- 見守りの機器を入れたいけれど、カメラとセンサーのどちらがいいのか決められない
- カメラを置こうと言ったら、親は嫌な顔をしそう
- カメラを付けても、仕事中に一日じゅう画面を見ていられるわけではない
- センサーだと、倒れたかどうかまでは分からないのでは
- スマートスピーカーで声をかけ合うのも見守りになるのか知りたい
- 実家は両親の二人暮らしで、センサーが役に立つのか分からない
- 実家にはWi-Fiがない
- 補助金や介護保険で、少しでも安くできないか
- 親の気持ちを傷つけずに入れたい
上記のような悩みに答えます。
見守りの機器は、離れて住む家族が「いつもと違う」に早く気づくための道具です。ところが検索して出てくるのは、商品の比較や事業者の自社サービスの紹介が中心で、画質や録画の有無は細かく比べてあっても、「そもそも家族は何を確かめたいのか」から方式を決める話や、夫婦二人の家でセンサーがどう働くか、介護保険で本当に借りられる機器はどこまでかは、はっきり書かれていません。そこで、カメラ・センサー・スマートスピーカーの違いと、回線や置き場所で決まることを押さえたうえで、親が嫌がったときの代わり方、夫婦二人の家の注意点、介護保険の福祉用具貸与で借りられる範囲まで、国の告示と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。商品名と料金は載せず、方式を決めるところまでを扱います。
見守りの機器をカメラにするかセンサーにするかは、「映像で様子を確かめたいのか」「いつもどおりに暮らしているかが分かればよいのか」で決めてください。映像で確かめたいならカメラ、動きや開け閉めで足りるならセンサー、声をかけ合いたいならスマートスピーカーが向きます。親がカメラを嫌がるなら、映す場所と時間を絞るか、センサーに替えます。介護保険の福祉用具貸与で見守りにかかわる種目は認知症の人向けの徘徊感知機器で、要支援1・2と要介護1は原則対象外なので、費用の助けは親の住む市区町村の窓口で先に聞いてください。
2026年10月時点の制度で確かめています
カメラかセンサーかは「何を確かめたいか」で決める
方式を選ぶ順番は、機器のカタログを見る前に「家族が知りたいのは、映像なのか、暮らしのリズムなのか、声なのか」を一つ決めることです。そこが決まれば、三つのうちどれが軸になるかはほぼ決まります。
商品の比較から入ると迷いやすいのは、三つが同じ「見守り」という言葉でまとめられていても、家族の手元に届くものがまるで違うからです。カメラは「いま、こうしている」という映像を、センサーは「今朝もトイレの扉が開いた」という暮らしが続いている印を、スマートスピーカーは「おはよう」「元気だよ」という声のやり取りを届けます。どれが優れているかではなく、家族の不安がどの種類の情報で落ち着くかで、合う方式が変わります。
自分の不安を言葉にするときは、次の三つの問いのどれに一番うなずくかで考えてみてください。
- 電話に出ないとき、家の中で何が起きているかを目で見て確かめたい → カメラ
- 毎日いつもどおりに起きて、食べて、トイレに行っているかが分かれば落ち着ける → センサー
- 親と短く声をかけ合いたい、困ったときは親のほうから呼んでほしい → スマートスピーカー
たとえば、母が一人で暮らし、子は仕事中にスマホをなかなか見られない家なら、カメラを付けても見る時間がなく、見ていない映像が溜まるだけになりかねません。朝に一度も動きがなければ知らせるセンサーのほうが、子の暮らし方に合います。反対に、父が最近ふらつくようになり、電話に出ないと居間で倒れていないかが気になって仕事が手に付かない子なら、映像で確かめられるカメラが不安に直接答えます。
見守りの全体には、機器で気づく型のほかに、親がボタンで知らせる型、人が駆けつける型、人が会いに来る型があります。どの型を軸にするか、通知が来たあと誰が動くかは、見守りサービス全体の記事にまとめているので、ここでは気づく機器の三つのうちどれを選ぶかに絞ります。
迷ったら、「一週間、親に毎日電話するとしたら、何を聞いて安心したいか」を書き出してみてください。「顔色を見たい」ならカメラ寄り、「起きたか、食べたか」ならセンサー寄り、「声が聞ければいい」ならスマートスピーカー寄りです。
3つの方式で分かること・分からないこと
三つの方式には、それぞれ家族に届くものと届かないものがあります。どれか一つで全部が分かる方式はないので、届かないものを知ったうえで選ぶのが出発点です。
届かないものがあるのは、方式ごとに「拾っている情報の種類」が違うからです。カメラは映る範囲の映像しか拾えず、画面の外で起きたことは分かりません。センサーは動きや開け閉めを拾いますが、それが誰の動きなのか、どんな様子なのかまでは分かりません。スマートスピーカーは声のやり取りを運びますが、親が話しかけなければ、あるいは家族が呼びかけなければ、何も起きません。
| 方式 | 家族に届くもの | 届かないもの | 親の側の負担 | つなぎ方 |
|---|---|---|---|---|
| カメラ | 映る範囲の映像(録画・会話は機種による) | 映していない部屋のこと | 見られている感じが強くなりやすい | 機種により実家の回線か、機器の回線 |
| センサー | 動き・扉の開け閉めなど、暮らしが続いている印 | 倒れたかどうか・誰の動きか(機種による) | 見られている感じは薄い・電池交換が要る機種もある | 機種により実家の回線か、機器の回線 |
| スマートスピーカー | 声のやり取り・呼びかけ | 親が話さないときの様子 | 話しかける操作を覚える必要がある | 実家の回線が要る機種がある(機種による) |
表の「届かないもの」の列が、選んだあとに家族が埋める穴になります。カメラを選ぶなら、映していない寝室や浴室で何かあったときにどう気づくか。センサーを選ぶなら、「動きがない」と知らされたあとに、どうやって様子を確かめるか。スマートスピーカーを選ぶなら、親が話しかけない日をどう受け止めるか。この穴の埋め方まで考えて、はじめて方式が決まったと言えます。
たとえば、センサーで「朝から動きがない」と知らされても、寝坊なのか、出かけているのか、倒れているのかの区別はつかず、電話をかける、近くの人に見てもらう、という次の動きが要ります。居間のカメラなら、ソファで眠っているだけだと分かれば電話をせずに済みますが、親が寝室で倒れていれば何も映りません。届くものの裏側に届かないものがある、と見ておくと、機器に期待しすぎずに済みます。
カメラが合う家、合わない家

カメラが合うのは、家族が映像で確かめたい理由がはっきりしていて、親もそれを受け入れている家です。家族が見る時間を取れない家や、親が強く嫌がる家には合いません。
カメラの強みは、知らせを受けたあとに「実際どうなっているか」を自分の目で確かめられることです。センサーの知らせは「何かが起きたかもしれない」で止まりますが、カメラなら映る範囲で様子が分かります。その代わり、映像を見る家族の手間と、映される親の気持ちという二つの重さを抱えます。この二つを引き受けられるかどうかが、合う家と合わない家の分かれ目です。
カメラが合いやすいのは、次のような家です。
- 親が転んだあと、起き上がれているかを目で確かめたい事情がある
- 親がカメラ越しの会話を楽しめる(会話ができるかは機種による)
- 家族のうち誰かが、決まった時間に画面を見る役を引き受けられる
- 映す場所を居間や玄関など、親が納得した所に限れる
反対に合いにくいのは、家族の誰も画面を見る時間がない家、親が「見張られている」と強く感じている家、寝室や浴室・トイレまで映さないと不安が消えない家です。そこまで心配な状態なら、カメラを増やすより、センサーの知らせや人が様子を見に行く仕組みを組み合わせます。
たとえば、父が夜中に居間で転び、朝まで起き上がれなかったことがある家では、居間を映すカメラが安心に直結します。この場合も、映すのは居間だけ、見るのは夜だけ、と父と決めておけば、昼の暮らしまで見られている感じは薄れます。逆に、父が元気で外出も多いのに子の心配からカメラを置くと、留守の映像ばかりが届き、父は家にいる時間を窮屈に感じるかもしれません。
カメラにするか迷ったら、「映像を見る人」と「見る時間」を先に決めてください。録画の有無や残せる期間は機種によって違うので、録画を使うなら、そのことも親に伝えたうえで決めます。
センサーは「いつもどおり」を知る方式
センサーは、親の暮らしがいつもどおり続いているかを知るための方式です。一人暮らしの親に合いやすく、親の負担が軽い反面、何が起きたかまでは分かりません。
センサーが拾うのは、人の動き、扉の開け閉め、部屋の明かりや温度の変化など、暮らしに伴う小さな印です(何を拾えるかは機種によります)。家族の手元には「今朝も動きがあった」「何時間も動きがない」といった形で届きます。映像がないぶん、親にとっては見られている感じが薄く、置いてあることを忘れて暮らせる、という点が強みです。
センサーを置く場所は、親が毎日通る所を選ぶと、印が途切れにくくなります。
- トイレの扉(一日に何度も開け閉めがある)
- 冷蔵庫の扉(食事の様子が分かる)
- 寝室から居間へ出る通り道(起きたかどうかが分かる)
- 玄関(外に出たかどうかが分かる。外に出たときの知らせ方は機種による)
冷蔵庫や電球、ポットのように、ふだん使う家電の使い方で「いつもどおり」を知らせる型もあります。家電の型どうしの比べ方は別の記事にまとめました。
気をつけたいのは、知らせの多さです。機種によっては、動きがあるたびに知らせが来る設定や、決めた時間に動きがないときだけ知らせる設定を選べます。動くたびに知らせが届く設定にすると、家族は一日じゅうスマホを気にすることになり、疲れて知らせを見なくなりかねません。家族が知りたいのは「いつもどおりでないとき」なので、知らせは異変らしいときだけに絞れる機種か、絞り方を確かめてから選びます。
電池で動くセンサーは、電池が切れると印が途絶え、「動きがない」が親の異変なのか電池切れなのか分からなくなります。電池の残りを知らせる機能があるかは機種によって違うので、帰省のたびに電池を確かめる段取りも決めておきます。
たとえば、母が一人で暮らし、毎朝起きるとまずトイレに行く習慣があるとします。トイレの扉にセンサーを付け、(設定できるかは機種によります)朝のある時間までに一度も開け閉めがなければ知らせる、という使い方なら、家族は朝に一度だけ確かめれば済みます。ただし、母が旅行や入院で家を空けている日には同じ知らせが来るので、留守の予定を家族に伝えてもらう約束も一緒に決めておきます。
動きや開け閉めを拾う方式のセンサーでは「動きがない」までしか分からず、倒れたこと自体は分かりにくい方式です(拾える内容は機種によります)。倒れたことにすぐ気づきたい事情があるなら、親が自分で知らせられる手段か、様子を確かめられるカメラを組み合わせてください。
スマートスピーカーは声を交わす方式
スマートスピーカーは、親と家族が声をかけ合うための方式です。親が自分から話しかけられるなら頼りになりますが、話しかけない日や、話せない状態のときには働きません。
スマートスピーカーの強みは、映像やセンサーと違って「親の声」が届くことです。声には、文字や印からは分からない元気さや、いつもと違う様子が出ます。機種や設定によっては、家族から呼びかけたり、親が声だけで家族を呼び出したりできます。電話のように受話器を取る必要がない分、手がふさがっていても話せる、という使い方もできます。
ただし、スマートスピーカーは、基本は誰かが話しかけて動く道具です。親が話しかけなければ家族には何も届かない使い方が中心で(できることは機種によります)、親が倒れて声を出せないときは、呼び出しも働かない場合があります。声かけの道具としては合っていても、異変に気づく道具として、センサーやカメラの代わりにはなりません。
機械が苦手な親の場合は、次の点を先に確かめてください。
- 親が、決まった言葉で話しかけることを覚えられるか
- 家族からの呼びかけに、親が何も操作せずに応えられる設定ができるか(機種による)
- 実家に回線があるか(実家の回線につなぐ機種があります)
- 置く場所が、親が一日の多くを過ごす部屋か
たとえば、父が毎日居間でテレビを見て過ごし、話し好きなら、居間に置いたスマートスピーカーで朝晩に声をかけ合う習慣は無理なく入り、家族も声の調子から疲れに気づけることがあります。一方、母が機械を触るのを嫌がり、話しかける言葉も覚えたくないという家では、置いても使われないかもしれません。その場合は、母が何もしなくてよいセンサーのほうが合います。
スマートスピーカーを選ぶなら、「異変に気づく役」は別に持たせると割り切ってください。声かけの習慣を作る道具として使い、気づく役はセンサーに、という組み合わせが、それぞれの得意を生かせる形です。
夫婦二人の家で気をつけること

夫婦二人で暮らす家では、センサーは「家の中で誰かが動いている」ことしか伝えられません。片方に異変があっても、もう片方が動いていれば、知らせが出ないままになることがあります。
センサーは、動いたのが父なのか母なのかを区別しません(人を区別できるかは機種によります)。一人暮らしなら「動きがない=親が動いていない」と読めますが、二人暮らしでは、母が元気に台所に立っていれば、父が寝室で倒れていても「動きあり」になります。夫婦の家でセンサーだけに頼ると、片方の異変が、もう片方の普段どおりの暮らしに埋もれてしまいます。
そのため、夫婦二人の家では、センサーに何かを足す考え方をします。
- 親が自分で家族に知らせられる手段(片方が倒れたとき、もう片方が知らせる)
- スマートスピーカーなど、声で家族を呼べる手段
- それぞれの寝室など、一人ずつの場所の動きを見る置き方
- 決まった時間の電話の習慣
片方がもう片方の世話をしている家では、世話をしている母が倒れると、父は助けを呼べないかもしれません。知らせる手段は母が持つだけでなく、父の側でも使えるかを確かめておきます。どちらが知らせる役になれるかは、二人の今の体の状態で変わります。
たとえば、両親がともに元気で毎日いっしょに買い物に出かける家なら、センサーより、決まった時間の電話と、声で家族を呼べるスマートスピーカーのほうが合います。二人とも出かけている時間はセンサーに動きが出ず、知らせが鳴っても「二人で買い物中」が続けば、家族は知らせを見なくなります。反対に、母が一人で父の世話をしている家なら、母の負担と母の異変の両方に目を向ける必要があり、機器より先に地域包括支援センターへ相談する段階かもしれません。
夫婦の家で迷ったら、「片方が倒れたとき、もう片方は家族に知らせられるか」を考えてください。知らせられるなら、その手段を確かにしておくことが軸になります。知らせられないかもしれないなら、機器だけでなく、人が様子を見に来る仕組みも含めて考えます。
親がカメラを嫌がったときの代わり方
親がカメラを嫌がったら、いきなりあきらめるのでも、押し切るのでもなく、映す場所を絞る、映す時間を絞る、センサーに替える、という順に一段ずつ下げていきます。
親が嫌がるのは、カメラという機械より、暮らしの全部を見られている感覚であることが少なくありません。それなら、見られる範囲を小さくしていけば、受け止め方が変わる余地があります。家族の側も、知りたいことを「これだけ分かれば落ち着ける」に絞り込む機会になります。
- 1映す場所を絞る居間や玄関だけにする
- 2映す時間を絞る夜だけ・知らせのときだけ
- 3センサーに替える映像をやめ、動きだけ届ける
一段目は、映す場所を絞ることです。居間や玄関など、親が「ここなら見られてもいい」と言える場所だけにし、寝室・浴室・トイレは最初から外します。二段目は、映す時間を絞ることです。家族が見るのは夜だけ、あるいは知らせが来たときだけ、と決めます。親が自分でカメラを止められる機種なら、「嫌なら止められる」という安心にもつながります(できるかは機種による)。三段目は、映像をやめて、動きや開け閉めだけが届くセンサーに切り替えることです。家族は映像を失いますが、「いつもどおりかどうか」は残ります。
どの段で止めるにしても、どこを映すか、誰が見るか、いつ見るか、嫌になったらどうするかを、家族の約束ごととして親と一緒に紙に書いておくと、あとで「聞いていない」とならずに済みます。親への切り出し方は、見守りサービス全体の記事で扱っています。
たとえば、母が「カメラは絶対に嫌」と言い、子は夜中の転倒が心配という家なら、最初から寝室と居間の間の通り道にセンサーを置く案を出してもかまいません。段は下げる順番の目安で、全部を順に試す必要はありません。親が受け入れられる段から始めるほうが長続きします。
回線・電源・置き場所で決まること

方式が決まったら、実家の回線、電源、置き場所、知らせの届け先の四つで、選べる機種が絞られます。とくに実家にWi-Fiがない家では、回線の確認が最初の分かれ道です。
方式の違いより、実家の設備のほうが選べる機種を強く決めます。カメラもセンサーもスマートスピーカーも、家族のスマホに情報を届けるには何らかの回線を通ります。実家のネット回線(Wi-Fi)を使う機種、機器そのものに携帯の回線が入っている機種があり、どちらかは機種ごとに違います。実家にWi-Fiがない家で、Wi-Fiが前提の機種を選ぶと、置いても動きません。
確かめることは次のとおりです。
- 回線:実家にWi-Fiがあるか。なければ、機器の中に回線が入った機種を探す
- 電源:置きたい場所の近くにコンセントがあるか。電池で動く機種なら、交換の頻度と誰が替えるか
- 停電のとき:電気が止まると、コンセントだけで動く機器やWi-Fiのルーターは止まる。停電中にどう動くかは機種による
- 置き場所:親がつまずかない、コードが通り道をまたがない所か
- 届け先:知らせを家族の何人に届けるか、誰のスマホで受けるか
置き場所は、コンセントの位置、ルーターの有無、親が長く過ごす部屋、夜に通る道筋で決まります。コードを廊下に這わせる置き方は、つまずきの原因になるので避けます。
届け先も大事です。兄弟の一人のスマホにだけ届く形だと、その人が忙しい日に知らせが止まります。複数の家族に届けられるかは機種によって違うので、何人に届けるかを家族で決めてから選んでください。知らせを受けたあとの段取りや、遠くに住む子が何かあったときに取る動きは、別の記事にまとめています。
たとえば、実家にWi-Fiがなく、親もスマホを持っていない家では、回線の入ったセンサーなら、親は何も操作せずに済む機種もあります。実家にWi-Fiがあり、親もスマホで家族と連絡を取っているなら、カメラやスマートスピーカーも選べます。回線の有無が決まれば、通信にかかるお金の形が見えてきます。費用全体の見方は見守りサービス全体の記事にあります。
ここまでで決めた回線・電源・届け先は、そのまま機種を選ぶ条件になります。回線・電源・届け先の三つを手元のメモにしてから見ると、合わない機種を最初から外せます。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
親の暮らしと実家の回線で方式が決まり、手元にある機器や市区町村の貸し出しで足りるなら、新しく買い足す必要はありません。方式は決めたのに、Wi-Fiの有無や置き場所に合う機種を自分で並べて比べないと絞りきれないときは、通販で同じ方式の見守り機器を並べ、通信のしかたと通知の届き先を見比べると決めやすくなります。選ぶときは、親が操作しなくても動くか、何が家族に届くかを親に説明できるかを先に確かめてください。
介護保険で借りられる機器と補助金
介護保険の福祉用具貸与で、見守りにかかわる種目は「認知症老人徘徊感知機器」です。要支援1・2と要介護1の人は原則として対象外で、補助金は市区町村ごとに違います。
介護保険の福祉用具貸与は、国の告示で対象の種目が決められていて、その数は13種目です。見守りにかかわるのは、そのうちの「認知症老人徘徊感知機器」で、告示では次のように定められています。
認知症である老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの
国の解釈の通知では、徘徊して屋外に出ようとしたときや、屋内のある地点を通ったときに、センサーで感知して家族や隣人などに知らせるもの、とされています。給付は貸与、つまりレンタルで、買い取りではありません。映像で様子を見るカメラがこれに当たるとは、国の定義からは読み取れません。ただ、対象かどうかは機種で違うので、気になる機器があれば、ケアマネジャーか福祉用具の事業者に確認してください。
出典:厚生省告示第93号(厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目)/厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年老企第34号)
借りられる人には条件があります。厚生労働省の資料では、要支援1・2と要介護1の人は、徘徊感知機器も原則として給付の対象外とされています。要介護2以上の人は原則として対象です。ただし例外があり、認知症の症状があり、移動に全介助が要らない人が、認定調査の結果などから例外的に対象になることがあります。また、状態が日や時間帯で変わりやすい、短い期間で急に悪くなることが確実に見込まれる、体への重大な危険や症状の悪化を避ける必要がある、といった事情が医師の医学的な所見で判断され、ケアマネジメントの中で特に必要とされたときに、市町村が書面などで確認して判断する道もあります。どちらの場合も、家族が自分で当てはまるかを決めることはできず、判断はケアマネジャーと市町村です。認知症と診断されたことだけで借りられるわけではありません。※お住まいの市区町村で確認してください。
出典:厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」
もう一つ知っておきたいのは、福祉用具貸与は、ほかの介護サービスと合わせて、要介護度ごとの区分支給限度基準額の中で使う、という点です。徘徊感知機器を借りると、その分だけ、同じ月に使えるほかのサービスの枠が減ります。どのサービスにどれだけ枠を使うかは、ケアマネジャーとケアプランを作るときに相談します。福祉用具を借りるときの流れは、介護ベッドのレンタルの記事で詳しく扱っています。
補助金について言えば、市区町村が独自に、見守りの機器や緊急通報の機器を貸し出したり、費用の一部を助成したりしている場合があります。ただ、実施しているかどうか、誰が対象か、自己負担がどのくらいかは市区町村ごとに違い、どこでも使えるものではありません。親の住む地域を担当する地域包括支援センターか、市区町村の高齢福祉の担当課に「見守りの機器の貸し出し・助成はあるか」と聞き、対象と自己負担も確かめてください。民間の機器を買う前に聞いておけば、払わなくてよい分が見つかることもあります。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、要介護1で夜に家の外へ出てしまうことがある親なら、徘徊感知機器は原則として対象外です。認知症の症状があるなど条件に当てはまれば例外的に対象になることもあり、判断はケアマネジャーと市町村です。まずケアマネジャーに相談し、借りられなければ市区町村の貸し出しや助成を聞き、それもなければ民間の機器を考える、という順番にすると、費用の重さを抑えられます。
機器では足りなくなる合図
見守りの機器は、親の暮らしが自分で回っている間の「気づく道具」です。知らせが増える、知らせを受けても動ける人がいない、夜に外へ出てしまう、といった合図が出たら、機器を増やすより先に、地域包括支援センターへの相談と要介護認定の話に進みます。
機器にできるのは、異変らしきものを家族に知らせるところまでです。知らせが毎日のように来るなら、設定の問題ではなく、親の暮らしそのものに手助けが要る合図かもしれません。機器を増やしても、家族の負担が増えるだけで、親の困りごとは減らないことがあります。
次のような合図が出たら、機器の買い足しより、相談を先にしてください。
- 「動きがない」「外に出た」といった知らせが続くようになった
- 知らせを受けても、見に行ける人が誰もいない
- 夜中に家の外へ出てしまうことがある
- 物忘れが増え、電話の話がかみ合わない日が出てきた
- 片方の親が、もう片方の世話で疲れている
反対に、機器を入れないほうがよい場合もあります。親がはっきりと拒んでいるのに、黙って置くことは勧めません。知らせを受けて動く人が決まっていない家も、機器を入れる前に、家族の段取りを決めるほうが先です。また、親が元気で、毎日の電話で様子が分かり、近くに頼れる人もいるなら、いまは機器なしで、電話の習慣を続けるという選択も十分にありえます。
相談先は、親の住む地域を担当する地域包括支援センターです。地域包括支援センターは介護保険法115条の46に根拠がある窓口です。センターが行う事業の一つが、115条の45第2項1号に定められた、被保険者の心身の状況や家での暮らしの実態を把握し、関連する施策の総合的な情報の提供や関係機関との連絡調整などの総合的な支援を行う事業です。家族だけで電話して、「見守りの機器を入れているが、知らせが続いている。次に何をすればいいか」と聞けば、機器以外の支え方も含めて一緒に考えてもらえます。
出典:介護保険法115条の46(e-Gov法令API)/介護保険法115条の45(e-Gov法令API)
たとえば、物忘れが出てきた母に人感センサーを付けたところ、夜中に玄関の扉が開いたという知らせが何度か来た家なら、センサーを足すより先に、センターに相談し、要介護認定の申請を考える段階です。認定が出れば、ケアマネジャーと一緒に、人が訪ねるサービスや、条件によっては徘徊感知機器も含めて考えられます。物忘れが出てきた親に家族が先にしておくことは、別の記事で扱っています。
機器で気づく段階の次に来るのは、認定とお金の話です。要介護認定の申請の仕方、認定が出たら月にどれくらいの枠が使えるか、親の負担はどうなるかを先に読んでおくと、センターで何を聞けばいいかがはっきりします。
※地域包括支援センターは市町村が設置するか委託を受けた法人が運営するため、名称(「高齢者あんしんセンター」など)と担当区域は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
よくある質問
高齢者の見守りカメラの補助金はいくらですか?
一律の金額はありません。市区町村が独自に見守りの機器の貸し出しや費用の助成をしている場合がありますが、実施の有無・対象・自己負担は市区町村ごとに違います。親の住む地域の地域包括支援センターか、市区町村の高齢福祉の担当課に聞いてください。
高齢者の見守りカメラの設置費用はいくらですか?
機器を買うか借りるか、設置を頼むかなどで変わるので一律には言えません。費用の見方は見守りサービス全体の記事にまとめてあるので、ここでは先に実家の回線の有無を決めてください。
見守りカメラは介護保険の適用になりますか?
介護保険で借りられる見守りの機器は、福祉用具貸与の認知症老人徘徊感知機器で、国の定義では、センサーで感知して家族や隣人などに知らせる機器とされています。映像で様子を見るカメラがこれに当たるとは、定義からは読み取れません。対象かどうかは機種で違うので、ケアマネジャーか福祉用具の事業者に確認してください。
ペットカメラで高齢者の見守りはできますか?
映像を見る、声をかけるといった使い方ができる機種なら、カメラの方式として使える場合があります。知らせの出し方や録画、回線のつなぎ方は機種によって違うので、何を確かめたいかと実家の回線に合うかを先に確かめ、映す場所と時間を親と決めてください。
実家にWi-Fiがなくても使えますか?
機器の中に回線が入っている機種なら、実家のWi-Fiがなくても使える場合があります。どの回線を使うかは機種ごとに違うので、選ぶ前に確かめてください。スマートスピーカーは実家の回線につなぐ機種があるので、Wi-Fiがない家では回線の有無を先に確かめてください。
見守りカメラに録画は要りますか?
家族が知りたいのが「いまの様子」だけなら、録画がなくても足ります。知らせを受けたあとに少し前の様子をさかのぼりたいなら録画が役に立ちますが、録画の有無や残せる期間は機種によって違い、親には「全部残っている」という重さが加わります。録画するなら、そのことを親に伝えたうえで決めてください。
順番のおさらい
- 何を確かめたいか:映像ならカメラ、いつもどおりかならセンサー、声ならスマートスピーカー
- 分かること・分からないこと:どの方式にも届かないものがあり、その穴の埋め方まで考えて選ぶ
- カメラ:映像を見る人と時間を決められ、親が納得した場所だけを映せる家に合う
- センサー:一人暮らし向き。置き場所は毎日通る所、知らせは異変らしいときだけに絞り、電池も確かめる
- スマートスピーカー:声をかけ合う道具。異変に気づく役は別に持たせる
- 夫婦二人:センサーは「誰かが動いている」になる。片方が倒れたときに知らせる手段を足す
- 親が嫌がったら:映す場所を絞る、時間を絞る、センサーに替える、の順に下げる
- 実家の条件:回線・電源・置き場所・届け先で選べる機種が決まる
- 介護保険と補助金:借りられるのは徘徊感知機器で、要支援・要介護1は原則対象外。補助は市区町村で聞く
- 足りなくなる合図:知らせが続く、動ける人がいないときは、機器を足すより地域包括と認定へ
見守りの機器選びで頼りになるのは、機能の多さではなく、家族が何を知れば落ち着けるのかを言葉にしておくことです。そこが決まれば方式は絞れ、親にも「全部を見たい」ではなく「これだけ分かればいい」と伝えられます。親が受け入れられる形から小さく始め、知らせが続くようになったら、機器ではなく人の手を借りる段階だと受け止めてください。
センターの名称や窓口、見守りの機器の貸し出しや助成は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

