グループホームの入居条件、入れないのはどんなときか|要支援2・住民票・断られたときの次の手

湯のみを持つ手
  • 認知症の母は要支援2と言われたが、グループホームに入れるのか
  • 要支援1だと、本当にどこも受けてもらえないのか
  • 認知症の診断書がまだない。先に病院へ行かないといけないのか
  • 親の住民票を自分の住む市に移せば、近くのホームに入れるのか
  • 持病があって薬や処置が多い親は、断られてしまうのか
  • 入ったあとに入院したら、部屋はどうなるのか
  • 申込みは誰に、どの順番で頼めばいいのか
  • 断られたら、次に何を試せばいいのか

上記のような悩みに答えます。

グループホームは、認知症の人が少人数で共同生活を送りながら介護を受ける住まいです。入居の条件は紹介サイトにも並んでいますが、離れて暮らす子の側から見た住民票の線や、要支援2で入ったあとに認定が変わったときの扱い、入れないときに何をどの順で試すかは、条件の一覧だけでは見えにくい部分です。そこで、法律が決めている条件を押さえたうえで、住民票を移す前に確かめること、断られる場面の根拠、入れないときの次の手の順番まで、介護保険法と運営基準の条文で確かめながら整理しました。

先に答え

グループホームに入れるのは、認知症があり、要支援2か要介護1〜5の認定を受けていて、原則として親の住民票がある市町村のホームを使う人です。要支援1では入れません。子が住む別の市町村のホームに呼び寄せたいときは、住所地特例が効かないため、住民票を移す前に移す先の市区町村で扱いを確かめてください。断られたときは、認定の見直し、住まいの市町村の別のホーム、在宅の地域密着サービスの順に次の手を考えます。

グループホームの費用と、月々の負担の考え方

2026年10月時点の制度で確かめています

目次

入れる条件は3つ

湯のみを持つ手

グループホームに入れるかどうかは、①認知症であること、②要支援2か要介護1〜5の認定があること、③原則として親の住民票がある市町村のホームであること、の3つで決まります。どれか1つでも欠けると、介護保険のグループホームとしては使えません。

この3つは、別々の条文から出てきます。介護保険法は、グループホームのサービス(認知症対応型共同生活介護)を「要介護者であって認知症であるもの」に共同生活の住居で介護を行うものと定めていて(8条20項)、要支援の人向けの介護予防のサービスは、省令で要支援2に絞られています(8条の2第15項・同法施行規則22条の20)。そして、グループホームは市町村が指定する地域密着型サービスに入っているため、保険の給付は原則として親が住む市町村の長が指定した事業所に限られます(42条の2第1項)。

条件 中身 自分で当てはめるときの問い
①認知症 認知症であること(原因の病気が急性の状態にある人を除く) 主治医から認知症と言われ、診断書などで示せるか
②認定 要支援2、または要介護1〜5 親の介護保険被保険者証に書かれた区分はどれか
③住所 原則、住民票のある市町村が指定したホーム 探しているホームは、親の住民票と同じ市町村にあるか

出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/介護保険法施行規則22条の20(e-Gov法令API)/介護保険法42条の2(e-Gov法令API)

3つを満たしたうえで、もう1つ見られるのが「少人数の共同生活を送ることに支障がないか」です。運営基準は、グループホームの対象を、認知症の要介護者のうち少人数の共同生活に支障がない人としています(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準94条1項)。1つの住居の定員は5人以上9人以下で、1つの事業所が持てる住居は1つから3つまでと決まっています(同基準93条)。この人数で台所や居間を分け合う暮らしになるので、事業者は申込みのあと、少人数の共同生活に支障がないかを見て判断します。

たとえば、要介護1で認知症と診断されている母が、母の住む市のホームに申し込むなら、3つの条件はそろっています。同じ母が、要介護認定をまだ受けていなければ②が欠けるので、先に認定の申請からになります。認定は受けていても、離れて住む長女の市のホームを探しているなら③が欠けていて、下の「住民票と市町村の線」の項の話になります。

3つのうちどれが欠けているかで、次にやることが変わります。親の被保険者証と、主治医の名前と、親の住民票の住所の3つを手元に並べてから、ホームを探し始めてください。

老人ホームの種類と違い、親の状態からの選び方

認定は要支援2から

要支援の人でグループホームに入れるのは要支援2だけで、要支援1は対象に入りません。要介護1〜5の人は、要介護度による線はありません。

要支援の人が使えるのは「介護予防認知症対応型共同生活介護」という別建てのサービスで、介護保険法はその対象を、省令で定める要支援状態区分に当たる認知症の要支援者としています(8条の2第15項)。省令が定めた区分は要支援2の1つだけです(同法施行規則22条の20)。要支援1の人は条文上、この並びに入っていないので、ホームの空きや人柄の問題ではなく、制度の上で使えません。

認定の区分 グループホーム 1か月の在宅サービスの限度額(参考)
要支援1 使えない 5,032単位
要支援2 介護予防のグループホームが使える 10,531単位
要介護1 使える 16,765単位
要介護3 使える 27,048単位

出典:介護保険法施行規則22条の20(e-Gov法令API)/サービスにかかる利用料(介護サービス情報公表システム・厚生労働省)

限度額は、家で暮らす人がデイサービスや訪問介護に使える1か月の枠で、認定の区分ごとの重さの差をつかむ目安として載せました。グループホームに入ったあとは、この枠ではなくグループホームの単位で費用を計算します。費用の中身は別の記事で詳しく書いています。

要支援1と言われた親の様子が、認定を受けたころより変わってきたなら、認定の見直しを考える段階です。認定の有効期間の途中でも、介護の必要の程度が変わったと考えるときは、市区町村に要支援状態区分・要介護状態区分の変更を申請できます(介護保険法29条・33条の2)。結果が出るまでの日数は、市区町村に確かめてください。申請するときは、物忘れで困っている場面や、ひとりで暮らしていて起きたことを、日付つきでメモにして調査の日に伝えると、ふだんの様子が伝わりやすくなります。

たとえば、要支援1の父が、ここ数か月で火の消し忘れが増え、通帳の置き場所が分からなくなることが続いているなら、地域包括支援センターか、市区町村の介護保険の担当に区分変更の申請を相談するのが先です。見直しの結果が要支援1のままなら、グループホームは使えないので、下の「入れないときの次の手」の項の順に進みます。

入居後に認定が変わる場合もあります。要支援2で入った人が要介護1以上になれば、介護予防のサービスから通常のサービスに切り替わる形になります。反対に、更新で要支援1になったときは、条文の上では対象から外れます。そのときの扱いは、契約書の退居の条項と、ホームと市区町村の説明で確かめてください。申し込むときに、要支援2の人を受け入れているか、更新で区分が変わったときにどうなるかを最初に聞いておくと、入ったあとで慌てずに済みます。

認知症の確認は診断書で

グループホームに申し込むと、事業者は、親が認知症であることを主治医の診断書などで確かめます(運営基準94条2項)。診断を受けていない、あるいは診断があっても書類で示せない段階では、この確認ができません。

認知症であることは、グループホームのサービスの定義そのものに入っています(介護保険法8条20項)。そのため、要介護度が重くても、認知症でなければ対象になりません。また、法律の定義は「認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者」を除いています。これに当たるかどうかを含め、認知症かどうかは医師が判断することで、家族やホームが見た目で決めるものではありません。

  • かかりつけ医がいる:物忘れの様子を伝え、認知症かどうかの診断と、必要なら専門の医療機関の紹介を頼む
  • かかりつけ医がいない:親の住む市区町村の地域包括支援センターに、受診先の探し方を相談する
  • すでに診断を受けている:診断した医療機関に、ホームへ出す書類の作成を頼めるか聞く
  • 要介護認定の主治医意見書を書いた医師:その医師に書類を頼めるか、医療機関に聞く

出典:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準94条(e-Gov法令API)/介護保険法115条の46(e-Gov法令API)

地域包括支援センターは、市町村が置く相談の窓口で、高齢者の暮らしの相談を受け、医療や福祉の関係機関とつなぐ役目を持っています(介護保険法115条の46)。市町村が運営を委託していることもあり、呼び名は「高齢者あんしんセンター」など地域ごとに違い、担当の区域も決まっています。※お住まいの市区町村で確認してください。

ホームが求める書類の様式は、事業所ごとに違います。診断書でよいのか、ホームの様式に医師が書き込む形なのか、いつまでに出せばよいのかは、申し込む前にホームに聞いてください。書類の作成には日数がかかることもあるので、候補のホームが決まりかけた時点で医師に頼んでおくと、空きが出たときに間に合います。

たとえば、遠方に住む長男が、ひとり暮らしの母の物忘れに気づいた段階なら、まず母の住む地域の地域包括支援センターに電話して、母の様子と、かかりつけ医の有無を伝えるところから始まります。すでに認知症の診断があり要介護認定も受けている母なら、ケアマネジャーに「グループホームを考えている」と伝え、診断した医師に書類を頼む順番になります。

診断がまだのときは、ホーム探しと受診を並べて進めるより、受診を先に済ませるほうが話が早く進みます。認定の申請も済んでいなければ、受診と認定の申請を同じ時期に始めてください。

住民票と市町村の線

障子の続く和室

グループホームは、原則として親の住民票がある市町村のホームしか使えません。子の住む市のホームに呼び寄せたいときは、住民票を移せば済むとは限らないので、移す前に、移す先の市区町村に扱いを確かめてください。

理由は、グループホームが市町村ごとに指定される地域密着型サービスだからです。介護保険法は、地域密着型サービスの給付を、その市町村の長が指定した事業所から受けたときに支給するとし(42条の2第1項)、指定の効力も、指定した市町村の被保険者への給付に限っています(78条の2第1項)。ホームのある市町村の外に住む人が使うには、親の市町村が、ホームの所在地の市町村長の同意を得たうえで、そのホームを指定している必要があります(同条4項4号)。この指定は市町村どうしの手続きで、入居する家族が選べるものではありません。

もう1つ押さえておきたいのが、住所地特例が効かないことです。住所地特例は、施設に入るために住所を移した人が、元の市町村の被保険者のままでいられる仕組みですが、対象の施設は介護保険施設・特定施設・措置で入る養護老人ホームで、グループホームは入っていません(介護保険法13条1項)。

呼び寄せの形 何が起きるか 確かめる先
親の住民票はそのまま、子の市のホームに入る 原則として給付の対象外(同意による指定がある場合を除く) 親の住む市町村の介護保険の担当
親の住民票を子の市に移してから入る 移した先の市町村で使えるか、転入後の扱いを市町村に確かめる 移す先の市町村の介護保険の担当
親の住む市町村の中でホームを探す 原則どおり使える 親の住む市町村の介護保険の担当・地域包括支援センター

出典:介護保険法42条の2(e-Gov法令API)/介護保険法78条の2(e-Gov法令API)/介護保険法13条(e-Gov法令API)

住民票を移すかどうかを決める前に、移す先の市区町村の介護保険の担当に、次の3つを聞いてください。親が転入したあと、その市のグループホームを使えるか。使えるなら、転入からどれくらい経てば申し込めるか、決まりがあるか。要介護認定は、転入の手続きのときにどう引き継がれるか。これらの扱いは、移す先の市町村に確かめてください。※お住まいの市区町村で確認してください。

たとえば、地方でひとり暮らしをしている要介護2の父を、都市部に住む長女の近くのホームに入れたいなら、長女の住む市の介護保険の担当に先に電話して、上の3つを聞くところからです。この3つの答えを聞いてから、住民票を移すかどうかを決めます。反対に、父の住む町に通える範囲のホームがあり、長女が月に何度か通えるなら、父の町で探すほうが手続きは少なく済みます。

住民票を移すと、介護保険だけでなく、健康保険の手続きや郵便の届け先など、親の暮らしの手続きにも関わります。「近くに呼びたい」気持ちが先に立つ場面ですが、市町村の答えを聞いてから、移すかどうかを家族で決めてください。

断られることがある場面

3つの条件を満たしていても、断られることはあります。運営基準が定めているのは、入院して治療を受ける必要がある場合などで、事業者が自分では必要なサービスを提供できないと判断したときです。

運営基準は、そうした場合に、事業者がほかのグループホームや介護保険施設、病院・診療所を紹介するなどの措置を速やかに取らなければならないと定めています(94条3項)。入院治療が要るなどの場面には、ホームの側が「入れない」と言ったあとの手当ても義務として付いている、ということです。もう1つの場面は、上で見た「少人数の共同生活に支障がない」という対象の線(94条1項)に、事業者が当たらないと見たときで、こちらに他を紹介する義務が及ぶかは、条文だけでは言い切れません。

  • 入院して治療を受ける必要があり、ホームで必要なサービスを提供できない
  • 医療的な処置が要り、そのホームでは必要なサービスを提供することが難しいと事業者が判断した
  • 少人数の共同生活に支障があると、事業者が見た
  • 認知症の原因の病気が急性の状態にある(法の定義から除かれています。介護保険法8条20項)

出典:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準94条(e-Gov法令API)

どの医療処置ならよいのか、夜に歩き回る、大きな声を出すといった様子があっても入れるのかは、条文には書かれていません。ホームごとの職員の体制や、看護師との連携の形で答えが変わり、事業者が親の様子を見て判断します。紹介サイトに「◯◯は断られる」と書かれていても、それはそのホームの線であって、法律が決めた線ではありません。

断られたときは、理由を具体的に聞いてください。「いまの医療の必要度では難しい」のか、「この住居の顔ぶれでは難しい」のかで、次に当たる先が変わります。前者なら、医療の体制のある施設が候補になり、後者なら、別のグループホームで受け入れられる場合もあります。入院治療が要るなどの理由で断られたときは、事業者に他を紹介するなどの措置を取る義務があります(94条3項)。どこに当たればよいかを聞くのは遠慮することではありません。

たとえば、認知症の母が毎日の医療的な処置を受けている場合は、申込みの段階で、どんな処置がいつ必要かを書いたメモを渡し、そのホームで対応できるかの答えを聞きます。同じ母でも、入院中で治療が続いているなら、退院の目安を病院に聞いたうえで、ホームに相談する形になります。

断られた理由と、紹介された先を、その日のうちにメモしてケアマネジャーに伝えてください。同じ理由で何か所も断られるなら、探す施設の種類を変える合図です。

医療付き老人ホームの選び方と、医療ケアの確かめ方

入ったあとの入院と退居

入居したあとに親が入院しても、それだけで退居と決まるわけではありません。運営基準は、入院した人が退院できるようになったときに、再び速やかに入居できるよう事業者が努めなければならないとしています(105条6項)。ただしこれは努力義務で、必ず戻れると約束するものではありません。

入院中の部屋の扱いと、その間の費用は、契約で決まります。運営基準は、退居の場面について、利用者と家族の希望を踏まえ、退居後の暮らしや介護が途切れないように配慮して、退居に必要な援助を行わなければならないとし(94条5項)、ケアマネジャーなどへの情報の提供と、医療・福祉のサービスとの連携に努めることも求めています(94条6項)。一方で、どんなときに退居させてよいかの要件は省令に書かれておらず、契約書の条項で決まります。

契約書で見る条項 確かめること
退居の要件 どんなときに事業者から契約を終えられるか
入院中の部屋 何日まで部屋を空けておくか・その間の家賃等
再入居 退院したときに戻れるかの手順
看取り ホームで最期まで暮らせる体制があるか
退居時の援助 次の行き先探しをどう手伝ってもらえるか

出典:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準105条(e-Gov法令API)/同基準94条(e-Gov法令API)

この表の項目は、入居の契約の前に聞いておくのが筋です。入院してから契約書を読み直すと、部屋を空けておける期間がすでに過ぎていた、ということが起こり得ます。説明を受けるときは、口頭の答えではなく、契約書と重要事項の説明書のどこに書いてあるかを示してもらってください。

たとえば、要介護3の父がグループホームで暮らしていて、肺炎で入院した場合、まずホームに入院を伝え、契約上、部屋をいつまで空けておけるかと、その間の費用を確かめます。退院の見通しが部屋を空けておける期間に収まりそうなら、病院の担当者とホームの間で、戻るための段取りを相談します。入院が長くなり、医療の必要度が上がったなら、ホームの援助を受けながら、医療の体制のある施設を探す話に切り替わります。

入居の時点では元気でも、入院と退居はいつか来る話として、契約の段階で答えをそろえておいてください。家族で連絡を受ける人を1人決めておくと、病院とホームの間の話が途切れません。

介護施設見学で何を見るか、契約前に確かめること

申込みの順番

グループホームの申込みは、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談するところから始め、見学、ホームへの申込み、面談、契約の順で整理できます。手順はホームごとに違い、法令で決まった順番ではありません。入居の際に診断書等を確かめるのも、他を紹介するのも、各ホームの事業者の役目です(94条2項・3項)。

要介護1以上の人は担当のケアマネジャーに、要支援2の人は介護予防のプランを作っている担当者(地域包括支援センターなど)に「グループホームを考えている」と伝えてください。親の住む市町村にあるホームの名前や、空きの状況の手がかりは、介護サービス情報公表システムでも調べられますが、地域の事情に通じた担当者に聞くと、受け入れの様子まで含めて話が早く進みます。

グループホームに入るまでの順番
  1. 1担当者に相談するケアマネジャーか地域包括支援センターに伝える
  2. 2候補を探して見学する親の住む市町村のホームから当たる
  3. 3ホームに申し込む認定の区分と親の様子のメモを渡す
  4. 4書類と面談診断書などで認知症を確かめる
  5. 5契約して入居する退居と入院の条項を読んでから署名する

出典:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準94条(e-Gov法令API)/介護保険法115条の45(e-Gov法令API)

1つの住居の定員が5人以上9人以下と小さいので、空きが出る数は限られます。候補を1つに絞らず、親の住む市町村の中で通える範囲のホームを複数見学し、それぞれに申込みを出しておくと、空きが出たときの連絡を受けやすくなります。順番の付け方や待つ人の扱いは、ホームごとに違うので、申し込むときに聞いてください。

見学では、居間で入居者がどう過ごしているか、職員の声のかけ方、台所や食事の様子を見ます。親を連れて行けるなら、親がその場で落ち着いていられるかも手がかりになります。ホームに渡す親の様子のメモは、認定の区分、主治医、薬、夜の様子、医療の処置の5行にまとめておくと伝えやすくなります。

たとえば、平日に休みが取りにくい次女が、母の住む市のホームを探すなら、最初の電話をケアマネジャーに入れて候補を3つほど挙げてもらい、土曜に見学を2つ入れる、という組み方ができます。母が見学に行くのを嫌がるなら、先に家族だけで見て、候補を絞ってから母と一緒に1つを訪ねる順にしても構いません。

候補を比べるときは、ホームごとに同じ表を作り、空きの見通し、医療の対応、看取り、入院時の部屋の扱いを並べてください。費用の比べ方は費用の記事に任せて、ここでは条件と受け入れの体制で絞ります。

親が施設を拒むときの話し方と進め方

入れないときの次の手

グループホームに入れないと分かったときは、①認定の見直し、②親の住む市町村の別のホーム、③在宅の地域密着サービス、④ほかの種類の施設、の順に考えてください。どこで止まっているかによって、どこから始めるかが変わります。

この順番にするのは、入れない理由が3つの条件のどれか、あるいは事業者の判断のどれかに当たるからです。要支援1で入れないなら、認定の見直しが先になります。事業者の判断で断られたなら、同じ市町村の別のホームで答えが変わることがあります。住民票の線で入れないなら、親の住む市町村で探すか、呼び寄せを市町村に相談するかです。医療の必要度で断られたなら、医療の体制のある施設に移ります。

入れない理由 最初に試すこと 相談先
要支援1・認定がない 認定の申請、区分の変更の申請 市区町村・地域包括支援センター
事業者に共同生活が難しいと言われた 親の住む市町村の別のホームに申し込む ケアマネジャー
子の市のホームが使えない 親の住む市町村で探す・移す先の市町村に扱いを聞く 双方の市町村の介護保険の担当
医療の必要度で難しいと言われた 介護医療院・老健・医療の体制を確かめた介護付きのホームを当たる ケアマネジャー・病院の相談員
空きがない 複数のホームに申し込み、在宅のサービスでつなぐ ケアマネジャー

出典:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準94条(e-Gov法令API)/介護保険法8条(e-Gov法令API)

ほかの種類の施設は、入れる人の線がそれぞれ違います。特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が対象で、要介護1・2の人は、居宅での生活が困難なやむを得ない事由があると認められる場合に限られます(介護保険法施行規則17条の9・17条の10)。介護老人保健施設は、看護や医学的管理の下の介護、機能訓練などが必要と認められる人が対象です(介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準8条1項)。介護医療院は、長期にわたって療養が必要な要介護者が対象です(介護保険法8条29項)。有料老人ホームは都道府県知事への届出で設けられる住まいで(老人福祉法29条1項)、入居の条件は、ホームの契約書と重要事項の説明書で確かめます。介護付きのホームには地域密着型サービスとして指定されたもの(地域密着型特定施設入居者生活介護)もあり、その場合はグループホームと同じく親の住む市町村の線が関わるので、ホームごとに確かめてください。介護付きのホームは、ホームが提供する介護を受けながら暮らせる類型で、住宅型は外部の介護サービスを自分で選んで使う類型です。

出典:介護保険法施行規則17条の10(e-Gov法令API)/介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準8条(e-Gov法令API)/有料老人ホームの設置運営標準指導指針 別表(厚生労働省・PDF)

たとえば、要介護2の認知症の父が、子の住む市のホームを使えないと分かった場合、父の住む町でホームを探すのが①の次の手です。父の町にホームが少なく空きもないなら、子の市にある介護付きの有料老人ホームも候補になります。ただし、地域密着型として指定されたホームなら父の住む市町村の線が関わるので、ホームごとに確かめます。費用と契約の中身も変わるので、比べる候補を地域と条件で並べ、資料を取り寄せて同じ表に載せるところから始めてください。

止まっている場所が分かれば、試す順番は決まります。断られた理由をメモした紙を持って、ケアマネジャーとの次の面談で、どの段から始めるかを一緒に決めてください。

特養と有料老人ホームの違いと、待つか入るかの判断

介護付き有料老人ホームの費用と入居の条件

住宅型有料老人ホームの費用と介護の受け方

在宅か施設か|在宅の限界が見え、施設を考え始めた人

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

ケアマネジャーや地域包括支援センターから、条件に合うグループホームの候補をすでに聞けているなら、まずそこへ問い合わせれば足ります。条件の3つは確かめられたものの、親の住む市町村にどんなグループホームがあり、ほかの種類の施設も含めてどこを比べればよいかがまだ見えないときは、老人ホームの検索サイトで市町村と条件を絞って資料をまとめて取り寄せると、問い合わせる先の一覧を手早く作れます。資料では、医療が必要になったときの対応と退居の条件を先に確かめてください。

みんなの介護で、親の住む市町村の施設の資料を取り寄せる

入らずに在宅で続ける条件

グループホームに入らずに、家での暮らしを続ける道もあります。続けられるかは、親の住まいの安全、日中の過ごし方、夜の見守り、家族の暮らしの4つで見てください。

在宅で使えるサービスにも、グループホームと同じ地域密着型のものがあります。小規模多機能型居宅介護は、通い・訪問・泊まりを1つの事業所で組み合わせて受けられるサービスで、1か月ごとの定額の単位で使えます。地域密着型サービスなので、グループホームと同じく、原則として親の住む市町村の事業所が対象です。親の様子に合うかは、事業所の説明とケアマネジャーとの相談で確かめてください。

  • 住まいの安全:火の元や鍵の管理を、道具やサービスで補えている
  • 日中の過ごし方:デイサービスや小規模多機能の通いで、日中の居場所がある
  • 夜の見守り:夜を家族か泊まりのサービスで担えている
  • 家族の暮らし:主に見る人の体と仕事に、続けられる見通しがある

出典:介護保険法78条の2(e-Gov法令API)/介護報酬の算定構造(令和6年4月改定箇所・厚生労働省・PDF)

たとえば、要支援2の母が、昼はデイサービスに通い、夜は同じ町に住む長女が様子を見に行けているなら、4つの条件はそろっていて、急いでホームを探す段階ではありません。同じ母が、夜中に家を出ようとすることが増え、長女の睡眠が削られ始めたら、夜の見守りと家族の暮らしの2つが崩れ、ホームの申込みを始める合図になります。

4つのうち崩れているのが1つだけなら、サービスの組み合わせを見直す手が残っています。ケアマネジャーとの面談で、どれが崩れかけているかを一言ずつ確かめてください。

デイ・ヘルパー・ショートの組み合わせ方と、在宅を続ける目安

入居したあとの実家

書類に記入する手元

親がグループホームに入ると、次に出てくるのは、空いた実家をどうするかです。住民票を移さずに親の住む市町村のホームに入った場合でも、実家には郵便物や固定資産税の通知が届き続け、家の傷みへの対応も残ります。

入居の直後に決めるのは、売るか貸すかではなく、誰が、いつ、家の様子を見に行くかと、郵便をどこに転送するかです。グループホームは原則として親の住む市町村の中にあるので、ホームへの面会と実家の見回りを同じ日にまとめやすい場合があります。

たとえば、親の町のホームに母が入り、長男が月に一度面会に通うなら、その帰りに実家の郵便受けと窓を確かめる、と決めるだけで、ポストがあふれて近所から連絡が来る事態を避けやすくなります。片付けや売却の話は、母の暮らしが落ち着いてから、兄弟の都合を合わせて進めれば足ります。

実家|親が施設に入った・実家が空いた人

次に来ることを先に知っておくと、入居のあとの実家の問題を慌てずに迎えられます。

よくある質問

要支援2はどの程度の状態ですか?

要支援2は、要介護認定で決まる区分のうち、要支援の2段階のうち重いほうです。区分は市区町村の認定調査と審査で決まり、家で暮らす人が使える1か月の限度額は10,531単位です。どんな状態かの目安を家族が決めるのではなく、親の被保険者証に書かれた区分で確かめてください。

グループホームは要支援2から入居できますか?

入居できます。要支援2の人は「介護予防認知症対応型共同生活介護」として、認知症であることを前提にグループホームを使えます。要支援1の人は対象に入りません。申し込むときは、そのホームが要支援2の人を受け入れているかを最初に聞いてください。

要支援2で受けられる支援は何ですか?

デイサービスや訪問のサービスなどの介護予防のサービスを、1か月10,531単位の限度額の範囲で組み合わせて使えます。認知症がある場合は、グループホームも選べます。組み合わせは、地域包括支援センターなど介護予防のプランを作る担当者と決めてください。

特養とグループホーム、どちらが安いですか?

施設の種類だけでは決まりません。特養は、所得などの要件を満たせば食費と部屋代を軽くする負担限度額の仕組みの対象ですが、グループホームは対象外で、家賃等の助成は市町村が任意で行う事業として、ある市町村とない市町村があります。費用の中身は、グループホームの費用の記事で比べています。

若年性認知症でもグループホームに入れますか?

グループホームを使う前提は、介護保険の要支援2か要介護1〜5の認定を受けていることです。若年性認知症の場合も、まず介護保険の認定を受けられるかを、親の住む市区町村の介護保険の担当に確かめてください。認定が出れば、条件は同じ3つで見ます。

グループホームでは何人で暮らしますか?

1つの住居の定員は5人以上9人以下で、1つの事業所が持てる住居は1つから3つまでです。居室は原則として個室です。台所や居間を分け合う暮らしになるので、見学では居間の様子を見てください。

順番のおさらい

  1. 条件:認知症・要支援2か要介護1〜5・原則として住民票のある市町村のホーム、の3つ
  2. 認定:要支援1は入れない。様子が変わったら区分の変更を市区町村に申請する
  3. 認知症の確認:主治医の診断書などで事業者が確かめる。診断がまだなら受診が先
  4. 住民票:住所地特例は効かない。移す前に、移す先の市区町村に扱いを聞く
  5. 断られる場面:入院治療が要るなど、事業者が提供できないと判断したとき。事業者には他を紹介する義務がある
  6. 入院と退居:再入居は努力義務。部屋の扱いと退居の要件は契約書で見る
  7. 申込み:担当者に相談し、見学して、複数のホームに申し込む
  8. 入れないとき:認定の見直し→同じ市町村の別のホーム→在宅の地域密着サービス→ほかの施設
  9. 在宅で続ける条件:住まいの安全・日中・夜・家族の暮らしがそろっているか
  10. 入居したあと:実家を誰がいつ見に行くかを最初に決める

グループホームの条件は、法律で決まっている部分と、ホームが親の様子を見て決める部分の2つでできています。法律の3つは、被保険者証と診断書と住民票で自分で当てはめられます。そこを先に確かめてから、ホームの判断に進めば、断られたときも「どの段で止まったか」が分かり、次に電話する先で迷わずに済みます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

目次