- ショートステイを30日を超えて使うと、31日目から本当に全額自費になるのか
- 1か月まるごと泊まり続けたら、総額でいくらになるのか
- 一度家に帰れば、30日の数え直しになると聞いたが本当か
- ケアマネジャーに言われた「認定期間の半分」とは何のことか
- 長く続けると単位が下がると聞いたが、払う額はどう変わるのか
- 食費と部屋代の軽減は、保険が使えない日にも効くのか
- 特養の順番を待つ間、ショートステイをずっと続けていいのか
- いつ入居に切り替えると決めればいいのか
上記のような悩みに答えます。
ロングショートは、特養などの入居先が決まるまで、ショートステイの利用を長くつないでいる状態の呼び名です。「30日を超えたら自費」という話は知られていますが、31日目以降の費用の確かめ方、30日の決まりと「認定期間のおおむね半数」が別の決まりであること、ロングショートを続けない条件までを、施設を紹介する側から一続きに読める形はあまり見かけません。そこで、30日の数え方・保険の日の費用・保険外の日の費用という基本を押さえたうえで、長く続けたときの単位数の変化と、入居に切り替える目安を家族で決める手順まで、介護保険法の条文と厚生労働省の告示・通知・Q&Aで確かめながら整理しました。
ショートステイを連続して30日を超えて使うと、31日目からは介護保険のショートステイに当たらず、その日の料金は事業所の決めた額を全額払うことになります。退所の翌日に戻っても日数はつながり、保険外の日を挟んでも同じ事業所での利用は通算されて単位数が下がっていきます。ロングショートは入居先が決まるまでの橋と考え、続ける期限と切り替える条件を先に家族とケアマネジャーで決めておいてください。
介護費の自己負担シミュレーター(限度額・負担割合・高額介護サービス費)
2026年10月時点の制度で確かめています
31日目からは保険のショートではない

ショートステイ(短期入所生活介護)を連続して30日を超えて使うと、30日を超えた日、つまり31日目以降は、介護保険の短期入所の報酬が算定されません。その日は保険の給付の対象外になり、事業所が決めた料金を全額払う日になります。ここで確認できた30日の扱いは短期入所生活介護のものです。老健などの短期入所療養介護の連続日数の扱いは、利用先とケアマネジャーに確かめてください。
介護保険法は、短期入所生活介護を、特養などの施設や老人短期入所施設に「短期間」入所して、入浴・排せつ・食事などの介護と機能訓練を受けるサービスと定めています(介護保険法8条9項)。条文そのものは何日までという日数を書いていません。30日の線は、報酬を算定できる日の決まりとして引かれていて、厚生労働省のQ&Aで、連続して30日を超えた日以降は算定できないこと、その数え方が示されています。
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/短期入所の連続利用に関するQ&A(厚生労働省の事務連絡の転載・岩沼市・PDF)
ここで押さえておきたいのは、「全額自費」になるのは31日目以降の日の介護の部分で、30日目までの利用まで全額になるわけではない、という点です。30日目までは、介護の部分を1〜3割の負担割合で払い、食費と滞在費(部屋代)を別に払う、いつもの形のままです。食費と滞在費は、30日以内でもはじめから介護保険の給付の外にあるお金です(介護保険法41条1項)。
- 1〜30日目:介護の部分は負担割合(1〜3割)で払い、食費・滞在費は別に払う
- 31日目以降:介護保険の短期入所に当たらず、事業所の料金を全額払う
- 限度額を超えた日:保険から出ない分を全額払い、その日も連続の日数に数える
- 数え方:退所の翌日に同じ事業所へ入所しても、連続して入所しているものとして扱う
たとえば、母が10月1日からショートステイに入り、そのまま泊まり続けた場合、10月30日までが保険の対象で、10月31日が31日目に当たります。同じ母でも、途中で家に戻って何日か過ごしてから入り直した場合は、数え方が変わることがあります。家に戻った期間がどれだけあれば数え直しになるかは、確認できた通知には書かれていないので、事業所とケアマネジャーに、親の実際の利用日で数えてもらってください。
迷ったときは、まず「今回の入所が何日目まで続いているか」を、ケアマネジャーが作る利用票と事業所の請求書の両方で確かめるところから始めます。家族の手元の数え方と、事業所の数え方がずれていないかを、月が変わる前に一度合わせておくと、31日目の請求を見て慌てずに済みます。
30日がつながってしまう場合
30日の数え方で家族がつまずきやすいのは、「いったん退所したのに、つながっていた」という場面です。厚生労働省のQ&Aは、退所した翌日に同じ事業所へ入所した場合も連続して入所しているものとして扱う、と示しています。
この扱いのもとでは、書類の上で一度退所の手続きをしても、翌日に戻れば日数はそのまま続きます。「一度家に帰れば30日を数え直せる」という言い方がありますが、退所の翌日に入所する形では、数え直しにはなりません。何日空ければ数え直しになるかは、確認できた資料には書かれていないので、この点を日数で言い切る説明には注意してください。
日数がつながる場面は、ほかにもあります。Q&Aが示しているのは次の3つです。
| つながる場面 | どう扱われるか |
|---|---|
| 退所した翌日に同じ事業所へ入所した | 連続して入所しているものとして数える |
| 区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった日がある | その日も通算して連続利用とみなす |
| 2つの認定期間や、保険者(市区町村)の変更をまたいだ | またいでも30日を超えては算定できない |
出典:短期入所の連続利用に関するQ&A(厚生労働省の事務連絡の転載・岩沼市・PDF)
2つ目の「限度額を超えた日」は見落とされやすいところです。月の途中で限度額を使い切り、残りの日を全額自己負担で泊まった場合、その日は保険を使っていなくても、連続の日数には入ります。3つ目は、ショートステイの途中で認定の更新があった場合や、転居などで保険者(市区町村)が変わった場合に当たります。認定や保険者が変わっても、日数は数え直しになりません。
たとえば、要介護1の父が月の初めから泊まり続け、25日目あたりで限度額を使い切ったとします。残りの日を全額自己負担で泊まったとしても、31日目の数え方は変わりません。認定の更新が泊まりの途中に来た場合も同じで、新しい認定期間の1日目から数え直すわけではありません。
家族の側でできるのは、入所した日と退所した日を、カレンダーに事業所ごとに書いておくことです。事業所を変えた日、家に戻った日、限度額を超えた日を書き分けておくと、ケアマネジャーと話すときに、どの日からどう数えるかをその場で確かめられます。
「認定期間の半数」は別の目安
30日の決まりとは別に、ケアマネジャーがケアプランを作るときの目安として、ショートステイを使う日数を認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにする、という基準があります。これは利用者の給付を止める上限ではなく、ケアマネジャーが計画を作るときに守る基準です。
この基準は、居宅介護支援の運営基準に書かれています。ケアマネジャーは、ショートステイを計画に入れるとき、利用者が家で自立した暮らしを続けられるように十分に留意し、利用者の心身の状況などから特に必要と認められる場合を除いて、短期入所生活介護と短期入所療養介護の利用日数が、認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならない、とされています。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)/介護保険法27条・要介護認定の申請(e-Gov法令API)/介護保険法28条・認定の有効期間と更新(e-Gov法令API)
つまり、半数は「目安」で、特に必要と認められる場合は超えて計画できます。30日の決まりが1回の入所の連続日数の話であるのに対して、半数の基準は認定期間全体で何日ショートステイを使うかの話です。2つは別の物差しなので、30日以内に収めていても、認定期間の中で使った日数の合計が半数に近づいていることがあります。
たとえば、認定の有効期間が12か月の親なら、おおむね半数はおよそ6か月分の日数が目安になります。条文が日数を書いているわけではなく、この計算は目安をつかむための計算です。
半数を超える計画を立てるとき、半数を超える計画について、市区町村への届け出を求める地域があります。届け出が要るか、何を出すかは地域で違います。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、特養の順番を待つ間、ショートステイを月の大半使う計画が何か月も続く場合は、半数の目安に早く近づきます。ケアマネジャーから「これ以上は計画に載せにくい」と言われたときは、断られたと受け止めるより、「特に必要と認められる場合」に当たる事情を一緒に整理する話だと考えてください。家での介護が続けられない理由、入居先の申込みの状況、在宅のサービスで補えない部分を、家族の側から具体的に伝えてください。
認定の有効期間の始まりと終わりの日は、ケアマネジャーに聞けば確かめられます。その期間の中で、ショートステイを何日使ったかをケアマネジャーに聞き、残りの期間でどれだけ使う見込みかを一緒に数えておくと、半数の話が急に出てきて慌てることがなくなります。
保険の日の費用を単位数で出す

30日目までの保険の日の費用は、1日の基本の単位数に1単位の単価と負担割合を掛けて出し、そこに加算と食費・滞在費が乗る形で決まります。単位数は、事業所の形(単独型か併設型か)、部屋の形(従来型・多床室かユニット型個室か)、親の要介護度で決まります。
介護の部分の値段は、国の告示が単位数で決めていて、事業所が自由に決めるものではありません。一方で、食費と滞在費は保険の給付の外にあり、額は事業所との契約で決まります(介護保険法41条1項)。費用を見積もるときは、この2つを分けて考えると、事業所の料金表が読みやすくなります。
| 要介護度 | 単独型(従来型個室・多床室) | 併設型(従来型個室・多床室) | 単独型ユニット型 | 併設型ユニット型 | 老健(基本型・多床室) |
|---|---|---|---|---|---|
| 要介護1 | 645 | 603 | 746 | 704 | 830 |
| 要介護2 | 715 | 672 | 815 | 772 | 880 |
| 要介護3 | 787 | 745 | 891 | 847 | 944 |
| 要介護4 | 856 | 815 | 959 | 918 | 997 |
| 要介護5 | 926 | 884 | 1028 | 987 | 1052 |
出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省・PDF)
表の単位数は1日あたり、加算を含まない基本の部分です。看護体制加算・サービス提供体制強化加算・処遇改善加算などが別に乗ります。送迎が必要と認められて事業所が送迎した場合は、片道184単位の送迎加算が付きます(往復で368単位)。単独型は特養に併設されずショートステイだけを行う事業所、併設型は特養などに併設された事業所です。老健の短期入所療養介護は、治療の必要の程度が省令の基準に合う人が対象で、誰でも選べるわけではありません。
1単位の単価は事業所の所在地の地域区分で決まり、短期入所生活介護では1単位10円から11.10円までの幅があります。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、要介護3の母が単独型の多床室に1割負担で泊まる場合、介護の部分は787単位(1単位10円の地域で約7,870円)で、1日の自己負担は約787円です。30日続けると、787単位 × 30日 = 23,610単位(1単位10円の地域で約236,100円)で、1割負担なら約23,610円になります。ここに加算と送迎、食費・滞在費が別に乗ります。
食費と滞在費は、国が示す基準費用額を目安にすると、食費は1日1,545円、滞在費は特養などの多床室で1日915円、従来型個室で1日1,231円、ユニット型個室で1日2,066円です。実際の額は事業所との契約で決まるので、事業所の料金表で確かめてください。負担限度額認定を受けている人は、食費・滞在費が段階ごとの額まで軽くなります(後の「保険外の日の費用」の項で扱います)。
出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
もう1つ確かめたいのが、区分支給限度基準額との関係です。ショートステイは在宅のサービスとして、要介護度ごとの1か月の限度額の中で使います(介護保険法43条)。限度額は要介護1が16,765単位、要介護2が19,705単位、要介護3が27,048単位です。
要介護1の父が単独型に30日泊まると、645単位 × 30日 = 19,350単位になり、限度額の16,765単位を基本の部分だけで超えます。併設型でも603単位 × 30日 = 18,090単位で、やはり超えます。要介護2も単独型で715単位 × 30日 = 21,450単位となり、限度額の19,705単位を超えます。要介護3なら787単位 × 30日 = 23,610単位で、限度額の27,048単位の内側に収まりますが、ほかの在宅サービスや、限度額の計算に入る加算を足すと、残りは小さくなります。
限度額を超えた分は保険から出ず、全額を自分で払います。要介護1や2の親が30日続けて泊まる月は、基本の部分だけで月の限度額を超える日が、30日目までに出てくる、と考えて見積もってください。限度額は、ほかの在宅サービスと合わせて数えます。月の費用を確かめるときは、ケアマネジャーに「この月の利用票で、限度額をどこで超えるか」を聞き、事業所には加算の一覧と食費・滞在費の日額を聞くと、1か月の総額が手元で組み立てられます。
保険外の日の費用と確かめ方
31日目以降の保険外の日の料金は、事業所が決めます。保険外の日の料金は事業所が決めるので、「1日いくら」と1つの額では言えません。確かめる方法は、事業所の料金表を見ること、そして見積を書面でもらうことです。
保険外の日の料金は、事業所の料金表に書かれた額になります。介護の部分・食費・滞在費・日常生活費・送迎のうち、どれが料金に含まれるかも、料金表で確かめます。電話で「31日目からはいくらですか」と聞くだけにせず、含まれる項目を分けて答えてもらってください。
- 保険外の日の1日の料金と、その中に含まれる項目
- 食費・滞在費を保険外の日にどう扱うか
- 負担限度額認定の軽減が、保険外の日にも効くか
- 限度額を超えて全額自己負担になる日の料金が、保険外の日と同じか違うか
- 料金の改定があった場合の知らせ方
これらを、口頭ではなく見積の書面でもらってください。書面があれば、兄弟で費用を分けるときの資料にもなります。
負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)は、所得と預貯金が一定以下の人の食費・居住費(滞在費)を軽くする仕組みで、対象のサービスに短期入所生活介護と短期入所療養介護が入っています(介護保険法51条の3)。ショートステイの食費の負担限度額は、第1段階で1日300円、第2段階で600円、第3段階①で1,030円、第3段階②で1,360円です。滞在費は部屋の形で違い、特養などの多床室なら第1段階0円、第2段階430円、第3段階①430円、第3段階②530円です。
出典:介護保険法51条の3(e-Gov法令API)/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
たとえば、第2段階の認定を受けた母が特養などの多床室に泊まる場合、保険の日の食費と滞在費は600円 + 430円 = 1日1,030円になります。基準費用額の1,545円 + 915円 = 1日2,460円と比べると、1日あたり1,430円軽くなる計算です。
ただし、この軽減が31日目以降の保険外の日にも効くかは、確かめられた資料からは言えません。認定証を持っていても、保険外の日の食費・滞在費をどう計算するかは事業所に確かめる必要があるので、「保険外の日にも認定証の額で計算しますか」と事業所に確かめてください。軽減が効かない形だと、1日あたりの差が30日分、60日分と積み上がります。
限度額を超えた日と、31日目以降の日は、どちらも「全額自分で払う日」ですが、中身が違います。限度額を超えた日は、保険から出ない分を自分で払う日で、連続の日数には数えます。31日目以降の日は、介護保険の短期入所に当たらない日で、事業所の料金を払います。払う理由が別の日なので、見積ではこの2つを分けて書いてもらってください。
長く続けると単位数が変わる
同じ事業所で、家に戻らないまま、保険外の日を挟みながら利用を続けると、連続の日数は途切れずに数えられます。その場合、31日目以降に当たる保険の日は1日30単位の減算がかかり、61日目からは特養と同じ単位数になります。
厚生労働省の告示と通知は、居宅に戻ることなく、自費利用を挟み同じ事業所を連続30日を超えて利用している人について、連続30日を超えた日から1日30単位を減らすとしています(31〜60日目)。令和6年4月からは、連続60日を超えた日(61日目)から、短期入所生活介護費を特養の介護福祉施設サービス費と同じ単位数にする決まりも加わりました。
出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省・PDF)/長期利用の適正化に関する通知(厚生労働省・PDF)
| 要介護度 | 単独型 基本 | 単独型 61日目から | 併設型 基本 | 併設型 61日目から |
|---|---|---|---|---|
| 要介護1 | 645 | 589 | 603 | 573 |
| 要介護2 | 715 | 659 | 672 | 642 |
| 要介護3 | 787 | 732 | 745 | 715 |
| 要介護4 | 856 | 802 | 815 | 785 |
| 要介護5 | 926 | 871 | 884 | 854 |
単位数は1日あたり・加算を含まない基本の部分で、従来型個室と多床室の欄です。ユニット型は、61日目から単独型・併設型とも要介護1〜5で670・740・815・886・955単位になります。併設型の従来型個室・多床室は、31日目以降の減算をかけた後の単位数(要介護1〜5で573・642・715・785・854単位)が特養と同じ単位数になるため、61日目からさらに下がることはなく、減算後の単位数のままです。併設型ユニット型は、減算後の674・742・817・888・957単位より、61日目からの単位数のほうが小さくなります。
たとえば、要介護3の母が単独型で長く続ける場合、保険の日の介護の部分は、787単位から、31日目以降に当たる日は30単位減って757単位、61日目からは732単位になります。1単位10円の地域で1割負担なら、1日の自己負担は約787円、約757円、約732円と下がります。
単位数が下がると1日の自己負担はわずかに軽くなりますが、これは長く続けることを後押しする仕組みとして読まないでください。そもそも、保険外の日を挟んだあとに保険の利用へ戻れるかどうかは、確認できた通知には書かれておらず、事業所が受けるか、ケアマネジャーの計画に載るかで決まります。家族の希望だけでは決まりません。保険外の日の料金が積み上がることも合わせて考えると、単位数の小さな差より、続ける期間そのものを短くするほうが、費用の見通しには効きます。
利用者の側で知っておきたいのは、請求書の単位数が途中で変わったときに、それが誤りではなく、この決まりによるものかどうかを確かめられることです。事業所に「何日目として数えていますか」と聞けば、減算の起点がどこかが分かります。
ロングショートを続けるか入居に切り替えるか
ロングショートは、入居先が決まるまでの橋です。続けるか切り替えるかは、その場で迷うのではなく、いつまで続け、何が起きたら切り替えるかを、先に家族とケアマネジャーで決めておいてください。
ショートステイには、30日の連続の決まり、認定期間の半数の目安、保険外の日の料金、長期利用の減算と、続けるほど重なっていく条件があります。ショートステイの空きが毎月取れるとも限りません。入居先の申込みと見学を、ロングショートを始めた時点から並行して進めておくと、どの条件に当たっても次の手が残ります。
| 決めておくこと | 決め方の例 | 誰と確かめるか |
|---|---|---|
| 続ける期限 | 「次の認定の更新まで」「特養の判定の結果が出るまで」 | 家族とケアマネジャー |
| 切り替える条件 | 保険外の日が月に何日も出る/半数の目安に近づいた | ケアマネジャー |
| 1か月の費用の上限 | 親の年金と預貯金から出せる額 | 家族 |
| 入居先の候補 | 特養の申込みと、並行して見る有料老人ホームなど | 家族と施設 |
| 本人の気持ち | 家に戻りたいか、施設での暮らしをどう受け止めているか | 本人と家族 |
比べるときは、ロングショートの1か月の費用と、入居した場合の1か月の費用を、同じ形で並べます。ロングショートの側は、保険の日の介護の部分・加算・送迎・食費・滞在費に、保険外の日の料金を足した額です。入居の側は、施設の種類ごとに費用の組み立てが違うので、候補の施設の重要事項説明書の費用の欄で確かめます。
- 1期限を決める続ける期限と切り替える条件を家族とケアマネジャーで
- 2費用を並べるロングショートと入居の1か月を同じ形で
- 3候補を集める特養の申込みと、並行して見る施設
- 4見学と書面重要事項説明書の費用と退去の条件
- 5切り替える条件に当たったら、決めたとおりに動く
たとえば、要介護4の父が特養の順番を待ちながら、併設型のショートステイを続けている場合、特養の申込みが済んでいれば、ロングショートは待つ間の橋として役目を果たしています。同じ父でも、保険外の日が毎月出るようになり、半数の目安にも近づいてきたなら、特養を待つだけでなく、有料老人ホームなど別の入居先も候補に入れて見学を始める段階です。要介護1や2の母なら、30日続けると基本の部分だけで月の限度額を超えるので、限度額を超える日が出た時点で、切り替えの話を始める段階です。
切り替えを決めても、地域と予算で入れる施設の候補がすぐに挙がらないことがあります。ショートステイの期限が迫ってから探し始めると、比べる時間がなくなります。候補は、期限を決めた日から集め始めてください。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
特養の申込みが済み、ショートの期限までに順番が来る見込みがあるなら、ほかの施設を急いで探す必要はありません。それでも切り替えると決めたのに、地域と予算で入れる候補がすぐに挙がらず、期限までに探しきれるか心配なときは、老人ホームの検索サイトで地域・予算・要介護度を絞り、有料老人ホームなどの資料をまとめて取り寄せると、比べる候補を短い時間でそろえられます。取り寄せた資料では、費用の内訳と、介護が重くなったときに住み続けられるかを先に確かめてください。
ロングショートにしない条件
ロングショートを続けずに、家に戻って在宅で続ける道もあります。夜間の見守り、介護の量、医療ケア、家族の暮らしの4つが在宅で回るなら、ショートステイは月に数日の休みとして使い、長くつながないという選び方ができます。
ロングショートが始まる場面には、退院の直後や、家族が倒れたときなど、家での介護が急に回らなくなったことがあります。その原因が一時的なものなら、原因が落ち着いた時点で、在宅に戻れるかをもう一度見直す価値があります。
- 夜間の見守り:夜中のトイレや起き上がりを、家族か訪問のサービスで担える
- 介護の量:訪問介護やデイサービスを、区分支給限度基準額の範囲で組み立てられる
- 医療ケア:服薬の管理や必要な処置を、訪問看護や家族で担える
- 家族の暮らし:主に介護する人の体と仕事に、続けられる見通しがある
泊まりも含めて1か所で頼みたいときは、小規模多機能型居宅介護という別の選択肢があります。利用者の選択に基づいて、自宅への訪問、拠点への通い、短期間の宿泊を組み合わせるサービスです(介護保険法8条19項)。報酬は月額の包括で、要介護3なら1か月22,359単位が基本の部分です。食費や宿泊費は別にかかり、加算も別に乗ります。地域密着型サービスなので、原則としてその市区町村の被保険者が使います。
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/小規模多機能型居宅介護費(厚生労働省・PDF)
たとえば、骨折で入院した要介護2の母が、退院直後に歩くのが不安でショートステイに入った場合、リハビリで家の中を歩けるようになれば、ロングショートを続ける理由は薄れます。家にデイサービスと訪問介護を組み、月に数日だけショートステイを使う形に戻せるかを、ケアマネジャーと見直してください。同じ母でも、夜中に何度も起きるようになり、同居の家族が夜勤のある仕事を続ける必要があるなら、夜間の条件が崩れていて、入居を考える段階に近づいています。
費用を誰がどう払うか
ロングショートの費用は、親の年金と預貯金から払うことを基本に、足りない分を兄弟でどう分けるかを、続ける期限と一緒に先に決めておいてください。保険外の日が出始めると、1か月の費用が月ごとに変わり、誰が立て替えるかで揉めやすくなります。
介護の部分の負担割合は原則1割で、所得が一定以上なら2割または3割になります。2割になるのは、本人の合計所得金額が160万円以上で、かつ年金収入とその他の合計所得金額が単身で280万円以上、2人以上の世帯で346万円以上の場合です。3割になるのは、合計所得金額が220万円以上で、かつ単身で340万円以上、2人以上の世帯で463万円以上の場合です。親の負担割合は、介護保険負担割合証で確かめられます。
負担割合が変わるのは介護の部分だけで、食費・滞在費と保険外の日の料金は、負担割合に関係なく事業所の料金のまま払います。2割や3割の親でも、保険外の日と食費・滞在費の額は、負担割合では変わりません。
たとえば、親の口座から引き落とせる額が毎月決まっている場合、ロングショートの費用がその額に収まっている間は、親のお金で払う形で足ります。保険外の日が出て収まらなくなったら、その月から誰が足りない分を出すかを決めておけば、請求が来てから兄弟に電話をかける事態を避けられます。介護の費用を立て替えた分は、レシートと請求書を残しておくと、あとで精算するときの話が短く済みます。
親の口座からの支払いを誰が管理するか、親の判断がしっかりしているうちに話し合っておくことも大切です。預貯金の額を兄弟で共有しておくと、ロングショートを何か月続けられるか、入居に切り替えたあと何年払えるかの見通しが立てやすくなります。
入居したあとの実家

ロングショートから入居に切り替えると、次に表に出てくるのは、親が暮らしていた実家をどうするかという問題です。郵便物、固定資産税の通知、家の傷みは、入居のあとも続きます。
ロングショートの間は「いつか家に戻るかもしれない」と、実家をそのままにしておくこともあります。入居が決まった時点で、誰がいつ家の様子を見に行くか、郵便をどこに転送するかを決めるだけでも、空き家の手入れを後回しにせずに済みます。貸すか売るかは、そのあと家族の都合を合わせて考えれば足ります。
たとえば、父が特養に入り、実家に誰も住まなくなった場合、月に何度、誰が見に行くかを最初に決めるだけで、ポストがあふれて近所から連絡が来る事態を避けやすくなります。親の判断ができるうちに家の扱いについての希望を聞いておくと、兄弟の意見が分かれたときの手がかりになります。
次に来ることを先に知っておくと、入居のあとの実家の問題を慌てずに迎えられます。
よくある質問
自費ショートステイとは何ですか?
介護保険の短期入所に当たらない日に、事業所の料金を全額払って泊まる利用を指して使われる言葉です。連続30日を超えた31日目以降の日がこれに当たります。限度額を超えた分は、保険から出ない分を自分で払う別の日です。料金は事業所が決めるので、料金表と書面の見積で確かめてください。
ショートステイの30日超えは自費ですか?
連続して30日を超えて使うと、31日目以降は介護保険の短期入所の報酬が算定されず、その日は事業所の料金を全額払う日になります。30日目までの利用まで全額になるわけではありません。退所の翌日に同じ事業所へ入所した場合も連続扱いになる点に気をつけてください。
ショートステイの1ヶ月の費用はいくらですか?
保険の日は、1日の単位数に1単位の単価と負担割合を掛けた介護の部分に、加算・送迎・食費・滞在費が乗ります。要介護度と事業所・部屋の形で単位数が違い、食費・滞在費は事業所との契約で決まるので、1つの額では言えません。ケアマネジャーの利用票と事業所の料金表を並べて、親の条件で組み立ててください。
ショートステイの自己負担金はいくらですか?
介護の部分は負担割合(原則1割、所得が一定以上なら2割または3割)で払い、食費と滞在費は別に払います。負担限度額認定を受けている人は、食費と滞在費が段階ごとの額まで軽くなります。31日目以降の保険外の日は、事業所の料金を全額払います。
一度家に帰れば30日は数え直しになりますか?
退所した翌日に同じ事業所へ入所する形では、連続して入所しているものとして扱われ、数え直しにはなりません。何日家に戻れば数え直しになるかは、確認できた資料には書かれていません。親の実際の利用日で、事業所とケアマネジャーに数えてもらってください。
負担限度額認定は保険外の日にも効きますか?
認定の対象サービスに短期入所は入っていますが、31日目以降の保険外の日にも軽減が効くかは、確かめられた資料からは言えません。事業所に「保険外の日も認定証の額で計算しますか」と聞き、見積の書面で確かめてください。
老健のショートステイなら扱いは違いますか?
老健の短期入所療養介護は、治療の必要の程度が省令の基準に合う人が対象で、看護や医学的管理のもとでの介護を受けます。認定期間のおおむね半数の目安は、生活介護と療養介護の両方の日数で見ます。連続日数の扱いは、利用する老健とケアマネジャーに確かめてください。
順番のおさらい
- 31日目から:連続30日を超えた日以降は介護保険の短期入所に当たらず、事業所の料金を全額払う
- つながる場合:退所の翌日の入所・限度額を超えた日・認定期間や保険者の変更をまたいでも日数は続く
- 半数の目安:ケアマネジャーの計画の基準で、特に必要なら超えて計画できる。届出の扱いは地域で違う
- 保険の日の費用:単位数×単価×負担割合に、加算・送迎・食費・滞在費が乗る。要介護1・2は限度額に早く届く
- 保険外の日の費用:事業所が決める。料金表と書面の見積で、負担限度額認定が効くかまで確かめる
- 長く続けると:同じ事業所で通算されると31日目以降に当たる日は30単位減、61日目から特養と同じ単位数
- 切り替え:続ける期限と切り替える条件を先に決め、候補は期限を決めた日から集める
- ロングショートにしない条件:夜間・介護の量・医療ケア・家族の暮らしが在宅で回るか
- 払い方:親の年金と預貯金を基本に、足りない分の分け方を先に決める
- 入居したあと:実家を誰がいつ見に行くかを最初に決める
ロングショートは、介護が急に回らなくなったときに家族を支えてくれる仕組みですが、続けるほど、日数の決まり、保険外の料金、単位数の変化が重なっていきます。だからこそ、始めた日に「いつまで続けるか」「何が起きたら切り替えるか」「費用を誰が出すか」の3つを家族とケアマネジャーで紙に書いておくと、31日目の請求書も、半数の話も、入居の決断も、決めておいた順番で受け止められます。橋を渡っている間に、向こう岸の候補を探し始めておいてください。

