- 親が要支援1と通知された。要介護の人と同じように、ヘルパーに来てもらえるのか
- 地域包括の人から「総合事業の訪問型サービス」と言われたが、介護保険とは別のものなのか
- 週に何回まで来てもらえるのか。要支援2なら週3回は使えるのか
- 1回は何分くらいで、月にいくらかかるのか
- 母はデイに通いたがっている。要支援でもデイには行けるのか
- 認定を受けていなくても、デイのような場所に通える道はあるのか
- ケアマネジャーはつくのか。誰に何を言えば始まるのか
- 一人暮らしの父の家事が、要支援で使える量で回るのか分からない
上記のような悩みに答えます。
要支援1・2の親が使うヘルパーとデイは、要介護の人の訪問介護・通所介護とは別の仕組みで動いています。名前が似ているうえ、国が示す単位数と、市区町村が実際に決める回数・料金が混ざって語られるので、「週何回」「月いくら」に一つの答えを出しにくいところです。介護事業者や介護メディアの解説を見た範囲では、国の標準と市区町村の決定を分けたうえで、自分の市区町村で確かめる手順まで書いたものや、認定なしで使える道とデイサービスそのものの線引きをはっきりさせたものは見つけにくいところでした。そこで、総合事業の訪問型・通所型の位置づけ、国の単位数、申し込み先という基本を押さえたうえで、月の自己負担を自分で出す手順、事業対象者の道、足りないときの打ち手まで、介護保険法と施行規則、厚生労働省の告示とガイドラインで確かめながら整理しました。
要支援1・2の親も、ヘルパーとデイは使えます。ただし介護保険の訪問介護・通所介護ではなく、市区町村が行う総合事業の「訪問型サービス」「通所型サービス」として使い、月額の単位数は国が標準を示し、実際の回数と料金は市区町村が決めます。まず地域包括支援センターに相談してください。
2026年11月時点の制度で確かめています
要支援でもヘルパーとデイは使える

要支援1・2の親も、自宅に来るヘルパーと、通いのデイに当たるサービスを使えます。変わるのは、使う制度の名前と決め手です。要支援の人の訪問は総合事業の「第一号訪問事業(訪問型サービス)」、通いは「第一号通所事業(通所型サービス)」で、介護保険法115条の45第1項1号のイとロに定められています。
一方、介護保険法8条2項の「訪問介護」は要介護者の自宅で行うサービス、同じ条の7項の「通所介護」(デイサービス)は居宅要介護者が施設に通うサービスと定められています。条文の上では、どちらも対象が要介護の人です。地域包括支援センターの説明やケアプランに「訪問型」「通所型」という言葉が出てきたら、この総合事業のサービスを指していると考えてください。
総合事業は、介護保険とまったく別の制度というわけではありません。正式には「介護予防・日常生活支援総合事業」といい、介護保険法に基づいて市町村が行う地域支援事業の1つです。介護保険法の中の事業でありながら、サービスの中身や料金を市町村が決める余地が大きい点が、要介護の人のサービスとの違いです。
- 訪問介護・通所介護
- 介護保険法8条の介護給付
- 単位数は国の基準
- ケアプランは居宅介護支援事業者
- 訪問型サービス・通所型サービス
- 115条の45の総合事業
- 国の標準(市町村が別に定めることも)
- ケアプランは地域包括支援センターなど
たとえば、要支援2の母が一人暮らしで、週に何度か掃除と買い物を手伝ってほしい、日中は人と話せる通いの場にも出かけたい、という場合を考えます。ヘルパーは訪問型、通いは通所型で組むことになり、どちらも最初の相談先は地域包括支援センターです。同じ母が要介護の認定を受けた場合は、介護給付の訪問介護・通所介護を使う側に移るのが基本の形ですが、市町村が必要と認めた場合に、従前相当以外の総合事業のサービスを続けて使える仕組みもあるので、切り替えの時期は地域包括と担当のケアマネジャーに確かめることになります。
名前で迷ったら、まず「要介護の訪問介護・通所介護の話か、総合事業の訪問型・通所型の話か」を確かめてください。調べた記事や事業所のチラシが要介護の人向けだと、回数や料金の考え方がそもそも違います。要介護の人のヘルパーとデイの中身は、それぞれ別の記事にまとめています。
国が示す標準は月額の単位数
国の基準では、旧介護予防訪問介護・旧介護予防通所介護に相当するサービス(従前相当サービス)は、1か月の定額の単位数が基本で、1回ごとの区分もあります(後で触れます)。訪問型は週の標準的な回数で、通所型は要支援1か2かで区分が分かれます。
| サービス | 区分 | 国の単位数(1か月) |
|---|---|---|
| 訪問型 | 週1回程度 | 1,176単位 |
| 訪問型 | 週2回程度 | 2,349単位 |
| 訪問型 | 週2回を超える程度 | 3,727単位 |
| 通所型 | 事業対象者・要支援1 | 1,798単位 |
| 通所型 | 事業対象者・要支援2 | 3,621単位 |
この単位数は、2024年4月に改正された厚生労働省の告示で定められています。2026年6月施行の改正でも、訪問型・通所型とも基本の単位数は変わっていません。単位数は円ではなく、あとで地域ごとの1単位の単価を掛けて円にするための数です。
国の基準には、月の定額のほかに、1回ごとに数える区分もあります。訪問型の1回ごとの区分は、月の合計が週2回を超える程度の定額(3,727単位)の範囲までです。通所型の1回ごとの区分は、要支援1が月4回、要支援2が月8回までと決められています。どちらの数え方になるかは、市町村の設定とケアプランで決まります。
もう1つ、認定を受けずに使う「事業対象者」の通所型には決まりがあります。月の定額で数える場合、ケアプランで週1回程度の通所が必要とされたときは要支援1と同じ1,798単位、週2回程度か週2回を超える程度が必要とされたときは要支援2と同じ3,621単位で算定します。
たとえば、訪問型の表に「週2回を超える程度」の区分があるのを見て、「要支援2なら週3回使える」と受け取る人がいます。しかし、どの区分を誰が使えるのかは、表の単位数だけでは決まりません。親が要支援1でも2でも、回数の区分と、そのうちどれを使えるかは、市区町村の決まりと地域包括支援センターが作るケアプランで決まる、と考えてください。
国の表は、地域包括支援センターでケアプランの説明を受けるときの「物差し」として使うのが向いています。説明の中に「週1回程度の区分」「要支援2の月額」といった言葉が出てきたら、この表のどの行に当たるのか、市区町村が国と違う単位数を定めていないかを、その場で聞いてください。
出典:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業の単位数表(令和6年改正)
実際の回数と料金は市区町村が決める
国が示す単位数は全国の標準で、実際の額は市区町村が別に定めることができます。介護保険法施行規則140条の63の2は、従前相当サービスの費用の額について、国の基準で算定した額を勘案して市町村が別に定める場合はその額による、と書いています。従前相当以外のサービス、たとえば基準を緩めたサービスや住民が主体となる活動などは、市町村が基準と単価を定めます。
料金のもう1つの要素である1単位の単価も、地域で変わります。厚生労働省のガイドラインは、総合事業の1単位の単価について、訪問型サービスは介護給付の訪問介護の単価、通所型サービスは通所介護の単価を市町村が設定するとしています。どちらも地域区分によって単価が違い、訪問介護のほうが地域による差が大きいグループに入っています。従前相当以外のサービスでは、市町村の判断で1単位10円とすることもあります。
自己負担の割合も、国の基準どおりとは限りません。従前相当サービスの利用者負担は、介護給付と同じく原則1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)を下限として、市町村が定めることになっています。従前相当以外のサービスは、市町村が定める負担になります。
市区町村によって違いが出るのは、次のところです。
- 単位数を国の額のままにしているか、別に定めているか
- 1単位の単価(事業所がある地域の区分)
- 自己負担の割合や額
- 週の回数の目安と、どの区分を誰が使えるか
- 従前相当以外のサービスがあるか、その中身と単価
※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、親が子の近くの市へ住所を移した場合、同じ要支援2のままでも、使える訪問型・通所型の種類や単価、自己負担が前の市と変わることがあります。前の市で「月◯回来てもらえた」という経験は、新しい市ではそのまま通用しないかもしれない、ということです。引っ越しの前に、移る先の地域包括支援センターにサービスの種類を聞いておくと、切り替えの段取りを立てやすくなります。
ネットで「要支援1 ヘルパー 料金」と調べて出てくる金額は、どこかの地域の、どこかの条件で計算した一例です。親の分を知りたいなら、市区町村の介護保険の担当課か地域包括支援センターで、総合事業のサービスの種類と単価が分かる資料があるかを聞くほうが近道です。資料があれば、次の項の手順で月の額を自分で出せます。
出典:介護保険法施行規則140条の63の2/厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」
月いくらかを自分で出す手順

月の自己負担は、「単位数×地域の1単位の単価×負担割合」で出します。この記事で円の目安を出さないのは、単価も単位数も負担割合も、親が住む市区町村と使う事業所によって変わるからです。式の3つの材料をそろえれば、自分で計算できます。
材料は、次の順に集めると迷いにくくなります。
- 使うサービスが従前相当か、それ以外のサービスかを地域包括支援センターに聞く
- 従前相当なら、どの区分(週1回程度、要支援2の月額など)で何単位かを確かめる
- 事業所がある地域の1単位の単価を聞く(従前相当なら訪問型は訪問介護、通所型は通所介護の単価。それ以外は市区町村が定める単価)
- 親の負担割合を市区町村で確かめる
- 加算など単位数に上乗せされるものや、単位数の外で払うものがあるかを、事業所の料金表で見る
要支援の人には、介護保険の区分支給限度基準額という月の枠もあります。要支援1は5,032単位、要支援2は10,531単位で、1単位10円で計算した目安ではそれぞれ50,320円、105,310円です。単価は地域で違うので、円の額は目安として読んでください。限度額の範囲内なら1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)の負担で、超えて使った分は全額が自己負担になる、と厚生労働省は説明しています。要支援の人が使う介護予防サービス(予防給付)はこの枠で数えます。総合事業の訪問型・通所型をこの枠の中で数えるかどうかは、地域包括支援センターに確かめてください。
たとえば、要支援1の母が訪問型(週1回程度)と通所型を両方使う場合、国の標準のままの市区町村なら、単位数は1,176単位と1,798単位の2つです。それぞれに、従前相当なら訪問型は訪問介護の単価、通所型は通所介護の単価を掛け、母の負担割合を掛けて足すと、月の自己負担になります。同じ組み方でも、市区町村が単位数を別に定めていたり、従前相当ではないサービスを使っていたりすれば、材料そのものが変わります。
月の定額で示される区分を使う場合、月の途中で休んだときや入院したときにどう数えるかは、この記事で確かめられた範囲には入っていません。事業所と契約する前に、休んだ月や月の途中から始めた月の扱いを、料金表と一緒に聞いておくと、請求書を見て驚くことが減ります。介護費の上限や限度額の考え方は、次の記事にまとめています。
出典:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業の単位数表(令和6年改正)/区分支給限度基準額(告示)/厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービスにかかる利用料/厚生労働大臣が定める一単位の単価(告示)
ヘルパーに頼めることの決まり方

要支援の訪問型サービスで何をどこまで頼めるかは、市区町村が決めたサービスの内容と、地域包括支援センターなどが作るケアプランで決まります。介護保険法115条の45は、第一号訪問事業を、居宅要支援被保険者等の介護予防を目的として、その居宅で日常生活上の支援を行う事業と定めています。
国の単位数表を見ると、訪問型の1回ごとの区分には「生活援助が中心である場合」と「短時間の身体介護が中心である場合」が並んでいます。区分の名前から見ると、家事が中心の場合と、短時間の身体介護が中心の場合が想定されています。生活援助が中心の区分には、20分以上45分未満と45分以上という時間の分け方もあります。ただし、月の定額で使う場合の1回の長さや、どの介助まで入るかは、市区町村の決まりとケアプラン次第です。
要介護の人の訪問介護については、厚生労働省の通知が身体介護と生活援助の中身を例示していて、生活援助は親本人の分の家事、家族の利便のための行為は入らない区分、と整理されています。同居家族がいるときに生活援助を使える条件も、要介護の訪問介護の算定基準に書かれています。これらは要介護の訪問介護の決まりなので、要支援の訪問型でどう扱うかは、市区町村が決める内容を確かめる必要があります。
ヘルパーに頼みたいことを書き出すときは、次の4つの視点で並べておくと、地域包括との話が早く進みます。
- 誰の分か(親本人の分か、家族の分も混じるか)
- 体の介助か、家事か
- 親が一緒にできる部分が残っているか
- 何曜日の何時ごろに来てほしいか
たとえば、要支援1の父が一人暮らしで、掃除と買い物がつらくなってきたという場合は、本人の分の家事として訪問型の候補になります。父が浴槽をまたぐのが怖いと言っていて入浴の介助も頼みたいなら、訪問型でそれが受けられるかを地域包括に確かめることになります。一方、同居の娘の分の食事づくりまで頼みたい場合は、要介護の訪問介護でも家族の分は入らない区分とされているので、訪問型で頼めると見込むのは避け、別の手を考えておくほうが安全です。
最初の相談で「週に何回来てもらえますか」とだけ聞くと、回数の話で終わってしまいます。書き出した困りごとを見せて、「この中のどれが訪問型で頼めて、1回はどのくらいの時間になるか」と聞いてください。親が家に人を入れることを嫌がっているなら、その理由も先に伝えておくと、話が早く進みます。
出典:介護保険法115条の45/厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業の単位数表(令和6年改正)/厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」改正/指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示)
認定なしで使える「事業対象者」
65歳以上の親なら、要介護認定・要支援認定を受けなくても、総合事業の訪問型・通所型を使える道があります。市町村や地域包括支援センターの窓口で、本人の申し出により基本チェックリストを受け、「事業対象者」に当てはまれば、総合事業のサービスを使えます。介護保険法施行規則140条の62の4が、総合事業の対象として、要支援の人のほかに、厚生労働大臣が定める基準に該当する第1号被保険者(65歳以上の人)を挙げています。
注意したいのは、認定なしで使えるのは総合事業の「通所型サービス」で、デイサービス(通所介護)ではないという点です。通所介護は介護保険法8条7項で居宅要介護者を対象に定められていて、使うには要介護の認定が要ります。「認定なしでデイに行ける」という言い方を見かけたら、それは総合事業の通所型のことだと読み替えてください。
事業対象者は、要支援者に相当する状態などを想定した仕組みで、厚生労働省のガイドラインでは、該当しない人は一般介護予防事業につなぐ扱いになっています。基本チェックリストの質問の中身や、どこから該当になるかの線は、この記事では扱いません。使えるサービスの範囲は、次のように整理できます。
- 総合事業の訪問型・通所型:要支援認定でも、事業対象者でも使える
- 予防給付(介護予防通所リハビリテーション、福祉用具貸与など):要支援認定が要る
- 訪問介護・デイサービス(通所介護):要介護の認定が要る
- 40〜64歳の人:基本チェックリストではなく、要介護認定等の申請から
たとえば、70代の母が最近外に出なくなり、通いの場に行ってほしいと考えている場合、通所型だけを使うなら事業対象者の道も選択肢になります。同じ母について、近いうちに歩行器を借りたい、介護予防の通所リハビリを使いたいという予定があるなら、予防給付を使うために要支援認定の申請が要ります。どちらの道が合うかは、親の状態と、使いたいサービスの種類で決まります。
地域包括支援センターでは、「認定の申請と基本チェックリストの、どちらが親に合いますか」と聞いてください。実施の方法や窓口、使えるサービスの内容は市町村が決めています。※お住まいの市区町村で確認してください。認定の申請を選ぶ場合は、調査の前の準備と、結果が出たあとの動き方を別の記事にまとめています。
出典:介護保険法施行規則140条の62の4/厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」/介護保険法8条
申し込みは地域包括支援センターへ
要支援の親のヘルパーやデイは、地域包括支援センターへの相談から始まります。地域包括支援センターは、介護保険法115条の46に基づいて市町村が置くか、市町村から委託を受けた社会福祉法人・医療法人などが置く、高齢者の総合相談の窓口です。市町村が直接運営しているか、委託しているかは、市町村ごとに違います。
要支援の人のケアプランは、使うサービスによって呼び方が変わります。予防給付のサービスを使う人は「介護予防支援」で、地域包括支援センターのほか、令和6年4月からは市町村の指定を受けた居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)が担当する場合もあります。総合事業だけを使う人は「介護予防ケアマネジメント」で、地域包括支援センターが行い、その一部を居宅介護支援事業所に委託することもあります。民間のケアマネ事業所を選べるかどうかは、地域に指定を受けた事業所があるか、受け入れるかで変わります。
ケアプランの費用は、介護予防支援なら利用者の自己負担はありません。総合事業の介護予防ケアマネジメントは、国の基準では費用の100分の100を事業から支払う形ですが、市町村が別に定める余地が条文にあるため、自己負担がないとは言い切れません。
- 1地域包括支援センターに相談する親の住所を担当する包括を市区町村で確かめる
- 2認定か基本チェックリストかを決める予防給付も使うなら要支援認定
- 3ケアプランを作ってもらう包括、または指定を受けた事業所
- 4事業所と契約して使い始めるサービスの種類と単価を確かめてから
親の住所を担当する地域包括支援センターは、市町村が案内しています。市町村の窓口か公式サイトで確かめてから電話をかけると、迷いにくくなります。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、遠方に住む子が電話で相談する場合は、親の住所、要支援の認定を受けているか、困っている家事と介助、来てほしい曜日と時間帯をメモにしてから電話してください。介護保険の被保険者証や認定の結果の通知が手元にあれば、手元に用意しておくと話が進みます。親本人の同意をどう取るか、面談に誰が同席するかも、最初の電話で聞いておくと安心です。
ケアプランの原案を受け取ったら、使うサービスが従前相当かどうか、区分と単位数、1回の時間を確かめてください。担当者の説明が分かりにくい、相談しても動きが遅いと感じたときの考え方は、別の記事にまとめています。
出典:介護保険法115条の46/介護保険法115条の47/厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1260/厚生労働省「介護予防ケアマネジメントの実施及び介護予防手帳の活用について」/厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」
総合事業だけで足りないとき
総合事業の訪問型・通所型だけで、親の暮らしを支え切ろうとしないほうがよい場面があります。状態が変わった、食事が回らない、用具が要る、リハビリが目的、という4つのときは、別の手を組み合わせるか、認定そのものを見直すことを考えてください。
| こんなとき | 考える手 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 着替えや移動に手がかかるようになった | 認定の見直し(区分変更・要介護認定の申請) | 地域包括・市区町村 |
| 食事の用意や安否が心配 | 市町村の配食・見守りの支援 | 地域包括・市区町村 |
| 歩くときや立ち上がりに用具が要る | 予防給付の福祉用具貸与 | 地域包括・ケアプラン |
| リハビリが目的 | 介護予防通所リハビリテーション | かかりつけ医・地域包括 |
状態が変わったときは、認定の有効期間の途中でも見直しを申請できます。要支援1から要支援2への変更は、介護保険法33条の2の要支援状態区分の変更の申請です。要介護に当たると思うときは、27条の要介護認定の申請になります。どちらの申請になるか、出す書類は何かは市区町村で確かめてください。どの区分になるかは審査の結果で決まり、申請すれば要介護になるわけではありません。結果が出るまでの日数も、市町村に確かめてください。
食事と見守りについては、介護保険法施行規則140条の62の7が、栄養の改善を目的とした配食や、定期的な安否確認と緊急時の対応を、総合事業の生活支援として市町村が定めるものに挙げています。国の要綱には、住民ボランティアなどが行う訪問による見守りも例示されています。実施するかどうかと中身は市町村が決め、対象は要支援の人や事業対象者などです。
福祉用具は、厚生労働省の資料では、要支援1・2と要介護1の人について、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトなどは原則として貸与の対象外とされています。手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえは対象です。原則には例外もあるので、最新の扱いは市区町村とケアプランの担当者に確かめてください。
リハビリが目的なら、要介護の人には主治医が認めた場合に老健や病院・診療所などに通う通所リハビリテーション(デイケア)があり、要支援の人には介護予防通所リハビリテーションがあります。要支援の人の通所リハは予防給付なので、要支援認定が要ります。
保険の範囲に入らない家事は、保険外のサービスを検討する手もあります。保険外は全額が自己負担で、料金も受けるかどうかも事業者ごとなので、回数を絞って使い道を決めてから問い合わせてください。
たとえば、要支援2の父が転んでから着替えにも時間がかかるようになり、訪問型の回数を増やしたいという場合、まず考えるのは回数の追加より、いまの状態に合った認定かどうかです。認定の見直し(要介護認定の申請)を考えるか、配食で食事の負担を減らすか、手すりや歩行器で転びにくくするかを、地域包括と一緒に並べて決めてください。ヘルパー・デイ・配食などの組み合わせ方は、次の記事で整理しています。
出典:介護保険法33条の2/介護保険法施行規則140条の62の7/厚生労働省 地域支援事業実施要綱/厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」/介護保険法8条/厚生労働省 介護保険最新情報Vol.678
状態が変わったら次に考えること
要支援のうちは、訪問型・通所型に配食や用具を足して、自宅での暮らしを支えていく段階です。ただ、認定の見直しで要介護の認定が出たり、一人暮らしの親の夜が心配になったりすると、「このまま在宅で続けるか、施設を考えるか」という問いに行き当たります。
その問いに答えるには、いま使っているサービスの種類と回数、親が一人でできること、家族が通える頻度を書き出しておくのが土台になります。要支援の段階で作ったメモやケアプランは、次の段階で比べるときにも使えます。介護のお金の全体像は、次のページで見渡せます。
状態が変わって在宅で続けるか迷ったら、在宅と施設の比べ方を次のページで確かめてください。
よくある質問
要支援1でヘルパーは週に何回まで利用できますか?
国の基準では、訪問型サービスの月の定額に週1回程度、週2回程度、週2回を超える程度の3つの区分があります。ただ、要支援1の人がどの区分を使えるか、週何回来てもらえるかは、市区町村の決まりとケアプランで決まります。地域包括支援センターで、親の市区町村の区分と回数の目安を確かめてください。
要支援者は訪問介護を利用できますか?
介護保険法の「訪問介護」は要介護の人のサービスですが、要支援の人は総合事業の訪問型サービスとしてヘルパーに来てもらえます。中身や料金は市区町村が決めます。相談先は地域包括支援センターです。
要支援1のヘルパーは、どのくらいの時間介護をしてくれますか?
国の1回ごとの区分には、生活援助が中心の場合に20分以上45分未満と45分以上という時間の分け方があります。月の定額で使う場合の1回の長さや中身は、国の区分の範囲で、市区町村の決まりとケアプランによって決まります。頼みたいことを書き出して、1回でどこまでできるかを地域包括に聞いてください。
要支援1と2では何が違いますか?
月の枠である区分支給限度基準額が、要支援1は5,032単位、要支援2は10,531単位です。通所型サービスの国の単位数も、要支援1が1,798単位、要支援2が3,621単位と分かれています。実際に使える回数やサービスの組み方は、市区町村とケアプランで決まります。
要介護になったら、いまの事業所は変わりますか?
要介護になると、基本は介護給付の訪問介護・通所介護を使う形になり、ケアプランの担当も変わることがあります。市町村が必要と認めた場合は総合事業を続けて使える仕組みもあります。いまの事業所を続けて使えるかは、事業所が要介護の人のサービスも行っているかで変わるので、地域包括と新しい担当のケアマネジャーに確かめてください。
月の定額なら、休んだ月も同じ額を払いますか?
国の基準には、月の定額の区分と、1回ごとに数える区分の両方があります。休んだ月や月の途中から使い始めた月の扱いは、契約の前に、事業所の料金表と一緒に事業所と市区町村で確かめてください。
順番のおさらい
- 使えるか:要支援1・2でも、総合事業の訪問型・通所型としてヘルパーとデイに当たるサービスを使える
- 国の標準:従前相当は月の定額の単位数(1回ごとの区分もある)。訪問型は週の回数で、通所型は要支援1・2で区分が分かれる
- 決めるのは市区町村:単位数・単価・自己負担・回数の目安・従前相当以外のサービスは市区町村ごと
- 月の額の出し方:単位数×地域の1単位の単価×負担割合。材料は地域包括と事業所の料金表でそろえる
- 頼めること:訪問型で何をどこまで頼めるかは、市区町村の内容とケアプランで決まる
- 事業対象者:65歳以上なら基本チェックリストで総合事業を使える。デイサービス(通所介護)とは別
- 申し込み:地域包括支援センターへ。介護予防支援の自己負担はない
- 足りないとき:認定の見直し、配食や見守り、福祉用具、介護予防の通所リハビリを組み合わせる
- 次の段階:状態が変わって在宅で続けるか迷ったら、施設との比べ方を知っておく
要支援の親のヘルパーとデイは、「週何回・月いくら」を全国共通の数字で覚えるより、「国の物差し」と「市区町村の決まり」を分けて持つほうが役に立ちます。国の単位数表で区分の見当をつけ、親の市区町村で単位数・単価・負担割合をそろえれば、月の額は自分で出せます。そして、回数を増やしたくなったときこそ、認定の見直しや配食、用具といった別の手と並べて考える。その順番を知っておけば、地域包括での最初の面談から、親の暮らしに合った組み方を一緒に決めていけます。
総合事業の単位数・1単位の単価・自己負担の割合、ケアマネジメントの負担、従前相当以外のサービスの内容は、自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

