- 認知症の親をグループホームに入れたら、毎月いくら払うことになるのか
- 介護保険が使えるのは、費用のうちどこまでなのか
- 家賃や食費にも、介護保険は効くのか
- 要介護1と要介護3で、どれだけ金額が変わるのか
- 特別養護老人ホームとグループホームでは、どちらが安いのか
- 特養で聞く「食費・居住費が安くなる認定」は、グループホームでも使えるのか
- 親の年金だけで払い続けられるのか、足りなければ自分が出すのか
- 親はまだ要支援1。それでも入れるのか
- 離れて住む自分の家の近くのホームに、親を呼び寄せられるのか
上記のような悩みに答えます。
グループホームは、認知症の人が少人数で共同生活を送りながら介護を受ける住まいで、介護保険では「認知症対応型共同生活介護」というサービスに当たります。この記事は高齢者の認知症グループホームの話で、障害のある人のグループホームは扱いません。費用を調べると、紹介サイトに月額の相場や入居金の目安が並びますが、その数字の出どころははっきりしないものが目立ちます。一方で、親の要介護度と負担割合から介護保険の部分を自分で計算する手順、特養などで使える食費・居住費の軽減がグループホームには効かないこと、原則として親の住民票がある市町村のホームしか使えないことは、紹介サイトの説明ではあまり前に出てきません。そこで、費用の内訳、入れる人の条件、介護保険の部分の出し方という基本を押さえたうえで、軽くなる制度と効かない制度の線引きと、施設に入らず在宅で続ける場合の条件まで、介護保険法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。
グループホームの費用は、介護保険が使える「介護サービス費」と、全額自己負担の「家賃・食費・光熱水費など」の2つに分けて考えます。介護サービス費は親の要介護度と負担割合から自分で計算でき、家賃や食費は事業所ごとに決まるので重要事項説明書で確かめます。特別養護老人ホームなどで使える食費・居住費の軽減はグループホームには使えませんが、介護サービス費の自己負担には高額介護サービス費の上限があります。
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グループホームの費用は2つに分けて考える
グループホームの毎月の費用は、介護保険が効く「介護サービス費」と、介護保険が効かない「家賃・食材料費・光熱水費などの暮らしの費用」の2階建てです。月額を1つの数字で探すより、この2つを別々に出して足すほうが、親の場合の額に近づきます。
2つに分かれるのは、介護保険法がそう決めているからです。グループホームで介護保険から出るのは、介護に要した費用から「食事の提供に要する費用、居住に要する費用その他の日常生活に要する費用」を除いた部分で、その100分の90(自己負担1割の人の場合)が給付されます(介護保険法42条の2)。裏を返すと、家賃や食費などの暮らしの費用は保険給付の外にあり、原則として全額を自分で払います。
- 介護保険が効く(自己負担は1〜3割)
- 要介護度と事業所の規模で単位数が決まる
- 高額介護サービス費の上限の対象
- 介護保険が効かない(原則全額自己負担)
- 事業所ごとに金額を決めている
- 負担限度額認定の対象外
1階の介護サービス費は、国が決めた単位数と地域の単価で計算されるので、どの事業所でも同じ物差しで出せます。2階の家賃や食費は事業所が金額を決めていて、同じ市内でもホームごとに違います。紹介サイトで見かける「月◯万円」という相場は、全国の公的な統計として確認できた数字ではありません。
たとえば、同じ要介護2の母でも、Aホームは家賃が高めで食費が安め、Bホームは家賃が安めで食費が高め、ということがあります。この場合、介護サービス費の基本の単位数は同じ規模の事業所なら同じなので、差がつきやすいのは2階の部分です(加算の取り方で1階も変わります)。比べるべきは「合計の月額」ではなく「2階に何がいくら入っているか」になります。
編集部の整理では、費用を調べる最初の一歩は、親の要介護度と負担割合を確かめて1階を自分で出すことです。2階は見学のときに重要事項説明書と料金表をもらって書き出します。2つがそろった時点で、親の年金で払えるかどうかを考える材料がそろいます。
グループホームに入れるのは誰か
グループホームに入れるのは、要支援2以上の認定を受けていて、認知症である人です。加えて、原則として親の住民票がある市町村の事業所を使うことになります。
要支援2以上で認知症であること
介護保険法は、グループホームのサービスを「要介護者であって認知症であるもの」に行うものと定めています(介護保険法8条)。要支援の人で使えるのは要支援2だけで、要支援1の人は対象になりません(介護保険法8条の2、同法施行規則)。認知症であることが条件なので、認知症の診断がない人は入れず、認知症の原因となる病気が急性の状態にある人も除かれます。
入居の申し込みがあったとき、事業者は主治の医師の診断書などで、認知症であることを確かめます。また、少人数での共同生活に支障がない人が対象で、入院治療が必要になるなど、そのホームで必要なサービスを提供できない場合は、ほかの事業者や介護保険施設、病院などを紹介することになっています(指定地域密着型サービスの基準94条)。
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/介護保険法施行規則22条の20(e-Gov法令API)/指定地域密着型サービスの基準94条(e-Gov法令API)
原則は親が住む市町村の事業所
グループホームは「地域密着型サービス」の1つです。地域密着型サービスの保険給付は、原則として、その人が住んでいる市町村の長が指定した事業所のサービスを受けたときに出ます(介護保険法42条の2)。住所を移しても元の市町村の保険のまま使える「住所地特例」の例外の対象にも、グループホームは入っていません。
- 認定:要支援2または要介護1〜5(要支援1は入れない)
- 認知症:主治の医師の診断書などで事業者が確かめる
- 共同生活:少人数で暮らすことに支障がない
- 住所:原則として親の住民票がある市町村の事業所
- 規模:1つの生活の単位(ユニット)は5人以上9人以下で、1事業所に1〜3ユニット
たとえば、地方で一人暮らしをする父を、自分が住む県外の市のグループホームに呼び寄せたいと考えたとします。原則どおりなら、父の住民票がある市町村の事業所が対象なので、そのままでは申し込めないことがあります。住民票を移してから申し込む場合の扱いや、ほかの市町村のホームを使えるかどうかは、事業所のある市町村の指定や同意が関わるので、ここでは断定できません。父の住む市町村と、呼び寄せたい先の市町村の両方の介護保険の担当に聞いてください。
親がまだ要支援1なら、グループホームは選択肢に入りません。この段階では、在宅のサービスを使いながら、状態が変わったら市区町村に区分の変更を申請する、という順番になります。
編集部の整理では、ホームを探し始める前に、①親の認定区分、②認知症の診断を受けているか、③親の住民票がどこにあるか、の3つを確かめます。どれか1つが欠けていると、気に入ったホームが見つかっても申し込めません。
※地域密着型サービスの指定や、ほかの市町村の事業所を使えるかどうかの扱いは自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
介護保険が効く費用は自分で計算できる

介護サービス費の自己負担は、「要介護度ごとの1日の単位数 × 日数 × 1単位の単価 × 負担割合」で出せます。単位数は事業所の規模で2通りあり、1ユニットの事業所と2ユニット以上の事業所で少し違います。
単位は介護報酬の物差しで、1単位が何円になるかは地域によって違い、グループホームでは1単位10円〜10.90円の範囲です。下の表は、加算・減算を含まない基本の部分の1日の単位数です。
| 要介護度 | 1ユニットの事業所(1日) | 2ユニット以上の事業所(1日) |
|---|---|---|
| 要支援2 | 761単位 | 749単位 |
| 要介護1 | 765単位 | 753単位 |
| 要介護2 | 801単位 | 788単位 |
| 要介護3 | 824単位 | 812単位 |
| 要介護4 | 841単位 | 828単位 |
| 要介護5 | 859単位 | 845単位 |
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料3「認知症対応型共同生活介護」/厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における地域区分」
この式に当てはめると、1ユニットの事業所で1単位10円の地域の目安は次のとおりです。
| 要介護度(1ユニットの事業所) | 1日(1割) | 30日(1割) | 30日(2割) | 30日(3割) |
|---|---|---|---|---|
| 要支援2 | 761円 | 22,830円 | 45,660円 | 68,490円 |
| 要介護1 | 765円 | 22,950円 | 45,900円 | 68,850円 |
| 要介護2 | 801円 | 24,030円 | 48,060円 | 72,090円 |
| 要介護3 | 824円 | 24,720円 | 49,440円 | 74,160円 |
| 要介護4 | 841円 | 25,230円 | 50,460円 | 75,690円 |
| 要介護5 | 859円 | 25,770円 | 51,540円 | 77,310円 |
この表は基本の部分だけの目安です。実際の請求には、事業所の体制やサービスに応じた加算が上乗せされ、1単位の単価も地域によって10円より高くなるので、表の額より増えることがあります。
負担割合は親の所得で決まる
負担割合は原則1割で、親の所得が一定以上なら2割か3割になります。判定は「合計所得金額」と「年金収入とその他の合計所得金額の合計」の2段で見ます。
| 負担割合 | 合計所得金額 | 年金収入+その他の合計所得金額(単身) | 同(同じ世帯に65歳以上の被保険者がほかにもいる場合) |
|---|---|---|---|
| 3割 | 220万円以上 | 340万円以上 | 463万円以上 |
| 2割 | 160万円以上 | 280万円以上 | 346万円以上 |
| 1割 | 上の線に届かない | ― | ― |
たとえば、要介護1の母が1ユニットの事業所に入り、1単位10円の地域で1割負担なら、介護サービス費の自己負担は1日765円、30日で22,950円の目安です。同じ母が2ユニット以上の事業所なら1日753円、30日で22,590円になります。母の負担割合が2割なら、1ユニットの事業所で30日45,900円と、割合の分だけそのまま倍になります。
割合は自分で計算して決めず、市区町村から届く負担割合証の記載で確かめてください。2段の線の片方だけを見て「うちは2割のはず」と思い込むと、計算がずれます。
編集部の整理では、1階の金額は、認定の通知・負担割合証・ホームの規模(ユニット数)の3つがそろえば出せます。見学のときに「ここは何ユニットの事業所か」「どの加算を取っているか」を聞いておくと、表の目安と実際の請求の差がどこから来るのかが分かります。
家賃・食費・光熱水費は事業所ごとに決まる

2階の家賃・食材料費・光熱水費は、介護保険の給付の外にあり、原則として全額が自己負担です。金額は事業所ごとに決まっていて、全国の相場を示す公的な統計は編集部では確認できていません。
介護保険法がグループホームの給付の計算から「食事の提供に要する費用、居住に要する費用その他の日常生活に要する費用」を除いているので、これらは保険の1割負担の仕組みに乗りません。どこまでが保険外かの細かな項目は、事業所が作る重要事項説明書と料金表に書かれています。
重要事項説明書と料金表で、次の項目を1つずつ書き出してください。
- 家賃(月額か日額か、入院中や外泊中も払うか)
- 食材料費(1日いくらか、食べなかった日の扱い)
- 光熱水費・管理費(月額の定額か、使った分か)
- 入居のときに払うお金(敷金・保証金などの有無と、退去時に戻るか)
- おむつ代・理美容代・日用品など、実費で請求されるもの
- 医療機関の診療費や薬代など、ホームとは別に払うもの
ここで見落としやすいのが、おむつ代や医療費です。介護サービス費にも家賃にも入らず、別に請求されたり、医療機関に直接払ったりします。毎月の額は親の状態で変わるので、見学のときに「いまの入居者の方では、こうした実費がどの程度出ているか」を聞いておくと、月額の見込みが立てやすくなります。
たとえば、入院が長引いた月を考えてみてください。部屋を確保しておくための家賃や、入院中の費用の扱いは事業所の契約で決まります。入院しても家賃は満額かかるのか、何日まで部屋を確保してくれるのかは、契約前に確かめておきたい点です。
編集部の整理では、2階の費用は「毎月決まって出るもの」と「親の状態や月によって変わるもの」に分けて書き出すと、親の年金と比べやすくなります。入居金や保証金がある場合は、退去したときの返金の条件も同じ紙に書いておいてください。
費用を軽くする制度と効かない制度
グループホームの費用で軽くなるのは、1階の介護サービス費の自己負担です。2階の家賃・食費には、特養などで使える負担限度額認定は効きません。市区町村の助成はあるかどうかが自治体ごとに違います。
介護サービス費の自己負担には月の上限がある
グループホームは介護保険の地域密着型サービスなので、その介護サービス費の自己負担は、高額介護サービス費の対象です(介護保険法51条)。1か月の介護サービス費の自己負担が世帯の区分ごとの上限を超えると、超えた分が申請によって戻ります。家賃・食費などがこの計算に入るかどうかは条文だけでは言い切れないので、介護保険の自己負担の部分が対象、と覚えておき、細かな扱いは市区町村に確かめてください。
| 区分 | 1か月の上限額 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 市町村民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 市町村民税世帯非課税 | 24,600円(世帯) |
| 世帯非課税で、年金収入+その他の合計所得金額が82.65万円以下 | 15,000円(個人) |
出典:介護保険法51条(e-Gov法令API)/厚生労働省 介護保険最新情報Vol.997/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
たとえば、世帯非課税で年金収入とその他の合計所得金額の合計が82.65万円以下の母が、要介護1で1ユニットの事業所に入ると、介護サービス費の自己負担の目安は30日で22,950円です。上限は個人15,000円なので、加算を含めずに見ても、差の7,950円は申請すると戻る計算になります。一方、市町村民税課税〜課税所得380万円未満の世帯で2割負担の父が要介護5なら、30日で51,540円の目安に対して上限は44,400円で、差は7,140円です。
介護保険の給付を受ける権利は2年で時効になります(介護保険法200条)。いつから数えるかは市区町村に確認してください。
家賃・食費は負担限度額認定で下がらない
特養などの食費・居住費が所得と預貯金に応じて下がる「負担限度額認定」(特定入所者介護サービス費)の対象は、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・地域密着型の特養・短期入所生活介護・短期入所療養介護の6サービスだけです(介護保険法51条の3)。グループホームはこの列挙に入っていないので、認定を受けても家賃や食費は下がりません。
家賃などの助成は市区町村ごと
市区町村の中には、介護保険の地域支援事業の任意事業として、グループホームの家賃・食材料費・光熱水費の負担が難しい低所得の人について、負担を軽くしている事業者を助成しているところがあります。任意の事業なので、行っているかどうか、どんな人が対象か、いくら軽くなるかは市区町村ごとに違います。親の住む市区町村の介護保険の担当窓口に、「グループホームの家賃等助成の事業があるか」をそのまま聞いてください。
※グループホームの家賃等助成の有無と内容は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
医療費控除はグループホームの利用料には使えない
確定申告の医療費控除では、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の利用料は、対象外の居宅サービスの区分に入っています。特養・老健・介護医療院の費用とは扱いが違う点に気をつけてください。ただし、医療機関の診療費や訪問看護など、ホームとは別に払う医療費は別の扱いで、おむつ代も条件を満たせば対象になることがあります。対象かどうかは領収書と国税庁の案内で確かめ、迷うときは税務署に聞いてください。
編集部の整理では、申請で軽くなるのは1階だけ、2階は市区町村の助成があるかどうか次第、と分けて考えます。入居が決まったら、高額介護サービス費の申請の方法と、家賃等助成の有無を、同じ日に市区町村の窓口で聞いておくと二度手間になりません。
親の年金で払えるかを確かめる順番
親の年金で払えるかは、平均や相場と比べても分かりません。親の収入と貯金から、1階と2階を足した月額を引いて、何か月もつかを出す順番で確かめます。
「年金がいくらならグループホームに入れる」という線は、制度のどこにも決まっていません。2階の家賃や食費が事業所ごとに違ううえ、1階も要介護度と負担割合で変わるので、同じ年金額でも払える家と払えない家があります。
- 親の年金が毎月いくら、どの口座に入っているかを確かめる
- 1階:要介護度・負担割合・ユニット数から介護サービス費を出し、高額介護サービス費の上限で止める
- 2階:候補のホームの重要事項説明書から、家賃・食材料費・光熱水費・管理費を書き出す
- 実費:おむつ代・医療費・日用品の見込みを足す
- 差額:年金から月額を引き、足りない分を貯金で何か月埋められるかを出す
たとえば、年金で1階と2階の決まった額はまかなえるが、実費まで入れると毎月少し足りない、という家があります。その場合は、貯金で何年分を埋められるかを出したうえで、家賃等助成があるか、親の世帯の区分で高額介護サービス費の上限がいくらになるかを先に確かめます。それでも足りない分を子が出すかどうかは、兄弟で数字を見ながら話すほうが、気持ちの話だけで進めるよりまとまります。
払えなくなったときに退去になるかどうかは、契約書と重要事項説明書の退去の条項で決まります。入居前に、支払いが遅れた場合の扱いを読んでおいてください。親の収入と貯金では暮らしが立たない場合は、親の住む地域の福祉事務所に相談する道もあります。
編集部の整理では、親の年金で払えるかの答えは「月額」ではなく「何か月もつか」で出します。その数字が出れば、いまのホームで続けるか、ほかの施設も並べて考えるかを、家族で落ち着いて決められます。介護費用全体の組み立て方は、次の記事で順を追って確かめられます。
親の介護費用が毎月いくらか分からない人へ|うちの親の場合の出し方
特養や有料老人ホームと費用の仕組みを比べる
特養・有料老人ホーム・グループホームのどれが安いかは、施設の種類だけでは決まりません。違うのは費用の仕組みで、特に「食費・居住費が負担限度額認定で下がるか」と「介護保険の上で何に当たるか」が分かれ目です。
介護保険施設と呼ばれるのは特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院で、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は介護保険施設ではありません(介護保険法8条)。グループホームはどちらでもなく、地域密着型サービスです。
| 種類 | 介護保険の上の扱い | 食費・居住費の負担限度額認定 | 利用料の医療費控除 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 介護保険施設 | 対象 | 扱いが別(国税庁の案内で確認) |
| 有料老人ホーム | 介護保険施設ではない。介護は特定施設入居者生活介護か外部のサービス | 対象外 | 特定施設入居者生活介護は対象外の区分 |
| グループホーム | 地域密着型サービス(認知症対応型共同生活介護) | 対象外 | 対象外の区分 |
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)
この表から言えるのは、親の世帯が非課税で預貯金も少なく、負担限度額認定に当たる家ほど、特養の食費・居住費が下がる分だけ差がつきやすい、ということです。反対に、認定に当たらない家では、特養も含めてどの施設も食費・居住費は契約どおりの額になり、施設ごとの見積もりを並べないと比べられません。
たとえば、認定に当たりそうな母なら、特養の申し込みも並行して考える価値があります。認定に当たらない父で、認知症の症状があり少人数の暮らしが合いそうなら、グループホームと有料老人ホームの重要事項説明書を並べて、1階と2階を同じ形で書き出して比べます。有料老人ホームの特定施設入居者生活介護の利用料も、グループホームと同じく医療費控除の対象外の区分です。グループホームは原則として親の住む市町村の事業所に限られる点も、比べるときに忘れずに入れてください。
編集部の整理では、「どれが安いか」の答えは、親の所得と預貯金の区分を確かめた時点でかなり絞れます。施設の種類ごとの全体の相場は編集部では公的な統計を確認できていないので、比べるときは候補の施設ごとに、介護保険の自己負担と、家賃・食費・管理費を分けて書き出してください。施設の種類の選び方は、次のページにまとめています。
施設に入らず在宅で続けられる条件
グループホームの費用を調べていても、施設に入ることが唯一の答えではありません。在宅のサービスで必要な介護が回り、家族の負担と親の気持ちが折り合うなら、在宅で続ける選択もあります。
在宅では、家賃や食費は自宅での暮らしの費用のまま、介護保険のサービスを要介護度ごとの枠の中で使います。費用の形がグループホームとまったく違うので、月額だけを並べて比べると判断を誤ります。比べるべきは、必要な介護が在宅で回るかどうかです。
- 日中の見守りや通いのサービスで、親の一日が回っている
- 夜間に一人で外に出てしまうなど、家族が対応しきれない出来事が続いていない
- 火の始末や服薬など、危ない場面を見守りやサービスで補えている
- 主に介護する家族が、仕事や自分の暮らしを続けられている
- 親本人が自宅で暮らしたいと言っている
たとえば、要介護1で、昼間はデイサービスに通い、夜は同居の家族がいる母なら、在宅のまま続けやすい条件がそろっています。反対に、一人暮らしの父が夜間に何度も外に出てしまい、離れて住む子が毎週呼び出されているなら、グループホームを含めた住まいの変更を考える時期に入っています。同じ要介護度でも、家族の状況で答えは入れ替わります。
親がグループホームの話を拒んでいる場合は、施設を結論として切り出さず、在宅で続けるならそろえたい条件から話すほうが進みやすくなります。その順番は次の記事にまとめています。
編集部の整理では、上の条件のうち、そろわないものが増えてきたら住まいを考え始める合図です。担当のケアマネジャーに、「いまの在宅の計画で回っていないところはどこか」を聞くと、条件の欠けている場所が見えてきます。
グループホームを探すときと見学で見ること
グループホームは、親の住む市町村の介護保険の担当窓口か地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに聞くと、その市町村で使える事業所が分かります。原則として住所地の事業所に限られるので、探す範囲を先に決めておくと遠回りしません。
1つのユニットは5人以上9人以下の少人数で、居室は原則個室(7.43平方メートル以上)です(指定地域密着型サービスの基準93条)。少人数で暮らす分、ホームごとの雰囲気や方針の違いが暮らしに直接出ます。
出典:指定地域密着型サービスの基準93条(e-Gov法令API)
見学のときに確かめたいのは次の点です。
- 何ユニットの事業所か、取っている加算は何か(1階の金額に関わる)
- 家賃・食材料費・光熱水費・管理費の額と、入院・外泊中の扱い
- 入居のときに払うお金と、退去時に戻る条件
- 医療が必要になったとき、どこまでホームで対応し、どうなったら退去や転居の相談になるか
- 支払いが遅れたときの扱い
「ずっと住めるか」は、ホームごとの答えが違います。基準では、入院治療が必要になるなど、そのホームで必要なサービスを提供できなくなったときは、ほかの施設や病院を紹介することになっています。親の持病や今後の見通しを伝えて、そのホームの場合はどうなるかを具体的に聞いてください。
たとえば、2つのホームで迷ったら、1階の介護サービス費は規模と加算でほぼ決まるので、差が出る2階と、医療が必要になったときの方針の2点に絞って比べると決めやすくなります。親を見学に連れて行けるなら、食事の時間帯に合わせると、暮らしの様子が見えます。
編集部の整理では、見学は複数のホームを同じ質問の紙を持って回り、答えを同じ表に書き込むと比べやすくなります。資料をまとめて取り寄せてから見学先を絞る方法もあります。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
見学先を絞る前に、地域のグループホームの資料をまとめて取り寄せておくと、2階の費用(家賃・食費・管理費)と医療が必要になったときの方針を同じ表で比べられます。老人ホームの検索サイトでは、グループホームを地域で探して資料請求や見学の予約ができます。
入居したあとの実家とお金

親がグループホームに入ったあと、次に向き合うのは、誰も住まなくなった実家と、親のお金の管理です。費用の話が一段落したところで、実家をどうするかを早めに考え始めると、あとで慌てずに済みます。
グループホームは原則として親の住む市町村の事業所を使うので、入居先と実家は同じ市町村の中になります。実家を残すか、貸すか、売るかを急がずに決められる一方で、決めないでいると、空き家のまま管理だけが続きます。
- 実家の鍵・郵便物・公共料金の契約を誰が管理するか
- 固定資産税などの支払いを、親の口座から続けるか
- 実家を残すか、貸すか、売るかを、いつ家族で話すか
- 親の判断力があるうちに、お金の管理の方法を決めておくか
たとえば、親が老人ホームなどに入ったあとで実家を売る場合、一定の条件を満たせば空き家の特例が使えることがあります。条件が細かいので、売ることを考え始めた時点で確かめてください。
編集部の整理では、入居の手続きが終わったら、実家の管理を誰が担うかだけでも先に決めておきます。売る・貸すの判断は、そのあとで家族の都合と親の気持ちを聞きながら進めて間に合います。
よくある質問
グループホームの1か月の費用はいくらですか?
介護保険が効く介護サービス費と、家賃・食材料費・光熱水費などの合計です。介護サービス費は、上の「介護保険が効く費用は自分で計算できる」の表で、親の要介護度と負担割合の欄が基本の部分の目安になり、加算と地域の単価で増えます。家賃や食費は事業所ごとに決まるので、重要事項説明書で確かめてください。
特養とグループホームではどちらが安いですか?
施設の種類だけでは決まりません。特養は食費・居住費が負担限度額認定の対象で、親の世帯が非課税で預貯金が少なければ下がりますが、グループホームの家賃や食費は対象外です。認定に当たるかどうかを確かめてから、候補ごとに費用を書き出して比べてください。
グループホームに入る条件は何ですか?
要支援2以上の認定を受けていて、認知症であることです。事業者が主治の医師の診断書などで確かめ、少人数での共同生活に支障がないことも条件になります。原則として親の住民票がある市町村の事業所が対象です。
グループホームはずっと住めますか?
入院治療が必要になるなど、そのホームで必要なサービスを提供できなくなったときは、ほかの施設や病院を紹介することになっています。どこまでホームで対応するかは事業所ごとに違うので、見学のときに親の持病を伝えて聞いておいてください。
家賃や食費は介護保険で安くなりませんか?
家賃・食材料費・光熱水費は介護保険の給付の外にあり、原則として全額自己負担です。特養などで使える負担限度額認定もグループホームには効きません。市区町村によっては家賃等の助成の事業があるので、親の住む市区町村の介護保険の担当窓口に聞いてください。
1割と2割で、どれだけ違いますか?
介護サービス費の自己負担がそのまま倍になり、3割なら3倍になります。要介護度ごとの額は、上の表の1割・2割・3割の欄で比べられます。家賃や食費は割合に関係なく同じ額です。
離れて住む自分の家の近くのグループホームに親を入れられますか?
原則は、親の住民票がある市町村の事業所です。ほかの市町村のホームを使えるかどうかは、事業所のある市町村の指定や同意の扱いが関わるので、親の住む市町村と、呼び寄せたい先の市町村の介護保険の担当に確認してください。
順番のおさらい
- 費用の形:介護保険が効く介護サービス費と、全額自己負担の家賃・食材料費・光熱水費などの2階建て
- 入れる人:要支援2以上で認知症の人。原則は親の住民票がある市町村の事業所
- 介護サービス費:1日の単位数×日数×地域の単価×負担割合で出す。加算で増える
- 家賃・食費など:事業所ごとに決まる。重要事項説明書で、毎月決まった額と変わる額に分けて書き出す
- 軽くなる制度:介護サービス費は高額介護サービス費の対象。負担限度額認定は効かない。家賃等助成は市区町村ごと。利用料は医療費控除の対象外
- 年金で払えるか:月額ではなく、親の収入と貯金で何か月もつかで出す
- 特養・有料老人ホームとの違い:負担限度額認定に当たるかと、介護保険の上の扱いで分かれる
- 在宅で続ける条件:必要な介護が在宅で回るか、家族の暮らしが続けられるかで決まる
- 探し方と見学:住所地の事業所から探し、2階の費用と医療が必要になったときの方針を同じ表で比べる
- 入居後:実家の管理を誰が担うかを先に決め、売る・貸すはそのあとで考える
グループホームの費用は、相場の数字を追いかけるほど分からなくなります。手元にそろえるのは、親の認定の通知、負担割合証、候補のホームの重要事項説明書の3つです。1階を自分で出し、2階を書き出し、軽くなる制度を当てはめてから親の年金と貯金に並べれば、払えるかどうかと、何から家族で話せばいいかが見えてきます。
1単位の単価・家賃等助成の有無・地域密着型サービスの指定の扱いは自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

