- 父の介護が重くなり、母も一人では暮らせない。2人一緒に入れる施設はあるのか
- 特養に夫婦で入れるのか、二人部屋はどの種類の施設にあるのか
- 父は要介護4、母は要介護1。介護度が違っても同じところに入れるのか
- 2人分だといくらになるのか。二人部屋は1人部屋を2つ借りるより安いのか
- 負担限度額認定は、夫婦の預貯金を合わせて見られるのか
- 介護費の上限は、夫婦で合わせて考えるのか
- 年金2人分で、施設の支払いを続けられるのか
- どちらかが先に亡くなったら、部屋と費用はどうなるのか
上記のような悩みに答えます。
夫婦で入れる老人ホームは、施設の検索サイトや運営会社の解説で、二人部屋のある施設の一覧や同室のよしあしとして厚く紹介されています。けれども、同じ部屋に入れるかどうかが施設の種類ごとの基準でどう決まっているか、介護度が違う夫婦では入れる施設の答えが変わること、食費・居住費の軽減の預貯金の条件が夫婦の合計で見られることは、一覧を眺めても出てきません。そこで、部屋の定め・入る人の要件・費用の形という基本を押さえたうえで、2人分の費用を1人ずつ出して足す手順と、世帯で効く上限、片方が先に亡くなったあとの見直しまで、省令・厚生労働省の通知と資料で確かめながら整理しました。
夫婦で同じ部屋に入れるかは、施設の種類ごとの基準で決まります。特養やケアハウスは1人部屋が基準で、必要と認められる場合に2人部屋にできる定めがあり、有料老人ホームやサ高住は施設ごとの部屋と契約によります。特養は要介護度の要件が1人ずつかかるので、介護度が違う夫婦は同じ施設に入れないことがあります。費用は1人ずつ計算して足し、軽減の預貯金の条件は夫婦の合計で見られます。
介護費の自己負担シミュレーター(限度額・負担割合・高額介護サービス費)
この記事の数字は2026年10月時点のものです。食費・居住費の基準費用額と負担限度額は2026年8月1日からの額、施設サービス費の単位数は令和6年度改定後の基本部分(加算を含まない)で書いています。
夫婦で入れるかは施設の種類で決まる

夫婦で同じ部屋に入れるかどうかは、施設ごとの好意や空き具合の前に、その施設の種類に当てはまる部屋の基準で枠が決まっています。特養・ユニット型の老健・ケアハウスは「1人部屋が基準で、必要と認められる場合は2人」、従来型の老健は「4人以下」、有料老人ホームは国の指針が「個室」を求めていて、二人部屋の定めは書かれていません。
根拠になる決まりは種類ごとに別々で、特養と老健は運営基準の省令、ケアハウスは軽費老人ホームの省令、有料老人ホームは厚生労働省の指導指針、サ高住は高齢者住まい法の登録基準です。省令に「夫婦」の語が出てくるものは無く、確認できた範囲で夫婦を例に挙げているのは、ユニット型の特養の解釈通知です。
| 施設の種類 | 部屋の定め | 夫婦の記載 | 入る人の要件 | 食費・居住費の軽減 |
|---|---|---|---|---|
| 特養(従来型) | 定員1人(必要と認められる場合は2人) | 省令・通知に無い | 原則要介護3以上 | 負担限度額認定の対象 |
| 特養(ユニット型) | 定員1人(必要と認められる場合は2人) | 通知が「夫婦で居室を利用する場合など」を例示 | 原則要介護3以上 | 負担限度額認定の対象 |
| 老健(従来型) | 療養室の定員4人以下 | 省令に無い | 要介護者 | 負担限度額認定の対象 |
| 老健(ユニット型) | 定員1人(必要と認められる場合は2人) | 省令に無い | 要介護者 | 負担限度額認定の対象 |
| ケアハウス | 定員1人(必要と認められる場合は2人) | 省令に無い(配偶者は年齢の例外あり) | 60歳以上で自立した生活に不安がある人 | 対象外 |
| 有料老人ホーム | 指針は個室 | 指針に無い | ホームが表示する入居時の要件 | 対象外 |
| サ高住 | 登録基準は25㎡以上 | 入居者と同居する配偶者を資格に含む | 60歳以上など | 対象外 |
出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準3条(e-Gov法令API)/同基準40条(e-Gov法令API)/介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準3条(e-Gov法令API)/同基準41条(e-Gov法令API)/軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準10条(e-Gov法令API)/有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(厚生労働省・PDF)/高齢者住まい法施行規則8条(e-Gov法令API)/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)
「部屋の定め」は作ってよい部屋の枠で、実際に二人部屋があるかは施設ごとです。夫婦の答えを大きく動かすのは右の2列で、特養は要介護度の要件が1人ずつかかり、軽減は特養・老健にだけあります。
たとえば、父が要介護4、母が要介護3の夫婦なら、2人とも特養の入所の対象になり、ユニット型の特養に二人部屋があれば、同じ部屋を相談できる位置にいます。同じ父と、要介護1の母の組み合わせでは、母は特養の原則の対象から外れるので、同じ部屋の前に、母がどこで暮らすかという問いが先に来ます。
編集部の整理では、候補の施設を調べる前に、夫婦それぞれの要介護度と、住民税が課税か非課税かを紙に書いておくのが近道です。その2つで、表の入る人の要件と食費・居住費の軽減の列が、親にどう当てはまるかが見えてきます。施設の種類そのものの違いは、次の記事で見ています。
特養・老健で同じ部屋に入る条件
特養で夫婦が同じ部屋に入るには、施設に二人部屋があることに加えて、入所の要件が夫婦それぞれにかかります。片方が入所の対象外のときの二人部屋の扱いは、通知には書かれていないので、施設に確かめることになります。老健は、従来型が「4人以下」の療養室、ユニット型が「1人、必要と認められる場合は2人」で、夫婦が同じ部屋になれるかは施設に確かめる話です。
特養の居室は、従来型もユニット型も、省令で「一の居室の定員は1人。ただし、入所者へのサービスの提供上必要と認められる場合は2人」と決まっています。広さは、従来型が入所者1人当たり10.65平方メートル以上、ユニット型が10.65平方メートル以上で、2人の場合は21.3平方メートル以上です。ユニット型の特養については、厚生労働省の解釈通知が、2人部屋にできる例として「夫婦で居室を利用する場合など」を挙げています。つまり、省令が2人部屋の枠を作り、通知がその例として夫婦を示している、という二段の形です。
出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(厚生労働省)
一方で、特養の入所の対象は原則として要介護3以上で、要介護1・2の人は、家での生活が難しいことについてやむを得ない事由があると認められたときの特例入所です(介護保険法施行規則17条の9・17条の10)。この要件は夫婦の単位ではなく、1人ずつにかかります。また、空きより申込者が多いとき、施設は介護の必要の程度と家族等の状況を勘案して、必要性が高い人を優先するよう努めることになっていて、入所は申込順では決まりません。
出典:介護保険法施行規則17条の9(e-Gov法令API)/同規則17条の10(e-Gov法令API)/指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準7条(e-Gov法令API)
- 施設に二人部屋(ユニット型なら21.3平方メートル以上の居室)があるか
- 夫婦がそれぞれ要介護3以上か、要介護1・2なら特例入所に当たるか
- 2人の入所の判定が同じ時期に進むか(判定は1人ずつ)
- 入所の後で、片方の状態が変わったときに部屋をどうするか
特養の順番の付け方は、関係する自治体と団体が作る入所指針で決まり、指針は公表されています。通知が例として挙げる勘案事項には、単身世帯か、同居の家族が高齢や病弱か、という家族の状況が入っています。高齢の配偶者が介護を担っている夫婦は、その配偶者の年齢や体の状態が家族の状況として伝わるよう、申し込むときに具体的に伝えてください。
※特養の入所の判定に使う入所指針は都道府県・市区町村によって違います。お住まいの都道府県・市区町村の入所指針を確認してください。
たとえば、要介護3の父と母が同じユニット型の特養に申し込んでも、判定は別々なので、父が先に入り母が後になることがあります。母が後から同じ部屋に入れるかは施設の判断なので、申し込むときに夫婦で同じ部屋を希望していると伝え、先に1人だけ入る場合の扱いを聞いておいてください。
老健については、省令に「夫婦」の語は無く、条文には夫婦の同室を想定した定めも見当たりません。夫婦で同じ部屋に入れるかは、入所を考える老健に直接確かめてください。特養と有料老人ホームの全体の違いは、次の記事で比べています。
特養と有料老人ホームの違い|費用・入れる時期・待つか入るかの判断
有料老人ホーム・サ高住・ケアハウスの二人部屋
有料老人ホーム・サ高住・ケアハウスで夫婦が同じ部屋に入れるかは、そのホームや住宅に二人用の部屋があるかと、入居の契約で決まります。国の基準が夫婦の同室を約束しているわけでも、禁じているわけでもありません。
有料老人ホームの指導指針は、居室を個室とし、入居者1人当たりの床面積を13平方メートル以上としています。指針の文言に二人部屋や夫婦の扱いは書かれていないので、指針からは「夫婦の二人部屋が認められる」とも「認められない」とも言えません。サ高住は、登録の基準として各居住部分の床面積が原則25平方メートル以上で、入居者の資格に「高齢者と同居するその配偶者」が含まれています。ケアハウス(軽費老人ホーム)は、居室の定員が1人で、サービスの提供上必要と認められる場合は2人、2人の場合の床面積は31.9平方メートル以上です。
出典:有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(厚生労働省・PDF)/高齢者の居住の安定確保に関する法律5条(e-Gov法令API)/同法施行規則3条(e-Gov法令API)/軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準10条(e-Gov法令API)
介護の受け方も違い、サ高住のうち有料老人ホームの定義に当たり特定施設の指定を受けたものだけが、介護付と同じ形になります。
| 有料老人ホーム | サ高住 | ケアハウス | |
|---|---|---|---|
| 部屋の基準 | 指針は個室・1人当たり13平方メートル以上 | 原則25平方メートル以上 | 定員1人(必要なら2人・31.9平方メートル以上) |
| 夫婦について | 指針に記載なし | 同居する配偶者を入居者の資格に含む | 60歳以上の要件に配偶者の例外がある |
| 介護の受け方 | 介護付はホームから、住宅型は外の事業所 | 外の事業所(特定施設の指定があればホームから) | 外の事業所(特定施設の指定があればホームから) |
| 確かめる書類 | 重要事項説明書・入居契約書 | 登録情報・重要事項説明書・契約書 | 重要事項説明書・契約書 |
出典:有料老人ホームの設置運営標準指導指針(厚生労働省・PDF)/サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム FAQ/軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)/介護保険法8条(e-Gov法令API)
ケアハウスの入所者の要件は、60歳以上で、身体機能の低下などで自立した生活に不安があり、家族の援助を受けにくい人です。60歳の要件には、配偶者など共に入所させることが必要と認められる人の例外があるので、夫が60歳以上で妻が60歳未満という夫婦でも、共に入所させることが必要と認められる場合は入所できる、という定めが省令にあります。ただし、ケアハウスは要介護度を入所の条件にしていない一方で、介護が必要になったときの受け入れ方は施設ごとです。
たとえば、2人とも介護が要らないか軽い夫婦なら、サ高住やケアハウスの二人用の部屋で、いまの暮らしに近い形を続ける道があります。同じ夫婦でも、夫の介護が重くなりつつあるなら、住宅型やサ高住では外の訪問介護の量が増えていくので、介護付のホームや、夫だけ特養に申し込む形も並べて考えることになります。
この3つは「部屋があるか」より「どちらかの介護が重くなっても住み続けられるか」で比べると、後で困りません。費用の形は次の記事にまとめています。
介護度が違う夫婦の入り方
介護度が違う夫婦の入り方は、同じ施設の同じ部屋、同じ施設の別の部屋、別々の施設、片方だけ入って片方は家に残る、の4つに分かれます。どれが取れるかは、介護度が軽いほうの人が、候補の施設の入る人の要件に当たるかで決まります。
特養は要介護度の要件が1人ずつかかるので、夫が要介護4で妻が要介護1なら、夫は特養の対象、妻は特例入所に当たるかの判断になります。有料老人ホームは、入居時の要件を「入居時自立」「入居時要介護」「入居時要支援・要介護」「入居時自立・要支援・要介護」の4つの区分で表示していて、最後の区分のホームなら、夫婦の状態が違っても要件の上では2人とも対象になります。サ高住は60歳以上などが資格で、要介護度は入居の要件ではありません。
- 2人とも入る人の要件に当たるか
- 二人部屋の有無と、部屋代の分け方
- 片方の状態が変わったときの部屋
- 片方の要介護度で選べる施設が広がる
- 2か所の費用と、面会の行き来
- 家に残る人の暮らしと介護の担い手
出典:有料老人ホームの設置運営標準指導指針(厚生労働省・PDF)
片方に認知症があり、もう片方には無い夫婦では、認知症の人だけがグループホーム(認知症対応型共同生活介護)に入る形もあります。グループホームに入れるのは、認知症であって要支援2以上の人で、1ユニットは5人以上9人以下の共同生活です。地域密着型サービスなので、原則として住民票のある市町村の事業所を使い、家賃・食費・光熱水費は保険の対象外で、負担限度額認定でも下がりません。認知症の無い配偶者は入れないので、配偶者は家か別の住まいで暮らすことになります。
出典:介護保険法施行規則22条の20(e-Gov法令API)/指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準93条(e-Gov法令API)/介護保険法42条の2(e-Gov法令API)
たとえば、要介護4の父と要介護1の母の場合、父は特養に申し込み、母は家に残ってデイサービスなどを使う形と、2人で「入居時自立・要支援・要介護」の区分の介護付有料老人ホームに入る形の2つが候補になります。前者は、世帯の課税状況と預貯金が負担限度額認定の条件に当たれば父の食費・居住費が下がる一方で、母の家での暮らしをどう支えるかが残ります。後者は2人が同じ建物にいられる一方で、食費・家賃の軽減が無く、2人分のホームの額がそのまま毎月かかります。
母の要介護度が区分変更で上がる見込みがあるなら、特養の対象になってから2人で申し込む道も出てきます。今後の見込みをケアマネジャーに聞いておいてください。グループホームの費用の組み立ては、次の記事で見ています。
2人分の費用は1人ずつ出して足す

夫婦2人分の月額は、1人ずつの月額を出してから足します。介護サービス費はそれぞれの要介護度の単位数に地域の単価と負担割合を掛け、食費も1人ずつ数えます。居住費や家賃が部屋単位か1人単位かは、施設と契約で確かめる部分です。
介護保険の給付は、1人ずつの要介護度と負担割合で決まります。特養の介護サービス費は1日の単位数で決まり、令和6年度改定後の基本単位数は、ユニット型個室で要介護3が815単位、要介護4が886単位です。1単位の単価は施設のある地域の区分で10円から10.90円まで分かれ、負担割合は原則1割、所得によって2割・3割です。夫婦で要介護度が違えば、介護サービス費も違う額になります。
- 11人ずつ介護費を出す要介護度の単位数×単価×負担割合
- 2食費を1人ずつ足す1日の額×30日
- 3居住費・家賃を確かめる部屋単位か1人単位か、契約で見る
- 42人分を足す介護費は世帯の上限で見直す
たとえば、1単位10円の地域で、2人とも1割負担の夫婦が、特養のユニット型個室に1部屋ずつ入り、負担限度額認定を受けずに食費・居住費が基準費用額どおりの場合です。要介護4の夫は、介護サービス費が886単位×30日=26,580単位で26,580円、食費が1,545円×30日で46,350円、居住費が2,066円×30日で61,980円、合わせて134,910円です。要介護3の妻は、815単位×30日で24,450円、食費46,350円、居住費61,980円で、合わせて132,780円です。2人分は267,690円になります。
この額は加算を含まない目安で、日常生活費は別です。認定を受けない人の食費・居住費は施設との契約で決まるので、実際の額は施設で確かめてください。
※1単位の単価や負担限度額認定の申請の扱いは地域によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
二人部屋が1人部屋を2つ借りるより安いかは、料金表の居住費・家賃の欄を比べて確かめます。介護サービス費は1人ずつの要介護度で決まりますが、特養や老健では部屋の種類(個室・多床室・ユニット型)によって単位数が変わることがあるので、同じ種類の部屋どうしで比べてください。二人部屋の居住費・家賃が1部屋分なのか2人分なのかは施設ごとなので、料金表の「1人当たり」「1室当たり」の書き方を見てください。
有料老人ホームの場合は、介護付なら介護サービス費が特定施設入居者生活介護の単位数(要介護3で679単位、要介護4で744単位)で1人ずつ決まり、これに家賃・食費・管理費などのホームの額が加わります。住宅型やサ高住では、外の訪問介護などを1人ずつの区分支給限度基準額の中で使います。入居一時金(前払金)が1人ずつか1室分かも、契約で確かめる項目です。
出典:指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省)/介護報酬の算定構造(厚生労働省・PDF)/地域区分(厚生労働省・PDF)/介護サービス情報公表システム「利用者負担の軽減について」(厚生労働省)/介護保険法48条(e-Gov法令API)
編集部の整理では、2人分の見積もりは、表の行を「夫の介護費・妻の介護費・夫の食費・妻の食費・部屋代・その他」の6つに分けて書くと、施設どうしを同じ物差しで比べられます。有料老人ホームの費用の形は、次の記事で見ています。
夫婦・世帯で見られる軽減と上限
特養・老健の食費・居住費を下げる負担限度額認定は、預貯金の条件が夫婦の合計で見られ、住民税非課税の条件には配偶者も入ります。介護サービス費の自己負担の上限(高額介護サービス費)は、同じ世帯の人の自己負担を合わせて見ます。夫婦で入るときは、この3つが単身とは違う形で効きます。
負担限度額認定の所得の条件は、世帯全員が市町村民税非課税であることが前提で、ここでいう「世帯全員」には、別の世帯の配偶者も含まれます。預貯金等は、本人と配偶者が持つ現金・預貯金・有価証券などの合計で見ます。
| 段階 | 所得の条件(世帯全員が市町村民税非課税) | 預貯金等(単身) | 預貯金等(夫婦) |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護を受けている人など/老齢福祉年金を受けている人 | 要件なし/1,000万円以下 | 要件なし/2,000万円以下 |
| 第2段階 | 年金収入等が82.65万円以下 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
| 第3段階① | 年金収入等が82.65万円超120万円以下 | 550万円以下 | 1,550万円以下 |
| 第3段階② | 年金収入等が120万円超 | 500万円以下 | 1,500万円以下 |
出典:介護保険法施行規則83条の5(e-Gov法令API)/介護サービス情報公表システム「利用者負担の軽減について」(厚生労働省)
夫婦の欄は単身の欄の2倍ではないので、表の数字どおりに見ます。また、夫が課税で妻が非課税という夫婦では、世帯を分けても配偶者の課税は外れないので、妻だけが第1〜第3段階になることはありません。行方不明などの例外の当てはめは、市区町村に確かめてください。
課税世帯でも、介護保険施設か地域密着型の特養に入所している人で、世帯員が2人以上いて、次の4つすべてに当てはまれば、負担限度額の対象になる特例があります。夫婦の片方が施設に入り、もう片方が家に残る世帯が当てはまりうる特例です。
- 世帯の年収等から、施設の利用者負担・食費・居住費の年額を引いた額が82.65万円以下
- 世帯主・世帯員・配偶者の預貯金等が450万円以下
- 住んでいる家など日常生活に必要な資産のほかに、使える資産が無い
- 介護保険料などの滞納が無い(災害など特別の事情がある場合を除く)
差し引きの計算は複雑なので、当てはまりそうなら市区町村に確かめてください。
たとえば、前の段の夫婦が2人とも第2段階に当たる場合、ユニット型個室の食費は1日390円、居住費は1日880円で、1人の30日分は38,100円、2人で76,200円です。2人の介護サービス費の自己負担は26,580円と24,450円で、合わせて51,030円です。世帯全員が市町村民税非課税の世帯の上限は月24,600円なので、同じ世帯として扱われる場合は申請で26,430円が戻り、月の負担は100,800円になります。
高額介護サービス費の上限は、課税所得690万円以上の世帯で月140,100円、380万円以上690万円未満で93,000円、それより下の課税世帯で44,400円、市町村民税非課税の世帯で24,600円です。非課税で年金収入等とその他の合計所得が82.65万円以下の人は、個人の上限が月15,000円です。上限は介護サービス費の自己負担に当てはめるもので、食費・居住費は上限の計算に入りません。
課税世帯(課税所得380万円未満)で1割負担の夫婦が、同じ介護サービス費(2人で51,030円)を払い、同じ世帯として扱われる場合は、世帯の上限44,400円を超えるので、申請で6,630円が戻ります。1人ずつでは上限を超えていなくても、同じ世帯として2人分を合わせると超える、というのが夫婦で入る場合の特徴です。
出典:介護保険法51条(e-Gov法令API)/高額介護サービス費の負担上限額(厚生労働省・PDF)/介護保険法200条(e-Gov法令API)
高額介護サービス費は申請しないと戻らず、受け取る権利は2年で時効になります。いつから数えるかは市区町村に確かめてください。夫婦が施設に移ったときに住民票の世帯がどうなるかで、世帯で合わせられるかが変わるので、転居の届けを出す前に市区町村で聞いておくと確実です。
社会福祉法人が運営する特養では、法人が申し出ていれば、利用者負担を原則4分の1軽減する仕組み(社会福祉法人等による利用者負担軽減)もあります。対象は、世帯非課税で、年間収入と預貯金等がそれぞれ世帯の人数に応じて加算される額以下であることなど、通知の要件をすべて満たし、市町村が生計困難と認めた人です。夫婦の世帯は単身より額が加算される形なので、額は市区町村で確かめてください。実施していない法人もあるので、市区町村での確認証の申請と、施設への確認の2つが要ります。
出典:社会福祉法人等による利用者負担軽減制度の取扱い(厚生労働省・PDF)
認定の段階の判定と申請の進め方は、次の記事にまとめています。
年金2人分で払えるかの出し方
年金2人分で払えるかは、「2人分の月額−夫婦の年金の1か月あたりの手取り」で毎月の持ち出しを出し、夫婦の預貯金をその額で割ると見えてきます。2人分の月額は、前の2つの段で出した額に、日常生活費と、家に残る費用を足したものです。
年金は夫婦で合わせて計算しますが、介護保険の負担割合は1人ずつの所得で決まり、2割負担になるのは、合計所得金額が160万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額が単身280万円以上、2人以上世帯346万円以上の人です。3割負担は、合計所得金額220万円以上で、単身340万円以上、2人以上世帯463万円以上です。夫婦それぞれの介護保険負担割合証を見て、1割で計算してよいかを先に確かめてください。
たとえば、前の段の課税世帯の夫婦が同じ世帯として扱われる場合、2人分の267,690円から高額介護サービス費で戻る6,630円を引くと、月の目安は261,060円です。厚生労働省が示す令和8年度のモデル年金(平均的な収入で40年間働いた夫の厚生年金と、夫婦2人分の満額の老齢基礎年金の合計)は月237,279円で、このモデルの額(額面)どおりの年金なら、月23,781円が年金では足りない計算になります。
モデル年金は給付水準の目安で、実際に受け取っている額の平均ではありません。親の年金は、年金額の通知や通帳への入金で確かめ、額面ではなく振り込まれる額を使ってください。
- 夫婦それぞれの要介護度・負担割合証・住民税の課税状況を書き出す
- 候補の施設で、1人ずつの介護費と食費、部屋代の分け方を聞いて2人分を出す
- 負担限度額認定と高額介護サービス費が効くかを当てて、月額を直す
- 夫婦の年金の手取りを月額に直して引き、毎月の持ち出しを出す
- 夫婦の預貯金を持ち出しで割り、何か月払い続けられるかを出す
片方だけが入所する場合は、家に残る配偶者の光熱費や食費、固定資産税も同じ年金から出ていくので、施設の費用と同じ表に並べてください。
編集部の整理では、払えるかの判断は「何か月払えるか」の月数で見ると、家族で話しやすくなります。月数が短く出たときは、軽減が効く特養への申し込みや、片方だけ先に入る形を並べて、もう一度計算してください。
片方が先に亡くなったとき
夫婦のどちらかが先に亡くなったあと、残った人が同じ部屋に住み続けられるか、部屋代がどうなるかは、施設の種類と入居の契約で決まります。この記事で確かめた基準には「二人部屋の片方が亡くなったら」という決まりは書かれていないので、入居前に契約書で確かめておく項目です。
費用の面では、2人分で見ていた仕組みが1人分に戻ります。負担限度額認定の預貯金の条件は単身の欄で見ることになり、世帯の課税状況や預貯金が変わって要件に当てはまらなくなったときは、認定証を市町村に返す必要があります。高額介護サービス費も、世帯で合わせていた分が1人分の計算になります。
- 二人部屋に1人で住み続けられるか、1人部屋への移動になるか
- 二人部屋の部屋代が、1人になったときに変わるか
- 入居一時金(前払金)が1人ずつの契約か、2人で1つの契約か
- 負担限度額認定の段階が、単身の条件で見直しになるか
有料老人ホームとサ高住の前払金には、入居後3か月以内に、契約の解除や入居者の死亡で契約が終わったときの返還の定めがあります。ただし、2人で1つの契約か、1人ずつの契約かは契約ごとなので、片方が亡くなったときの前払金の扱いは契約書で確かめてください。返る額は契約ごとなので、重要事項説明書の前払金の欄で確かめてください。サ高住では、入居者の資格に「同居するその配偶者」が含まれているので、入居者が亡くなったあとの配偶者の扱いも契約書で見ておきます。
出典:老人福祉法施行規則21条(e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則12条(e-Gov法令API)/高齢者の居住の安定確保に関する法律7条(e-Gov法令API)
たとえば、ユニット型の特養の二人部屋に夫婦で入り、父が先に亡くなった場合、母がそのままその部屋にいられるか、1人部屋に移るかは入居の契約と施設の運用によります。同時に、収入の面では父の年金が止まり、母に遺族年金が出るかどうかで、持ち出しの計算が変わります。施設には部屋と部屋代、年金事務所には遺族年金、市区町村には認定の見直しを、それぞれ聞いてください。
父が亡くなったあとの母の年金の流れは、次の記事でまとめています。
2人とも在宅で続ける条件
夫婦2人とも施設に入らず、家で続ける道もあります。続けられるかは、2人の介護の量が限度額の中で回るか、夜間を誰が見るか、介護している配偶者の体が持つか、子が動ける時間があるか、の4つから確かめます。
在宅サービスは、1人ずつの要介護度の区分支給限度基準額の中で使えます。1単位10円の地域の目安で、要介護1が月167,650円、要介護3が270,480円、要介護4が309,380円までで、その1〜3割を払います。2人が認定を受けていれば、限度額も1人ずつあります。ショートステイは負担限度額認定の対象で、第2段階なら食費は1日600円です。
出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
- 介護の量:2人に要る訪問介護やデイサービスが、それぞれの限度額の中に収まっている
- 夜間の体制:夜中のトイレや見守りを、配偶者か訪問のサービスで担えている
- 介護する配偶者の体:介護している側の体調が崩れたとき、代わりの担い手がいる
- 子の時間:通院の付き添いや手続きに、子が動ける日がある
たとえば、要介護3の父を要介護1の母が支えている夫婦なら、父のデイサービスとショートステイで母の休みを作り、母も自分の限度額で訪問介護を使えば、家で続ける条件はそろっています。同じ夫婦でも、母が転んで入院すると、父を見る人がいなくなり、条件が一度に崩れます。そのときに父をショートステイで受けてもらえる事業所を、先に決めておくことが家で続ける前提になります。
親が施設に入ることを拒んでいるときの話の進め方は、次の記事で扱っています。
夫婦の場合は介護している配偶者自身の状態も条件に入るので、ケアマネジャーとの面談のたびに、その配偶者の体調も一緒に見直してください。
見学で夫婦の入居について聞くこと

夫婦の入居で見学のときに聞くことは、二人部屋の有無より、2人の状態が変わったときの扱いのほうが多くなります。入居の時点で同じ部屋に入れても、片方の介護度が上がる、入院する、亡くなる、のどれかは、いずれ起こるからです。
部屋代の分け方や片方が変わったときの扱いは施設ごとなので、重要事項説明書や契約書で確かめ、書かれていなければ口頭で聞いて、施設ごとに同じ順番で書き留めてください。
- 二人部屋の数と広さ、空きが出たときの順番
- 部屋代・家賃は1室当たりか1人当たりか
- 入居一時金(前払金)は1人ずつか、2人で1つの契約か
- 介護の受け方(施設の介護か、外の事業所か)と、2人の介護費の出し方
- 片方の介護度が上がったとき、入院したとき、亡くなったときの部屋の扱い
- 夫婦の片方だけが先に入る場合、後からもう片方が同じ部屋に入れるか
有料老人ホームでは、重要事項説明書を書面で受け取って比べます。サ高住は、入居の契約が書面で、居住部分が明示されていることが登録の基準で、入院や心身の状況の変化を理由に、事業者が一方的に部屋を変えたり解約したりできない契約であることも基準に入っています(理由が生じたあとに双方が合意した場合を除く)。
出典:老人福祉法施行規則20条の7(e-Gov法令API)/高齢者の居住の安定確保に関する法律7条(e-Gov法令API)
たとえば、2つのホームで二人部屋の月額が近く見えても、片方は部屋代が1室分で、もう片方は1人分ずつ、ということがあります。見学の帰りに、前の段の6つの欄の表に書き入れておけば、候補が増えても同じ物差しで比べられます。施設の候補を広げるときは、在宅か施設かの入口のページから種類ごとの記事をたどってください。
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夫婦で入れる部屋があるかは、施設ごとに確かめるしかありません。老人ホームの検索サイトでは、地域と予算で絞って、二人部屋のある有料老人ホームやサ高住などの資料をまとめて取り寄せられます。届いた資料は、部屋代の欄と1人ずつかかる費用の欄に分けて、この記事の計算と同じ形で並べてください。
入居したあとの実家
両親が2人とも施設に入ると、郵便物や光熱費の契約、鍵の管理、固定資産税の通知を受け取る人が実家にいなくなるので、入居の手続きと並行して決めておく必要があります。
最初に話し合うのは、「誰がいつ家の様子を見に行くか」で、貸すか売るかはその後の話です。両親の判断ができるうちに、家の扱いについての希望を2人それぞれから聞いておくと、あとで話し合うときの手がかりになります。
たとえば、父と母が別々の施設に入った場合、郵便を子の家に転送でまとめ、月に何度誰が実家を見に行くかを決めておくだけで、ポストがあふれる事態を避けられます。
次に来ることを先に知っておくと、両親の入居のあとの実家の問題を慌てずに迎えられます。
よくある質問
夫婦で老人ホームに入るには何歳からですか?
施設の種類で違います。サ高住は60歳以上か、要介護・要支援の認定を受けている人が資格で、ケアハウスは60歳以上で、配偶者には年齢の例外があります。特養は年齢ではなく、要介護度(原則要介護3以上)が入所の要件です。
夫婦別々の老人ホームに入ることはできますか?
できます。介護度が違う夫婦では、片方が特養、片方が有料老人ホームやグループホームという組み合わせになることもあります。その場合は2か所の費用を1人ずつ出して足し、介護サービス費は世帯の上限で見直せるかを市区町村に確かめてください。
サ高住の夫婦部屋の費用はいくらですか?
サ高住の家賃は住宅ごとに決まり、国の統計で示された相場は無いので、この記事では金額を書いていません。介護サービス費は1人ずつの要介護度で外の事業所を使った分の1〜3割、家賃・食費などは住宅の額です。家賃が1室分か1人分かを契約で確かめてください。
公的な施設で夫婦が一緒に入れるところはありますか?
特養はユニット型について厚生労働省の通知が「夫婦で居室を利用する場合など」は2人部屋にできると例示していて、ケアハウスも必要と認められる場合は2人部屋にできます。ただし、実際に二人部屋があるかは施設ごとで、特養は2人それぞれが入所の対象になることが前提です。
負担限度額認定は夫婦の預貯金を合わせて見られますか?
見られます。預貯金等は本人と配偶者の合計で判定し、夫婦の場合の額は第2段階で1,650万円以下などと決まっています。住民税非課税の条件も、別の世帯の配偶者を含めて見ます。
順番のおさらい
- 入れるか:同じ部屋に入れるかは施設の種類ごとの部屋の基準で決まる
- 特養・老健:2人部屋の枠と1人ずつの入所の要件の両方が要る
- 有料・サ高住・ケアハウス:二人部屋の有無と契約で決まる
- 介護度が違う夫婦:同じ部屋・同じ施設の別室・別々の施設・片方は家、の4つから選ぶ
- 費用:1人ずつ出して足し、二人部屋との違いは部屋代の欄と部屋の種類ごとの単位数で見る
- 軽減と上限:預貯金は夫婦の合計、非課税は配偶者も、介護費の上限は世帯で見る
- 年金:2人分の月額から年金の手取りを引き、何か月払えるかで見る
- 片方が亡くなったとき:部屋と部屋代は契約、認定と上限は単身の計算に戻る
- 在宅で続ける条件:介護の量・夜間・介護する配偶者の体・子の時間
- 見学:2人の状態が変わったときの扱いを、施設ごとに同じ順番で聞く
- 入居のあと:空いた実家を誰が見に行くかから話す
夫婦で入れる老人ホームを探すとき、最初に見るのは二人部屋の写真ではなく、2人それぞれの要介護度と、住民税の課税・非課税、夫婦の預貯金の合計です。この3つが分かれば、同じ部屋を目指すのか、別々の施設で近くに住むのか、片方は家で続けるのかが絞れ、2人分の月額も1人ずつ足して出せます。迷ったら、その3つと年金の通知を持って、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談するところから始めてください。

