- サ高住に入ると、毎月いくら出ていくのか知りたい
- 家賃と共益費とサービス費、それぞれ何の料金なのか分からない
- 介護サービスは別料金と聞いた。介護が重くなったら、どこまで増えるのか
- 入居のときに敷金や前払金は要るのか。途中で出たら戻るのか
- 親の年金だけで払い続けられるのか
- 特養のように、食費や部屋代が軽くなる制度はあるのか
- 有料老人ホームや「介護付き」のサ高住と、お金の形はどう違うのか
- 入らずに家で続けるなら、何がそろっていればいいのか
上記のような悩みに答えます。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の費用は、募集の案内に出ている月額だけでは見通せません。案内の月額は家賃や共益費など契約で決まる部分で、介護が要るようになってから外で使う介護サービスの自己負担は、別に乗ってくるからです。検索の上位は平均の月額やメリット・デメリットを詳しく並べていますが、固定分と介護費を分け、介護費の天井を区分支給限度基準額と地域の単価と負担割合から自分で出す方法、サ高住では食費・居住費の負担限度額認定が使えないこと、前払金が戻る条件は、あまり見かけません。そこで、費用の2つの層、入居時のお金、介護費の2つの形を押さえたうえで、親の年金で払い続けられるかの出し方までを、高齢者住まい法・介護保険法の条文と国土交通省・厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の月額は、家賃・共益費・サービス費など契約で決まる固定分と、外から使う介護サービスの自己負担の合計です。介護費は要介護度ごとの区分支給限度基準額が1か月の天井で、超えて使った分は全額が自己負担になります。介護保険施設ではないので、食費・居住費が下がる負担限度額認定は使えません。
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サ高住の月額は固定分と介護費の足し算

サ高住に入ったあと毎月出ていくお金は、住宅との契約で決まる固定分と、介護保険で外から使う介護サービスの自己負担の2つに分けて考えます。固定分は入居前に契約書で確定し、介護費は要介護度と使った量で毎月動きます。
2つに分けるのは、決まる仕組みがまったく別だからです。サ高住は高齢者住まい法で都道府県知事の登録を受けた「住宅」で、登録の基準として付いているのは、安否を確かめる状況把握サービスと、困りごとの相談に応じる生活相談サービスの2つです。入浴・排せつ・食事の介護は登録の必須項目に入っておらず、介護が要るときは、自宅にいるときと同じように外の訪問介護やデイサービスを介護保険で使います。
| 費用の層 | 中身 | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 固定分(契約) | 家賃・共益費・状況把握と生活相談のサービス費 | 住宅ごとの契約・登録事項 |
| 任意の生活支援(契約) | 食事の提供・家事の手伝いなど | 頼むかどうかと住宅ごとの料金 |
| 変動分(介護保険) | 外の訪問介護・デイサービスなどの自己負担 | 要介護度・使った量・負担割合・地域の単価 |
| 実費 | 医療費・おむつ・日用品 | 親の体調と暮らし方 |
出典:高齢者住まい法5条(登録・e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則11条(状況把握・生活相談サービスの基準・e-Gov法令API)
月額の平均を知りたい人もいると思います。国土交通省の資料(令和2年8月末時点の登録情報・募集時の表示額)では、家賃・共益費・必須サービス費の合計の平均は全国で10.7万円、地方圏で8.9万円、大都市圏で12.5万円で、この合計には食費と介護保険の自己負担は入っていません。分布では10万円未満の住宅が半数強です。令和8年の平均は公表資料に見当たらず、時点がずれている点も含めて「固定分の目安」としてだけ見てください。
出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」(令和2年8月末時点の登録情報)
たとえば、要介護1で入居した母が数年後に要介護3になった場合、固定分は契約が同じなら変わらず、増えるのは介護費の層です。逆に、自立に近い状態で入った父なら、しばらくは固定分と食費だけで暮らせ、介護費の層はほぼ空のままということもあります。
編集部の整理では、候補のサ高住が見つかったら、紙に「固定分」「頼む生活支援」「介護費」「実費」の4つの欄を作ってください。固定分は契約前の書面から、介護費は下の天井の表と親の負担割合証から、実費はいまの親の通帳から埋めていきます。
高齢者向けの住まいの種類と違い(サ高住・有料老人ホーム・ケアハウス)
サ高住の家賃・共益費・サービス費の確かめ方
固定分の金額には、法令で決まった額はありません。家賃・共益費・サービス費は住宅ごとの契約で決まるので、比べるときは契約前に受け取る書面と、登録事項の公示で確かめます。
高齢者住まい法は、登録を受けた事業者に、入居しようとする人へ契約を結ぶまでに登録事項などを書いた書面を交付して説明することと、登録事項をインターネットなどで公示することを求めています。広告でサービスの内容を実際より著しく有利に見せる表示も禁じられています。登録は一定の基準に合っていることの確認で、料金が妥当かどうかの保証ではありません。
書面と登録情報で、次の欄を書き出しておくと比べやすくなります。
- 家賃(入院や外泊の間も同じ額か)
- 共益費(何が含まれるか。光熱水費は別か)
- 状況把握・生活相談のサービス費(月額か、家賃に含まれるか)
- 食事の提供(頼むかどうか選べるか、食べなかった日の扱い)
- そのほかの生活支援(家事・買い物の手伝いの料金表)
出典:高齢者住まい法17条(契約前の書面の交付と説明・e-Gov法令API)
状況把握サービスは、訪問などの方法で毎日1回以上行うことが基準になっていて、資格を持つ職員が原則として夜間を除いて常駐する基準です(入居者の健康状態などから常駐しなくても支障がない場合の例外もあります)。夜間は常駐が基準になっておらず、居室の通報装置で対応する形が基準です。夜間も人を置くかどうかは住宅ごとなので、サービス費の額だけでなく、その額で何が付くかを書面で並べてください。
たとえば、2つの住宅の案内の月額が近くても、一方は食事が月額に入っていて、もう一方は別料金ということがあります。食事を毎日3食頼む前提で足し直すと、順位が入れ替わることもあります。
編集部の整理では、案内の月額をそのまま比べず、「親が実際に頼むもの」を足した額で並べてください。食事を頼むか、掃除を頼むかは親の状態で決まるので、入居時点と要介護度が上がったときの2通りで書いておくと、後の計算が楽になります。
入居時の敷金と前払金はどこまで戻るか

サ高住が入居時に受け取れるお金は、敷金・家賃等・家賃等の前払金に限られ、権利金などそのほかのお金は受け取らない契約が登録の基準です。前払金を受け取る場合は、入居後3か月以内に契約が終わったときなどに、住んだ日数分を差し引いた額を返す契約になっていることも基準に入っています。
前払金は、家賃などを入居時にまとめて払うお金です。家賃等の前払金を受け取る住宅は、算定の基礎と返す額の算定方法を契約で示すことと、返すことになった場合に備えた保全措置を講じることが、登録の基準になっています。どんな保全措置かは、契約前の書面で確かめます。
| 契約が終わった時期 | 返還の考え方 |
|---|---|
| 入居後3か月以内(解除・死亡) | 前払金から、家賃等の月額÷30×住んだ日数を差し引いた額 |
| 3か月を過ぎ、想定した入居期間内 | 前払金から、終わった日以降の期間を日割計算した家賃等を控除した額 |
| 想定した入居期間の後 | この定めの外(契約書の定めによる) |
出典:高齢者住まい法7条(入居契約の基準・e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則12条(前払金の返還・e-Gov法令API)/高齢者住まい法施行規則14条(保全措置・e-Gov法令API)
「サ高住は入居一時金が要らない」と言い切ることはできません。前払金を受け取らず敷金だけの住宅もあれば、算定の基礎と返還の定めを示したうえで前払金を受け取る住宅もあります。都道府県の計画で3か月の期間を延ばせる定めがあるので、親が入る地域の扱いも確かめてください。実際に戻る額は契約ごとで、「何割戻る」とは一律に言えません。
また、入居者の入院などを理由に、事業者が一方的に住む部屋を変えたり契約を解約したりできない契約であることも、登録の基準に入っています。合意があれば変更・解約はありうるので、入院が長引いたときの扱いは契約書の条項で確かめます。
たとえば、入居してまもなく親が入院し、そのまま退去を決めた場合は、契約が終わる日が3か月以内に収まるかで返還の計算が変わります。解約の申し出から契約が終わるまでの予告期間が契約書にあれば、その日数も足して確かめます。
編集部の整理では、契約前の書面で「前払金の有無」「算定の基礎」「返還額の推移」「保全措置の方法」の4か所に付せんを貼ってください。口頭の説明ではなく、書面に書かれているかどうかで確かめます。
サ高住の介護費には1か月の天井がある
特定施設の指定を受けていない一般型のサ高住で、介護費になるのは、外の訪問介護やデイサービスを使った分の1〜3割です。要介護度ごとに1か月に保険で使える上限(区分支給限度基準額)があり、限度額を超えて使った分には保険の給付が出ない(全額が自己負担)形になります。
サ高住の居室は、介護保険法の「居宅」に含まれます。そのため、特定施設の指定を受けていないサ高住では、自宅にいるときと同じ居宅サービスの計算になり、居宅サービスの支給は区分支給限度基準額の範囲までと条文で決まっています。上限は単位数で決まっていて、1単位が何円になるかは地域とサービスで違います。
| 要介護度 | 1か月の上限 | 1単位10円の地域の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 |
出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)/要介護度の認定:介護保険法27条(e-Gov法令API)/介護保険法43条(区分支給限度基準額・e-Gov法令API)/介護保険法8条(居宅・e-Gov法令API)
1単位の単価は10円〜11.40円の幅で、訪問介護はその他の地域が10円、1級地が11.40円です。表の円の額は1単位10円で計算した目安なので、単価の高い地域では同じ単位数でも円の額が上がります。
※1単位の単価は地域によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
負担割合は原則1割で、2割・3割になるのは、合計所得金額と「年金収入+その他の合計所得金額」の2つの基準を両方満たしたときです。
| 負担割合 | 合計所得金額 | 年金収入+その他(単身) | 同(2人以上の世帯) |
|---|---|---|---|
| 3割 | 220万円以上 | 340万円以上 | 463万円以上 |
| 2割 | 160万円以上 | 280万円以上 | 346万円以上 |
| 1割 | 上に当たらない | ― | ― |
上限いっぱいに使った場合の自己負担は、1単位10円の地域で、1割なら要介護1が16,765円、要介護3が27,048円、要介護5が36,217円です。2割なら要介護3で54,096円、要介護5で72,434円になります。上限を超えた例として、要介護3で1割負担の母が要介護4の上限にあたる309,380円分を使うと、上限の270,480円までは1割の27,048円、超えた38,900円は全額自己負担で、合わせて65,948円の目安です。
この上限は1か月の天井で、全部使うとは限りません。使う量はケアマネジャーが作るケアプランで決まり、少なければ自己負担も表より下がります。
たとえば、要介護2で週に数回デイサービスに通い、朝夕に訪問介護が入る父なら、上限の一部で収まることがあります。夜間の排せつの介助が毎晩要るようになった母なら、上限に近づき、超えた分が出始める月が来ます。
編集部の整理では、入居前に、その住宅で暮らす前提のケアプランの案をケアマネジャーに作ってもらい、「上限の何割を使う案か」を聞いてください。上限に近い案なら、介護が重くなったときに全額自己負担の分が出やすいと読めます。
介護付きのサ高住は介護費の形が違う
サ高住の中には、特定施設入居者生活介護の指定を受けた、いわゆる介護付きの住宅があります。この場合の介護費は、要介護度ごとに1日の単位数が決まった定額で、使った回数では増減しません。
指定の対象になるのは、サ高住のうち有料老人ホームの定義に当たるものです。サ高住の登録だけで特定施設になるわけではなく、指定を受けるかどうかは事業者が決めます。指定を受けた住宅では、住宅の職員が計画に沿って介護を行い、その間は訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・通所介護・通所リハビリテーションの6つを、介護保険で別に使えません。
| 要介護度 | 1日の単位数 | 30日分の単位数 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 542単位 | 16,260単位 |
| 要介護2 | 609単位 | 18,270単位 |
| 要介護3 | 679単位 | 20,370単位 |
| 要介護4 | 744単位 | 22,320単位 |
| 要介護5 | 813単位 | 24,390単位 |
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」/厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における地域区分」/サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム よくある質問(国土交通省)
表は、住宅の職員が介護を行う型(外部サービス利用型を除く)の、令和6年度改定後の基本の部分の単位数で、加算は含みません。特定施設の1単位の単価は、その他の地域が10円、1級地が10.90円です。外部の事業者が介護を行う外部サービス利用型は別の計算で、この表は当てはまりません。
- 外の訪問介護やデイサービスを使った分
- 上限を超えた分は全額自己負担
- 要介護3・1割の天井は27,048円
- 1日の単位数で決まる定額
- 訪問介護やデイサービスは介護保険で別に使えない
- 要介護3・1割で20,370円
要介護3で1割負担、1単位10円の地域なら、介護付きの介護費は679単位×30日×10円×1割で月20,370円です。一般型で上限いっぱいに使えば27,048円で、差は6,678円になります。要介護5なら介護付きは24,390円、一般型の上限いっぱいは36,217円です。
ただし、一般型でも上限より少なく使えば介護付きの定額より低くなることがあり、介護付きでも加算の分は上に乗ります。どちらが低いかは、使う量と加算で決まります。
たとえば、介護が軽いうちに入って長く暮らすつもりの父なら、一般型で使った分だけ払う形が合うことがあります。認知症で見守りと介助が増えてきた母なら、定額の形のほうが毎月の額を読みやすくなります。
編集部の整理では、候補のサ高住が指定を受けているかを、登録情報と契約前の書面で確かめてください。「介護付き」という言葉が案内にあっても、指定を受けた特定施設なのか、併設の事業所があるという意味なのかで、介護費の計算はまるで違います。
サ高住の費用で使える軽減と使えない軽減
サ高住で効くのは、介護保険の自己負担に対する高額介護サービス費です。特養などで使える負担限度額認定(食費・居住費の軽減)は、サ高住では使えません。
負担限度額認定の仕組み(特定入所者介護サービス費)の対象は、特養・老健・介護医療院・地域密着型の特養・短期入所生活介護・短期入所療養介護の6つです。サ高住と有料老人ホームは介護保険施設ではなく、この列挙に入っていないので、家賃・共益費・食費には、この仕組みによる軽減はありません。
高額介護サービス費は、1か月の介護保険の自己負担が区分ごとの上限を超えたとき、超えた分が申請で戻る仕組みです。
| 区分 | 1か月の上限額 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 市町村民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 市町村民税世帯非課税 | 24,600円(世帯) |
| 世帯非課税で、年金収入+その他の合計所得金額が82.65万円以下 | 15,000円(個人) |
出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.997/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)/介護保険法51条(e-Gov法令API)
たとえば、市町村民税課税〜課税所得380万円未満の世帯で、2割負担の父だけが介護保険を使い、要介護5の上限いっぱい(362,170円分)を使うと、自己負担は72,434円です。世帯の上限は44,400円なので、差の28,034円は申請すると戻る計算になります。
対象になるのは介護保険の自己負担の部分です。上限を超えて使った全額自己負担の分や、家賃・食費などの扱いは、市区町村の介護保険の窓口で確かめてください。給付を受ける権利は2年で時効になり、いつから数えるかも市区町村に確かめます。
医療費控除は、居宅サービスの種類で扱いが分かれます。訪問看護など医療系のサービスは単独で対象、訪問介護(生活援助中心型を除く)やデイサービスは医療系と併せて使ったときだけ対象、生活援助中心型の訪問介護と特定施設入居者生活介護は対象外です。
出典:国税庁 タックスアンサーNo.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価
編集部の整理では、軽くなる仕組みが働くのは主に「介護費の部分」だと考えて、固定分は満額で見積もってください。そのうえで、高額介護サービス費の申請書が届いたら出すこと、訪問看護を使う月の領収証を取っておくことを、家族の誰が受け持つか決めておきます。
有料老人ホームや特養と費用の形を比べる
サ高住と住宅型有料老人ホームは、介護費が外付けで区分支給限度基準額の中という点で同じ形です。介護付き(特定施設)は定額で、特養などの介護保険施設は食費・居住費の軽減がある点で形が違います。
違いが出るのは、介護保険の中でどの区分に入るかです。サ高住と住宅型の居室は「居宅」で、居宅サービスの計算になります。介護付きは特定施設入居者生活介護という居宅サービスの一つで、1日の定額になります。特養・老健・介護医療院は介護保険施設で、所得や預貯金などの要件を満たした人は負担限度額認定の対象になります。
| 住まい | 介護費の形 | 食費・居住費の軽減 | 入居時のお金のルール |
|---|---|---|---|
| サ高住(一般型) | 使った分・上限あり | 無い | 高齢者住まい法の基準 |
| 介護付き(特定施設) | 1日の定額 | 無い | 前払金の返還・保全の定め |
| 住宅型有料老人ホーム | 使った分・上限あり | 無い | 老人福祉法の定め |
| 特養・老健・介護医療院 | 施設の介護費 | 負担限度額認定がある | ― |
出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/老人福祉法29条(e-Gov法令API)
サ高住と有料老人ホームのどちらが高いかは、平均では比べられません。有料老人ホームの月額の全国平均を示す公的な統計は、編集部では確認できていないからです。比べられるのは、同じ要介護度での介護費の形と、候補どうしの料金表です。
たとえば、所得が低く、介護の量も多い母なら、負担限度額認定で食費・居住費が下がる特養の費用と、サ高住の固定分+介護費の天井を並べると、差の出どころが見えます。所得があって負担限度額認定の対象にならない父なら、軽減の有無で差はつかず、固定分と介護費の形の比べ合いになります。
編集部の整理では、サ高住だけを見て決めず、同じ要介護度で「住宅型」「介護付き」「特養」の3つと並べた表を1枚作ってください。特養の申込みを並行して出しておくかどうかも、その表で家族と話せます。
親の年金で払い続けられるかの出し方
払い続けられるかは、「固定分+頼む生活支援+介護費の天井+実費」から親の年金の手取りを引いた不足額で確かめます。年金の額は人によって違うので、平均の数字ではなく、親の年金額改定通知書や振込通知書の額を使います。
年金の公表値は、前提を知ったうえで「目安の幅」としてだけ見ます。令和8年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれで月70,608円、昭和31年4月1日以前生まれで月70,408円で、保険料を納めた月数が少なければ減ります。厚生年金の標準的な年金額は月237,279円ですが、これは男性の平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間働いた夫と、基礎年金だけの妻の夫婦2人分のモデルです。
| 経歴の類型(令和6年度に65歳になる人の概算) | 令和8年度の月額 |
|---|---|
| 厚生年金の期間が中心(20年以上)の男性 | 176,793円 |
| 国民年金(第1号)の期間が中心(20年以上)の男性 | 63,513円 |
| 厚生年金の期間が中心(20年以上)の女性 | 134,640円 |
| 国民年金(第1号)の期間が中心(20年以上)の女性 | 61,771円 |
| 国民年金(第3号)の期間が中心(20年以上)の女性 | 78,249円 |
この表は財政検証をもとにした概算で、受給額の平均ではなく、いまの親の世代と一致するとも限りません。
- 1固定分を書き出す家賃・共益費・サービス費・頼む生活支援
- 2介護費の天井を足すいまの要介護度と負担割合で
- 3実費を足す医療費・日用品を通帳から
- 4年金の手取りを引く年金額改定通知書の額
- 5不足額で貯金を割る前払金は先に引いておく
平均の数字だけで組んだ試算で、親の数字ではありません。国土交通省の資料(令和2年8月末時点・募集時の表示額)の地方圏の平均8.9万円(食費と介護保険の自己負担を含まない)に、要介護3・1割の上限いっぱいの27,048円を足すと月116,048円です。昭和31年4月2日以後生まれの老齢基礎年金の満額70,608円だけで払うなら、食費や医療費を足す前の段階で月45,440円、1年で545,280円足りません。要介護1のときの上限いっぱいなら介護費は16,765円で、要介護4では30,938円なので、同じ1割でも介護費の天井は月14,173円上がります。
払えなくなったら退去になるのかは、契約の解約の条項で決まります。入院などを理由に事業者が一方的に解約できない契約であることは登録の基準ですが、家賃を払えなくなったときの扱いは契約書で確かめるところです。
たとえば、父が厚生年金中心で母が国民年金中心の夫婦なら、父が入居して母が家に残る場合、母の暮らしの費用も同じ年金から出ていきます。入る人の不足額だけでなく、残る人の生活費まで並べて初めて、払い続けられるかが見えます。
編集部の整理では、「いまの要介護度」と「2段上がったとき」の2行で不足額を出し、貯金がもつ年数の差を見てください。不足が出る見込みなら、入居前の段階で兄弟の分担や実家の扱いを話しておくと、あとで慌てずに済みます。
サ高住に入らず在宅で続ける条件
サ高住に入らず、いまの家で続ける道もあります。家賃・共益費は今の暮らしのままで、介護費はサ高住の一般型と同じく区分支給限度基準額の中で使った分なので、上の天井の表がそのまま使えます。
違うのは、サ高住の状況把握・生活相談のサービスが無い代わりに、毎日の安否確認や困りごとの相談を、家族か外のサービスで埋めることです。サ高住の固定分で買っていたのが「毎日の見守り」と「相談先」なので、在宅ではそれを誰がどう担うかが条件になります。
生命保険文化センターの2024年度の調査では、介護を行った場所別の月々の費用の平均は、在宅で5.3万円、施設で13.8万円でした。調査の平均で制度の数字ではなく、対象は2人以上の世帯で公的介護保険サービスの自己負担を含みます。施設の区分にはサ高住以外も含まれるので、親の場合の見積もりは上の足し算で出してください。
出典:生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(生命保険に関する全国実態調査 2024年度)
在宅で続けられるかは、次の点で考えます。
- 毎日1回、誰かが様子を確かめられる(電話・訪問・見守りの機器)
- 食事の用意を家族か配食・訪問介護で回せている
- 夜に何かあったとき、気づいて連絡できる手段がある
- 主に支える家族が、仕事や体調を崩さずに続けられている
- 本人がいまの家で暮らしたいと思っている
たとえば、要介護1で一人暮らしの母が、デイサービスと配食で日中が回り、子が毎晩電話できているなら、在宅の介護費は上限の中で収まり、サ高住の家賃もかかりません。冬に家の中で転ぶことが増え、子が駆けつけられない距離なら、サ高住の固定分で見守りを買う意味が出てきます。
編集部の整理では、在宅とサ高住を比べるときは、在宅の側に「家族が埋めている見守りと相談の手間」を書き出してください。お金だけ並べると在宅が低く見えますが、その手間が続かなくなったときが、住まいを変える時期の目安になります。
見学で費用について聞くこと

候補が2〜3か所に絞れたら、登録情報で概要を確かめ、見学のときに契約前の書面をもらって、同じ欄どうしで並べます。
サ高住は全国で登録が8,307棟・290,938戸(令和8年9月末時点)あり、登録を受けた住宅だけが「登録サービス付き高齢者向け住宅」と名乗れます。登録情報は国土交通省のサービス付き高齢者向け住宅情報提供システムで検索でき、募集時の表示額や特定施設の指定の有無を、手元の書面と見比べられます。
出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「登録状況」(国土交通省)/高齢者住まい法14条(名称の使用制限・e-Gov法令API)
見学で聞くのは、次の点です。
- 月額に入っているもの・入っていないもの(光熱水費・食費・サービス費)
- 特定施設入居者生活介護の指定を受けているか
- 介護サービスの事業所は自分で選べるか、併設の事業所はどこか
- 前払金の有無と、返還額の推移・保全措置の方法
- 入院が長引いたときと、家賃を払えなくなったときの契約の扱い
- 夫婦や2人で入る場合の料金と居室
入居できるのは、60歳以上の人か、要介護・要支援の認定を受けている60歳未満の人で、同居する人は配偶者や60歳以上の親族などに限られます。夫婦で入る場合も介護保険の自己負担は1人ずつで、高額介護サービス費は世帯の上限で見る区分があります。
出典:高齢者住まい法施行規則3条(入居者の資格・e-Gov法令API)
たとえば、2つの住宅の月額が近くても、一方は併設の事業所しか案内せず、もう一方は外の事業所を自分で選ぶ前提で説明する、ということがあります。介護費は事業所の選び方でも変わるので、ケアマネジャーを今のまま続けられるかも聞いておきます。
編集部の整理では、もらった書面は家族で回し読みし、分からない欄に付せんを貼って、質問の箇条書きを作ってから2回目の見学に行ってください。親の要介護度と負担割合証の写しを手元に置いておくと、答えをその場で当てはめられます。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
候補のサ高住が決まっていないなら、地域と予算で絞って資料をまとめて取り寄せると、家賃・共益費・サービス費の内訳を同じ物差しで並べられます。老人ホームの検索サイトでは、サ高住や有料老人ホームの資料を一度に請求できます。届いた資料は、この記事の固定分と介護費の天井の表に書き写して、親の年金と比べてください。
入居したあとの実家をどうするか
親がサ高住に入ると、次に来るのは空いた実家の扱いです。前払金や毎月の不足額に実家を充てるかどうかで、払い続けられる年数の見通しも変わります。
実家を残せば、管理の手間と固定資産税などの費用は続きます。売って費用に充てるなら、売る時期と税の扱いを調べることになり、家族が使うなら名義と費用の分担を話す必要があります。どの道を取るかで、上で出した不足額を何で埋めるかが変わります。
たとえば、母が入居して父がすでに亡くなっている場合、母が話せるうちに「戻るつもりはあるか」「仏壇や荷物をどうするか」を聞いておくと、あとで兄弟の判断が割れにくくなります。
入居の準備と同じ時期に、「戻るか」「売るか」「誰が管理するか」の3つだけでも言葉にしておいてください。
よくある質問
サ高住の月額の平均はいくらですか?
国土交通省の資料(令和2年8月末時点の登録情報・募集時の表示額)では、家賃・共益費・必須サービス費の合計の平均は全国で10.7万円です。食費と介護保険の自己負担は含まないので、親の場合は固定分に介護費の天井と実費を足して見積もります。
サ高住の自己負担はいくらですか?
固定分は全額が自己負担で、介護サービスは使った分の1〜3割です。介護費は要介護度ごとの上限が1か月の天井で、上限を超えて使った分は全額が自己負担になります。
どんな人がサ高住に入れますか?
60歳以上の人か、要介護・要支援の認定を受けている60歳未満の人です。同居できるのは配偶者や60歳以上の親族などに限られ、実際の条件は住宅ごとの契約でも決まります。
介護が重くなったら住み続けられますか?
一般型では外の介護サービスを増やして住み続ける形ですが、上限を超えると全額自己負担の分が増え、夜間の介護の体制は住宅ごとに違います。介護付き(特定施設)なら住宅の職員が介護を行います。どこまで対応するかは契約前の書面と見学で確かめてください。
食費や部屋代が軽くなる制度はありますか?
負担限度額認定は特養・老健・介護医療院などの6つが対象で、サ高住の家賃・食費は下がりません。介護保険の自己負担には高額介護サービス費があり、上限を超えた分は申請で戻ります。
夫婦で入ると費用はどうなりますか?
介護保険の自己負担は1人ずつ計算し、高額介護サービス費は世帯の上限で見る区分があります。家賃やサービス費の夫婦の扱いは住宅ごとなので、2人で入った場合の料金と居室を書面で確かめてください。
サ高住の欠点は何ですか?
費用の面では、介護費が外付けで上限を超えると全額自己負担になること、負担限度額認定が使えないことが挙げられます。日中の見守りと相談は付きますが、介護そのものは別の契約になるので、介護が重くなったときの費用と体制を入居前に確かめておきます。
順番のおさらい
- 月額の形:契約で決まる固定分と、外付けの介護費の足し算
- 固定分:法令の金額は無い。契約前の書面と登録事項で確かめる
- 入居時のお金:敷金・家賃等・前払金だけ。3か月以内の終了は日数分を引いて返る
- 介護費の天井:区分支給限度基準額×地域の単価×負担割合。超えた分は全額自己負担
- 介護付き:特定施設の指定を受けたサ高住は1日の定額
- 軽減:高額介護サービス費は効く。負担限度額認定は使えない
- 比べ方:住宅型・介護付き・特養と、同じ要介護度で介護費の形を並べる
- 年金:固定分+介護費の天井+実費から年金の手取りを引き、不足額で見る
- 在宅の道:見守りと相談を家族か外のサービスで埋められるなら、入らない選択もある
- 見学:指定の有無・前払金・解約の扱いを書面で聞く
- 入居後:実家をどうするかで、不足額の埋め方が変わる
サ高住の費用で迷ったら、平均の額を探すより、固定分と介護費の天井を親の数字で埋めるほうが早く答えに近づきます。固定分は契約で決まり、介護費は要介護度と負担割合と地域の単価で上限が出せます。その合計と年金の差が分かれば、いつまで払えるか、いつ次の住まいや実家の話を始めるかを、家族で同じ数字を見ながら決められます。

