介護ベッドをレンタルする条件|介護保険なら自己負担1〜3割・月いくら・手順

日の差す和室
  • 親の退院が決まり、それまでに介護ベッドを用意してほしいと病院から言われた
  • 介護ベッドは介護保険で借りられるのか、誰でも借りられるのかが分からない
  • 要介護1だとベッドは借りられない、と言われてしまった
  • 月にいくらかかるのか、業者のサイトを見ても自分の場合の金額が分からない
  • 要介護認定の申請をしたばかりで、結果がまだ出ていない
  • ケアマネジャーがまだいないのに、どこに頼めばいいのか
  • 自費で借りるのと買うのと、どちらがいいのか迷っている
  • 遠くに住んでいて、搬入の日に立ち会えそうにない
  • 親が「ベッドなんか要らない、布団でいい」と言っている
  • 限度額のなかで、ほかのサービスと取り合いにならないか心配

上記のような悩みに答えます。

介護ベッドは、退院や在宅介護の始まりに合わせて、家族が急いで手配することが多い福祉用具です。検索すると、レンタル業者やベッドメーカーのページが多く並び、介護保険で借りる仕組みや機能の違い、自費プランの案内は詳しく書かれています。一方で、退院日から逆算して何を先に始めるか、要介護1で「原則対象外」と言われたときに業者の自費プラン以外にどんな道があるか、離れて暮らす子が部屋や搬入をどう確かめるかは、ほとんど書かれていません。そこで、介護保険で借りる条件・自己負担・申込みの流れという基本を押さえたうえで、退院までの段取り、要支援・要介護1の例外の条件、限度額のなかでの取り合い、遠方からの手配まで、厚生労働省の告示と資料、介護保険法で確かめながら整理しました。どのベッドが親の体に合うかという医療的な判断は、医師や福祉用具専門相談員に聞くことなので、扱いません。

先に答え

介護ベッド(特殊寝台)は、要介護2以上なら介護保険の福祉用具貸与で借りられ、自己負担は所得に応じて1〜3割、区分支給限度基準額のなかでほかのサービスと合わせて使います。要支援1・2と要介護1は原則として対象外ですが、起き上がりや寝返りが日常的に困難な場合などは例外があります。退院が決まったら、要介護認定の申請とケアマネジャー探しを先に始めてください。月額は商品と事業所で違うため、ここでは限度額と負担割合で示します。

2026年10月時点の制度で確かめています

目次

介護ベッドは介護保険で借りられる

日の差す和室

介護ベッドは、介護保険の福祉用具貸与で借りられます。ただし誰でも、どんなベッドでも、というわけではありません。条件は「親の介護度」と「ベッドの機能」の二つで決まります。

介護保険で借りられる福祉用具は、厚生労働省の告示で13種目に決まっています。介護ベッドはそのうちの「特殊寝台」で、マットレスやサイドレールは「特殊寝台付属品」という別の種目です。告示では、特殊寝台を「サイドレールが付いているか取り付けられるもので、背や脚の角度を調整できる機能か、床板の高さを無段階に調整できる機能のどちらかがあるもの」としています。家具店で売っている普通のベッドは、この条件に当たらないので対象外です。

介護保険で借りるときの条件を整理すると、次のようになります。

確かめること 介護保険で借りられる 借りられない・確認が要る
親の介護度 要介護2〜5 要支援1・2、要介護1は原則対象外(例外あり)
ベッドの機能 サイドレール付きで、背上げか高さ調整ができる 普通のベッド
自己負担 所得に応じて1〜3割 認定前は結果しだいで全額自己負担になることがある
手配の入口 ケアマネジャーがケアプランに位置付けて手配するのが通常の流れ ケアマネジャーがまだいない

借りていれば、状態に合わせて交換や返却ができます。

たとえば、要介護3の親が退院して自宅に戻る場合、背上げと高さ調整ができるベッドを、ケアマネジャーのケアプランに入れて借りるのが標準的な形です。一方、同じ退院でも、認定結果が要介護1だった場合は、原則として介護保険では借りられず、次の項の例外に当たるかどうかを確かめることになります。介護度ひとつで、話の進み方がまったく変わります。

最初に確かめるのは、親の介護度が決まっているか、決まっているならどの区分かです。認定がまだなら申請から、要介護1以下なら例外の条件から、要介護2以上ならケアマネジャーへの相談から始めてください。

出典:厚生労働省告示「福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目」

要介護1でも借りられる例外がある

要支援1・2と要介護1の人は、介護ベッドとその付属品が「原則として」介護保険の対象外です。ただ、原則には例外があり、「要介護1だから絶対に借りられない」わけではありません。

軽い区分の人は、原則として特殊寝台などが介護保険の対象外とされています。厚労省の資料では、要支援・要介護1で原則対象外になる用具として、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器などが挙げられています。反対に、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえは軽い区分でも対象です。

例外で借りられる道は、大きく二つあります。

  1. 認定調査の結果で決まる道:調査の項目で、日常的に「起き上がり」か「寝返り」が「できない」とされた人は、特殊寝台と付属品の対象になる
  2. 市町村が判断する道:調査では当たらなくても、医師の医学的な所見にもとづき、サービス担当者会議などでベッドが特に必要と判断され、市町村が書面などで確認した場合に認められることがある

二つ目の道で、医師の所見として挙げられているのは、状態が日や時間帯で変わりやすい場合(資料の例はパーキンソン病のON・OFF)、状態が急に悪くなって短い期間で当たることが確実に見込まれる場合(例はがん末期)、体への重大な危険を避けたり、症状が重くなるのを防いだりするために医学的に必要な場合(例はぜんそく発作など)の三つです。これは病名で決まるものではなく、親の状態がどれかに当たるかを医師が判断し、最後は市町村が決めます。

要介護1で「対象外」と言われたら
  1. 1認定調査の結果を見る起き上がり・寝返り
  2. 2主治医に状態を伝える医学的な所見
  3. 3ケアマネと会議必要性を検討
  4. 4市町村が確認医師の所見の道は、市町村が確認して判断

たとえば、要介護1の母親が、朝は自分で起き上がれるのに夕方になると起き上がれないことが多い、という場合を考えてみてください。状態に日内の変動がある場合は、調査の結果だけでは実態が伝わりにくいことがあります。こうした変動があるなら、主治医に日ごとの様子を伝え、ケアマネジャーに例外の手続きを相談する価値があります。反対に、日中も一人で問題なく起き上がれているなら、例外には当たりにくく、自費レンタルか、ベッド以外の方法(手すりなど)を考えることになります。

「医師の診断書があれば借りられる」と書かれていることがありますが、診断書は判断の材料のひとつで、それだけで決まるわけではありません。相談するときは、ケアマネジャーに「起き上がりや寝返りが困難になる時間帯があるか」「主治医の所見をもらえるか」を具体的に伝えてください。厚労省の資料は作成時点が示されていないので、最新の取扱いはケアマネジャーか市区町村で確かめてください。

※例外給付の確認の手続きは自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

出典:厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」

レンタルの自己負担は1〜3割で限度額内

介護保険で借りた介護ベッドの自己負担は、レンタル料の1割が原則で、所得が一定以上なら2割か3割です。そして、その利用分は、要介護度ごとに決まった月の上限(区分支給限度基準額)のなかで、デイサービスや訪問介護などのほかのサービスと合わせて数えます。

月額をはっきり書けないのは、レンタル料が商品と事業所で違うからです。その代わり、価格には国のしくみで歯止めがあります。2018年10月から、商品ごとに貸与価格の上限が設けられ、全国の平均の貸与価格に、ばらつき分を足した額が上限です。貸与件数の多い商品には上限が設けられ、上限を超えて貸した場合は介護保険の対象になりません。上限と全国平均の額は厚労省が商品ごとに公表し、年に1回程度見直されます。福祉用具専門相談員は、商品の特徴と貸与価格、全国平均の貸与価格を説明し、機能や価格帯の違う複数の商品を示すことになっています。

区分支給限度基準額は、要介護度ごとに次のとおりです(1単位10円の地域の目安)。

要介護度 区分支給限度基準額(1か月)
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

負担割合は、本人の合計所得金額と、年金収入とその他の合計所得金額で決まります。単身なら、合計所得金額160万円以上かつ年金収入等280万円以上で2割、合計所得金額220万円以上かつ年金収入等340万円以上で3割が目安です。2人以上の世帯では、年金収入等の基準が2割で346万円以上、3割で463万円以上になります。親が何割かは、市区町村から届く負担割合証で確かめるのが確実です。

たとえば、要介護2の父親がデイサービスと訪問介護をすでに限度額近くまで使っている場合、そこに介護ベッドの貸与を足すと、限度額を超えるかもしれません。超えた分は介護保険が使えず全額自己負担になります。逆に、退院直後でほかのサービスをまだ使っていないなら、限度額に余裕があるかどうかをケアマネジャーに確かめます。

ケアマネジャーに相談するときは、「ベッドを入れたら、月の利用はいくらで、限度額にどのくらい余裕が残るか」を聞いてください。負担が重くなったときには、世帯の月の自己負担に上限があり、課税所得380万円未満の課税世帯なら44,400円、市町村民税が世帯で非課税なら24,600円、年金収入等と合計所得の合計が82.65万円以下の人は個人で15,000円です(所得が高い世帯は上限が高くなります)。自分の親の場合の目安は、計算ツールで確かめられます。

介護費の自己負担シミュレーター(限度額・負担割合・高額介護サービス費)

※1単位あたりの単価は地域区分によって違うため、上の金額は目安です。お住まいの市区町村で確認してください。

出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)/厚生労働省「介護保険制度の概要」/厚生労働省 介護給付費分科会資料(福祉用具貸与価格の上限)

介護ベッドを退院までに間に合わせる

書類に記入する手元

退院日が決まってから介護ベッドを探し始めると、間に合わないことがあります。ベッドより先に始めるべきなのは、要介護認定の申請と、ケアマネジャー探しの二つです。ベッドはその二つが動き出してから、ケアマネジャーと福祉用具の事業所が手配するのが通常の流れだからです。

認定の結果は、介護保険法27条で、申請のあった日から原則30日以内に出すことになっています。ただし、実際にかかる日数は自治体や時期で違うので、「30日あれば必ず出る」とは考えないでください。退院が近いのに認定が出ていない場合は、そのあいだのベッドをどうするかを、先に決めておく必要があります。

退院までの段取りは、次の順番で考えると漏れが出にくくなります。

  1. 入院中の病院の相談室(地域連携室など)に、退院の見込み日と「家でベッドが要りそう」なことを伝える
  2. 認定がまだなら、入院中から申請を進められるかを、病院の相談室と親の住む市区町村に確かめる
  3. 親の住む地域の地域包括支援センターに電話し、ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)の探し方を聞く
  4. ケアマネジャーが決まったら、退院日とベッドが要ることを伝え、福祉用具の事業所を紹介してもらう
  5. 認定前にベッドを使い始めるなら、その費用の扱いを、ケアマネジャーか市区町村に先に確かめる
退院日から逆算する順番
  1. 1病院の相談室に伝える退院の見込み日
  2. 2認定を申請する結果は原則30日以内
  3. 3ケアマネを探す地域包括に電話
  4. 4事業所を決める商品の説明を受ける
  5. 5搬入して説明を受ける退院日の前に

認定が出る前に介護保険のつもりでベッドを使い始めると、認定の結果によっては全額自己負担になることがあります。扱いはケアマネジャーや市区町村に「認定前に使った分はどうなるか」を必ず先に聞いてください。

認定結果が要支援1・2の場合は介護予防の給付(介護予防福祉用具貸与)の扱いになり、ケアプランの相談先が地域包括支援センターになるので確認してください。

地域包括支援センターは、介護保険法115条の46に根拠がある、市町村が設置する(運営を委託している自治体もある)公的な相談窓口です。名前や担当区域は自治体で違いますが、親の住所で検索すれば見つかります。遠方の子が電話で相談しても、話は進められます。

ここでの軸は、「ベッドを探す」ではなく「ベッドを手配してくれる人を先に決める」です。ケアマネジャーが決まれば、ベッドの手配は、その人と福祉用具の事業所が進めるのが通常の流れです。退院日が迫っているときほど、この順番を先に確認してください。

※地域包括支援センターの名称と担当区域、認定の実際の処理日数は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

出典:介護保険法27条(e-Gov法令API)/介護保険法115条の46(e-Gov法令API)

レンタルの申し込みから届くまで

介護保険で借りるときは、通常、ケアマネジャーがケアプランにベッドを位置付け、福祉用具専門相談員が福祉用具貸与計画を作って家族の同意を得てから届ける、という流れになります。

この流れの中で、ケアマネジャーは、ケアプランに福祉用具貸与を入れるとき、利用が妥当かを検討し、必要な理由をプランに書くことになっています。福祉用具専門相談員は、親の状態や家の環境、希望をふまえて計画を作り、利用者と家族に説明して同意を得たうえで、計画を利用者とケアマネジャーに渡します。

家族として関わる場面を並べると、次のようになります。

  • ケアマネジャーとの面談で、親の状態・退院日・寝室の様子を伝える
  • 福祉用具の事業所から、候補の商品と貸与価格、全国平均の貸与価格の説明を受ける
  • 機能や価格帯の違う複数の商品を比べて選ぶ
  • 福祉用具貸与計画の説明を受け、内容に同意する
  • 搬入・組立ての日を決め、使い方の説明を受ける
  • 使い始めてからの点検や交換の相談先を確かめておく

たとえば、事業所から一つの商品しか示されなかった場合、「ほかの機能や価格帯の商品も見せてほしい」と頼んで構いません。複数の商品を示すのは福祉用具専門相談員の義務とされているので、遠慮は要りません。反対に、親の状態がはっきりしていて、ケアマネジャーと事業所が候補を絞ってくれているなら、説明を聞いたうえで早めに決めるほうが、退院日に間に合わせやすくなります。

届くまでの日数は、事業所や地域、時期で違うので、ここでは書けません。退院日が決まっているなら、ケアマネジャーに日付を伝え、「この日までに入るか」を最初の面談で確かめてください。

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準/指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準

付属品と部屋の準備も一緒に

住宅の階段

介護ベッドは、本体だけ借りても使えません。マットレスやサイドレールといった付属品と、ベッドを置く部屋の準備をあわせて考えてください。とくに離れて暮らす子は、部屋と搬入経路を先に確かめておかないと、当日に置けないことがあります。

マットレスやサイドレールは「特殊寝台付属品」として、特殊寝台と一緒に使うものに限って貸与の対象です。床ずれ防止用のマットレスや体位変換器は、また別の種目です。要支援・要介護1の人は、これらも原則として対象外で、付属品だけを借りることはできないと考えておいてください。どの付属品が要るかは親の状態で変わるので、福祉用具専門相談員と相談して決めます。

遠方の子が、帰省のときやテレビ電話で確かめておきたいのは次のようなところです。

  • ベッドを置く部屋の広さと、介助する人が立つ場所が取れるか
  • 玄関・廊下・階段・寝室の入口を、組立て前の部品が通れるか
  • 電動ベッドのコンセントが、置く場所の近くにあるか
  • 畳の部屋に置く場合、置き方に気をつけることがあるか
  • 寝室が二階なら、一階に寝室を移せるか
  • 搬入の日に、誰が立ち会って使い方の説明を受けるか

たとえば、寝室が二階で階段が狭い家なら、ベッドを二階に入れるより、一階の居間の一部を寝室にするほうが、搬入も、その後の介助や外出もしやすくなることがあります。どこに置くかは親の生活の仕方とも関わるので、写真と寸法を事業所に送り、置き場所の相談から始めると話が早く進みます。

搬入に立ち会えない場合は、親と同居の家族か近くの親族に頼むか、ケアマネジャーや事業所に相談してください。福祉用具貸与計画は家族に説明して同意を得るものなので、立ち会えないなら、計画の説明を電話などで受けられるかも聞いておきます。

介護保険でレンタルしない場合の条件

介護保険で借りるのが基本ですが、自費でレンタルするか、買うほうが合う場合もあります。業者のページは自費プランや購入をすすめる書き方になりがちなので、どんな条件ならそちらを選ぶのかを、先に整理しておきます。

自費レンタルは、介護保険の条件に当たらなくても、事業所と直接契約して借りる方法です。料金は全額自分で払い、価格は事業所と商品で違います。介護保険の上限額のしくみがかからないぶん、料金の比べ方も自分ですることになります。購入は、長く使い続ける見込みがあり、状態が大きく変わらないと考えられる場合の選択肢です。なお、介護保険には福祉用具の購入の枠(特定福祉用具販売、年度で10万円)がありますが、対象の品目が決まっていて、告示では特殊寝台は貸与の種目に入っています。買う前に、枠が使えるかをケアマネジャーか市区町村に確かめてください。

介護保険で借りるか、それ以外か
介護保険で借りる

  • 要介護2以上か、例外に当たる
  • 自己負担は所得に応じて1〜3割
  • 限度額の中でほかのサービスと合算
  • 状態に合わせて交換・返却
自費レンタル・購入

  • 条件に当たらない(要介護1以下で例外にも当たらない など)
  • 全額自分で払う
  • 限度額とは別に払う
  • 交換や返却は契約しだい

自費や購入を考えるのは、たとえば次のような場合です。

  • 認定の結果が要支援・要介護1で、例外にも当たらなかった
  • 認定の結果が出る前の費用の扱いをケアマネジャーか市区町村に確かめたうえで、自費レンタルも比べたい
  • 限度額をほかのサービスで使い切っていて、ベッドを足すと超えてしまう
  • 介護保険のサービスを使わずに、家族だけで介護を続けるつもり

反対に、介護保険で借りられる条件に当たっていて、限度額にも余裕があるなら、自費レンタルや購入を選ぶ理由はあまりありません。とくに状態が変わりやすい時期は、借りておけば交換や返却がしやすく、合わなくなったときの損が小さく済みます。

迷ったときは、「借りる期間の見込み」と「状態が変わる見込み」の二つで考えてください。短い期間か、状態が変わりそうなら借りる、長く同じ状態で使いそうなら買うことも考える、という軸です。自費レンタルの契約では、最低の契約期間や、解約・交換の条件を事業所に必ず確かめてください。

親が介護ベッドを嫌がるとき

介護ベッドを入れる話は、親の側からすると「寝たきりになる準備」に聞こえることがあります。嫌がるのは自然なことで、無理に入れるより、親が使う理由に納得できる形を探すほうが、結局は長く使ってもらえます。

親が嫌がる理由としては、たとえば、布団で寝てきた生活を変えたくない、病人扱いされたくない、部屋の見た目が変わるのが嫌だ、といったものがあります。どれも、体の都合とは別の、暮らしと気持ちの話です。介護する側の都合だけを言うと、「あなたが楽をしたいだけでしょう」と受け取られることもあります。

話の切り出し方としては、たとえば「起き上がるのが楽になる」「立ち上がるときに膝の負担が減る」といった、親自身が楽になる話から入ると受け入れられやすくなります。高さを調整できるベッドなら、腰かけた姿勢から立ち上がりやすくなる、という話も具体的です。家族から言うより、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員から説明してもらうほうが、すんなり通ることもあります。

使い始めてから合わないと分かることもあります。福祉用具専門相談員は計画を作ったあとも状態を確かめる役割があるので、「寝心地が悪い」「高さが合わない」と感じたら、交換や付属品の見直しを相談してください。介護保険で借りている場合、介護度が変わると、借りられるものも変わることがあります。たとえば、認定の更新で要介護2から要介護1に下がると、原則として対象外になるので、例外に当たるか、自費に切り替えるかを、ケアマネジャーと相談することになります。

親の気持ちと体の状態がぶつかるときの軸は、「今日入れるかどうか」より「親が使ってくれる形かどうか」です。急ぎの危険がない限り、何回かに分けて話をし、親が自分で選んだと思える形を探してください。

ベッドの次に考える在宅か施設か

介護ベッドを入れると、在宅介護の形が一つ整います。ただ、ベッドを入れても在宅での介護が続けにくくなっていくことはあり、その先には、在宅を続けるか施設を考えるかという話が来ます。

ベッドの手配で限度額の使い方を確かめた家族は、すでに在宅介護の費用の全体像に触れています。ほかのサービスとの取り合いで限度額が足りなくなってきた、夜間の介助が家族だけでは回らない、といった変化が出てきたら、それは在宅の形を見直す合図です。逆に、ベッドと手すり、いくつかのサービスの組み合わせで本人も家族も落ち着いているなら、在宅を続けられる条件がそろっているということです。

在宅か施設かを考え始めたときの見方は、こちらでまとめています。

在宅か施設か|在宅の限界が見え、施設を考え始めた人

親が施設を嫌がっている場合の考え方は、こちらです。

親が施設を拒むときは在宅で続ける条件から話す

要介護認定のあとに月いくら出ていくのか、全体の仕組みはこちらで確かめられます。

認定・お金|要介護認定が出て、月にいくら出ていくか/要介護3・2割負担の月額はいくら?

入浴用いすなどの福祉用具の購入や住宅改修については、こちらで触れています。

親がお風呂に入らないとき叱る前に確かめること

よくある質問

認定の結果が出る前に介護ベッドを借りられますか?

借りること自体はできますが、介護保険のつもりで使い始めると、認定の結果しだいで全額自己負担になることがあります。とくに要介護1以下と判定された場合、ベッドは原則として介護保険の対象外です。使い始める前に、その間の費用の扱いをケアマネジャーか市区町村に確かめてください。

介護ベッドは買ったほうが安いですか?

商品やレンタル料、使う期間で変わるので、一律には言えません。介護保険で借りられる条件に当たっているなら、自己負担は1〜3割で、状態が変わったときに交換や返却ができます。介護保険の条件に当たらず、長く同じ状態で使い続ける見込みがある場合に、購入を比べる意味が出てきます。

畳の部屋にも介護ベッドを置けますか?

置き方は福祉用具の事業所に相談してください。部屋の写真や寸法を事前に伝えておくと、搬入の日に慌てずに済みます。

ベッドが合わなかったら交換できますか?

介護保険で借りている場合は、福祉用具専門相談員に相談すれば、状態に合わせて交換や付属品の見直しを検討してもらえます。自費レンタルの場合は、交換の条件が契約で決まっているので、契約の前に確かめておいてください。

短い期間だけ借りることはできますか?

介護保険で借りる場合は、状態に合わせて返却できるので、必要な期間だけ使う形になります。認定を待つ間の扱いはケアマネジャーか市区町村に先に確かめてください。介護保険の条件に当たらない場合の短期利用は自費レンタルになるので、最低の契約期間と料金を事業所に確かめてください。

要らなくなったら返せますか?

介護保険で借りている場合は、ケアマネジャーと福祉用具の事業所に伝えて返却の手続きを確かめてください。自費レンタルは契約の最低期間や解約条件を先に確かめてください。入院や施設への入所で使わなくなるときも早めに伝えてください。

順番のおさらい

  1. 介護保険で借りる条件:要介護2以上で、サイドレール付き・背上げか高さ調整のできる特殊寝台。普通のベッドは対象外
  2. 要介護1の例外:起き上がりか寝返りが調査で「できない」か、医師の所見と担当者会議をへて市町村が確認した場合(医師の所見の道は市町村が判断)
  3. 自己負担:所得に応じて1〜3割。限度額のなかでほかのサービスと合算し、超えた分は全額自己負担
  4. 退院までの段取り:病院の相談室に伝え、認定の申請とケアマネジャー探しを先に。認定前に使う分の扱いは先に確認
  5. 申し込みの流れ:ケアプランと福祉用具貸与計画をへて届く。複数の商品と全国平均の貸与価格の説明を受ける
  6. 付属品と部屋:マットレスやサイドレールは付属品。部屋・搬入経路・コンセント・立ち会いを先に確かめる
  7. 介護保険で借りない場合:条件に当たらない・限度額を超えるなら自費か購入。期間と状態の変化で選ぶ
  8. 親が嫌がるとき:親が楽になる話から入り、第三者から説明してもらう。合わなければ交換を相談
  9. その先:限度額や夜間の介助が回らなくなってきたら、在宅か施設かを考える合図

介護ベッドの手配で慌てやすいのは、退院日が決まってから、認定もケアマネジャーもない状態で業者を探し始めることです。ベッドそのものより先に、認定の申請と手配してくれる人を決めておけば、介護保険で借りるか、例外を相談するか、自費にするかは、そのあとで落ち着いて選べます。親の介護度と、限度額に残る余裕の二つを確かめることから始めてください。

限度額の1単位あたりの単価、例外給付の確認の手続き、地域包括支援センターの名称、認定の実際の処理日数は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

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この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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