活介護は連続30日まで、利用日数は認定期間のおおむね半数が目安
- 施設を考えるとき:ショートの利用と入所の申込みは別で、泊まりの経験を比べる材料にする
- 在宅で続ける条件:介護の量・夜間・医療の管理・家族の暮らしがそろっているか
- 入居したあと:実家を誰がいつ見に行くかを最初に決める
ショートステイは、施設の名前から探し始めると、空きのある場所に合わせて親の状態を当てはめる形になりがちです。先に「親にどれだけ医療的な管理が要るか」を一言で決め、それに合う種類を探し、ケアマネジャーに日程と親の状態を渡す。この順番を一度作っておけば、急に泊まりが必要になった夜も、何から電話すればいいかで迷わずに済みます。

