- ケアマネジャーから「ヘルパーさんに来てもらいましょう」と言われたが、何をしてくれるのか分からない
- 頼んだあとで「それはできません」と言われて、親ともヘルパーとも気まずくなりたくない
- 実家に父が一緒に住んでいる。同居の家族がいても、母のために掃除や料理を頼めるのか
- 家族の分の洗濯や食事、庭の草むしりはどうなるのか
- 1回いくらで、週2回来てもらうと月いくらになるのか
- 1回は何分くらいで、朝と夕方に分けて来てもらえるのか
- 通院の付き添いや、薬を飲む手伝いは頼めるのか
- ヘルパーに頼めないことは、結局どこに頼めばいいのか
上記のような悩みに答えます。
訪問介護は、親が自宅で暮らし続けるための中心になるサービスです。ところが、頼めることの一覧だけでは、頼めないことの区分の考え方や、同居の家族がいる場合の条件までは分かりません。介護メディアや事業所の解説を見た範囲では、生活援助の条件を国の算定基準の文言で示して判断の流れまで書いたものや、頼めないことを保険外・家族・市区町村のどこで埋めるかを並べたものは見つけにくいところでした。そこで、身体介護と生活援助の中身、頼めないことの区分、費用の出し方という基本を押さえたうえで、同居家族がいるときの考え方と、頼めないことの埋め方まで、介護保険法の条文と厚生労働省の告示・通知で確かめながら整理しました。
訪問介護は、ヘルパーが自宅に来て、入浴や排せつ、食事などの身体介護と、掃除・洗濯・調理などの生活援助をする介護保険のサービスです。家族のための家事や、日常的な家事の範囲を超えることは介護保険では頼めません。生活援助は、一人暮らしの人か、同居の家族等が障害や病気などで家事が難しい場合に使えます。
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訪問介護は自宅に来るヘルパーの保険サービス

訪問介護は、要介護の人の自宅に介護福祉士などのヘルパーが来て、入浴・排せつ・食事などの介護や、日常生活上の世話をするサービスです。介護保険法8条2項がこの形で定めていて、「ホームヘルプ」「ヘルパー」は通称です。ケアプランや請求書には「訪問介護」と書かれます。
自宅には、有料老人ホームや軽費老人ホームなどの居室も含まれます。介護保険法2条4項は、保険給付の内容と水準は、要介護状態になっても、可能な限り居宅で、能力に応じて自立した日常生活を営めるように配慮しなければならない、と書いています。訪問介護は、この「自宅で暮らし続ける」ことを支えるサービスの1つです。
介護保険の訪問介護は、請求のうえで次の3つの区分に分かれます。
- 身体介護:入浴・排せつ・食事の介助など、体に直接ふれて行う介助や、本人と一緒に行う見守り的な援助
- 生活援助:掃除・洗濯・調理・買い物など、本人に代わって行う家事
- 通院等乗降介助:ヘルパーが運転する車への乗り降りの介助と、その前後の移動などの介助
この区分で、1回の単位数(料金の元になる数)と、使える条件が変わります。身体介護には、生活援助のような家族の状況による条件はありませんが(20分未満の身体介護には算定の要件があります)、生活援助には家族の状況による条件があり、通院等乗降介助はケアプランに前もって位置付けることが必要です。要支援の人は、この訪問介護ではなく、市区町村の総合事業の訪問型サービスを使います(下の「訪問介護を頼むまでの手順」の項で触れます)。
たとえば、ひとり暮らしの母が「お風呂が怖い」「台所に立つのがつらい」と言い始めた場合、入浴の介助は身体介護、食事の用意は生活援助になり、同じヘルパーが1回の訪問で両方をすることもあります。父と同居している母の場合は、入浴の介助は同じように頼めても、食事の用意を生活援助で頼めるかどうかは、父の状況によって変わります。
最初に決めておきたいのは、「親が困っているのは体のことか、家事のことか」です。体のことなら身体介護、家事のことなら生活援助の条件を確かめる、と分けて考えると、ケアマネジャーとの話が早く進みます。
身体介護で頼めること
身体介護は、親の体に直接ふれて行う介助と、親と一緒に行う自立のための援助です。厚生労働省の通知(老計第10号・平成30年改正後)は、身体介護を、①利用者の身体に直接接触して行う介助、②利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス、③特段の専門的配慮をもって行う日常生活上のサービス、の3つで説明しています。
通知には、身体介護の例として次のような行為が挙げられています。
- 排せつの介助:トイレやポータブルトイレへの誘導、おむつの交換
- 食事の介助:食べる手伝い。服薬の介助もここに入る
- 入浴と身だしなみ:清拭(体をふく)、入浴、洗面・爪切り・簡単な化粧、着替え
- 移る・動く:体の向きを変える、ベッドから車いすへ移る、通院や外出の介助
- 起きる・寝る:起床と就寝の介助
- 専門的な配慮の要る調理:飲み込みが難しい人の流動食など
通知の考え方では、身体介護は「介護を要する状態が解消されたら要らなくなる行為」です。準備や後片づけなど一連の行為も含みます。一方で、通知自体が「あくまで例示で、実際は利用者の身体の状況や生活の実態に即して取り扱う」と断っているので、同じ行為でも親の状態によって区分が変わることがあります。
たとえば、ベッドからポータブルトイレに移るときに転ばないよう付き添う、声かけと誘導で食事や水分をとってもらう、服薬のときに直接は手を出さず側で見守る、といった関わり方も、通知では身体介護の「見守り的援助」として例示されています。親と一緒に掃除や調理、洗濯をしながら声をかけ、できるところは親にしてもらう形も、ここに入ります。ただし、見守り的援助はケアプランに位置付けられたものに限られ、ヘルパーに頼めば何でも一緒にやってもらえる、という仕組みではありません。
親の様子で「全部やってもらう」のか「一緒にやって力を保つ」のかを、ケアマネジャーと先に話してください。同じ入浴でも、親が自分で洗える部分を残すかどうかで、ケアプランの書き方とヘルパーの関わり方が変わります。最新の通知の扱いは、ケアマネジャーと事業所に確かめるのが確実です。
出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」改正(老振発0330第2号)
生活援助で頼めること
生活援助は、身体介護以外の訪問介護で、親本人の掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助です。通知は括弧書きで、生活援助を「本人の代行的なサービスで、介護等を要する状態が解消されたとしたら、本人が自身で行うことが基本となる行為」と説明しています。親ができなくなった家事を、親の代わりにする、という位置づけです。
通知に例示されている生活援助は、次の6つのまとまりです。
| まとまり | 通知に挙がっている例 |
|---|---|
| 掃除 | 居室・トイレ・卓上の清掃、ゴミ出し |
| 洗濯 | 洗濯、物干し、取り入れと収納、アイロンがけ |
| ベッドメイク | 親がいないベッドでのシーツ・布団カバーの交換 |
| 衣類の整理・補修 | 夏物と冬物の入れ替え、ボタン付け、破れの補修 |
| 調理・配下膳 | 一般的な調理、配膳と後片づけ |
| 買い物・薬の受け取り | 日用品などの買い物、薬の受け取り |
ここで大事なのは、対象が「親本人の分」だということです。掃除なら親が使う部屋、洗濯なら親の衣類、調理なら親が食べる分が基本になります。また、親と一緒に家事をする形は、上の項のとおり通知では身体介護(見守り的援助)の側に分類されていて、「一緒に料理をすると生活援助」にはなりません。
たとえば、ひとり暮らしの父の家で、週に1回、居間と寝室とトイレの掃除、洗濯物の取り込み、食事の調理を頼む、という組み方は生活援助の例示の範囲に収まります。同じ家に帰省した子どもの部屋の掃除や、子どもの分も含めた食事の用意は、親本人の分ではないので、生活援助には入りません。
頼みたい家事を書き出すときは、「誰の分か」を横に書いてください。親本人の分だけが並んでいれば生活援助の候補、家族の分が混じっていれば下の「頼めないこと」と「埋め方」の項の話になります。
出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」改正(老振発0330第2号)
訪問介護で頼めないことは3つの区分
介護保険の訪問介護で頼めないことは、通知の上で3つの区分にまとめられています。①商品の販売や農作業など生業の援助的な行為、②直接本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為、③日常生活の援助に該当しない行為、の3つです。
②は、主として家族の利便に供する行為や、家族が行うことが適当と判断される行為を指します。③は、ヘルパーが行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為と、日常的に行われる家事の範囲を超える行為です。どちらも、通知が生活援助の内容に含まれないとしている行為です。
| 区分 | 通知の言い方 | 読み替えると |
|---|---|---|
| ① | 商品の販売・農作業等生業の援助的な行為 | 親の商売や畑仕事の手伝い |
| ② | 直接本人の日常生活の援助に属しない行為 | 家族の分の家事、家族がするのが適当なこと |
| ③ | 日常生活の援助に該当しない行為 | なくても暮らしに支障がないこと、日常の家事の範囲を超えること |
具体的な行為ごとの扱いは、平成12年の別の通知(老振第76号)を参照するとされています。この記事ではその本文を一次情報で確認できていないので、窓拭きや大掃除、家具の移動のような個別の行為を「保険では頼めない」とは言い切りません。③の「日常的な家事の範囲を超えるか」「なくても支障がないか」に当てはまるかどうかで判断される、というところまでが確かめられた範囲です。
たとえば、年末に親の家の窓をきれいにしたい、模様替えでたんすを動かしたいと考えた場合、それが日常の家事の範囲かどうかが分かれ目になります。判断するのは、通知の趣旨に沿ってケアプランを作るケアマネジャー、サービスを提供する事業所、そして保険者である市区町村です。
迷う家事は、頼む前にケアマネジャーに「これは生活援助に入りますか、入らないならどこに頼めますか」と2つ続けて聞いてください。入らないと分かった家事を、ヘルパーに当日その場で頼むのは避けたほうが、親とヘルパーの関係がこじれにくくなります。
出典:厚生労働省 老企第36号(留意事項通知)訪問介護の項・新旧対照/厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」改正
親と同居する家族がいるとき
同居の家族がいても、生活援助が使えなくなるわけではありません。国の算定基準は、生活援助中心型の単位を算定できる利用者を、「単身の世帯に属する利用者、または家族若しくは親族(家族等)と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難であるもの」と定めています。
つまり条件は2つに分かれます。ひとり暮らしなら、この条件は満たします。同居の家族等がいるなら、その家族等に障害や病気などの理由があって、本人または家族等が家事をするのが難しいかどうかが問われます。「同居家族がいたら使えない」とも「同居でもいつでも使える」とも書かれていない、というのが条文の形です。
- 1同居の家族等がいるかいなければ単身の世帯として条件を満たす
- 2家族等に障害・疾病等の理由があるか条文が挙げるのは障害・疾病等
- 3本人または家族等が家事を行うのが難しいか理由があって家事を行うことが困難か
- 4ケアマネがケアプランで判断する保険者の運用も確かめる
判断の流れは、上の図の順になります。同居の家族が働いていて日中いない、高齢で家事がつらい、といった事情が「障害、疾病等」に当たるかどうかは、条文だけでは決まりません。この記事では同居家族がいる場合の具体的な取扱いを定めた個別の通知を確認できていないので、白黒はつけません。保険者である市区町村の運用で違い得るところで、ケアマネジャーがアセスメントをしてケアプランに位置付けるかどうかを判断します。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、要介護2の母と、足を悪くして通院中の父が同居している場合は、父の疾病で家事が難しいことを伝えれば、生活援助の条件を満たす方向で検討される余地があります。父が元気でフルタイムで働いている場合は、条件に当たるかどうかが運用で分かれるところなので、ケアマネジャーに市区町村の考え方を確かめてもらう必要があります。また、同居の父の分の食事や洗濯は、どちらの場合も生活援助の対象には入りません。
ケアマネジャーに相談するときは、同居家族の年齢と体の状態、通院の有無、家にいる時間帯の3つを紙に書いて渡してください。条件に当たらないと分かった場合でも、身体介護で頼めることや、保険外サービスで埋める道が残ります。
出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示・訪問介護費 注3)
訪問介護の1回と1か月の費用の出し方
1回の介護サービス費の自己負担は、「単位数×1単位の単価×負担割合」で出します。訪問介護の単位数は所要時間と区分で決まり、要介護度による差はありません。単価は事業所がある地域の区分で、負担割合は親の所得で決まります。
訪問介護の1単位の単価は、地域区分によって10.00円から11.40円までの幅があります。「その他」の地域は10.00円、1級地は11.40円で、通所介護や施設サービスよりも地域による差が大きいグループに入っています。
次の表は、1単位10円の地域・1割負担で計算した目安です。加算(処遇改善加算・特定事業所加算など)を含みません。2割負担なら円を2倍、3割負担なら3倍にしてください。
| 区分 | 所要時間 | 単位数(1回) | 1割の目安 |
|---|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 163単位 | 163円 |
| 身体介護 | 20分以上30分未満 | 244単位 | 244円 |
| 身体介護 | 30分以上1時間未満 | 387単位 | 387円 |
| 身体介護 | 1時間以上 | 567単位(30分増すごとに82単位を加算) | 567円〜 |
| 生活援助 | 20分以上45分未満 | 179単位 | 179円 |
| 生活援助 | 45分以上 | 220単位 | 220円 |
| 通院等乗降介助 | 1回(片道) | 97単位 | 97円 |
身体介護のあとに続けて20分以上の生活援助をした場合は、生活援助の時間が20分から数えて25分増すごとに65単位が加わり、195単位が上限です。生活援助に20分未満の区分は無く、身体介護の20分未満には算定の要件があるので、誰でも使えるとは限りません。
時間の数え方には、もう1つ決まりがあります。前回の訪問から概ね2時間未満の間隔で次の訪問をした場合は、それぞれの所要時間を合算して1回として算定します(緊急時訪問介護加算を算定する場合を除く)。留意事項通知は、訪問介護は生活パターンに合わせて提供されるべきで、1回の長い訪問を複数回に区分するのは適切でない、と理由を書いています。一定の要件を満たす20分未満の身体介護には合算しない例外もあるので、朝と昼に分けて来てもらいたいときは、事業所とケアマネジャーに算定のしかたを確かめてください。
夜間(午後6時〜午後10時)と早朝(午前6時〜午前8時)は1回につき所定単位数の25%、深夜(午後10時〜午前6時)は50%が加算されます。
たとえば、身体介護30分以上1時間未満の387単位の訪問を夜間に行うと、25%の加算で約484単位(387×1.25)になります。1単位10円の地域・1割負担なら、約484円です。
月の費用は、1回の単位数に回数を掛け、ほかのサービスと合わせて区分支給限度基準額という月の枠に収まるかを見て出します。枠は要介護1が16,765単位、要介護2が19,705単位、要介護3が27,048単位、要介護4が30,938単位、要介護5が36,217単位です。枠の範囲内なら1〜3割の負担で、超えた分は全額自己負担になります。訪問介護に「週何回まで」という決まった上限は無く、回数はこの枠の中でケアプランで決まります。
例1:要介護1・1割負担・1単位10円の地域で、身体介護30分以上1時間未満を月8回、生活援助45分以上を月4回使う場合。387単位×8回=3,096単位、220単位×4回=880単位で、合わせて3,976単位、自己負担は3,976円です(加算前)。枠の16,765単位のうち、残りの12,789単位をデイサービスや福祉用具などに回せます。
例2:同じ要介護1・1割負担で、事業所が1級地にある場合。1回387単位×11.40円=4,411.8円で、1割なら約441円です。1単位10円の地域より1回あたり約54円高くなるので、表の円は「1単位10円の地域の目安」として読んでください。
負担割合は原則1割です。2割になるのは、本人の合計所得金額が160万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円以上(2人以上の世帯で346万円以上)の場合、3割になるのは、合計所得金額が220万円以上で、同じ合計が単身で340万円以上(2人以上の世帯で463万円以上)の場合です。境目にいそうなときは、親の介護保険負担割合証の記載を見るのが確実です。
通院等乗降介助は、ヘルパーが自分の運転する車で、乗り降りの介助と乗車前後の移動や受診の手続きの介助をしたときに、1回(片道)につき97単位です。運転している時間の移送そのものは評価されず、タクシー代やガソリン代などの運賃は介護保険の対象外で別にかかります。使える事業所は限られるので、事業所に確かめてください。
計算の前に、親の負担割合、頼む区分と時間、月の回数、事業所の地域区分の4つをそろえてください。地域区分と付いている加算は、ケアマネジャーか事業所の料金表で確かめるのが早道です。※お住まいの市区町村で確認してください。
出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示・訪問介護費)/厚生労働省 指定居宅サービス介護給付費単位数表/厚生労働大臣が定める一単位の単価(告示)/区分支給限度基準額(告示)/厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービスにかかる利用料/厚生労働省「介護保険制度の概要」
訪問介護で頼めないことの埋め方

介護保険の訪問介護で頼めないことは、保険外サービス、家族、市区町村の窓口で探す地域の支えの3つで埋めることを考えます。どれを選ぶかは、頼みたいことが「家族の分か」「日常の範囲を超えるか」で変わります。
保険外サービスについては、厚生労働省の通知(介護保険最新情報Vol.678)が、訪問介護の前後や合間に、草むしりやペットの世話のサービス、同居家族の部屋の掃除や同居家族のための買い物のサービスを、保険外サービスとして提供することは可能だとしています。条件は、介護保険のサービスとはっきり分けることです。事業が別であることを説明して理解を得ること、運営規程とは別に目的や利用料を定めること、会計を分けることが求められます。
| 頼みたいこと | 考えられる埋め先 | 確かめること |
|---|---|---|
| 同居家族の分の家事 | 保険外サービス・家族 | 事業所が保険外を行っているか、料金 |
| 草むしり・ペットの世話 | 保険外サービス | 事業所が保険外を行っているか、料金 |
| 日常の範囲を超えるか迷う家事 | まずケアマネに確認 | 生活援助に入るか、入らないなら埋め先 |
| 見守りや食事の確保 | 市区町村の窓口・地域包括 | 地域にどんな支えがあるか |
保険外サービスは、利用者の全額自己負担で、料金は事業所ごとに決まります。保険外を行うかどうか自体も事業者次第なので、どのヘルパーにも頼めるわけではありません。また、親本人の分と同居家族の分の料理を同時に作るといった、保険と保険外を同時一体的に行う形は認められていません。
たとえば、母の生活援助(本人の居室の掃除)のあとに、続けて保険外で同居の父の部屋を掃除してもらう、という組み方は、事業所が保険外を行っていて、保険と明確に区分した別契約・別料金にする場合に、通知の考え方に沿います。一方、母の分と父の分の夕食を一度に作ってもらい、母の分だけ保険で払う、という頼み方はできません。家族の分の食事は、家族が作るか、保険外サービスを行う事業所があれば保険外の別の時間に頼むか、配食のような別の手を考えることになります。
見守りや食事の確保は、市区町村や地域包括支援センターで、地域にどんな支えがあるかを聞くのが入り口です。内容や対象は自治体ごとに違うので、この記事では個別の事業名を挙げません。※お住まいの市区町村で確認してください。配食や見守りの考え方は、別の記事にまとめています。
頼めないことが出てきたら、「家族がする」「保険外で頼む」「地域の支えを探す」のどれにするかを、家族の誰がいつ動けるかと一緒に決めてください。費用がかかる保険外は、回数を絞って本当に困る家事だけに使うと、続けやすくなります。
出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.678「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」
訪問介護を頼むまでの手順
要介護の人が訪問介護を使うときは、ケアマネジャーに相談してケアプラン(居宅サービス計画)に入れてもらい、訪問介護の事業所と契約する、という順に進みます。ケアプランの作成は全額が保険から給付され、利用者の自己負担はありません。
ケアマネジャーの事業所は、契約の前に重要事項説明書を渡して説明し、同意を得ることになっています。そのとき、ケアプランは利用者の希望に基づいて作られること、利用者は複数のサービス事業所の紹介を求められることも説明されます。ケアプランの原案は、サービス担当者会議で専門的な意見を聞いたうえで、保険の対象かどうかを区分して説明され、文書で同意してから決まります。
- 1ケアマネに相談する困っている家事と介助、時間帯を伝える
- 2事業所の候補を出してもらう複数の事業所の紹介を求められる
- 3ケアプランの原案に同意する保険の対象かを区分して説明される
- 4事業所と契約する料金表と重要事項を読んでから
まだ要介護認定を受けていない場合は、市区町村の窓口か地域包括支援センターで申請から始めます。申請の手続は、地域包括支援センターや一定の居宅介護支援事業者などに代わって行わせることができます(引き受けるかどうかは相手次第です)。認定は申請のあった日にさかのぼって効力が生じます。
要支援1・2の人は、訪問介護ではなく、市区町村の総合事業の第一号訪問事業(訪問型サービス)を使います。要支援の人が自宅で家事や身体の援助を受けられないわけではなく、市区町村の事業として行われるので、内容・基準・料金が市区町村ごとに違う、というのが正確なところです。相談先は地域包括支援センターで、令和6年4月からは市町村の指定を受けた居宅介護支援事業所が要支援の人のケアプランを担当する場合もあります。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、ヘルパーとの相性が合わない、来る時間を変えたいといったときは、ケアマネジャーか事業所に相談します。担当者の交代に応じるかどうかは事業所の判断になりますが、ケアマネジャーの事業所には利用者や家族からの苦情に迅速かつ適切に対応し、記録する義務が基準で定められています。
ケアマネジャーには、「親が困っていること」「家族が担えること」「来てほしい曜日と時間帯」の3つを紙に書いて渡してください。とくに生活援助を入れたいときは、上の「親と同居する家族がいるとき」の項の条件に関わる家族の状況も添えると、原案の段階で話が食い違いにくくなります。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準4条/同基準13条/同基準26条/介護保険法46条/介護保険法115条の45/介護保険法27条
訪問介護が合わないとき
訪問介護が合うのは、親が自宅で暮らし、決まった時間にヘルパーが来れば身の回りや家事が回る場合です。医療的なケアが要るなら訪問看護、夜間の見守りや呼び出しが要るなら夜間の訪問の仕組み、日中を外で過ごせるならデイサービスのほうが合うことがあります。
介護保険法2条3項は、保険給付は被保険者の選択に基づいて行われるよう配慮しなければならない、と書いています。同条は理念を定めた規定で、個別の権利や義務を直接定めたものではありませんが、サービスは本人の選択に基づくという考え方が示されています。
訪問介護を選ばないほうがよい条件は、次のとおりです。
- 療養上の世話や診療の補助が必要:主治医に相談して訪問看護を検討する
- 夜中の見守りや呼び出しへの対応が要る:夜間の訪問の仕組みを調べる
- 日中に家族が家を空け、親が送迎の車で通える:デイサービスを組み合わせる
- 親が家に他人が入ることを強く嫌がる:まず理由を聞き、ケアマネジャーと入り方を変える
訪問看護は、主治医が必要と認めた要介護の人の自宅に、看護師などが来て療養上の世話や必要な診療の補助をするサービスです。たんの吸引や医療的な処置のような個別の行為をヘルパーに頼めるかどうかはこの記事では扱わず、医療的なケアが要ると感じたら、主治医とケアマネジャーに訪問看護を含めて相談してください。
夜間の訪問は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護が担います。夜間対応型訪問介護は2027年4月に介護保険法の定めから廃止される予定で、法律は公布済みです。夜の訪問の選び方は、次の記事で整理しています。
日中の数時間を事業所で過ごせるなら、デイサービスで入浴や食事を済ませ、ヘルパーは家事や朝夕の介助に絞る、という組み方もあります。デイの中身と費用、組み合わせ方は、それぞれ次の記事にまとめています。
親が「家に他人を入れたくない」と言う場合は、最初は短い時間の訪問から始める、親が慣れた家事だけを頼む、といった調整の余地があります。嫌がる理由ごとの向き合い方は、別の記事に任せます。
出典:介護保険法8条(訪問看護の定義)/介護保険法2条/厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について」
次は在宅か施設かを考える

ヘルパーを入れて在宅の介護が回り始めても、訪問の回数が増えて限度額の枠に近づいたり、家族の事情が変わったりすると、「このまま在宅で続けるか、施設を考えるか」という問いに行き当たります。月の枠の残りが少なくなってきたときが、その判断の材料をそろえ始める合図です。
在宅で続けるなら、ヘルパー・デイ・ショートの配分を枠の中で組み直すことが中心になります。施設を考えるなら、特養・老健・有料老人ホームなどの種類ごとに、入る条件と1か月の費用を比べます。どちらにしても、いまの訪問介護の回数と単位数を書き出しておくと、比べるときの土台になります。
介護のお金の全体像(認定から自己負担の上限まで)は、次のページで見渡せます。
在宅か施設かの判断の進め方と、施設の種類ごとの費用は、次のページにまとめています。
よくある質問
訪問介護の月額料金はいくらですか?
月額は、1回の単位数×月の回数×1単位の単価×負担割合で出します。たとえば要介護1・1割負担・1単位10円の地域で、身体介護30分以上1時間未満を月8回なら3,096円です(加算前)。ほかのサービスと合わせて区分支給限度基準額の枠を超えた分は、全額自己負担になります。
訪問介護とヘルパーの違いは何ですか?
訪問介護は介護保険のサービスの名前で、ヘルパー(訪問介護員)はそのサービスをする人の通称です。介護保険法は、介護福祉士その他政令で定める者が行うサービスとして訪問介護を定めています。ケアプランや請求書には「訪問介護」と書かれます。
訪問介護で何をするのですか?
入浴・排せつ・食事の介助などの身体介護と、親本人の掃除・洗濯・調理・買い物などの生活援助、ヘルパーが運転する車での通院等乗降介助の3つです。何をどれだけするかは、ケアプランと事業所の訪問介護の計画で決まります。家族の分の家事や、日常の範囲を超える家事は介護保険では頼めません。
訪問介護は1回何時間ですか?
1回の長さは、身体介護なら20分未満から1時間以上、生活援助なら20分以上45分未満と45分以上の区分があり、ケアプランで決まります。前回の訪問から概ね2時間未満の間隔で次の訪問をすると、2回の時間を合算して1回として算定されます。一定の要件を満たす20分未満の身体介護には例外があるので、事業所に確かめてください。
通院の付き添いは頼めますか?
通院や外出の介助は、通知で身体介護の例に挙がっています。ヘルパーが運転する車への乗り降りの介助が中心なら、通院等乗降介助として1回(片道)につき97単位で、運賃は別にかかります。どちらもケアプランに入れておく必要があり、対応できる事業所は限られるので、ケアマネジャーに相談してください。
訪問介護の費用は医療費控除の対象になりますか?
生活援助中心型の訪問介護は対象外です。身体介護などの訪問介護は、訪問看護や訪問リハビリなど医療系のサービスと併せて使っている場合に限って対象になる区分です。併用しているかどうかと対象額は、領収証とケアプランで確かめてください(国税庁 タックスアンサーNo.1127)。
順番のおさらい
- 訪問介護とは:ヘルパーが自宅に来て、身体介護・生活援助・通院等乗降介助をする介護保険のサービス
- 身体介護:排せつ・食事・入浴・移動などの介助と、親と一緒に行う見守り的援助(ケアプランに位置付けたもの)
- 生活援助:親本人の分の掃除・洗濯・調理・買い物など。本人の代わりにする家事
- 頼めないこと:生業の手伝い、本人の日常生活の援助に属しないこと、日常生活の援助に当たらないことの3区分
- 同居の家族:家族等の障害・疾病等で家事が難しければ生活援助の対象。判断はケアマネと市区町村の運用
- 費用:単位数×1単位の単価×負担割合。月は限度額の枠の中で、2時間ルールと夜間・早朝・深夜の加算に注意
- 埋め方:家族の分や草むしりは保険外サービスか家族、見守りや食事は市区町村の窓口へ
- 頼む手順:要介護はケアマネに相談してケアプランへ。要支援は地域包括で市区町村の訪問型サービス
- 合わないとき:医療的ケアなら訪問看護、夜なら夜間の訪問、日中に通えるならデイ
- 次の段階:枠の残りと家族の事情を見て、在宅で続けるか施設を考えるかを比べる
ヘルパーに頼めることを一覧で覚えるより、「誰の分か」「体のことか家事のことか」「日常の範囲か」の3つで線を引くほうが、親の家で実際に迷ったときに役立ちます。線の内側はケアプランに入れ、外側は保険外か家族か地域の支えに振り分ける。そのうえで単位数に回数を掛けて枠の残りを見ておけば、ヘルパーとの最初の打ち合わせで、頼む内容と月の予算の両方を決められます。
1単位の単価(地域区分)、同居家族がいるときの生活援助の運用、要支援の人の訪問型サービスの内容と費用は、自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

