- デイサービスとショートステイは、同じ月に一緒に使えるのか
- 要介護3だと、1か月にどれだけのサービスを使えるのか
- 組み合わせたら、自己負担は月にいくらになるのか
- 限度額を超えてしまったら、どうなるのか
- 夜に何度も起こされるのが、何よりつらい
- 仕事を続けながら回せる組み方を知りたい
- 組み直しても無理なら、次は何を考えればいいのか
- 施設に入れるのは、親を見捨てるようで気が引ける
上記のような悩みに答えます。
在宅のサービスの組み合わせは、事業所や施設の紹介サイトで、デイサービスとショートステイの違い、併用できるかどうか、要介護3の限度額までは丁寧に説明されています。けれども、限度額の単位数の中にデイ・ヘルパー・ショートを実際に積み上げて何割を使うのかを試算した例や、「限界」を介護する家族の側の条件で段階に分けた線は、一続きに読める形があまり見かけません。そこで、3つのサービスの役目と1か月の枠という基本を押さえたうえで、単位数で組んだ2つの例、ショートの日数の決まり、組み直しても回らないときの順番まで、介護保険法の条文と厚生労働省の告示・資料で確かめながら整理しました。
デイサービス・ヘルパー・ショートステイは、要介護度ごとに決まった1か月の限度額の枠の中で組み合わせます。家族が手を離せない時間を埋める順に置き、単位数で足して枠の何割を使うかを見ると、続けられるかどうかが数字で分かります。限界は親の状態だけでなく、介護する側の夜・仕事・体の条件で決めてかまいません。組み直しても回らないときは、小規模多機能や定期巡回に切り替え、それでも足りなければ施設を考えてください。
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組み合わせは限度額の枠の中で組む

在宅のサービスは、1つずつ申し込んで足していくものではなく、1か月の限度額という1つの枠の中に、デイ・ヘルパー・ショートを並べて組みます。どれをどれだけ入れるかは自由ですが、合計が枠を超えた分には保険が効きません。
介護保険の在宅のサービスは、居宅サービスと地域密着型サービスをまとめて、要介護度ごとの区分支給限度基準額の枠の中で給付されます(介護保険法43条)。デイサービスの1回、ヘルパーの1回、ショートステイの1日には、それぞれ国の告示で単位数が決まっていて、その合計が枠に収まっているかで、保険の範囲かどうかが決まります。市区町村が条例で枠を広げている場合もあります。つまり、組み合わせの相談は「何を何回」ではなく、「枠の何割を、どの時間に使うか」の相談です。
組み合わせを考える順番は、サービスの種類からではなく、家族が手を離せない時間から決めると迷いません。
- 1困っている時間を書き出す平日の昼・朝夕・夜・家族が出かける日
- 2時間ごとにサービスを当てる昼はデイ、朝夕はヘルパー、休む日はショート
- 3単位数で足して枠の何割か見る余りがあれば足す、超えるなら削る
- 4ケアマネジャーに計画を頼む書き出した紙をそのまま渡す
たとえば、平日の昼に家族が仕事で家を空けるなら、まずデイの日を置き、デイから帰ったあとの夕方の着替えや食事の手が足りないなら、そこにヘルパーを入れます。月に何日か家族がまとまって休みたいなら、その日にショートを置きます。同じ要介護度でも、家族が埋めてほしい時間が違えば、組み合わせはまったく別のものになります。
迷ったときは、親にとって良さそうなサービスから選ぶより、家族の誰がどの時間に抜けられないかを先に紙に書いてください。その紙が、このあとの試算とケアマネジャーへの相談の土台になります。
デイ・ヘルパー・ショートの役目
3つのサービスは、埋める時間が違います。デイは日中に親が家の外で過ごす時間、ヘルパーは家の中で手が要る短い時間、ショートは家族が数日まとめて離れる時間を受け持ちます。
違いを時間で見ておくと、「デイを増やせばヘルパーは要らないか」「ショートは何のために使うか」といった迷いが減ります。デイは昼の見守りと入浴・食事を外で受ける形、ヘルパーは朝夕のように家族が手を離せない時間に家へ来てもらう形、ショートは施設に短期間泊まって介護と機能訓練を受ける形です。
| サービス | 埋める時間 | 基本の単位数(加算抜き) |
|---|---|---|
| デイサービス(通所介護・通常規模型・7時間以上8時間未満) | 平日の日中 | 1回につき要介護1が658単位、要介護3が900単位 |
| ヘルパー(訪問介護・身体介護30分以上1時間未満) | 朝夕の着替え・排せつ・食事 | 1回につき387単位 |
| ヘルパー(訪問介護・生活援助45分以上) | 本人の掃除・洗濯・調理 | 1回につき220単位 |
| ショートステイ(短期入所生活介護・併設型) | 家族が数日離れる日 | 1日につき要介護1が603単位、要介護3が745単位 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・泊まりを1か所で | 1か月の定額(要介護3で22,359単位) |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 1日の中の定期の訪問と通報への対応 | 1か月の定額(要介護3・看護なしで16,140単位) |
出典:令和6年度介護報酬改定の単位数表(厚生労働省・PDF)/介護保険法8条(e-Gov法令API)
ショートステイは、法律の上では、特別養護老人ホームなどの施設や老人短期入所施設に短期間入所して、入浴・排せつ・食事などの介護と機能訓練を受けるサービスです(介護保険法8条9項)。条文は「短期間」の日数を書いていないので、何日まで使えるかは、このあとの「ショートを組み込むときの決まり」の運用の話になります。
ヘルパーの生活援助は、本人の食事や掃除・洗濯などが対象です。どこまでが本人の分に当たるかの線引きは、事業所とケアマネジャーに確かめてください。表の単位数は加算を含まない基本の部分で、入浴の介助や送迎、処遇改善などの加算は別に乗ります。
たとえば、親が人の多い場所を嫌がってデイに行きたがらない場合は、昼の見守りをデイで埋める組み方が成り立ちません。その場合は、家で受けるヘルパーの時間を中心にし、ショートで家族が休む日を作る形に組み替えることになります。親が「行く」と言ってくれるサービスから組み立てるのも、続けるための立派な判断です。
要介護度ごとの1か月の枠
1か月に保険で使える枠は要介護度で決まっていて、要介護3なら27,048単位です。この枠を超えて使った分は、保険が効かずに全額が自己負担になります。
区分支給限度基準額は、厚生労働省の公表システムでは1単位10円の地域の目安として円で示されています。単位数に直すと、要介護度ごとの枠は次のとおりです。
| 要介護度 | 1か月の枠(単位) | 1単位10円の地域の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 |
出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
円に直すときの1単位の単価は、地域区分とサービスの種類で10円から11.40円まで違います。訪問介護と、ショート・小規模多機能とでは人件費の割合の区分が違い、同じ単位数でも円の額が少しずつ違います。この記事の円の額は、すべて1単位10円の地域の目安です。
※1単位の単価は地域によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
本人が払うのは、枠の中で使った分の原則1割です。2割になるのは合計所得金額160万円以上で、かつ年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身280万円以上(2人以上の世帯は346万円以上)の場合、3割になるのは合計所得金額220万円以上で、かつ同じ合計が単身340万円以上(2人以上の世帯は463万円以上)の場合です。
親の負担割合は、自分で所得を計算して決めずに、市区町村から届く負担割合証で確かめてください。枠を超えた分は割合に関係なく10割を払うので、組み合わせを考えるときは「枠に収まっているか」を最初に見ます。
要介護3・2割負担の月額はいくら?限度額いっぱいでも上限で止まる
単位数で組んだ2つの例

要介護2で日中の見守りと朝夕の手伝いを組む例は枠の約65%、要介護3でデイを中心にショートも入れる例は枠の約74%に収まります。どちらも余りがあるので、困っている時間が増えたときに足せる幅が残っています。
ここで示すのは、回数をすすめる例ではなく、単位数の足し方の例です。実際の回数は、家族が埋めてほしい時間で決まります。月の回数は計算しやすいように決めた数で、単位数は告示の基本の部分だけです。
| 要介護2の例(枠19,705単位) | 1回・1日の単位数 | 月の回数 | 単位数 |
|---|---|---|---|
| デイ(7時間以上8時間未満) | 777単位 | 8回 | 6,216単位 |
| ヘルパー(身体介護30分以上1時間未満) | 387単位 | 8回 | 3,096単位 |
| ヘルパー(生活援助45分以上) | 220単位 | 4回 | 880単位 |
| ショート(併設型) | 672単位 | 4日 | 2,688単位 |
| 合計 | 12,880単位(枠の約65%・余り6,825単位) |
要介護2の例の合計12,880単位は、1単位10円の地域で約128,800円、1割負担なら約12,880円です。
| 要介護3の例(枠27,048単位) | 1回・1日の単位数 | 月の回数 | 単位数 |
|---|---|---|---|
| デイ(7時間以上8時間未満) | 900単位 | 12回 | 10,800単位 |
| ヘルパー(身体介護30分以上1時間未満) | 387単位 | 12回 | 4,644単位 |
| ショート(併設型) | 745単位 | 6日 | 4,470単位 |
| 合計 | 19,914単位(枠の約74%・余り7,134単位) |
要介護3の例の合計19,914単位は、1単位10円の地域で約199,140円、1割負担なら約19,914円です。
出典:令和6年度介護報酬改定の単位数表(厚生労働省・PDF)/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
この額には、デイの入浴介助やショートの送迎などの加算、デイの食費、ショートの食費・滞在費、おむつ代などは入っていません。ショートの食費と滞在費は保険の給付の対象から外れていて、事業所との契約で決まります(介護保険法41条1項)。負担限度額の認定を受けた人は、ショートの食費が1日300円・600円・1,030円・1,360円のいずれかに抑えられます(段階によって違い、施設で確認)。ショートの迎えを頼むと、送迎加算が片道184単位付くことがあります。
たとえば、要介護3の例からデイを月20回、ヘルパーを月20回に増やすと、デイ18,000単位・ヘルパー7,740単位・ショート4,470単位で合計30,210単位になり、枠を3,162単位超えます。超えた3,162単位は1単位10円の地域で約31,620円で、この分は1割ではなく全額が自己負担です。枠の中の27,048単位の1割の約27,048円と合わせると、月に約58,668円を払う計算になります。
試算で余りが出たら、その余りは「いま困っている時間」に使うための幅だと考えてください。逆に枠を超えそうなら、回数を削る前に、どの時間に困っているかに立ち戻って、優先の低いものから外すと、続けやすい形が残ります。
ショートを組み込むときの決まり
ショートステイは、連続して30日を超えると31日目からは保険の短期入所に当たらず、利用する日数は認定の有効期間のおおむね半数を目安に組みます。連続30日は31日目から保険の対象外になる線で、おおむね半数のほうは「上限」ではなく目安です。それぞれの中身を知っておくと、計画が立てやすくなります。
連続30日のほうは、厚生労働省の事務連絡で示された扱いで、31日目以降は短期入所の介護報酬が算定されず、保険の給付の対象外になります。退所した翌日に同じ事業所へ入所した場合も連続して入所しているものとして扱われ、限度額を超えて全額自己負担になった日があっても通算して連続利用とみなされます。
出典:短期入所に関するQ&A(岩沼市・厚生労働省事務連絡の転載・PDF)
おおむね半数のほうは、ケアプランを作るケアマネジャーが守る基準で、利用者の心身の状況などから特に必要と認められる場合を除き、ショートの日数が認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにすることになっています(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条)。日数を超えたらその場で保険が止まる、という決まりではありません。理解のために計算すると、有効期間が12か月なら、おおむね6か月分が目安になります。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)/介護保険法27条・要介護認定の申請(e-Gov法令API)/介護保険法28条・認定の有効期間と更新(e-Gov法令API)
- 連続30日を超える日は保険の短期入所に当たらない
- 退所した翌日に同じ事業所へ入ると、連続として数える
- 日数はおおむね半数が目安で、特に必要なら超えてよい
- デイとショートの同じ日の組み方は、ケアマネジャーに確かめる
- 家族の予定が決まった時点で、ショートの希望日をケアマネジャーに伝える
たとえば、毎月決まった週末に家族が休む形なら、30日の決まりにも半数の目安にもかかりません。一方、介護者が入院してしばらく家に戻れない場合は、ショートが長く続いて30日に近づくことがあります。そのときは31日目からの扱いと、その後の過ごし方を、30日に届く前にケアマネジャーと事業所に相談してください。
ショートは希望の日に空いているとは限らないので、家族の予定が分かった時点で早めにケアマネジャーに伝えておくと、組み込むときの手間が減ります。
限界は介護する側の条件で決めてよい
在宅を続けられるかどうかは、親の要介護度だけで決まるものではありません。夜に眠れない、仕事を休む日が増えた、介護者が体調を崩した、という家族の側の条件で「ここが限界」と決めてかまいません。
親の状態が同じでも、同居か遠距離か、介護者が働いているか、介護者が1人か交代できるかで、続けられる線は大きく違います。介護者の暮らしが崩れると、組み合わせがどれほど整っていても在宅は続きません。だから、限界の線は介護する側が自分の条件で引いてよく、その線を越えたときに何を足すかを先に決めておくと、慌てずに済みます。
| 介護する側の段階 | 当てはまる様子 | 足すもの・考えること |
|---|---|---|
| 昼が回らない | 仕事や用事で家を空ける時間が増えた | デイの日を増やす・時間の長い区分にする |
| 朝夕の手が足りない | 出勤前や夕食時の着替え・排せつに手が回らない | 朝夕にヘルパーの身体介護を入れる |
| 夜に眠れない | 夜中に何度も起こされ、翌日に響く | ショートで休む日を決めて入れる・定期巡回を考える |
| 介護者の体が先に参る | 介護者が体調を崩した・仕事を休む日が増えた | ショートを前倒しする・組み直しを頼む |
| 急な対応ができない | 転倒や夜間の呼び出しに誰も駆けつけられない | 小規模多機能・定期巡回・施設を考える |
表は、親の病気や認知症の進み方を判断するためのものではなく、家族の生活のどこが先に崩れているかを見るために使います。親の体の状態の見立ては、主治医とケアマネジャーに任せてください。
たとえば、父と同居する娘が日中は働き、夜は父のトイレの付き添いで何度も起きている場合、昼のデイを増やしても夜のつらさは減りません。この家で先に手当てするのは、夜に眠れない段階のほうで、月に何日かショートで娘が眠れる夜を作ることや、随時の通報に対応する定期巡回を検討することになります。どの段階が先に来ているかで、足すサービスが変わります。
自分の様子が表のどこに当たるかを書き出し、ケアマネジャーに「この段階まで来ている」と伝えると、組み直しの話が具体的になります。
保険の枠で足りない時間をどうするか
保険の枠で足りない時間は、まず枠の余りを使い、次に家族の分担を組み直し、それでも空く時間だけを保険外のサービスで埋める、という順で考えます。保険で足りているなら、保険外を足す必要はありません。
試算で枠に余りがあるなら、その余りは原則1割の負担で使える幅です。困っている時間にヘルパーやデイを足して、枠の中で埋められないかを先に考えてください。枠の中の分は原則1割の負担で済みますが、枠を超えた分や保険の対象外の内容は全額が自己負担になるからです。
- 枠の余りがあるなら、困っている時間に保険のサービスを足す
- 兄弟や親族で、曜日や月ごとに受け持ちを決め直す
- 社会福祉法人の利用者負担の軽減を使えるか、法人に確かめる
- 保険で頼めない時間や内容だけを、保険外のサービスで埋める
- 費用が重いなら、組み直しと施設の比較を同時に始める
社会福祉法人が行う訪問介護・通所介護・短期入所生活介護などには、利用者負担を軽くする仕組みがあります。対象になる人と手続きは、市区町村と法人に確かめてください。ショートでは、負担限度額の認定による給付を受けている場合に限って、食費・滞在費も軽減の対象に入ります。実施しているかどうかは法人ごとなので、使っている事業所の運営法人に確かめてください。
出典:社会福祉法人等による利用者負担軽減制度(WAM NET・PDF)
たとえば、要介護3の例のように枠に7,134単位の余りがあっても、通院の付き添いで長く家を空けてほしい日や、夜の付き添いを数時間だけ頼みたい日は、保険のヘルパーの内容や時間の枠に合わないことがあります。そうした時間は、家族の分担で埋められるかを先に話し合い、それでも空く時間だけを、時間単位で頼める保険外の訪問介護に回す形があります。
保険外のサービスは、保険の代わりではなく、保険で埋まらない隙間に使います。頼む前に、その時間が本当に保険で頼めないのかをケアマネジャーに確かめておいてください。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
限度額の余りと家族の分担で困っている時間が埋まるなら、保険外のサービスを足す必要はありません。それでも通院の付き添いや夜の数時間など、保険のヘルパーの内容や時間に合わない時間が残り、そこを誰が埋めるのかが決まらないときは、介護保険の枠の外で頼める保険外の訪問介護に、空いている曜日と時間帯を伝えて見積もりを取ると、自費でどこまで埋められるかを先に確かめられます。頼む前に、その時間が本当に保険で頼めないかをケアマネジャーに確かめておいてください。
困っている時間帯をケアマネに渡す
ケアマネジャーに組み合わせを頼むときは、「もっとサービスを増やしたい」と伝えるより、困っている時間帯と曜日を書いた紙を渡すほうが、計画が早く具体的になります。
ケアマネジャーは、親の状態と家族の事情から、枠の中でどのサービスを入れるかを組み立てる役目です。家族の事情が言葉だけで伝わると、「平日は大変」のような大づかみの話になり、どの時間に何を入れるかが決まりません。時間帯と曜日、そのとき誰がいないのかが紙にあると、試算と同じ形で組み直してもらえます。
| 紙に書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 困っている時間帯 | 平日の朝7時台と夕方5時台・夜中 |
| そのとき誰がいないか | 娘は出勤、息子は遠方 |
| 家族が休みたい日 | 月に1回の週末・法事の日 |
| 親が嫌がること | 人の多い場所・入浴を人に頼むこと |
| 費用の上限 | 月にいくらまでなら払い続けられるか |
遠距離で親と離れて暮らしている場合は、地域密着型サービス(小規模多機能や定期巡回)が、原則として親が住んでいる市区町村の事業所に限られる点を知っておいてください(介護保険法78条の2)。子どもの家の近くの事業所は、原則として使えません。
※地域密着型サービスの事業所の探し方は地域によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、遠方に住む息子が月に1回しか帰れない場合は、帰る週末に合わせてショートを入れず、帰れない週の平日にデイとヘルパーを厚くし、ケアマネジャーとの連絡は電話とメールで受けると決めておく、といった頼み方ができます。誰がケアマネジャーとの窓口になるかを家族の中で1人決めておくと、連絡が行き違いになりません。
渡した紙は、次の見直しのときにも同じ形で書き直すと、どこが変わったかがひと目で分かります。
組み直しても回らないときの順番

デイ・ヘルパー・ショートを組み直しても夜や急な対応が回らないときは、小規模多機能か定期巡回に切り替えることを考え、それでも足りなければ施設を考えます。順番を知っておくと、いきなり施設か在宅かの二択にならずに済みます。
小規模多機能型居宅介護は、利用者の選択に基づいて、拠点への通い・自宅への訪問・短期間の宿泊を組み合わせて介護と機能訓練を行うサービスです(介護保険法8条19項)。1か月の定額で、要介護3は22,359単位です。いまのデイやヘルパーの事業所から切り替えることになるかは、ケアマネジャーに確かめてください。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な巡回訪問と、随時の通報を受けての対応を組み合わせたサービスです(介護保険法8条15項)。厚生労働省の公表システムでは、24時間365日、必要なサービスを必要なタイミングで提供するサービスと紹介されていますが、ずっとそばにいる形ではなく、定期の訪問と通報への対応の組み合わせです。1か月の定額で、介護と看護を一体で行う事業所(一体型)の要介護3は、看護を使わない場合16,140単位、看護も使う場合18,948単位です。訪問看護を別の事業所が行う連携型では、看護の費用が別にかかります。
出典:定期巡回・随時対応型訪問介護看護費の単位数(厚生労働省)/介護サービス情報公表システム「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(厚生労働省)
| 次の手 | 要介護3の単位数(1か月) | 1単位10円の地域の目安 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 小規模多機能 | 22,359単位 | 約223,590円 | 約22,359円 |
| 定期巡回(看護なし) | 16,140単位 | 約161,400円 | 約16,140円 |
| 定期巡回(看護あり) | 18,948単位 | 約189,480円 | 約18,948円 |
どちらも加算抜きの基本の部分です。小規模多機能では、食費・宿泊費・おむつ代などが別にかかります。どちらも地域密着型サービスで、原則として親の住む市区町村の事業所が対象です。
※小規模多機能と定期巡回の事業所の有無は地域によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
- 1デイ・ヘルパー・ショートを組み直す困っている時間に合わせて枠の中で入れ替える
- 2小規模多機能か定期巡回を考える通い・訪問・泊まりを1か所で、または定期の訪問と通報への対応
- 3施設を考える夜や急な対応が在宅では埋まらないとき
施設に入らずに在宅で続けるときの目安は、次の4つです。困っている時間が枠の中のサービスで埋まっていること、夜に介護者が眠れていること、急な対応のときに誰かが動けること、介護者が仕事と体を保てていること。この4つのどれかが崩れ、組み直しても戻らないときが、施設を考え始める目安です。施設に入ることは、在宅で埋められない時間を別の形で埋める選択の1つであって、親を見放すことではありません。
たとえば、夜中のトイレの付き添いで介護者が眠れなくなった家では、定期巡回の随時の対応で夜の不安が軽くなれば、在宅を続けられます。それでも夜の対応が毎晩続き、介護者の体が持たないなら、施設を探し始める段階です。
入居したあとの実家
在宅から施設に移ったあとは、空いた実家を誰が、いつ見に行くかを最初に決めておくと、入居のあとの手間が膨らみません。
施設を考え始めた段階では、親の暮らしのことで頭がいっぱいになり、実家のことは後回しになりがちです。けれども、親が施設に入ると、実家は人の出入りがない家になります。郵便物、庭木、冬の水道、近所への連絡など、誰かが動かないと進まないことが、入居のあとから出てきます。
たとえば、母が施設に入り、実家に誰も住まなくなった場合、月に1回は兄が見に行き、郵便物は転送の手続きをする、と最初に決めておくだけで、近所から連絡が来て慌てる事態を避けやすくなります。片付けや売るかどうかの話は、そのあとに家族の都合を合わせて進めれば足ります。
次に来ることを先に知っておくと、在宅から施設に移る判断をしたあとも、落ち着いて次の段階を迎えられます。
よくある質問
デイサービスとショートステイは併用できますか?
同じ月の中で、デイの日とショートの日を組み合わせることはできます。どちらも1か月の限度額の枠の中で単位数を足して使うので、合計が枠に収まっているかを見てください。同じ日の組み方は、ケアマネジャーと事業所に確かめてください。
ショートステイは1日いくらかかりますか?
介護の部分は、併設型の要介護3で1日745単位で、1単位10円の地域なら約7,450円、1割負担なら約745円です。これに加算と、食費・滞在費が別にかかります。食費・滞在費は事業所との契約で決まり、負担限度額の認定を受けた人は軽くなります。
デイサービスとショートステイの違いは何ですか?
デイは日帰りで施設に通って日中を過ごすサービス、ショートは施設に短期間泊まって介護と機能訓練を受けるサービスです。埋める時間で言えば、デイは平日の昼、ショートは家族が数日まとめて離れる日です。
ショートステイを使える条件は何ですか?
介護保険のショートステイ(短期入所生活介護)は、要介護の認定を受けて自宅で暮らしている人が使います(介護保険法8条9項)。使う日はケアマネジャーに相談してください。日数は連続30日までが保険の対象で、全体では認定の有効期間のおおむね半数が目安です。
小規模多機能とは何ですか?
通い・訪問・泊まりを1か所の事業所でまとめて受けるサービスで、1か月の定額です。要介護3は22,359単位で、1単位10円の地域なら約223,590円、1割負担なら約22,359円です。いまの事業所から切り替えることになるかは、ケアマネジャーに確かめてください。
デイサービスの費用は医療費控除の対象になりますか?
デイサービスやショートステイ(短期入所生活介護)の自己負担は、訪問看護などの医療系のサービスと併せて使っている場合にだけ、医療費控除の対象になります。単独で使っているだけなら対象になりません。併せて使っているかは、ケアプランと領収証で確かめてください。対象になっても、控除される額は年間の医療費の合計などで決まるので、国税庁の医療費控除の説明で確かめます。
順番のおさらい
- 組み方:デイ・ヘルパー・ショートは、1か月の限度額の枠の中で、困っている時間を埋める順に置く
- 役目:デイは平日の昼、ヘルパーは朝夕の手、ショートは家族が数日離れる日を受け持つ
- 枠:要介護3は27,048単位で、枠を超えた分は全額が自己負担になる
- 試算:単位数を足して枠の何割かを見ると、続けられるかと余りの幅が分かる
- ショート:連続30日を超える日は保険の対象外、日数はおおむね半数が目安
- 限界:夜・仕事・体・急な対応という介護する側の条件で決めてよい
- 足りない時間:枠の余り、家族の分担、保険外の順で埋める
- ケアマネジャー:困っている時間帯と曜日を書いた紙を渡す
- 次の手:組み直し、小規模多機能か定期巡回、施設の順で考える
- 入居したあと:実家を誰がいつ見に行くかを最初に決める
在宅を続けられるかどうかは、サービスの名前を覚えることより、困っている時間を紙に書き出し、枠の中に単位数で並べてみることで見えてきます。余りがあるうちは組み直しで粘れますし、枠や夜の対応で行き詰まったら、次の手を順番に試せばよいだけです。限界の線は家族が引いてかまわないので、その線を越えたときに何を足すかを、いまのうちにケアマネジャーと共有しておいてください。

