- 一人暮らしの親に、老人ホームまでは要らないけれど見守りのある住まいを探したい
- 高齢者住宅とサ高住と老人ホーム、何が違うのかが分からない
- 見守りが付くと聞くけれど、誰がいつ来てくれるのか知りたい
- 介護が必要になったら、出ていかなければならないのか心配
- 入居条件は何歳から?夫婦で入れる?
- 月いくらかかるのか、何にお金がかかるのかを知りたい
- 入居一時金や敷金を払ったら、戻ってくるのか
- 親が住み替えたら、今の家はどうすればいいのか
上記のような悩みに答えます。
高齢者住宅は、高齢の親が暮らしやすいように見守りや相談が付いた「住まい」を指して使われる言葉で、その中心にあるのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。迷いやすいのは、住まいの名前が似ているせいで、老人ホームと同じように介護まで付いていると受け取ってしまう点です。検索の上位には県の案内ページや紹介サイトが並び、定義や一覧表は手に入りますが、「住宅として借りる」ことが介護の受け方・費用・住み続けられるかにどう響くのか、入院を理由に事業者が一方的に解約できない契約の基準、親が亡くなったときに契約がどうなるかまでは、つながった形で書かれていません。そこで、種類・付くサービス・入居条件という基本を押さえたうえで、月額の内訳と介護費の上限、契約で守られること、亡くなったときの扱いまで、高齢者住まい法・老人福祉法・介護保険法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。
高齢者向け住宅の中心は、見守りと生活相談が付いた賃貸住宅「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」で、都道府県知事の登録を受けています。付くのは見守りと相談で、介護は外の訪問介護などを使う形が基本です。老人ホームとは契約の形と介護の受け方が違うので、介護が必要になったときに住み続けられるかを契約の書面で確かめてください。
2026年10月時点の制度で確かめています
高齢者向け住宅の中心はサ高住

高齢者向けの住まいのうち、法律で登録の仕組みが決まっているのがサービス付き高齢者向け住宅です。高齢者住まい法は、高齢者向けの賃貸住宅、または有料老人ホームに、状況把握サービス(見守り)と生活相談サービスを付けたものを、都道府県知事の登録の対象にしています。登録は5年ごとに更新を受けます。
「高齢者住宅」という言葉そのものは、法律の名前ではありません。サ高住のほかにも、高齢者を対象にした賃貸や分譲の物件はありますが、サ高住の登録を受けていない物件では、見守りや相談が付くかどうかは物件ごとの契約で決まります。登録を受けていない住宅が「登録サービス付き高齢者向け住宅」やそれに似た名前を使うことは、法律で禁じられています。
| 見分けるところ | サ高住(登録あり) | 登録のない高齢者向けの物件 |
|---|---|---|
| 根拠 | 高齢者住まい法の都道府県知事の登録 | 物件ごとの契約 |
| 見守りと生活相談 | 登録の基準として付く | 付くかどうかは契約しだい |
| 契約の前の説明 | 登録事項などを書面で説明する義務 | 物件ごとの扱い |
| 確かめ方 | 都道府県の登録簿・登録事項の公示 | 契約書と物件の資料 |
ここで押さえたいのは、登録が「一定の基準に合っていることの確認」であって、暮らしやすさや費用の妥当さを保証するものではない点です。登録の基準は部屋の広さ・設備・見守りと相談・契約の中身などの最低限の線を決めているので、その上に何が付いているかは物件ごとに違います。
たとえば、パンフレットに「高齢者向け住宅」とだけ書かれた物件と「サービス付き高齢者向け住宅」と書かれた物件があれば、まず後者が登録を受けているかを登録簿で確かめます。前者が登録を受けていないなら、見守りが付くのか、付くなら誰が何をするのかを契約書で一つずつ確かめる、という順番になります。
候補を見たら、最初に「これはサ高住か、それ以外の物件か、老人ホームか」を一言で言える状態にしてください。そこが曖昧なまま家賃や設備を比べても、付いているはずのサービスの前提がそろいません。
出典:高齢者住まい法5条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法14条(e-Gov法令API)
老人ホームとの違いは契約と介護の受け方
サ高住と老人ホームの違いは、建物の見た目よりも、契約の形と介護をどこから受けるかにあります。賃貸住宅のサ高住は「部屋を借りて、見守りと相談を受ける」契約で、介護が要るときは外の事業所と別に契約します。
有料老人ホームは、老人福祉法で「入浴・排せつ・食事の介護、食事の提供その他の日常生活上必要な便宜」を供与する施設として定義され、設置するときは都道府県知事への届出が要ります。一方のサ高住は、高齢者住まい法の登録を受ける住宅です。有料老人ホームの形をした住まいがサ高住の登録を受けることもあり、その場合は老人福祉法の設置・変更・廃止の届出の規定がかかりません。どちらに当たるかで、根拠になる法律と確かめる書類が変わります。
| 比べるところ | サ高住(賃貸住宅の形) | 有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 根拠 | 高齢者住まい法の登録 | 老人福祉法の届出 |
| 契約の形 | 部屋の賃貸借(賃貸借でない場合は書面にその旨) | ホームとの入居契約(題名と中身は契約書で確かめる) |
| 必ず付くもの | 見守りと生活相談 | 食事・介護などの便宜のうち契約で決まるもの |
| 介護の受け方 | 外部の訪問介護など。特定施設の指定があれば住まいが提供 | 介護付はホームが提供、住宅型は外部のサービス |
| 費用の形 | 敷金・家賃・サービス費、前払金を受け取る場合もある | 前払金(入居一時金など)や月々の費用 |
| 住み続けられるか | 入院や心身の変化を理由に一方的に解約できない契約の基準 | ホームの類型と契約で決まる |
介護保険の上では、有料老人ホームもサ高住も「介護保険施設」ではありません。介護保険施設は特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院の3つで、有料老人ホームやサ高住では、居宅サービスか特定施設入居者生活介護を使って介護を受けます。
たとえば、母が一人暮らしで要支援の段階なら、賃貸住宅の形のサ高住に移り、必要なときだけ外の訪問介護を足す形が考えられます。同じ母でも、食事や入浴の介助を住まいの中でまとめて受けたいなら、介護付きの有料老人ホームのほうが条件に合います。どちらが上という話ではなく、介護を「外から呼ぶ」のか「住まいで受ける」のかの違いです。
迷ったら、候補ごとに「契約書の題名は何か」「介護はだれが提供するか」の2点を書き出して並べてください。この2点がそろうと、費用の比べ方や、介護が必要になったときに住み続けられるかの見通しが、同じ物差しで見られるようになります。老人ホーム全体の種類から見直したい場合は、次の記事で整理しています。
出典:老人福祉法29条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法23条(e-Gov法令API)/介護保険法8条(e-Gov法令API)
付くサービスは見守りと生活相談
サ高住で登録の基準として付くのは、状況把握サービス(見守り)と生活相談サービスの2つです。入浴・排せつ・食事の介助のような身体の介護は、この2つに含まれていません。
高齢者住まい法の施行規則は、見守りと相談の提供のしかたを次のように決めています。
- 原則として夜間を除き、敷地内か近くの建物に、資格を持つ人が常駐して2つのサービスを提供する
- 見守りは、部屋への訪問その他の適切な方法で、毎日1回以上行う
- 常駐する人がいない時間は、部屋に設けた通報の装置で状況を把握する
- 常駐する人は、医師・看護師・准看護師・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・介護職員初任者研修の修了者など(社会福祉法人や介護保険の指定事業者が運営する場合などは、そのサービスに従事する人)
見守りは「入居者の心身の状況を把握し、その状況に応じた一時的な便宜を供与する」サービス、生活相談は「日常生活を支障なく営めるように、相談に応じ必要な助言を行う」サービスとして法律で定義されています。日中に人がいて毎日様子を確かめ、困りごとの相談に乗る、というところまでが登録の基準の範囲です。夜間の常駐は基準の要件ではありませんが、事業者の判断で夜間も人を置くことはできます。また、入居者の状態から常駐しなくても支障がなく、あらかじめ入居者の承諾を得た場合には、常駐しない形も例外として認められています。
施行規則は、高齢者の生活を支えるサービスとして、見守り・相談のほかに、入浴・排せつ・食事などの介護、食事の提供、調理・洗濯・掃除などの家事、心身の健康の維持増進を挙げています。ただ、登録の基準で付けることが求められているのは見守りと相談だけです。食事が付くか、家事の手伝いが付くかは、物件ごとの登録事項と契約で決まります。
たとえば、夜中にトイレで転んだ場合を考えます。常駐の時間外なら、部屋の通報の装置で知らせることになり、そのあと誰がどう駆けつけるかは物件ごとの体制です。親が夜間の不安を強く訴えているなら、夜間の人の配置と通報したあとの流れを、見学のときに具体的に聞いておくことが欠かせません。
見守りの体制は、契約前に渡される書面と見学の両方で確かめてください。「常駐の時間帯」「常駐する人の資格」「毎日の見守りの方法」「通報の装置が鳴ったあとの対応」の4つを聞けば、親の不安に合う住まいかどうかを判断する材料がそろいます。
出典:高齢者住まい法施行規則11条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法5条(e-Gov法令API)
介護付きのサ高住と、外から介護を呼ぶサ高住
サ高住の介護の受け方は2つに分かれます。有料老人ホームに当たるサ高住で、都道府県から特定施設入居者生活介護の指定を受けたものは住まいが介護を提供する「介護付き」です。それ以外のサ高住では、外部の訪問介護や通所介護などを入居者が自分で契約して使います。
介護保険法は、有料老人ホームの居室を、訪問介護などの「居宅」に含めています。そのため、住宅型の有料老人ホームや外付けのサ高住に住む親は、自宅にいるときと同じように居宅サービスを使えます(訪問看護は、主治の医師が必要と認めた人が対象です)。特定施設入居者生活介護の指定を受けた住まいでは、住まいが立てた計画に沿って介護が提供され、その間は訪問介護・通所介護などを介護保険で別に使う形にはなりません。
- 住まいが立てた計画で介護を受ける
- 訪問介護やデイサービスは介護保険で別に使わない
- 介護付きと表示できる
- 外部の事業所と自分で契約する
- 訪問介護やデイサービスを組み合わせる
- 見守りと生活相談が基本
外付けのサ高住で使う居宅サービスには、要介護度ごとに1か月に使える上限(区分支給限度基準額)があり、その範囲なら負担は1〜3割、上限を超えた分は全額が自己負担です。介護付きの住まいでは、住まいの介護サービスの費用が介護保険の対象になり、家賃や食費などは保険の外になります。
たとえば、父が要介護1で外付けのサ高住にいる場合、日中のデイサービスと週に数回の訪問介護を、ケアマネジャーと相談して限度額の中で組み立てます。介護が重くなって訪問の回数を増やしたい段階になると、限度額の上限が近づきます。その時点で、介護付きの住まいへ移るか、限度額を超えた分を自費で払うかを比べることになります。
介護付きかどうかは、パンフレットの言葉ではなく「特定施設入居者生活介護の指定を受けているか」で確かめてください。契約前の書面に、介護保険の特定施設の指定を受けている場合は介護サービスの情報が載る決まりがあります。介護付きの有料老人ホームについては、次の記事で費用と中身を整理しています。
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省)
入れる人の条件は年齢と認定と同居者
サ高住に入れるのは、60歳以上の人、または要介護認定か要支援認定を受けている60歳未満の人です。介護が要らない元気な親でも、60歳以上なら入居の対象になります。
施行規則は、同居する人にも条件を付けています。同居者がいない場合のほか、同居するのが次のような人なら要件に合います。
- 配偶者
- 60歳以上の親族
- 要介護認定か要支援認定を受けている60歳未満の親族
- そのほか、特別な事情で同居させることが必要と知事が認める人
法律の上では、サ高住の入居者の資格は「自ら居住するため住宅を必要とする高齢者、またはその高齢者と同居する配偶者」です。親自身が住むための住まいであることが、資格の条件になっています。
たとえば、元気な母と、要介護認定を受けている父が一緒に移りたい場合、配偶者どうしなので同居の要件に入ります。一方、50代の子が親と一緒に住みたい場合は、その子が要介護・要支援の認定を受けているか、特別の事情があると都道府県知事が認めるかで扱いが分かれます。法令の要件は年齢・認定・同居者で決まっていて、認知症の人を受け入れるかどうかは物件ごとに確かめる部分です。
問い合わせの前に、親の年齢、介護認定の有無と要介護度、一緒に住む人の続柄と年齢をメモにまとめてください。物件側の受け入れの条件(認知症や医療的なケアへの対応など)は法令の要件の上に物件ごとに決まるので、その場で「この状態の親は受け入れていますか」と聞くと、話が早く進みます。
出典:高齢者住まい法施行規則3条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法7条(e-Gov法令API)
部屋の広さと設備の基準
サ高住の部屋の広さは、登録の基準として原則25㎡以上です。居間・食堂・台所など、入居者がみんなで使う部分に十分な広さがある場合は18㎡以上になります。
これは登録を受けるための最低限の線で、個々の物件の部屋が何㎡かは物件ごとに違います。また、都道府県や市町村が定める高齢者の居住の安定確保に関する計画によって、この基準が強められたり緩められたりすることがあります。
| 基準 | 原則 | 例外 |
|---|---|---|
| 部屋の広さ | 25㎡以上 | 共同で使う部分が十分なら18㎡以上 |
| 各部屋の設備 | 台所・水洗便所・収納・洗面・浴室 | 共用部分に台所・収納・浴室を備え、同等以上の環境なら各部屋に置かなくてよい |
| 共用にできない設備 | 水洗便所と洗面 | 例外の対象に入っていない |
設備の例外で共用にできるのは、台所・収納・浴室の3つだけです。水洗便所と洗面は、条文の上では各部屋に備えるのが原則のままです。原則は各部屋に5つの設備を備える形で、台所・収納・浴室だけは共用で補える例外があります。実際の設備は、登録事項と契約前の書面で物件ごとに確かめてください。
たとえば、パンフレットに「18㎡」と書かれた部屋があれば、その物件では共同で使う食堂や居間が十分にあることを前提に登録されている、と読みます。部屋で過ごす時間が長い親なのか、食堂で人と話すのが好きな親なのかで、同じ18㎡でも暮らしやすさの感じ方は変わります。
※サ高住の登録基準(部屋の広さや設備)は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
部屋の広さは、親が持っていきたい家具と、部屋で過ごす時間の長さで考えてください。見学では、部屋だけでなく共用の食堂・浴室を見て、親が毎日そこを使う姿を想像できるかを確かめるのが確実です。
出典:高齢者住まい法施行規則8条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則9条(e-Gov法令API)
月額の内訳と介護費の上限

サ高住の月額は、家賃・共益費・見守りと相談のサービス費・食費(付く場合)・介護費の合計で決まります。このうち介護保険が効くのは介護費だけで、それ以外は契約で決まった額をそのまま払います。
家賃やサービス費は物件ごとに自由に決められていて、一次資料の統計を確かめられていないため、この記事では相場を書きません。代わりに、どこが保険の内で、どこが保険の外かを先に分けておきます。
| 内訳 | 中身 | 介護保険との関係 |
|---|---|---|
| 家賃・共益費 | 部屋と共用部分の費用 | 保険の外 |
| サービス費 | 見守りと生活相談 | 保険の外 |
| 食費 | 食事を頼む場合 | 保険の外 |
| 介護費(外付け) | 訪問介護・通所介護などの居宅サービス | 限度額の範囲で1〜3割、超えた分は全額 |
| 介護費(特定施設) | 住まいの介護サービス | 保険の対象。家賃・食費・管理費などは外 |
もう一つ大事なのは、所得の低い人の食費・居住費を軽くする仕組み(負担限度額認定)が、サ高住や有料老人ホームには効かないことです。この仕組みの対象は、特養・老健・介護医療院・地域密着型特養・短期入所生活介護・短期入所療養介護の6つのサービスに限られています。
外付けのサ高住で使う居宅サービスの上限は、1単位10円の地域の目安で次のとおりです。
| 要介護度 | 1か月の上限(目安) | 1割負担なら |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 5,032円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 10,531円 |
| 要介護1 | 167,650円 | 16,765円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 19,705円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 27,048円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 30,938円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 36,217円 |
1単位の単価はサービスと地域で10円〜11.40円の幅があり、お住まいの地域で単価が違います。負担の割合は原則1割で、所得によって2割か3割になります。2割になるのは合計所得金額160万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身280万円以上(2人以上の世帯は346万円以上)の場合、3割は合計所得金額220万円以上で、同じ合計が単身340万円以上(2人以上の世帯は463万円以上)の場合です。
さらに、1か月に払う介護保険の自己負担には、世帯の所得に応じた上限(高額介護サービス費)があります。課税世帯〜課税所得380万円未満は世帯で44,400円、市町村民税が世帯で非課税なら世帯で24,600円です。上限を超えた分は申請すると戻り、保険給付を受ける権利は2年で時効になります(いつから数えるかは市区町村に確かめてください)。
たとえば、要介護1の親が1割負担で、限度額の167,650円いっぱいまで居宅サービスを使うと、自己負担は16,765円です。同じ使い方で2割負担なら33,530円、3割負担なら50,295円になります。これに家賃・共益費・サービス費・食費が足されたものが、その月に出ていくお金です。
※1単位の単価や地域区分は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
月額を比べるときは、候補ごとに「家賃・共益費」「サービス費」「食費」「介護費」の4つの欄を作り、介護費は親の要介護度と負担割合で見込んでください。介護費の見込みは、上のシミュレーターに要介護度と割合を入れると出せます。施設全体の費用の考え方は、次の記事にまとめています。
出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)/介護保険制度の概要(厚生労働省・PDF)/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)/地域区分(厚生労働省・PDF)
敷金・前払金と契約で守られること
サ高住の入居契約には、登録の基準として守るべき中身が決まっています。受け取れるお金は敷金・家賃等・家賃等の前払金に限られ、権利金その他のお金は受け取らない契約でなければ登録されません。
高齢者住まい法が入居契約に求めている主な中身を並べると、次のとおりです。
- 書面(電磁的記録を含む)で契約し、住む部分をはっきり示す
- 敷金・家賃等・家賃等の前払金のほかに、権利金その他のお金を受け取らない
- 前払金を受け取るなら、その算定の基礎と、返すお金の算定方法を契約で示す
- 入居後一定の期間内に契約が解除されたり、入居者が亡くなって終わったりしたら、前払金を返す
- 入院や心身の状況の変化を理由に、事業者が一方的に部屋を変えたり解約したりできない
- 工事が終わる前に、敷金や前払金を受け取らない
前払金の返還は、入居後3か月が過ぎるまでに契約が終わった場合、前払金から「家賃等の月額を30で割った額×入居した日から終わった日までの日数」を引いた額を返す形です。3か月を過ぎても、前払金の算定で想定した入居期間の中で終わった場合は、終わった日以降の日割りの家賃等を返す形になります。前払金を受け取る場合は、返すお金に備えた保全措置も登録の基準です。ただ、実際に戻る額は契約ごとに違い、全額が戻るとは限りません。
入院を理由にした解約の制限は、理由が生じたあとに入居者と事業者が部屋の変更や解約に合意した場合は除かれます。つまり、事業者が一方的に解約することはできないという基準で、どんな状態になっても住み続けられるという約束ではありません。
たとえば、父がサ高住に入ってまもなく入院し、退院の見通しが立たない場合を考えます。入院そのものを理由に事業者が一方的に解約することはできません。もし家族と話し合って解約することにして、前払金を払っていて、それが入居後3か月の中なら、住んだ日数分の家賃等を引いた前払金が返る計算になります。
※前払金を返す期間の扱いは自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
事業者には、契約を結ぶまでに、登録事項や契約の内容、前払金の返還額の推移などを書いた書面を渡して説明する義務があります。この書面で「権利金がないか」「前払金の算定の基礎と返還の推移」「保全措置」「解約の条項」の4か所を、契約の前に指でたどって確かめてください。
出典:高齢者住まい法7条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則12条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則14条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法17条(e-Gov法令API)
親が亡くなったときの契約
親が亡くなったときに契約がどう終わるかは、その住まいが「終身建物賃貸借」の認可を受けているかで変わります。サ高住の登録とは別の認可なので、サ高住だから終身の契約になる、とは限りません。
終身建物賃貸借は、借りた人が亡くなるまで続き、亡くなったときに終わる建物の賃貸借です。事業者が都道府県知事の認可を受けた場合に限って、この形の契約を結べます。対象は60歳以上の高齢者(同居者がいないか、同居者が配偶者か60歳以上の親族の場合)と、その高齢者と同居する配偶者です。認可の基準には、仮に入居するための1年以内の定期建物賃貸借の定めもあります。
| 契約の形 | 根拠 | 亡くなったとき |
|---|---|---|
| 終身建物賃貸借 | 高齢者住まい法の都道府県知事の認可 | 借りた人が亡くなったときに終わる |
| それ以外の賃貸借や入居契約 | 物件ごとの契約 | 契約書の定めで確かめる |
認可を受けていない住まいで亡くなったときの扱いは、この記事で確かめた条文の範囲では言い切れません。契約書の「契約の終了」の条項と、前払金があるならその返還の条項を、あわせて読む必要があります。
たとえば、夫婦で入居して夫が亡くなった場合、終身建物賃貸借なら、同居している配偶者が住み続けられるかどうかの定めが契約にあるかを確かめます。終身建物賃貸借でない契約なら、契約上の名義が誰か、亡くなったあと誰が手続きをするかを、入居の前に家族で決めておくと、あとで慌てずに済みます。
契約前の書面で「終身建物賃貸借の認可の有無」を確かめ、認可がなければ「亡くなったときに契約がどうなるか」を担当者に聞いて、答えが書面のどこに書いてあるかを示してもらってください。前払金がある場合は、亡くなったときの返還の扱いも同じ場で確かめます。
サ高住以外の選択肢
親の状態によっては、サ高住より合う住まいがあります。介護を住まいの中で受けたいなら介護付き有料老人ホーム、外のサービスを自分で選びたいなら住宅型有料老人ホーム、自立した生活に不安があり家族の手助けが受けにくいなら軽費老人ホーム、認知症があるならグループホームが候補に入ります。
それぞれの住まいは、根拠になる法律と入れる人の条件が違います。親の今の状態(自立・要支援・要介護)から当てはめると、次のように整理できます。
| 住まい | 入れる人の条件 | 介護の受け方 |
|---|---|---|
| サ高住 | 60歳以上、または要介護・要支援の認定 | 外部の居宅サービス(指定があれば住まいが提供) |
| 住宅型有料老人ホーム | ホームの入居時の要件 | 外部の訪問介護などを自分で選ぶ |
| 介護付き有料老人ホーム | ホームの入居時の要件 | ホームの特定施設入居者生活介護 |
| 軽費老人ホーム | 60歳以上で、自立した生活に不安があり家族の援助を受けにくい人 | 介護保険の契約は別 |
| グループホーム | 要支援2以上で認知症の人 | 共同生活の住居で介護を受ける |
軽費老人ホームは、無料または低額な料金で入れる老人ホームとして老人福祉法に定められています。利用料のうちサービスの提供にかかる費用は、所得の状況などを勘案して都道府県知事が定める額で、具体的な額は施設の資料か自治体で確かめる部分です。グループホームは地域密着型サービスで、原則としてお住まいの市町村の事業所を使います。
たとえば、母が要介護2で認知症の症状がはっきりしてきた場合、見守りが日中中心のサ高住では夜の不安が残ります。この段階ならグループホームや介護付き有料老人ホームが比べる候補になり、医療的なケアが日常的に要るなら、医療に強い住まいを別に探すことになります。
※軽費老人ホームの利用料は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
候補を広げるときは、親の状態を「自立」「要支援」「要介護」「認知症の有無」「医療的なケアの有無」の5つで書き出し、表の条件の列と照らしてください。元気なうちに入れる住まいを比べたい場合は、次の記事が役に立ちます。
出典:老人福祉法20条の6(e-Gov法令API)/軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)/介護保険法42条の2(e-Gov法令API)
今の家で暮らしを続けるという選択

サ高住で手に入る見守り・相談・外部の介護は、どれも今の家に持ち込める面があります。今の家での暮らしを支える手立てがそろっているなら、住み替えないほうが、親にとって慣れた暮らしを崩さずに済みます。
外付けのサ高住で使う介護は、自宅で使うのと同じ居宅サービスです。この場合の介護保険の限度額や負担割合は、自宅にいるときと変わりません。住み替えで新しく手に入るのは、主に「日中に人がいて毎日様子を確かめてもらえること」と「相談できる人が建物の中にいること」で、ここを今の家でどう補えるかが分かれ目になります。
今の家で続けやすいのは、次の条件がそろっているときです。
- 毎日の安否を、家族・近所・配食や見守りのサービスなどで誰かが確かめられる
- 困ったときの相談先として、地域包括支援センターやケアマネジャーとつながっている
- 必要な居宅サービスが、限度額の中で組み立てられている
- 段差や浴室など、家の中で転びやすい場所に手が打てている
- 親自身が、今の家での暮らしを続けたいと言っている
※見守りや配食などの支援の中身は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、母が要支援1で、近くに住む姉が週に何度か立ち寄り、残りの日は配食の受け取りで様子が分かる状態なら、毎日の安否は今の家でも確かめられています。逆に、父が遠方で一人暮らしをしていて、電話に出ない日に様子を見に行ける人がいないなら、サ高住の毎日1回以上の見守りがそのまま足りない部分を埋めます。
住み替えを決める前に、上の条件のうち欠けているものを家族で書き出してください。欠けているのが一つか二つで、今の家に足せるものなら、先にそれを足して様子を見る手があります。親が住み替えに気が進まないときは、在宅で続ける条件から話し始める手があります。
候補の探し方と見学で聞くこと
サ高住の候補は、登録の情報で「サ高住であること」と「介護の受け方」を確かめてから、契約前の書面で比べ、最後に親と見学する順に進めると迷いにくくなります。
サ高住の事業者は、登録事項をインターネットや見やすい場所への掲示で公示しなければならず、広告で事実と著しく違う表示や、実際より著しく良く見せる表示をすることも禁じられています。都道府県知事は事業者に報告を求めたり立ち入って検査したりでき、基準に合わないときは指示できます。紹介サイトの情報だけでなく、登録の情報と照らし合わせると、説明の食い違いに気づけます。
- 1登録を確かめるサ高住か、特定施設の指定があるか
- 2条件を合わせる親の年齢・認定・同居する人
- 3書面を取り寄せる権利金・前払金・解約の条項
- 4見学する見守りの体制と共用部分
- 5契約前に聞く亡くなったときと入院したとき
見学で確かめたいのは、書面だけでは分からないところです。
- 常駐する人がいる時間帯と、その人の資格
- 毎日の見守りをどんな方法でしているか
- 通報の装置が鳴ったあと、誰がどう動くか
- 外部の介護サービスを使っている入居者の暮らしぶり
- 食事が付くか、付くなら頼み方と食べる場所
※サ高住の登録の窓口や、登録の情報の見方は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、遠方の子が親と一緒に見学できるのが一度だけなら、事前に書面を読み、「入院したときの扱い」「亡くなったときの契約」「見守りの方法」の3つに付せんを貼って持っていきます。親には部屋と食堂の居心地を見てもらい、子は付せんの3か所を担当者に聞く、と役割を分けると、一度の見学で確かめられることが増えます。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
見学できる回数が限られるなら、先に資料を取り寄せて、「入院したときの扱い」「亡くなったときの契約」「見守りの内容」を読んでから行く施設を絞ると無駄がありません。老人ホームの検索サイトでは、サ高住や有料老人ホームを地域で探して資料請求や見学の予約ができます。
親が移ったあとの実家のこと
親がサ高住に移っても、実家はそのまま残ります。賃貸住宅の形のサ高住なら、いつか介護付きの住まいへ移ることもあり得るので、実家を戻り先として残すのか、手放すのかを、住み替えと一緒に考え始めておくと後が楽になります。
空き家のまま置くと、管理の手間と費用が続きます。親が判断する力を失ったあとは、親名義の家を売る手続きが進めにくくなることもあるため、親の考えを聞けるうちに方針を言葉にしておくことが鍵になります。
| 実家の行き先 | 先に決めること |
|---|---|
| 戻り先として残す | 誰がいつ風を通し、郵便を見るか |
| 売って住まいの費用に回す | 売る時期と、税の扱いを誰に聞くか |
| 家族が使う | 名義と費用の分担 |
| まだ決められない | 管理の担当と、決める期限 |
たとえば、父がサ高住に移って、母はすでに亡くなっていて、実家が父の名義の場合を考えます。父が元気なうちに「売ってよいか」「売ったお金を住まいの費用に回してよいか」を聞いておけば、あとで兄弟の考えが割れたときにも、父の意思を土台に話し合えます。
住み替えの準備で手いっぱいの時期ですが、「戻るか」「売るか」「誰が見るか」の3つだけでも親の言葉で聞いておいてください。実家をどうするかの考え方は、次の記事で順番に整理しています。
よくある質問
高齢者住宅の相場はいくらですか?
家賃やサービス費は物件ごとに自由に決められていて、一次資料の統計を確かめられていないため、相場の数字は書いていません。月額は家賃・共益費・サービス費・食費・介護費の合計で決まり、介護保険が効くのは介護費だけです。候補ごとにこの5つの欄を埋めて比べてください。
シニア向けの賃貸住宅にはどんな人が入れますか?
サ高住なら、60歳以上の人、または要介護認定か要支援認定を受けている60歳未満の人が対象です。同居できるのは配偶者や60歳以上の親族などに限られます。サ高住の登録を受けていない高齢者向けの物件は、入居の条件も見守りの有無も物件ごとの契約で確かめてください。
サ高住に入っていれば介護は受けられますか?
サ高住で必ず付くのは見守りと生活相談で、介護は含まれていません。介護が要るときは外部の訪問介護などを自分で契約して使います。特定施設入居者生活介護の指定を受けた住まいなら、住まいが介護を提供します。
介護が重くなったら出ていかないといけませんか?
入院や心身の状況の変化を理由に、事業者が一方的に部屋を変えたり解約したりできない契約が、登録の基準になっています。ただし、理由が生じたあとに双方が合意すれば変更や解約はできるので、どんな状態でも住み続けられるという意味ではありません。介護が重くなったときの扱いは、契約書と見学で具体的に確かめてください。
サ高住は入居一時金がかかりませんか?
サ高住が受け取れるのは敷金・家賃等・家賃等の前払金で、権利金などは受け取りません。ただ、家賃等の前払金を受け取る契約もあるので、一時金がかからないとは限りません。前払金がある場合は、算定の基礎と返還の推移、保全措置を書面で確かめてください。
親が亡くなったら契約はどうなりますか?
終身建物賃貸借の認可を受けた住まいなら、借りた人が亡くなったときに契約が終わる形です。認可はサ高住の登録とは別なので、すべてのサ高住がこの形とは限りません。認可の有無と、亡くなったときの契約と前払金の扱いを、契約前に確かめてください。
順番のおさらい
- 中心はサ高住:見守りと生活相談が付いた住宅で、都道府県知事の登録を受ける
- 老人ホームとの違い:契約の形と、介護を外から呼ぶか住まいで受けるか
- 付くサービス:原則として夜間を除き常駐、見守りは毎日1回以上、常駐しない時間は通報の装置。介護は含まれない
- 介護付きかどうか:特定施設入居者生活介護の指定を受けた住まいだけが介護付き
- 入れる人:60歳以上か要介護・要支援の認定を受けた人と、配偶者などの同居者
- 部屋の基準:原則25㎡以上、共同で使う部分が十分なら18㎡以上
- 月額:家賃・共益費・サービス費・食費・介護費の合計で、保険が効くのは介護費だけ
- 契約:権利金なし、前払金の返還と保全、入院を理由に一方的に解約できない
- 亡くなったとき:終身建物賃貸借は別の認可で、契約書で確かめる
- ほかの選択肢:介護付き・住宅型の有料老人ホーム、軽費老人ホーム、グループホーム
- 住み替えない道:毎日の安否と相談先が今の家でそろうなら続けられる
- 探し方:登録を確かめ、書面で比べてから親と見学する
- 実家:戻るか・売るか・誰が見るかを親の言葉で聞いておく
高齢者向け住宅を選ぶときに家族が決めているのは、「見守りのある住まいに移るかどうか」だけでなく、「介護が必要になったときに、どこから介護を受けるか」です。住宅という言葉に介護まで含めて期待せず、登録・介護の受け方・契約の3つを書面で確かめ、今の家で足せるものと比べたうえで決めてください。まずは候補の契約前の書面を取り寄せ、介護と入院と亡くなったときの扱いが書かれた場所に、家族で印を付けるところから始めてください。

