- 夜中のトイレのたびに親に呼ばれて、家族がまとまって眠れない
- 24時間来てくれる訪問介護があると聞いたが、本当にあるのか
- 定期巡回と夜間対応型の違いが、説明を読んでもよく分からない
- 料金は回数ごとなのか、月の定額なのか、親の場合はいくらになるのか
- 実家の近くに事業所が見つからないとき、ほかに手はあるのか
- 夜に転んだら誰が来てくれて、離れて暮らす自分に連絡は来るのか
- 夜通しそばにいてほしいときは、どこに頼めばいいのか
- 仕事を続けながら、夜の介護をどこまで抱えられるか不安
- 夜が回らないなら、もう施設を考えるしかないのか
上記のような悩みに答えます。
夜間や深夜の訪問介護は、介護保険の地域密着型サービスとして用意されていて、事業者や公的な検索システムのページでは、サービスの定義、月の料金の型、利用の条件が詳しく説明されています。ところが「24時間」と呼ばれる仕組みが何を指していて、夜通しの付き添いとはどう違うのか、親の夜の困りごとにどれを当てれば足りるのかは、制度の説明からは読み取りにくいままです。そこで、2つのサービスの違い、月の単位数と限度額の関係、住んでいる市町村の事業所しか使えない決まりを押さえたうえで、夜の様子をケアマネジャーに伝える方法、介護保険の外で足す付き添い、施設を考える線まで、介護保険法と厚生労働省の告示・資料で確かめながら整理しました。
夜間や深夜の訪問介護は、介護保険で頼めます。決まった時間の短い訪問と、呼べば来てくれる随時の訪問を組み合わせた「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が中心で、料金は月の定額です。ただし住んでいる市町村の事業所しか使えず、夜通しそばにいる付き添いは、この仕組みの中身(決まった時間の訪問と呼んだときの訪問)には入っていません。
介護費の自己負担シミュレーター(限度額・負担割合・高額介護サービス費)
この記事の数字は2026年10月時点のものです。単位数は令和6年度改定後の基本部分(加算を含まない)で書いています。
夜も頼める介護保険のサービスは2つ

夜の時間帯に自宅へ来てもらえる介護保険のサービスは、いまは2つあります。昼も夜も対象にする「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と、夜だけを対象にする「夜間対応型訪問介護」です。どちらも介護保険法で「地域密着型サービス」の一つとして並んでいます。
介護保険法の定義では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な巡回訪問か、随時の通報を受けて自宅に行き、入浴・排せつ・食事などの介護を行うサービスです。介護と看護を同じ事業所が行う「一体型」と、訪問看護の事業所と連携して介護を行う「連携型」の2つの型があります。夜間対応型訪問介護は、同じ形の訪問を「夜間において」行うサービスと定められ、定期巡回・随時対応型に当たるものは除かれています。
| 比べること | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 夜間対応型訪問介護 |
|---|---|---|
| 対象の時間帯 | 夜に限らない | 夜間(22時〜6時は最低限含み、事業所が18時〜8時の範囲で決める) |
| 訪問の形 | 定期の巡回訪問と、通報を受けての随時の訪問 | 同じ(夜間だけ) |
| 看護 | 一体型は同じ事業所、連携型は連携先の訪問看護 | 含まない |
| 料金の型 | 月の定額(夜間だけの区分は月額+回数) | 月額+回数の型と、月の定額の型 |
| これから | 夜間対応型は廃止後にこちらへ一本化される予定 | 2027年4月1日に廃止の予定(法律は公布済み) |
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/介護サービス情報公表システム「夜間対応型訪問介護」(厚生労働省)
夜間対応型の時間帯は、事業所ごとに決まります。厚生労働省の説明では、22時から6時までの間は最低限含み、事業所の設定は18時から翌8時までの範囲に収まり、8時から18時までは含めない、とされています。夕方から深夜のどこで困っているかによって、合う事業所が変わるということです。
たとえば、親が夜中に一度トイレで起きて、そのたびに転びそうになるという場合は、夜の決まった時間の訪問と、呼んだときの訪問があれば足りる可能性があります。反対に、朝の着替えや昼の食事にも手がかかるなら、夜だけのサービスでは昼の分が残り、昼も夜も対象にする定期巡回のほうが話が早くなります。
選ぶときの軸は、困っているのが「夜だけ」か「一日を通して」かです。夜間対応型は2027年4月に廃止される予定なので、これから使い始めるなら、定期巡回の事業所が地域にあるかを先に確かめてください。
「24時間」の中身は定期の訪問と呼ぶ訪問
「24時間の訪問介護」として紹介されるのは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護ですが、介護保険法の定義には「24時間」という言葉は出てきません。書かれているのは「定期的な巡回訪問」と「随時通報を受けて」の訪問の2つです。夜通し誰かが家にいる、という意味ではありません。
この違いは、契約の前に事業所へ確かめておく必要があります。介護保険のこのサービスでできるのは、ケアプランで決めた時間に来てもらう訪問と、親や家族が事業所に連絡したときに来てもらう訪問の組み合わせです。夜間のどの時間帯にどんな体制で応じるかは事業所によって違うので、契約の前に聞いて確かめます。
夜間対応型訪問介護の月額の型(Ⅰ)は、利用者に通報できる端末機器を配り、通報を受けられる体制を整えている場合の料金として決められています。通報の方法そのものも、事業所に確かめる項目の一つです。
契約の前に事業所に聞いておきたいのは、次のことです。
- 夜間の何時から何時まで、通報を受けて訪問してもらえるか
- 通報は、どんな機器や方法で事業所に届くのか
- 随時訪問のあと、離れて暮らす家族にどう連絡が来るのか
- 鍵の預け方と、家に入るときの決まり
- 2人で訪問する必要があるときの扱いと、同意の取り方
夜間だけの区分や夜間対応型の随時の訪問では、2人で訪問する場合の別の単位数があり、親の体の状態で1人では難しいときなどに、本人か家族の同意を得て行われます。夜中の移動の介助が重くなってきた親なら、この扱いも聞いておくと安心です。
たとえば、遠方に住む長女が、夜中の訪問のあとに毎回電話が欲しいのか、翌朝のまとめた連絡でよいのかを先に決めておけば、夜中に起こされる回数と、知らないうちに何かが起きる不安の両方を調整できます。同じ家族でも、近くに住む弟が駆けつけられるなら、連絡先の順番を事業所に伝えておくことで、訪問員と家族の役割の分け方が変わります。
「24時間」という言葉は、困ったときに連絡できる先がある、という意味で受け取るのが現実に近い使い方です。夜中に何が起きたら誰が動くのかを、事業所と家族の間で先に決めておくことが、このサービスを生かす前提になります。
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/厚生労働省 夜間対応型訪問介護費に係る単位数(告示)
定期巡回の月額は要介護度で決まる

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の料金は、回数ではなく、要介護度ごとの月の定額(単位数)で決まります。訪問の回数が月によって増えても、基本の部分は変わりません。円に直すには、単位数に1単位の単価と負担割合を掛けます。
1単位の単価は、事業所のある地域の区分で決まり、訪問介護や定期巡回などは1単位10円から11.40円までの8つの区分があります。負担割合は原則1割で、本人の合計所得金額が160万円以上かつ年金収入とその他の合計所得金額が単身で280万円以上(2人以上の世帯は346万円以上)なら2割、合計所得金額が220万円以上かつ単身で340万円以上(2人以上の世帯は463万円以上)なら3割です。親が何割かは、市区町村から届く負担割合証で確かめます。
※1単位の単価や事業所の有無は地域によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
1単位10円の地域・1割負担で、一体型で訪問看護を使わない場合(連携型も同じ単位数)の月の基本部分は次のとおりです。限度額から引いた「残り」が、デイサービスや福祉用具など、ほかの在宅サービスに回せる分の目安です。
| 要介護度 | 月の単位数 | 費用の目安(×10円) | 1割の目安 | 区分支給限度基準額 | 残り |
|---|---|---|---|---|---|
| 要介護1 | 5,446単位 | 54,460円 | 5,446円 | 167,650円 | 113,190円 |
| 要介護2 | 9,720単位 | 97,200円 | 9,720円 | 197,050円 | 99,850円 |
| 要介護3 | 16,140単位 | 161,400円 | 16,140円 | 270,480円 | 109,080円 |
| 要介護4 | 20,417単位 | 204,170円 | 20,417円 | 309,380円 | 105,210円 |
| 要介護5 | 24,692単位 | 246,920円 | 24,692円 | 362,170円 | 115,250円 |
一体型で訪問看護も使う場合は、要介護1から5まで7,946・12,413・18,948・23,358・28,298単位で、1割の目安は7,946円・12,413円・18,948円・23,358円・28,298円です。要介護3なら限度額の残りは270,480円−189,480円=81,000円になります。
この表の単位数には、初期加算や総合マネジメント体制強化加算、サービス提供体制強化加算、処遇改善加算などが含まれていません。実際の請求はこれより高くなります。一方で、厚生労働省の算定構造の資料では、総合マネジメント体制強化加算やサービス提供体制強化加算、処遇改善加算、緊急時訪問看護加算などは限度額の管理の対象外と注記されているので、注記されたこれらの加算の分は、限度額の残りを減らしません。
夜だけ使いたい人向けには、令和6年度の改定で、定期巡回の中に「夜間にのみサービスを必要とする利用者」の区分が設けられました。この区分は月989単位に、定期の訪問が1回372単位、随時の訪問が1回567単位(2人で訪問する場合は764単位)を足す、月額と回数の組み合わせです。
たとえば夜の区分で、定期の訪問を30日続けて毎晩1回受けた場合は、989単位+372単位×30回=12,149単位で、1単位10円・1割なら12,149円です。要介護1の定額(5,446単位)より多くなり、要介護3の定額(16,140単位)より少なくなります。夜間対応型訪問介護の月の定額の型(Ⅱ)は2,702単位で、1単位10円・1割なら2,702円です。
夜だけの区分は回数で増えるので、毎晩の訪問が要る親なら、昼も夜も含む定額の区分と並べて比べる意味があります。どちらが合うかは、夜の訪問の回数の見込みと、昼にも手が要るかで変わります。
介護保険の自己負担には、世帯の所得に応じて1か月の上限があり、上限を超えた分は高額介護サービス費として戻ります。親の要介護度と負担割合を入れると、ほかのサービスを足した月の目安を出せます。
ケアマネジャーに相談するときは、「定期巡回を入れたら限度額の残りはいくらで、デイサービスやショートステイはどこまで使えるか」と聞いてください。表の残りの欄が、その答えの見当になります。
出典:厚生労働省 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示)/厚生労働省 地域区分と1単位の単価(PDF)/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)/厚生労働省「介護保険制度の概要」/厚生労働省 算定構造(PDF)/厚生労働省 令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(PDF)/介護保険法43条(e-Gov法令API)
使える人と事業所の探し方
定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護を使えるのは、要介護1から5の認定を受けて自宅で暮らす人です。法律の定義が「居宅要介護者」となっているので、要支援1・2の人は対象に入っていません。そして、どちらも地域密着型サービスなので、原則として、親の住民票のある市町村が指定した事業所しか使えません。
地域密着型サービスの指定は、事業所ごとに市町村長が行い、その効力は、原則としてその市町村の被保険者への給付についてだけ及びます。子の住む市の事業所が評判が良くても、親が別の市町村に住んでいれば、原則として使えないということです。施設に入って住所を移した人には例外がありますが、当てはまるかどうかはお住まいの市区町村で確かめてください。
認定がまだなら、先に要介護認定を申請します。介護保険法では、申請から30日以内に結果を出すのが原則ですが、実際にかかる日数は市区町村で違います。認定の前の相談先は、親の住む地域の地域包括支援センターです。市町村が設置する(法人への委託を含む)窓口で、名前と担当の区域は自治体ごとに違います。
- 1認定を確かめる要介護1〜5か
- 2親の住む市町村で探す指定は市町村ごと
- 3ケアマネに相談する認定前は地域包括支援センター
- 4事業所に夜の体制を聞く時間帯と連絡の流れ
たとえば、親の住む町に定期巡回の事業所が無い場合は、まず地域包括支援センターかケアマネジャーに「この町で夜に来てもらえる手段は何があるか」を聞きます。夜の訪問に応じる訪問介護の事業所、小規模多機能型居宅介護、夜のショートステイなど、別の組み合わせで夜を支える道があるかもしれません。反対に、隣の市には事業所がある、という場合でも、原則として使えないので、そこで時間を使わないほうが早く進みます。
探すときは、厚生労働省の介護サービス情報公表システムで、親の住む市町村を選んで「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を検索できます。事業所が見つかったら、ケアマネジャーに名前を伝え、空きと夜の体制を確かめてもらってください。
出典:介護保険法42条の2(e-Gov法令API)/介護保険法78条の2(e-Gov法令API)/介護保険法27条(e-Gov法令API)/介護保険法115条の46(e-Gov法令API)
デイや訪問看護との組み合わせ
定期巡回は、ほかの在宅サービスと組み合わせて使えます。ただし、使った分は、一部の加算を除いて、同じ月の区分支給限度基準額の中で数えるので、定期巡回を入れると、デイサービスやショートステイに回せる分が減ります。組み合わせを考えるときは、限度額の残りから逆算します。
介護保険法では、地域密着型サービスは、特養に入所する地域密着型の施設サービスを除いて、居宅サービスと一緒に区分支給限度基準額の対象になっています。定期巡回も夜間対応型も、この枠の中です。
訪問看護の使い方は、事業所の型で変わります。一体型なら同じ事業所が看護も行い、看護を使う月は単位数が上がります。連携型なら、看護は連携先の訪問看護の事業所が行い、その分の訪問看護の費用が別にかかります。訪問看護を受けられるのは、主治の医師が必要の程度を認めた人に限られます。
| 組み合わせたいもの | 確かめること |
|---|---|
| デイサービス | 限度額の残りで通える回数 |
| ショートステイ | 夜を施設で過ごす日の作り方 |
| 訪問看護 | 一体型か連携型か、主治医の指示があるか |
| 介護ベッドなどの福祉用具 | 貸与の分も限度額の中で数える |
たとえば、要介護3の母が、定期巡回(看護なし)を使いながら週に何回かデイサービスに通う場合は、表の残り(1単位10円の地域で109,080円)の範囲でデイの回数を組みます。同じ母でも、主治医が訪問看護を必要と認めて一体型で看護も使うなら、残りは81,000円に減り、デイの回数を見直すことになります。看護の有無ひとつで、組める形が変わります。
夜の介助を楽にする手段として、介護ベッドの貸与を組み合わせる家族もいます。起き上がりの介助が夜の負担になっているなら、ベッドの条件と自己負担も一緒に確かめておくと、訪問の回数の見直しにもつながります。
組み合わせの順番は、夜に何が要るかを先に決め、そのあと残りで昼のサービスを組むのが筋の通ったやり方です。ケアマネジャーには、夜の困りごとと、家族が昼に動ける時間帯の両方を伝えてください。
出典:介護保険法43条(e-Gov法令API)/介護保険法8条(e-Gov法令API)
夜に起きていることを書き出して伝える
夜の介護を組み立て直すときに、制度の知識より先に要るのは、親の夜に何が起きているかの記録です。夜の様子は、家族が記録して伝えないと、ケアマネジャーには手がかりがありません。
定期巡回の訪問の時間は、ケアプランで決まります。夜の何時ごろに何が起きているかが分からなければ、定期の訪問をどこに置けばよいかも決められません。記録があれば、定期の訪問で済む困りごとと、随時の通報で対応する困りごとを分けて考えられます。
何晩か続けて、次のことを書き出してみてください。
- 親が起きた時刻と、起きた理由(トイレ、のどの渇き、不安など)
- 家族が手を貸した内容と、かかった時間
- 転びかけた、ベッドから落ちかけたなどの出来事
- 家族がその夜に眠れた時間
- 翌日の仕事や家事に響いたこと
たとえば、毎晩決まって夜中に一度トイレに起きる父なら、その時間の前後に定期の訪問を置き、それ以外の時間は随時の通報で対応する形が考えられます。反対に、起きる時刻がばらばらで一晩に何度も呼ぶ母なら、定期の訪問だけでは合わず、随時の訪問が増えるか、夜を別の形で支える必要が出てきます。同じ「夜中に起きる」でも、記録の中身で組み方が変わります。
家族の睡眠と仕事の記録は、遠慮せずに書いてください。介護する家族の暮らしが続くかどうかは、在宅を続けるかを考える材料になります。仕事を続けながら介護休業をいつ使うかを考えている人は、こちらも参考になります。
ケアマネジャーに渡すときは、記録の紙と一緒に「夜のこの時間に訪問を入れられるか」「家族への連絡はどうするか」と具体的に聞いてください。認定前なら、地域包括支援センターに同じ記録を持って相談できます。
夜通しの付き添いが要るとき

夜通しそばにいてもらう付き添いは、定期巡回や夜間対応型の訪問の中身には入っていません。定期巡回も夜間対応型も、決まった時間の訪問と呼んだときの訪問の組み合わせなので、訪問と訪問の間は親が一人になります。夜通しの付き添いが要るなら、介護保険の外のサービスで足します。
介護保険の訪問は、ケアプランに位置付けた内容の介護をする仕組みで、見守りのためにずっと家にいることは、この記事で確かめた定義や単位数の中には入っていません。介護保険の外のサービス(保険外の訪問介護)は、介護保険の時間や内容の枠の外で、付き添いや見守りを自費で頼む形です。料金や時間の単位は事業者ごとに違うので、申し込む前に見積もりを取って比べます。
なお、障害福祉の制度には重度訪問介護という別の制度がありますが、介護保険の定期巡回とは仕組みも窓口も違います。
保険外のサービスを足すかどうかを考えるときは、次の順で確かめます。
- 夜のどの時間帯に、そばにいる人が要るのか(毎晩か、退院直後など一時期か)
- 定期巡回や夜間対応型の訪問の組み合わせで、足りない時間はどこか
- ショートステイで夜を施設で過ごす日を作れないか
- 保険外の費用を、月にどこまで続けて出せるか
たとえば、退院した直後の数週間だけ夜が不安定な父なら、その期間だけ保険外の付き添いを足し、落ち着いたら定期巡回の訪問だけに戻す、という使い方ができます。反対に、毎晩夜通しの付き添いが続く見込みなら、保険外の費用が月ごとに重なるので、次の項の施設を考える目安と並べて考えます。
保険外のサービスは、介護保険の限度額の中で数えないので、定期巡回と同じ月に足しても、限度額の残りは減りません。その代わり、費用はすべて自己負担です。期間を区切って使うか、続けて使うかを、家族の中で先に決めておいてください。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
定期巡回の訪問とショートステイの組み合わせで夜の空く時間が埋まるなら、保険外の付き添いを足す必要はありません。それでも退院した直後の何晩かのように、そばにいる人が要る夜が残るときは、介護保険の枠の外で付き添いを頼める保険外の訪問介護に、夜の時間帯と期間を伝えて見積もりを取ると、自費でどこまで続けられるかを先に確かめられます。申し込む前に、担当のケアマネジャーにも夜の付き添いを足すことを伝えておいてください。
それでも夜が回らないときは施設を考える
在宅で夜を続けられるのは、親の夜の困りごとが定期の訪問と随時の訪問の組み合わせで収まり、訪問の合間に親が一人でいても大きな危険がなく、家族が眠れて仕事を続けられるときです。この3つがそろい、保険外の付き添いを足しているならその費用も続けて出せるなら、施設を急いで決める必要はありません。反対に、どれかが崩れて戻らないなら、施設を考える時期に来ています。
介護保険の訪問の組み合わせで夜を支えられるかは、親の状態と家族の状態の両方で決まります。施設を考える目安を、在宅の条件の裏返しとして並べると、次のようになります。
| 在宅で続けられる条件 | 施設を考える目安 |
|---|---|
| 夜の困りごとが訪問の組み合わせで収まる | 訪問と訪問の間に、そばにいる人が毎晩要る |
| 合間に一人でいても大きな危険がない | 合間の転倒や徘徊が続き、記録でも減らない |
| 家族が眠れて仕事を続けられる | 家族の睡眠や仕事が崩れ、戻る見込みがない |
| 保険外の付き添いの費用を続けて出せる | 保険外の費用が毎月重なり、続けられない |
たとえば、定期巡回とデイサービスで昼は回っていても、夜通しの付き添いを毎晩保険外で足している母なら、その費用と施設の月額を並べて比べる時期です。同じ母でも、週に数日のショートステイで家族が眠れる日を作れて、その形で落ち着いているなら、在宅を続ける選択が残ります。
施設の種類ごとの違いや、住宅型有料老人ホームのように外部の介護サービスを使う住まいについては、こちらで整理しています。有料老人ホームやサ高住の居室は介護保険法上の「居宅」に含まれるので、住宅型ではそこで訪問介護などの在宅サービスを使います。介護付有料老人ホームでは、ホームが介護を行うため、訪問介護やデイサービスなどは介護保険で別に使えません。
親が施設を嫌がっている場合は、在宅で続ける条件を先に話し、その条件が崩れたら考える、と順番を決めておくと話が進めやすくなります。
親が施設に入ると、次に考えることになるのは、親が住まなくなった実家です。郵便物の転送、電気・ガス・水道の契約、鍵の管理と見回りの担当を家族で決めておくと、入居のあとに慌てずにすみます。
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/厚生労働省 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示)
2027年4月に夜間対応型は廃止される
夜間対応型訪問介護は、2027年4月1日に介護保険法の定めから廃止され、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に一本化される予定です。2026年6月25日に公布された社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)で、夜間対応型訪問介護を定める介護保険法8条16項が削られることになりました。
この流れは突然ではありません。令和6年度の介護報酬改定では、2つのサービスの将来的な統合を見据えて、定期巡回の中に夜間だけ使う人の区分が設けられています。2026年10月の時点では、統合後の料金の細かな点は、令和9年度の介護報酬改定で示される見込みで、厚生労働省の確定した資料はまだ確認できていません。いま事業を行っている事業所には経過措置が設けられることになっています。
いま夜間対応型を使っている親がいる家族は、ケアマネジャーに「いまの事業所は2027年4月以降どうなるか」「定期巡回に切り替える場合、料金の型はどう変わるか」を聞いてください。これから使い始める家族は、定期巡回の事業所を先に探すほうが、あとで切り替える手間がかかりません。
たとえば、夜間対応型の月の定額の型(Ⅱ)を使っている父なら、切り替えたあとの料金が決まるまでは、いまの単位数で月額を見ておき、新しい料金が公表されたらケアマネジャーと並べて比べます。統合の後の扱いは、厚生労働省の公表を待って確かめてください。
出典:厚生労働省 介護保険最新情報(社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について)(PDF)/厚生労働省 令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(PDF)
よくある質問
24時間の訪問介護は、夜通しそばにいてくれるのですか?
介護保険の定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、決まった時間の訪問と、通報したときの随時の訪問の組み合わせです。介護保険法の定義にも「24時間」という言葉はなく、夜通しそばにいる付き添いは、この組み合わせの中身には入っていません。夜通しの付き添いが要るときは、介護保険の外のサービスで足します。
訪問介護は毎日来てもらえますか?
定期巡回は月の定額なので、何回来てもらうかはケアプランで決まります。何時に何回来てもらうかは、親の状態に合わせてケアマネジャーと事業所が決めます。夜の何時に困っているかの記録があると、訪問の時間を決めやすくなります。
夜間対応型訪問介護を使える人の条件は?
要介護1から5の認定を受けて自宅で暮らす人で、親の住民票のある市町村が指定した事業所の利用が原則です。要支援1・2の人は対象に入っていません。なお夜間対応型は2027年4月1日に廃止される予定なので、これから使うなら定期巡回の事業所も一緒に探してください。
呼んだらすぐに来てもらえますか?
到着までの時間は、事業所の体制や距離で変わるので、契約の前に事業所に確かめてください。あわせて、夜間に通報を受けて訪問できる時間帯と、訪問のあと家族にどう連絡が来るかも聞いておくと安心です。
限度額を超えたらどうなりますか?
区分支給限度基準額を超えた分は、介護保険が使えず全額自己負担になります。定期巡回は限度額の中で数えるので、デイサービスやショートステイと合わせて、残りがいくらかをケアマネジャーに確かめてください。限度額の中の自己負担には、世帯の所得に応じた月の上限もあります。
自己負担を軽くする仕組みはありますか?
社会福祉法人などが行う利用者負担の軽減の対象に、定期巡回と夜間対応型が入っています。世帯が市町村民税非課税で、収入や預貯金などの要件を満たし、市町村が認めた場合に、利用者負担の4分の1を原則として軽減するもので、実施していない法人もあります。市町村の介護保険の窓口と、使っている事業所の法人の両方で確かめてください。
順番のおさらい
- 夜も頼めるサービス:昼も夜も対象の定期巡回・随時対応型と、夜だけの夜間対応型の2つ
- 「24時間」の中身:定期の訪問と通報で来る随時の訪問の組み合わせ。夜通しの付き添いではない
- 料金:定期巡回は要介護度ごとの月の定額で、限度額の中でほかのサービスと分け合う
- 使える人と探し方:要介護1〜5で、原則として親の住む市町村が指定した事業所だけ
- 組み合わせ:デイや訪問看護、福祉用具は限度額の残りから逆算する
- 夜の記録:起きた時刻と理由、家族の睡眠を書き出してケアマネジャーに渡す
- 夜通しの付き添い:定期巡回の訪問の中身には入らないので、保険外で期間を決めて足す
- 施設を考える目安:在宅の条件のどれかが崩れて戻らないとき
- 2027年4月:夜間対応型は廃止され、定期巡回に一本化される予定
「24時間の訪問介護」は夜通しの付き添いではないので、訪問と訪問の合間は残ります。先に親の夜を何晩か書き出し、訪問で収まる困りごとと、そばにいる人が要る困りごとを分けてから、ケアマネジャーに相談してください。そうすれば、定期巡回で足りるのか、保険外を足すのか、施設を考えるのかを、同じ記録をもとに落ち着いて選べます。
1単位の単価、事業所があるかどうか、夜間の時間帯、地域包括支援センターの名称は、地域や事業所によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

