高齢の親の見守りサービスの選び方|4つの型・費用の見方・同意の取り方

日の差す和室
  • 一人暮らしの親が家の中で倒れていたら、と考えると落ち着かない
  • 見守りサービスの種類が多すぎて、どれがうちに合うのか分からない
  • 月にいくらかかるのか、無料で使えるものはないのか知りたい
  • カメラを置くと言ったら、親は嫌がりそう
  • 通知が来ても、遠くてすぐには行けない
  • 実家にはネット回線がなく、親はスマホも使わない
  • 自治体にも見守りがあると聞いたが、どこに聞けばいいのか
  • 何かあってからでは遅い、とも思う

上記のような悩みに答えます。

見守りサービスは、離れて暮らす家族が親の異変に早く気づき、動き出すための仕組みです。ただ、検索して出てくるのは事業者の自社サービスの紹介と商品の比較が中心で、「通知が来たあと誰が動くのか」「親にどう切り出すのか」「市区町村の見守りはどこで聞くのか」はあまり書かれていません。そこで、型の違い・費用の見方・親の状態と子の距離での選び方を押さえたうえで、同意の取り方と通知のあとの段取りまで、介護保険法・民生委員法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。商品名と料金はあえて載せず、商品を比べる前に「型」を決めるところまでを扱います。

先に答え

見守りサービスは、商品を比べる前に「通知が来たら誰がどう動くか」を決めてください。電話で確かめるだけでよいのか、近くの誰かに見に行ってもらうのか、警備会社などに駆けつけてもらうのかで、選ぶ型が決まります。そのうえで、親の住む市区町村に見守りや緊急通報の事業がないかを地域包括支援センターか役所の窓口で聞き、親には「見張るため」ではなく「こちらが慌てないため」と、何が家族に届くのかを説明してから入れます。

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目次

見守りサービスは「誰が動くか」から選ぶ

見守りサービス選びの出発点は、機器の性能ではなく「通知を受けた家族が次に何をするか」です。ここが決まると、必要な型が自然に絞れます。

見守りの仕組みがしてくれるのは、異変らしきものを家族に知らせるところまでです。センサーが「朝から動きがない」と知らせても、そのあと電話をかけるのも、家を見に行く人を探すのも家族の側の仕事になります。駆けつける型を選んだ場合でも、誰に連絡が来て、誰が家に入る判断をするのかは契約前に決めておく必要があります。動く人が決まっていない見守りは、通知が増えるほど家族の不安が増えるだけ、ということになりかねません。

決めておくことは、次の4つに絞れます。

  • 通知が来たら、最初に誰が親へ電話するか(兄弟のうち誰か、子の配偶者か)
  • 電話がつながらないとき、家まで見に行ける人がいるか(近所・親戚・近くに住む兄弟)
  • 家に入るための鍵を、誰がどこに持っているか
  • 見に行ける人がいないなら、人が駆けつける型を頼むか

たとえば、車で行ける距離に長男が住み、新幹線の距離に長女が住んでいる家なら、通知の受け手は二人にしておき、電話がつながらないときに見に行く役を長男と決めておけば、気づく型の機器だけで回せる見込みがあります。逆に、子が全員遠方に住み、近所づきあいも薄い家では、通知が来ても見に行く人がいません。この場合は、気づく型だけを入れても「知ったのに動けない」状態になるので、駆けつける型か、人が会う型を組み合わせることを考えます。

編集部の整理では、型を決めるときの問いは「何が分かれば安心か」より「分かったあと、誰が何分で動けるか」のほうが役に立ちます。何かあってからでは遅い、という焦りはもっともですが、焦って機器を買う前に、家族の中で動く順番を一度言葉にしてください。それだけで、比較サイトの長い一覧を読む手間がかなり減ります。

見守りは4つの型に分かれる

日の差す和室

見守りサービスは、商品の数こそ多いものの、仕組みで分けると「気づく」「知らせる」「駆けつける」「人が会う」の4つの型に収まります。おすすめを探す前に、どの型の話をしているのかをそろえると、比較がぶれません。

型で分けるのは、型ごとに「家族に届くもの」と「届かないもの」が決まっているからです。センサーやカメラは生活の変化を拾えても、親が自分で助けを求めた声までは拾えない型が中心です。緊急通報のボタンは親の意思で助けを呼べる一方、押す前提の型は、押せない状態のときには働きません。どの型にも得意と不得意があり、組み合わせて穴を埋める前提で考えます。

型 仕組み 家族に届くもの 届かないもの
気づく型 人感・ドア開閉のセンサー、家電の使用状況、カメラ 生活のリズムの乱れ 親が助けを求めた声
知らせる型 緊急通報のボタン・ペンダント 親が押した瞬間の知らせ 押す前提の型では、押せない状態の異変
駆けつける型 通報や異常を受けて人が家に向かう 現地で確かめた結果 鍵の扱いを決めないと入れない
人が会う型 訪問・電話での安否確認、配食のときの声かけ 顔を合わせた人の気づき 訪問と訪問のあいだの変化

気づく型の中でも、カメラと、それ以外のセンサーや家電では親の受け止め方がかなり違います。カメラは映像で確かめられる分、家の中まで見られる感覚が強くなります。家電やセンサーは届く情報が「使った・使っていない」が中心なので、親にとっての負担が軽い反面、何が起きたのかまでは分かりません。家電を使う型の細かな比較は、別の記事にまとめています。

家電で見守る型の詳しい比較

たとえば、元気で外出も多い親に気づく型だけを入れると、外出中の時間は空白になり、「動きがない」という通知が出かけているだけのことも出てきます。こうした親には、本人が持ち歩ける知らせる型のほうが合う場合があります。反対に、家で過ごす時間が長い親なら、気づく型の通知は生活の変化をよく映します。

迷ったら、まず「親が自分で助けを呼べる状態か」を考えてください。呼べるなら知らせる型が軸になり、呼べないかもしれないなら気づく型か人が会う型が軸になります。駆けつける型は、そのどちらにも上乗せする「動く人」の代わりと考えると、位置づけが分かりやすくなります。

親の状態と子の距離で選ぶ

型は、親の状態と、子がどれだけ早く実家に行けるかの2つで選びます。商品のランキングより、この2つの組み合わせのほうが、その家に合う型をはっきり示します。

同じ機器でも、子が近くに住んでいれば「通知を見て寄ってみる」で済み、遠くに住んでいれば「通知を見ても誰も行けない」になります。親の状態も、自分でボタンを押せるか、生活のリズムが保たれているか、物忘れが出ているかで、届いてほしい情報が変わります。次の表は、その組み合わせごとの考え方の目安です。

親の状態 子がすぐ行ける 子がすぐには行けない
元気な一人暮らし 電話の習慣+知らせる型 知らせる型+人が会う型
持病や転倒の心配がある 気づく型+知らせる型 気づく型+駆けつける型
物忘れが出てきた 気づく型+地域包括への相談 気づく型+人が会う型+地域包括への相談
夫婦二人暮らし 電話の習慣を基本に 知らせる型を夫婦それぞれに

元気な一人暮らしの親なら、決まった時間の電話や、親から家族へ送る短い連絡の習慣だけで足りることもあります。機器を入れるとしても、本人が持ち歩ける知らせる型から始めるのが、親の生活を変えずに済む入り方です。子が遠方なら、月に何度か人と顔を合わせる機会を、地域の集まりや人が会う型で作っておくと、電話だけでは分からない変化を拾えます。

持病や転倒の心配がある親では、ボタンを押せない状態になったときに気づけるかが要になります。そのため、気づく型を組み合わせ、子が遠方なら現地に人を向かわせる手段を用意しておきます。転倒が心配な場面の家の中の整え方は、段差の記事で扱っています。

物忘れが出てきた親の場合、ボタンを持っていても押すこと自体を忘れる場合があるので、押す前提の型だけに頼らない組み方にします。あわせて、見守りの選び方より先に、地域包括支援センターに状況を相談しておくと、機器以外の支え方を一緒に考えてもらえます。

夫婦二人暮らしでも、見守りが要らないとは言い切れません。片方が倒れたとき、もう片方が通報できるとは限らず、二人とも体が弱っている場合はなおさらです。ただ、子が近くに住み、毎日のように電話で話している家なら、まずはその習慣を続け、片方の体調が崩れたときに型を足すという順番でもかまいません。

たとえば、母が元気に一人で暮らし、子は飛行機の距離に住んでいるとします。この場合、カメラを置くより、母が持ち歩けるボタンと、週に一度の電話の約束、近くの地域の集まりへの参加のほうが、母の暮らしに無理なく入ります。のちに転倒が続いたら、気づく型と駆けつける型を足す、と段階で考えれば十分です。

見守りサービスの費用は何に払うかで見る

見守りサービスの費用は、「何に払っているか」を分けて見ると比べられます。同じ「月額」でも、中に入っているものが違えば、比べる意味がありません。

費用の中身は、おおまかに次の4つに分かれます。機器そのもの、機器が家族に知らせるための通信、異常のときに人が動く駆けつけ、人が会いに来たり電話をかけたりする訪問や電話の手間です。気づく型は機器と通信が費用の中心になりやすく、駆けつける型や人が会う型は人の動く分が加わります。そのため、型が違うサービス同士の月額を横に並べても、比較にはなりません。

何に払うか 確かめること
機器 買い取りか、貸し出しか。故障したときの交換はどうなるか
通信 実家の回線を使うのか、機器に回線が入っているのか
駆けつけ 何回まで含まれるか、回ごとにかかるか。鍵の預け方
訪問・電話 どのくらいの間隔で、誰が来るのか、電話するのか

もう一つ見ておきたいのが、はじめにかかる費用と、続けてかかる費用の分かれ方、そしてやめるときの条件です。申し込んだら解約しにくいのでは、という心配があるなら、契約前に「いつから解約できるか」「解約のときに機器の返却や費用がかかるか」を確かめてください。はじめの費用が軽くても、途中でやめるときに負担が出る形もあります。

兄弟で費用を分ける場合は、金額の割り方より先に「誰が契約者になり、誰に通知が届くか」を決めてください。お金を出す人と、通知を受けて動く人が別だと、通知が来たのに誰も動かない、ということが起きやすくなります。費用は均等でなくても、動く役の重さで調整するという分け方もあります。

たとえば、気づく型の機器を家族で買い取り、実家のネット回線につなぐ場合は、続けてかかる費用が通信の分だけなのか、別のサービス料が付くのかは、契約で確かめます。これに駆けつけを足すと、人が動く分が加わります。どちらが得かではなく、「駆けつけを頼まないなら、誰が見に行くのか」を決められるかどうかで判断してください。

無料のものはあるか、という問いには、次の市区町村の見守りの項が答えになります。民間のサービスに申し込む前に、住んでいる市区町村で使えるものを確かめておくと、民間で払う範囲を絞れます。

市区町村の見守りを先に聞く

民間のサービスを比べる前に、親の住む市区町村に見守りや緊急通報の事業がないかを聞いてください。聞く先は、親の住所を担当する地域包括支援センターか、市区町村の高齢福祉の担当課です。

地域包括支援センターは、介護保険法115条の46に根拠がある市町村の窓口で、介護保険法115条の45第2項1号の総合相談として、高齢者の生活の実態の把握や、使える制度の情報の提供をしています。見守りの相談も、まずこの窓口に持ち込んで差し支えありません。相談先は子の住所ではなく、親の住所を担当するセンターです。

市区町村の見守りには、いくつかの性格の違うものが混ざっています。整理すると、次のようになります。

  • 緊急通報:市区町村が独自の事業として、緊急通報の機器の貸与などをしている場合があります。実施の有無・対象・自己負担は市区町村ごとに違います
  • 介護保険の総合事業:国の要綱では、市町村が定める生活支援の例として、定期的な安否確認や緊急時の対応、住民ボランティアなどの訪問による見守り、配食が挙がっています。対象は主に要支援の人などで、元気な親が使えるとは限りません
  • 介護保険の任意事業:介護保険法115条の45第3項で、市町村が行うことができる事業です。国の要綱では、認知症の人の見守りの体制づくりなどが例に挙がっています。行うかどうかと中身は市町村が決めます
  • 民生委員:民生委員法14条1項で、住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくことが職務の一つとされています

民生委員は、高齢者の見守りを専門にする人ではありません。担当の地区の住民の暮らしを把握し、相談に応じ、福祉サービスにつなぐことが仕事で、頼めば必ず見に来てくれる、という前提では考えないでください。それでも、親の住む地区の民生委員が誰かを知っておくと、離れて暮らす家族にとって地域とのつなぎ目になります。誰が担当かは、市区町村の窓口か地域包括支援センターで聞いてみてください。

たとえば、親がまだ要支援の認定を受けていない元気な一人暮らしなら、総合事業の安否確認は対象から外れる場合があります。この場合に聞くのは、市区町村が独自に行っている緊急通報や見守りの事業と、民生委員の担当です。逆に、親がすでに要支援の認定を受けているなら、総合事業の安否確認や配食がその市区町村で行われていないかも一緒に聞いてください。

電話では「離れて住む親の見守りを考えている。市区町村で使える見守りや緊急通報の事業はあるか。対象と自己負担はどうなっているか」と聞けば、話が早く進みます。無料かどうかも市区町村の決め方しだいなので、民間との比較はその答えを聞いてからにします。※お住まいの市区町村で確認してください。

出典:介護保険法115条の45(e-Gov法令API)/介護保険法115条の46(e-Gov法令API)/介護保険法施行規則140条の62の7(e-Gov法令API)/厚生労働省「地域支援事業実施要綱」/民生委員法14条(e-Gov法令API)

親に嫌がられない切り出し方

湯のみを持つ手

親に見守りを切り出すときは、親の衰えを理由にせず、子の側の事情として話し、家族に何が届くのかを具体的に見せます。入れるかどうかを最後に決めるのは親だ、という線を崩さないことが前提です。

親が見守りを嫌がる理由は、機器そのものより「弱った人として扱われる」ことへの抵抗にある場合が少なくありません。子が「心配だから」と言うほど、親は「まだ大丈夫」と示したくなります。だからこそ、話の主語を親から子に移し、「電話に出ないとき、こちらが仕事中でも落ち着いていられるように」と伝えるほうが、受け止めてもらいやすくなります。

切り出すときに押さえておきたいことは次のとおりです。

  • 家族に届く情報の範囲を、先に具体的に見せる(「朝に冷蔵庫が開いたかどうかだけが届く」など)
  • カメラから始めない。見られる感覚の薄い型を先に出す
  • 試してみて嫌なら外せることを伝える
  • 帰省の日に、親の目の前で設置や設定をする
  • その場で決めてもらおうとせず、考える時間を残す

たとえば、父が「監視されるのは嫌だ」と言った場合、無理に続けず、その日は「電話の時間を決める」ことだけを約束して終わる、という進め方もあります。少したってから、ポットや照明の使用だけが届く型を「これなら家の中は見えない」と見せると、話が進むことがあります。それでも断られたら、地域包括支援センターに相談し、市区町村の見守りや地域の集まりのような、機器に頼らない方法を先に整えておきます。

なお、子どもが直接言うより、第三者から話が出たほうが受け入れやすい場合もあります。センターに家族から状況を伝え、見守りの話をセンター側から出してもらえるかを相談するのも一つの手です。どこまで関わってもらえるかは地域と状況で違うので、相談のときに確かめてください。

通知のあとに動く人と鍵を決める

見守りは、通知が来てから家族がどう動くかまで決めて、ようやく役に立ちます。決めておくのは、連絡する順番、見に行く人、家に入る鍵、そして救急に伝える情報の4つです。

通知が来た瞬間に考え始めると、誰に電話するか、誰が行くかで時間がかかります。とくに遠方の子は、通知が来てもすぐには動けないので、近くで動ける人に頼む段取りが先に要ります。駆けつける型を契約していても、事業者に鍵を預けるのか、どこまで家に入ってもらうのかを決めておかないと、現地まで来ても入れない、ということになりかねません。

通知が来たら、決めた順に動く
  1. 1親に電話するまず本人に確かめる
  2. 2近くの人に頼む兄弟・近所・駆けつけ
  3. 3家に入る鍵の置き場所を決めておく
  4. 4救急・医療へ伝える情報を1枚に
  5. 5家族で共有する次の段取りを話す

鍵については、合鍵を誰が持つかを家族で決めておきます。近くに住む兄弟や親戚が持つのか、駆けつける型の事業者に預けるのかで、通知のあとの動き方が変わります。預ける場合は、どんなときに家に入ってよいかを契約の段階で確かめてください。

救急に伝える情報は、かかりつけ医の名前、持病、飲んでいる薬の手帳の置き場所、家族の連絡先を1枚の紙にまとめ、冷蔵庫の扉など分かりやすい所に貼っておくと、駆けつけた人にも伝わります。親と一緒に作れば、それ自体が見守りの話を切り出すきっかけにもなります。

たとえば、朝から人感センサーの反応がなく、親に電話してもつながらない場面を考えます。決めてあれば、まず近くに住む叔父に見に行ってもらい、叔父が合鍵で家に入り、必要なら救急に連絡する、という流れがすぐ動き出します。決めていなければ、遠方の子が誰に頼むかを探すところから始まります。

近所の人に頼む場合は、親の了解を得たうえで、「電話がつながらないときに一度様子を見てもらえないか」と頼める範囲で頼みます。頼みっぱなしにせず、見てもらったあとの連絡の仕方も決めておきます。家族以外に頼れる人がいなければ、駆けつける型を選ぶ理由になります。

道具を選ぶときの確かめどころ

テーブルの上の鍵

型が決まったら、実家の環境と親の使い方に合う機器かどうかを確かめます。見るところは、回線・操作・設置・通知の受け手・やめるときの条件の5つです。

機器の性能の違いより、実家で動くかどうかと、親が日々の暮らしの中で負担なく使えるかどうかのほうが、続くかどうかを左右します。実家にネット回線がない、親がスマホを使わない、という家でも使える型はありますが、どの回線を使う機器なのかは機器ごとに違います。買ってから「実家では使えなかった」とならないよう、次の点を確かめます。

  • 回線:実家のネット回線を使うのか、機器に携帯の回線が入っているのか、電話回線を使うのか
  • 操作:親が何も触らなくてよいのか、充電やボタン操作が要るのか
  • 設置:コンセントの位置、置き場所、工事が要るかどうか
  • 通知の受け手:家族の何人まで通知を受け取れるか、どんな形で届くか
  • やめるとき:解約の時期、機器の返却、費用の扱い

たとえば、実家にネット回線がなく、親がスマホを持たない場合は、携帯の回線が入っている機器や、電話回線を使う型が候補になります。家族の側はスマホで通知を受けるので、親が操作をしなくても成り立ちます。逆に、実家に回線があり、親がふだんからスマホで家族と連絡を取っているなら、選べる型の幅は広がります。

ここまでで型と確かめる点がそろったら、あとは実家の回線と親の使い方に合う機器を並べて比べる段階です。帰省の日に、コンセントの位置や回線の有無を写真に撮っておくと、機器を比べるときに迷いません。

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近くに住む家族や市区町村の見守りで足りるなら、機器を買い足す必要はありません。離れていて毎日の様子までは確かめられないなら、決めた型に合う機器を、実家の回線と親の操作の要らなさで並べて比べると選びやすくなります。通販なら同じ型の機器を一覧で見比べられるので、置く前に親に「何が家族に届くか」を説明できるものを選んでください。

楽天で見守り機器を見る/Amazonで見る

見守りでは足りなくなる合図

見守りは、親が自分で暮らせていることを前提に、異変に早く気づくための仕組みです。次のような合図が出てきたら、見守りを増やすより、暮らしを支える次の手に移る時期と考えてください。

見守りの機器は、異変を知らせることはできても、食事を作る、薬を飲む、火の始末をするといった暮らしそのものを支えることはできません。通知が増えてきたときに、機器を足して対応し続けると、家族の負担だけが重くなります。合図を家族で先に共有しておくと、動く時期を迷わずに済みます。

  • 同じような通知が、前より目に見えて増えた
  • 転んだ、転びかけたという話が続いている
  • 食事を作らなくなった、痩せてきた
  • 物忘れで、火の始末や戸締まり、薬の飲み忘れが気になる
  • 夜中に起きて動いている様子がある
  • 家から出なくなり、人と会う機会が減った

こうした合図が出たら、地域包括支援センターに相談し、介護保険の認定の申請を含めて次の手を考えます。物忘れが気になる場合は、国の要綱で、複数の専門職が家を訪ねて初期の支援をする認知症初期集中支援チームの事業が市町村の事業として位置づけられています。受付の窓口は自治体で違うので、まずセンターか役所で聞いてください。夜間の訪問が要る段階まで進んだときの選び方は、24時間の訪問介護の記事で扱っています。

物忘れが増えた親に、家族が先にすること

食事を作らない・痩せた親のこと

外出しなくなった親のこと

段差でつまずく親のこと

24時間の訪問介護の選び方

一方で、見守りサービスを入れなくてよい場合もあります。近くに住む家族が毎日のように顔を合わせている、親が決まった時間の電話に毎日出る習慣がある、市区町村の見守りや地域の集まりで人と会う機会が十分にある、といった家なら、民間のサービスを足さなくても、異変に気づく仕組みはすでにできています。その場合は、通知のあとの段取りと鍵の扱いだけ決めておけば足ります。

たとえば、隣町に住む娘が週に何度か実家に寄り、親も地域の集まりに通っているなら、見守りの機器は急がなくてかまいません。その習慣が崩れたとき、つまり娘の仕事が変わって寄れなくなった、親が集まりに出なくなった、というときが、型を選び直すきっかけになります。

見守りの次に来る認定の話

見守りで合図が出始めたら、次は介護保険の要介護認定の話になります。先に仕組みを知っておくと、そのときに慌てずに済みます。

介護保険の介護サービスを使うには、原則として市区町村に要介護認定を申請し、要支援か要介護の認定を受けます。介護保険法27条11項では、申請に対する処分は原則として申請のあった日から30日以内にしなければならないとされ、特別な理由がある場合には延期できる定めもあります。実際にかかる日数は自治体によって違います。見守りの段階で、認定とお金の仕組みを読んでおくと、合図が出たときの動き出しが早くなります。

出典:介護保険法27条(e-Gov法令API)

この段階で先に知っておくと役に立つのは、次の3つです。

  • 要介護認定は誰が申請でき、結果はいつごろ出るのか
  • 認定が出たら、1か月にどこまで介護保険で使えるのか
  • 親の負担は何割になるのか

たとえば、見守りの通知が増えてきた段階で認定を申請しておけば、要支援の認定が出れば、市区町村によっては総合事業の安否確認や配食の対象になる場合があります。対象になるかは市区町村が定めます。見守りの機器と介護保険のサービスは置き換えの関係ではなく、段階に応じて組み合わせていく関係です。

認定・お金|要介護認定が出て、月にいくら出ていくか

親の介護、まず何から? 気づいた段階でやること

よくある質問

高齢者の見守りサービスでおすすめのものは?

一つに決まる正解はありません。親が自分で助けを呼べるか、子がすぐに実家へ行けるかで、合う型が変わります。上の「親の状態と子の距離で選ぶ」の表で型を決めてから、その型の中で機器を比べてください。

高齢者の見守りサービスはいくらくらいかかりますか?

金額は、機器・通信・駆けつけ・人の訪問のどれに払うかで大きく変わるので、一律には言えません。比べるときは、同じ中身同士で並べ、はじめの費用と続けてかかる費用、やめるときの条件を分けて確かめてください。

高齢者の見守りサービスで無料のものはありますか?

市区町村が独自の事業として、緊急通報の機器の貸与などをしている場合があります。実施の有無・対象・自己負担は市区町村ごとに違うので、親の住む地域の地域包括支援センターか、市区町村の高齢福祉の担当課に聞いてください。

年老いた親の見守りはどうすればいいですか?

機器を選ぶ前に、通知が来たら誰が電話し、誰が見に行き、鍵を誰が持つかを家族で決めてください。そのうえで市区町村の見守りを聞き、足りない部分を民間のサービスで補います。親には、何が家族に届くのかを見せてから入れます。

実家にネット回線がなくても使えますか?

実家のネット回線を使わない作りの機器もあります。どの回線を使うかは機器ごとに違うので、買う前に確かめてください。

見守りサービスは介護保険で使えますか?

民間の見守りサービスそのものを介護保険で使えるとは言えません。ただ、要支援の認定を受けている人などは、市区町村によっては総合事業として安否確認や配食が行われている場合があります。対象と中身は市区町村が決めるので、地域包括支援センターで聞いてください。

申し込んだら解約しにくいですか?

解約できる時期や、機器の返却、費用の扱いはサービスごとに違います。契約の前に、いつから解約できるか、解約のときに何が必要かを確かめておけば、合わなかったときに切り替えやすくなります。

順番のおさらい

  1. 誰が動くか:通知が来たら誰が電話し、誰が見に行くかを先に決める
  2. 4つの型:気づく・知らせる・駆けつける・人が会う。どの型にも届かないものがある
  3. 選び方:親の状態と、子がすぐ行けるかどうかの組み合わせで型を決める
  4. 費用:機器・通信・駆けつけ・人の訪問のどれに払うかで分け、やめるときの条件も見る
  5. 市区町村:緊急通報や見守りの事業がないかを、地域包括支援センターか高齢福祉の担当課で先に聞く
  6. 切り出し方:子の側の事情として話し、家族に届く情報を見せ、決めるのは親に任せる
  7. 通知のあと:連絡の順番・見に行く人・鍵・救急に伝える情報を決めておく
  8. 道具:回線・操作・設置・通知の受け手・やめるときの条件を確かめる
  9. 足りなくなる合図:通知の増加や転倒、食事、物忘れが出たら次の手へ
  10. 認定:合図が出始めたら、要介護認定とお金の仕組みを読んでおく

見守りサービス選びで迷うのは、機器の種類が多いからというより、通知のあとに家族がどう動くかが決まっていないからです。動く人と鍵の段取りが決まれば、選ぶ型は自然に絞れ、市区町村で使えるものを聞けば、民間で払う範囲も見えてきます。機器は、その段取りの穴を埋める道具として選んでください。

市区町村の見守りや緊急通報の事業、地域包括支援センターの名称と担当区域、民生委員の担当は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

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この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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