住宅型有料老人ホームは介護付きと何が違うか|介護費の上乗せ・費用・向かない親

住宅の階段
  • ケアマネジャーから「住宅型」を候補に挙げられたが、介護付きとどう違うのか分からない
  • 介護費は別にかかると聞いた。家賃や食費のほかに、毎月いくら上乗せになるのか
  • サ高住も見学したが、住宅型との違いが説明を聞いてもつかめない
  • 要介護度が上がったら、介護費はどこまで増えるのか
  • 同じ建物にある訪問介護の事業所を使わないといけないのか
  • 介護が重くなったら、出ていくように言われるのではないか
  • 母は認知症がある。父はまだ自立している。2人とも入れるのか
  • 特養のように、食費や家賃が軽くなる制度は使えるのか

上記のような悩みに答えます。

住宅型有料老人ホームは、食事や生活の支援が付いた有料老人ホームで、介護はホームの外から付ける形の住まいです。迷いやすいのは、見学のときに建物の中に介護職員がいて、介護付きと見分けがつかない点です。検索の上位は紹介サイトや不動産会社の解説で、介護付き・サ高住との違いの表や入居の流れは詳しい一方、介護費が要介護度ごとの上限の中で使った分だけかかり、上限を超えた分は全額自己負担になることを数字で示した説明や、介護が重くなったときに住めるかを契約の書面で確かめる手順、入居しない場合に在宅で続ける条件はあまり見かけません。そこで、ほかの住まいとの違い・介護の受け方・費用の形という基本を押さえたうえで、上限を超えたときの負担、効く制度と効かない制度、契約前に読む欄までを、老人福祉法・介護保険法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

住宅型有料老人ホームは、食事や生活の支援が付く有料老人ホームで、介護が必要になったら外の訪問介護やデイサービスを自分で選んで使います。介護費はホームの定額ではなく使った分の1〜3割で、要介護度ごとの上限を超えた分は全額自己負担です。家賃・食費・管理費は介護保険の外で、介護が重くなったときに住み続けられるかは契約の書面で決まります。

介護費の自己負担シミュレーター(要介護度と負担割合から月額の目安を出す)

2026年10月時点の制度で確かめています

目次

住宅型有料老人ホームはどんな住まいか

住宅の階段

住宅型有料老人ホームは、生活支援などのサービスが付いた有料老人ホームです。介護が必要になったときは、入居者が自分で選んだ地域の訪問介護などを使いながら、居室で暮らし続ける形になっています。

土台にあるのは老人福祉法の有料老人ホームの定義で、老人を入居させ、入浴・排せつ・食事の介護、食事の提供、そのほか日常生活に必要な便宜を提供する施設とされています。設置する人は都道府県知事に届け出ることになっていて、許可制ではなく届出制です。この有料老人ホームを、厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」が類型に分けて表示させており、その1つが住宅型です。

住宅型の説明の要は、介護の担い手がホームの外にあることです。有料老人ホームの居室は介護保険法の上で「居宅」に含まれるので、住宅型に住む親は、自宅にいるときと同じ扱いで訪問介護や通所介護などの居宅サービスを使います。ホームが受け持つのは、食事や生活の支援といった、介護保険の外のサービスです。

出典:老人福祉法29条(e-Gov法令API)/介護保険法8条(e-Gov法令API)/有料老人ホームの設置運営標準指導指針 別表(厚生労働省・PDF)

PAAにある「住宅型有料老人ホームとはどんなところか」に一言で答えるなら、「生活の世話はホーム、介護は外から自分で付ける住まい」です。同じ建物の中に訪問介護の事業所やデイサービスが併設されていることもありますが、それはホームとは別の事業所で、使うかどうかは入居者と事業所の契約で決まります。

たとえば、要介護1の父が住宅型に入り、朝夕だけ訪問介護を使う場合、父の介護費は朝夕の訪問介護の分だけです。同じ父が介護の量が増えて日中もデイサービスに通うようになれば、その分の介護費が足されます。住まいは同じでも、介護費は親の状態と使い方で動きます。

編集部の整理では、住宅型を候補に挙げられたら、最初に「このホームで介護を受けるとき、どの事業所と契約することになるか」を聞いてください。答えの中に、ホームそのものと別の事業所の名前が出てくれば、住宅型の仕組みどおりに動いているということです。

介護付き・健康型・サ高住との違い

住宅型とほかの住まいの違いは、介護を誰が提供するかと、その費用をどう払うかで見ると整理できます。介護付きはホームが自ら介護をして要介護度ごとの定額、住宅型とサ高住は外の事業所の介護を使った分だけ払う形です。

介護付きと表示できるのは、有料老人ホームのうち、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームだけです。介護付きでその介護を受けている間は、訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・通所介護・通所リハビリテーションの6つを介護保険で別に使えません。住宅型にはこの制限が無く、外の訪問介護やデイサービスを自分で選んで組み合わせます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、根拠になる法律が違います。高齢者向けの賃貸住宅または有料老人ホームに、状況把握(見守り)と生活相談のサービスを付けて、都道府県知事の登録を受けた住まいで、登録は5年ごとに更新されます。住宅型が老人福祉法の「届出」の住まいなのに対して、サ高住は高齢者住まい法の「登録」の住まいです。

住宅型と介護付きは、介護の担い手が違う
住宅型

  • 介護は外の事業所と自分で契約する
  • 介護費は使ったサービスの分
  • 訪問介護やデイサービスを選んで組み合わせる
介護付き(一般型)

  • 介護はホームの職員が計画に沿って行う
  • 介護費は要介護度ごとの定額
  • 訪問介護やデイサービスなど6つは保険で別に使えない
比べる点 住宅型有料老人ホーム 介護付き有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム サ高住
根拠 老人福祉法の届出・指針の類型 特定施設入居者生活介護の指定 指針の類型 高齢者住まい法の登録
ホームが行うこと 食事・生活支援など 介護を含めて行う 食事など 見守りと生活相談
介護が必要になったら 外の居宅サービスを使って居室で暮らす ホームの介護を受ける 契約を解除して退去する類型 外の居宅サービスを使うのが基本
介護費の形 使った分の1〜3割 要介護度ごとの定額 ― 使った分の1〜3割(指定を受けたものは定額)

出典:有料老人ホームの設置運営標準指導指針 別表(厚生労働省・PDF)/指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生労働省 法令等データベース)/高齢者の居住の安定確保に関する法律5条(e-Gov法令API)

PAAの「住宅型有料老人ホームとサ高住の違いは」への答えは、届出か登録か、ホームが付けるのが生活支援か見守り・生活相談か、の2点です。介護の受け方はどちらも外の居宅サービスなので、ここでは大きな差になりません。サ高住の入居者の年齢の要件は、60歳以上の人か、要介護・要支援の認定を受けている60歳未満の人です。同居する人にも条件があります。

たとえば、通い慣れたデイサービスを手放したくない母なら、住宅型とサ高住はどちらも外のデイサービスを自分で選んで使う形なので、通い慣れた事業所を使い続けられる可能性があります(通える範囲かどうかの確認は要ります)。介護付きを選ぶと、デイサービスは介護保険では別に使えなくなります。母が通所先の人間関係を大事にしているなら、ここが住まいを選ぶ分かれ目になります。

編集部の整理では、パンフレットの施設名の横や重要事項説明書に表示された類型を、まず声に出して読んでください。「住宅型」と書かれていれば、介護費はこの記事の「上限の中で使った分」の考え方で見積もることになります。

介護付き有料老人ホームの費用と入居条件を詳しく見る

老人ホームの種類と違いを一覧で見る

介護は外のサービスを自分で選んで使う

住宅型での介護は、在宅のときと同じ居宅サービスです。ケアマネジャーにケアプランを作ってもらい、訪問介護や通所介護などの事業所と入居者が契約して使います。

指針は住宅型を、介護が必要になった場合に「入居者自身の選択により」地域の訪問介護などを使う類型として説明しています。つまり、ケアマネジャーも介護の事業所も、入居者の側が選んで契約する立場にあります。建物の中に併設の事業所がある場合も、それは選択肢の1つであって、類型の説明の上では使うことが決まっているわけではありません。

使える居宅サービスの例は次のとおりです。訪問看護は、主治の医師が必要と認めた人が対象です。

  • 訪問介護(ホームヘルパーが居室に来る)
  • 訪問看護(主治の医師が必要と認めた場合)
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 訪問入浴介護・訪問リハビリテーション

出典:介護保険法8条(e-Gov法令API)/有料老人ホームの設置運営標準指導指針 別表(厚生労働省・PDF)

「囲い込み」という言葉で、併設の事業所を使うよう入居時に求められる話を耳にすることがあります。違法かどうかをここで判断することはしませんが、入居者が選ぶという類型の説明と食い違っていないかは確かめておきたい点です。確かめ方は、併設の事業所を使うことが入居の条件になっていないかを、契約前に書面で確かめることです。

たとえば、入居前から自宅で担当してくれていたケアマネジャーに、入居後も続けて担当してほしい場合を考えます。住宅型の居室は居宅なので、ケアマネジャーを選ぶ立場は入居者の側に残ります。続けて担当してもらえるかは、そのケアマネジャーの事業所に、入居後の住所で引き受けられるかを聞いて確かめます。引き受けられないときは、ホームの近くの居宅介護支援事業所を探すことになります。

編集部の整理では、見学の段階で「入居後のケアマネジャーと介護の事業所は、こちらで選べますか。併設の事業所を使うことが条件になっていませんか」と聞き、答えが重要事項説明書や契約書のどこに書かれているかも示してもらってください。口頭の答えと書面がそろって、はじめて確かめたことになります。

介護費は要介護度ごとの上限の中で使った分

カップを持つ手

住宅型の介護費は、使った居宅サービスの単位数で決まり、その1〜3割を払います。ただし介護保険で使える量には、要介護度ごとの1か月の上限(区分支給限度基準額)があります。

この上限は単位数で決まっていて、1単位が何円になるかは地域区分とサービスの種類で変わります。全体では1単位10円〜11.40円の幅があり、訪問介護では「その他」の地域が10円、1級地が11.40円です。下の表の円の額は、1単位10円の地域で計算した目安です。

要介護度 1か月の上限(単位) 1単位10円の地域の目安
要支援1 5,032単位 50,320円
要支援2 10,531単位 105,310円
要介護1 16,765単位 167,650円
要介護2 19,705単位 197,050円
要介護3 27,048単位 270,480円
要介護4 30,938単位 309,380円
要介護5 36,217単位 362,170円

出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)/厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における地域区分」

上限いっぱいまで使ったときの1割の自己負担の目安は、表の額の1割です。

計算例

要介護度 上限いっぱい使ったときの1割(1単位10円の地域)
要支援1 5,032円
要支援2 10,531円
要介護1 16,765円
要介護2 19,705円
要介護3 27,048円
要介護4 30,938円
要介護5 36,217円
住宅型の介護費は、使った単位から出す
使った単位数×1単位の単価×負担割合=その月の介護費の自己負担
--calc-->
16,765単位×10円×1割=16,765円(要介護1が上限いっぱい使った場合)
--/calc-->

この表は「上限いっぱい使った場合」の額で、毎月この額になるわけではありません。使ったサービスが上限より少なければ、自己負担も表の額より少なくなります。介護付きの定額と違うのはここで、同じ要介護度でも、使い方しだいで介護費が上下します。

※1単位の単価は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

計算例

たとえば、要介護3で1割負担の母が、1単位10円の地域で上限いっぱいまで居宅サービスを使えば、介護費の自己負担は月27,048円の目安です。同じ母が、訪問介護と通所介護を上限の半分ほどに抑えたケアプランなら、自己負担はその分だけ下がります。単価が10円より高い地域では、同じ単位数でも円に直した額が上がります。

編集部の整理では、住宅型の月額を見積もるときは、ホームの料金表に、ケアマネジャーが作るケアプランの自己負担額を足してください。入居前にケアプランの案を作ってもらえれば、「家賃など+介護費」の形で、親の月々の支払いが見えてきます。

要介護3・2割負担の月額と上限額の考え方

上限を超えたとき・2割3割のとき

区分支給限度基準額を超えて使ったサービスは、超えた部分が介護保険の給付の外になり、全額が自己負担です。負担割合が2割・3割の人は、上限の中で使った分の自己負担もその割合で増えます。

住宅型では介護を外から組み合わせるので、介護の量が増えると上限に近づきます。上限の範囲であれば1〜3割で済んでいたものが、上限を超えた分だけは10割を払う形に変わります。上限を超えるかどうかは、ケアプランを作る段階でケアマネジャーが単位数を積み上げて分かります。

計算例

たとえば、要介護3で1割負担の父が、1単位10円の地域で、要介護4の上限にあたる309,380円分(10割)のサービスを使ったとします。要介護3の上限270,480円までは1割の27,048円、上限を超えた38,900円は全額自己負担なので、介護費の自己負担は合わせて65,948円の目安です。

負担割合は原則1割で、所得が一定以上なら2割・3割になります。判定は合計所得金額と、年金収入とその他の合計所得金額の合計の2段で見て、2割・3割とも2つの条件を両方満たしたときの負担割合です。

負担割合 合計所得金額 年金収入+その他の合計所得金額(単身) 同(2人以上の世帯)
3割 220万円以上 340万円以上 463万円以上
2割 160万円以上 280万円以上 346万円以上
1割 上の線に届かない ― ―

出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」

上限の中で使った介護費の自己負担には、高額介護サービス費の仕組みがあります。1か月の自己負担が区分ごとの上限を超えると、超えた分が申請で戻ります。対象は介護サービスの自己負担の部分で、家賃・食費などは入りません。

区分 1か月の上限額
課税所得690万円以上 140,100円(世帯)
課税所得380万円以上690万円未満 93,000円(世帯)
市町村民税課税〜課税所得380万円未満 44,400円(世帯)
市町村民税世帯非課税 24,600円(世帯)
世帯非課税で、年金収入+その他の合計所得金額が82.65万円以下 15,000円(個人)

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.997/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)

計算例

たとえば、市町村民税課税〜課税所得380万円未満の世帯で、2割負担の母だけが介護保険を使い、要介護3の上限いっぱい(270,480円分)を使うと、自己負担は54,096円の目安です。世帯の上限は44,400円なので、差の9,696円は申請すると戻る計算になります。

区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった部分を高額介護サービス費の計算にどう扱うかは、市区町村の介護保険の窓口に確かめてください。給付を受ける権利は2年で時効になり、いつから数えるかも市区町村に確認が要ります。

編集部の整理では、ケアプランの案を受け取ったら「この案は上限の何割を使っていますか。超える月はありそうですか」とケアマネジャーに聞いてください。上限に近いなら、介護の量が増えたときの住まい方(介護付きへの住み替えも含めて)を早めに考える目安になります。

家賃・食費・管理費と入居一時金

家賃・食費・管理費などは介護保険の外にあり、全額が自己負担です。住宅型の月々の支払いは、この保険外の費用と、上で見た介護費の自己負担を足したものになります。

保険外の費用の額はホームごとに決まっていて、全国の平均を示す公的な統計は編集部では確認できていません。PAAの「住宅型有料老人ホームの平均費用は」には、平均の額ではなく、決まり方で答えます。月額は「ホームの料金表の額」+「ケアプランの自己負担」で、前者はホームを比べて、後者は親の要介護度と使い方で決まります。

料金表と重要事項説明書で、次の項目を書き出してください。

  • 家賃(入院や外泊の間も払うか)
  • 食費(食べなかった日の扱い)
  • 管理費・光熱水費(定額か、使った分か)
  • 生活支援のサービス費(介護保険の外で払うもの)
  • 入居一時金などの前払金(有無と返還の条件)
  • おむつ代・日用品・医療機関の診療費など、別に払うもの

前払金は入居後3か月の返還ルールがある

入居一時金など、家賃などをまとめて先に受け取るお金は、老人福祉法の前払金です。前払金を受け取るホームは、算定の基礎を書面で示し、返すことになったときに備えた保全措置を講じなければなりません。入居後3か月以内に契約の解除や入居者の死亡で契約が終わったときは、住んだ日数分の家賃などを差し引いて返す契約を結ぶことが義務づけられています。3か月を過ぎても、入居時に想定した入居期間が終わるまでの間は返還の定めがあります(算定は施行規則21条2項2号。契約書で確かめてください)。

あわせて、家賃・敷金・介護などの対価のほかに権利金などを受け取ることは禁じられています。指針は、解約の申し出から契約解除までの予告期間を設けて、返還の対象になる期間を事実上短くしてはならないともしています。指針は都道府県の指導の基準で法律そのものではありませんが、解約の条項に長い予告期間が書かれていたら、返還の扱いを確かめるきっかけになります。

出典:老人福祉法29条(e-Gov法令API)/老人福祉法施行規則21条(e-Gov法令API)/有料老人ホームの設置運営標準指導指針(厚生労働省・PDF)

たとえば、入居してすぐに親が入院し、そのまま解約することになった場合、契約が終わった日が入居後3か月以内なら、住んだ日数分を差し引いた残りが返る計算です。返る額は契約ごとに違うので、契約書の返還の条項と、保全措置の内容を重要事項説明書で確かめます。

編集部の整理では、前払金のあるホームと無いホームは、月額だけで並べないでください。前払金は家賃などの前払いなので、前払金を含めた住まいの費用で並べ、そこに介護費の見積もりを足すと比べられます。

入れる人の条件

住宅型に入れるかどうかは、ホームごとに表示している「入居時の要件」で決まります。要介護の人だけ、自立の人も含む、などの違いがあり、類型の名前だけでは分かりません。

指針は、入居時の要件を4つの区分で表示することにしています。

  • 入居時自立
  • 入居時要介護
  • 入居時要支援・要介護
  • 入居時自立・要支援・要介護

出典:有料老人ホームの設置運営標準指導指針 別表(厚生労働省・PDF)

住宅型で自立の人が暮らす場合、介護保険のサービスは使わず、ホームの生活支援だけを受けることになります。介護費の自己負担が生じるのは、要介護・要支援の認定を受けて居宅サービスを使い始めてからです。認知症があっても入れるかどうかは、この区分では決まりません。症状にどこまで対応できるかは、ホームと、外の事業所の体制しだいです。

たとえば、要介護2で認知症の診断がある母と、自立の父が一緒に入りたい場合、「入居時要介護」のホームでは父が要件から外れます。「入居時自立・要支援・要介護」と表示しているホームなら、2人とも要件の範囲に入ります。そのうえで、夜に母が起きて歩き回ったとき、誰がどう対応するかを見学のときに聞く順番です。

自立で入れる老人ホームと、介護が必要になった後の違い

編集部の整理では、問い合わせの前に、親の認定区分、認知症の診断の有無、困っている場面(夜中に起きる・薬の管理が難しいなど)を1枚に書いておいてください。住宅型では、ホームと外の事業所の両方がその紙を見て答えることになるので、書面があると話が早く進みます。

介護が重くなっても住み続けられるか

介護が重くなったときに住宅型に住み続けられるかは、類型では決まりません。ホームごとの契約書の解除の条項と、重要事項説明書の記載で決まります。

指針の類型の説明では、住宅型は外の訪問介護などを使いながら居室で暮らし続けられる住まいです。ただし、これは類型の性格の説明で、どのホームでも最後まで住めるという約束ではありません。逆に「住宅型だから介護が重くなったら出される」と決めつけることもできません。退去の条件は、契約の中にあります。

心配されやすいのは、医療のケアと夜間です。住宅型の介護は外の事業所が担うので、夜間に誰が建物にいるか、痰の吸引などの医療のケアに誰が対応するか、看取りをどうするかは、ホームの体制と外の事業所の組み合わせで決まります。訪問看護は主治の医師が必要と認めた場合に使えますが、どこまで対応できるかは事業所ごとです。

介護が重くなったときに確かめる順番
  1. 1介護費の見込み上限の中で収まるか、超える分はいくらか
  2. 2契約の解除の条項どんな状態になるとホームから解除されるか
  3. 3夜間の体制夜に建物にいるのは誰か、呼べば誰が来るか
  4. 4医療のケア吸引や経管栄養に、どの事業所が対応できるか
  5. 5看取りの方針最期まで過ごすことを受け入れているか

たとえば、要介護2で入居した父が要介護4になり、夜間も見守りが欠かせなくなった場合、住み続けられるかは、契約の解除の条項に当てはまらないかで決まります。あわせて、夜間の見守りを外の事業所でどう組めるかも確かめる点になります。介護費が上限を超えて全額自己負担の部分が大きくなるなら、介護付きへの住み替えと費用を比べる時期です。

医療ケアが必要な親が入れる施設の選び方

編集部の整理では、見学の場で「介護の量が増えて退去した人はいますか。そのとき、どこへ移りましたか」と聞いてみてください。答えと合わせて、契約書の解除の条項を一緒に読んでもらうと、口頭の印象ではなく書面で判断できます。

契約前に書面で確かめること

テーブルの上の書類

住宅型の契約では、ホームとの契約と、外の介護の事業所との契約が別々にあります。両方の書面を、契約の前にそろえて読むことが確かめる手段になります。

有料老人ホームの設置者は、入居を考えている人に重要な事項を書面で交付しなければなりません。一般に重要事項説明書と呼ばれる文書です。また、ホームは運営の状況などを都道府県知事に報告し、知事がそれを公表する仕組みがあるので、手元の書面と公表されている情報を見比べることもできます。

出典:老人福祉法施行規則20条の7(e-Gov法令API)/老人福祉法29条(e-Gov法令API)

重要事項説明書と契約書で、次の欄に付せんを貼っておくと漏れが減ります。

確かめる欄 見ること
類型・入居時の要件 「住宅型」か、親が要件に入るか
料金 家賃・食費・管理費・生活支援の費用と、前払金の有無
介護サービスの提供 併設の事業所の有無と、その利用が入居の条件になっていないか
契約の解除 ホームの側から解除できる場合の書き方
前払金の返還と保全 入居後3か月以内と想定居住期間内の返還、保全措置の内容
医療・夜間 協力医療機関、夜間に建物にいる職員

たとえば、併設の訪問介護の事業所の欄に「入居者は当事業所を利用すること」といった書き方があれば、外の事業所を選べるのかを質問する材料になります。反対に「利用は入居者の選択による」と書かれていれば、類型の説明どおりに選べることが書面で確かめられたことになります。

編集部の整理では、書面は持ち帰って家族で読み、分からない欄は質問を箇条書きにしてから契約の日を決めてください。急いで決めるよう求められても、書面で確かめていない点が残っているなら、契約を先に延ばすほうが後悔を減らせます。

住宅型が向く親・向かない親

住宅型が向くのは、介護の量がまだ多くなく、外のサービスを自分たちで選んで組み合わせたい親です。介護の量が多く、上限を超える月が続きそうな親には、別の住まいと比べる余地があります。

住宅型は、介護を外から付けるので、使い方を親に合わせて細かく変えられます。その一方で、介護費は上限を超えると全額自己負担になり、家賃・食費は特養のような軽減が効きません。この2つの性格から、向き不向きが分かれます。

  • 向く:自立〜要介護度が低めで、生活の支援があれば暮らせる
  • 向く:通い慣れたデイサービスやケアマネジャーを続けたい
  • 向く:夫婦で入りたいが、2人の介護の量が違う
  • 比べたい:介護の量が多く、上限を超える月が続きそう
  • 比べたい:夜間や医療のケアが毎日必要になっている
  • 比べたい:年金が少なく、食費・家賃の軽減を使いたい

たとえば、年金が少なく預貯金も多くない要介護4の母なら、負担限度額認定で食費・居住費が軽くなる可能性がある特養を並べて考える意味があります。住宅型では、この認定を受けても家賃・食費は下がりません。反対に、要介護1で日中はデイサービスに通っている父なら、住宅型の使い方の自由さが生きます。

食費・居住費の負担限度額認定が効く施設と条件

編集部の整理では、向くかどうかを決める前に、親のいまの要介護度、ケアプランが上限の何割か、年金の月額の3つを並べてください。3つがそろうと、住宅型・介護付き・特養のどれを先に見学するかの順番が決まります。

入居せず在宅で続ける条件

住宅型に入ることは、選択肢の1つであって正解ではありません。今の家で介護を続ける条件がそろっているなら、住まいを変えない道もあります。

住宅型で受ける介護は在宅と同じ居宅サービスなので、介護の受け方だけを見れば、今の家と住宅型の違いは大きくありません。住宅型に移って変わるのは、食事や生活の支援がホームにあることです。建物にどんな職員がいつ配置されているかはホームごとに違うので、見学で確かめます。逆に言えば、食事や生活の支援を在宅で埋められるなら、住み替えなくても続けられます。

在宅で続けられるかは、次の点で考えます。

  • 食事の用意を、家族か配食・訪問介護で回せている
  • 夜間に何かあったとき、誰かが気づいて連絡できる
  • 主に介護している家族が、仕事や体調を崩さずに続けられている
  • 本人が今の家で暮らしたいと思っている

たとえば、一人暮らしで要介護1の母が、食事の用意と服薬の確認さえ回れば暮らせる場合は、訪問介護とデイサービスの組み合わせで在宅を続ける余地があります。一方、夜中に転ぶことが増え、離れて住む子が駆けつけられない状態なら、夜間の職員の配置を確かめたうえで住宅型を比べる段階です。

親が施設を拒むときは在宅で続ける条件から話す

条件のうち欠けたものが出てきたら、まずケアマネジャーに「この点を在宅で埋めるサービスはありますか」と聞いてください。在宅で埋められないものが重なってから住宅型を比べると、親にも住み替えの理由を説明しやすくなります。

探し方と見学の進め方

住宅型を探すときは、類型と入居時の要件で絞り、重要事項説明書を取り寄せて費用の形を比べてから見学する順で進めます。見学で建物の印象から入ると、介護の事業所の選び方や解除の条項の確認が後回しになります。

有料老人ホームの届出先は都道府県知事で、運営の状況は都道府県が公表する仕組みです。候補が決まったら、ケアマネジャーにも見てもらい、そのホームに入った場合のケアプランの案と介護費の見込みを出してもらうと、比べる材料がそろいます。

※有料老人ホームの届出の窓口や、運営状況の公表の見方は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

見学で確かめることは次のとおりです。

  • 生活支援の職員が日中と夜間にどう配置されているか
  • 併設の事業所を使っていない入居者がいるか
  • 食事の内容と、食べる場所の様子
  • 協力医療機関と、急に体調が変わったときの連絡の流れ
  • 書面で分からなかった欄への答え

たとえば、親と子で見学に行くなら、子は重要事項説明書の付せんの欄を担当者と読み合わせ、親には居室や食堂の雰囲気を見てもらう、と役割を分けると聞き漏らしが減ります。帰りに親の感想を聞いて書き留めておくと、複数のホームを比べるときの手がかりになります。

在宅か施設か|在宅の限界が見え、施設を考え始めた人

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

住宅型は、月額の安さだけで選ぶと、外部の介護サービスを使うたびに介護費が上乗せされて、介護付きより高くなることがあります。候補が決まったら、資料で「介護費は月額に含まれるか」「併設の事業所はあるか」を確かめてください。地域の住宅型・介護付きの資料をまとめて取り寄せられる検索サイトもあります。

みんなの介護で老人ホームの資料を取り寄せる

入居したあとの実家をどうするか

親が住宅型に入ったあと、残った実家をどうするかは、入居と同じ時期に考え始める問題です。すぐに決めなくてよいものの、空き家のまま置くと、管理の手間と固定資産税などの費用は続きます。

住宅型は、介護の量が増えたときに介護付きなどへ住み替える可能性も残る住まいです。実家に戻る見込みがあるのか、前払金や月々の費用に充てるのか、家族の誰かが使うのかで、取る道が変わります。

  • 戻る見込みがある:当面は残し、誰が風通しや郵便を見るかを決める
  • 費用に充てたい:売る時期と、売るときの税の扱いを調べる
  • 家族が使う:名義と費用の分担を話す
  • 決めきれない:管理の分担だけ先に決め、見直す時期を区切る

たとえば、父が住宅型に入り、母はすでに亡くなっていて実家が空く場合、父が話せるうちに「戻るつもりはあるか」「荷物や仏壇をどうするか」を聞いておけば、あとで兄弟の判断が割れにくくなります。

実家をどうする|実家が空き家になりそうな人へ

入居の準備で慌ただしい時期ですが、本人の考えを聞きやすいのもこの時期です。「戻るか」「売るか」「誰が管理するか」の3つだけでも、入居前に言葉にしておいてください。

よくある質問

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いは何ですか?

介護付きは特定施設入居者生活介護の指定を受け、ホームが自ら介護をして、介護費は要介護度ごとの定額です。住宅型はこの指定が無く、外の訪問介護などを自分で選んで使い、介護費は使った分の1〜3割です。

住宅型有料老人ホームとサ高住の違いは何ですか?

住宅型は老人福祉法の届出による有料老人ホームで、食事や生活支援が付きます。サ高住は高齢者住まい法の登録を受けた住まいで、見守りと生活相談が付きます。介護はどちらも外の居宅サービスを使うのが基本です。

介護費は月にいくら上乗せになりますか?

使ったサービスの分の1〜3割で、要介護度ごとの上限があります。

計算例

1単位10円の地域で1割負担なら、上限いっぱい使った場合で要介護1が月16,765円、要介護5が月36,217円の目安です。

上限を超えた分は全額自己負担です。

併設の事業所を使わないといけませんか?

指針の説明では、住宅型の介護は入居者自身の選択で外のサービスを使う類型です。併設の事業所を使うことが入居の条件になっていないかを、契約前に重要事項説明書と契約書で確かめてください。

認知症でも入れますか?

入居時の要件の表示は認定の有無の区分なので、認知症に対応できるかはホームごとに違います。夜間に起きたときの対応など、親に起きている場面を挙げて、見学のときに聞いてください。

食費や家賃が軽くなる制度は使えますか?

負担限度額認定は特養・老健・介護医療院などの6サービスだけが対象で、住宅型の家賃・食費は下がりません。介護サービスの自己負担には高額介護サービス費があり、区分ごとの上限額を超えた分は申請で戻ります(家賃・食費は対象外です)。

デイサービスの費用は医療費控除の対象になりますか?

国税庁の説明では、通所介護や訪問介護(生活援助中心型を除く)は、訪問看護や通所リハビリテーションなどの医療系のサービスと併せて使った場合に対象になる区分です。単独では対象にならないので、ケアプランと領収証で併用の有無を確かめてください。

出典:国税庁 タックスアンサーNo.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価/介護保険法51条の3(e-Gov法令API)

順番のおさらい

  1. 住宅型とは:生活支援付きの有料老人ホームで、介護は外の居宅サービスを自分で選んで使う
  2. ほかとの違い:介護付きは定額でホームが介護、サ高住は登録の住まいで見守りと生活相談
  3. 介護の受け方:ケアマネジャーと事業所は入居者が選ぶ。併設の利用が条件になっていないか書面で確かめる
  4. 介護費:要介護度ごとの上限の中で使った分の1〜3割
  5. 上限を超えたら:超えた分は全額自己負担。上限の中の分には高額介護サービス費
  6. 保険外の費用:家賃・食費・管理費は全額自己負担で、前払金は入居後3か月の返還ルール
  7. 入れる人:ホームごとの入居時の要件で決まる
  8. 介護が重くなったら:住めるかは類型ではなく契約の解除の条項で決まる
  9. 契約前:ホームと事業所の両方の書面を読む
  10. 向き不向き:介護の量と年金で、介護付き・特養と比べる
  11. 在宅の道:食事と夜間を在宅で埋められるなら住み替えない選択もある
  12. 探し方:類型と要件で絞り、ケアプランの案で介護費を出してから見学する
  13. 入居後:実家を戻すか、売るか、誰が管理するかを入居前に聞く

住宅型を考えるときに持っておきたい物差しは、「ホームの料金表」と「ケアプランの自己負担」を別々に出して足すことです。前者はホームを比べれば分かり、後者は親の要介護度と使い方で決まります。そのうえで、介護が重くなったときの扱いを契約の書面で読んでおけば、入居後に慌てる場面は減らせます。

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この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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