- 配食で見守りってどういう仕組みなのか、よく分からない
- 弁当を手渡しで受け取れなかったとき、こちらに連絡は来るのか
- 人に訪ねてもらう見守りは、月いくらかかるのか
- 親の住んでいる市や町に、配食のサービスはあるのか
- 介護保険で使えるのか、要介護認定がなくても頼めるのか
- 郵便局の見守りが何をしてくれるのか知りたい
- 置き配にされたら、見守りにならないのでは
- 親が「弁当なんて要らない」と言いそうで、どう切り出せばいいか分からない
上記のような悩みに答えます。
訪問や配食の見守りは、機械ではなく人が親の顔を見る機会をつくる方法です。ただ、調べて出てくるのは、自治体の配食事業の対象や回数の案内、宅食の事業者の自社案内、見守りサービス全般の種類一覧が中心で、見た範囲では、配食を見守りの主役にしたときに「何が分かり、何が分からないか」や、受け取れなかったときに誰へ連絡が来るかを先に決める手順は薄く感じました。そこで、訪問・配食・電話の三つの型の違い、郵便局のみまもり訪問の中身と月額、自治体の配食の条件の違いを押さえたうえで、受け取れなかったときの連絡の決め方と、親の自治体の事業を離れた場所から調べる方法まで、介護保険法の条文、自治体と日本郵便の公式ページで確かめながら整理しました。民間の宅食の会社名と料金は載せず、比べる項目までを扱います。
訪問や配食で親を見守るなら、まず親の住む市区町村に、配食や見守りの事業があるかを聞いてください。事業の有無も対象も自己負担も市区町村で違います。足りない分は郵便局のみまもり訪問などの民間で補い、配食を頼むなら、受け取れなかったときに誰へどう連絡が来るかを申し込む前に決めておきます。
2026年10月時点の制度で確かめています
先に親の市区町村の事業を聞く
訪問や配食の見守りを考えたら、最初にするのは、親の住む市区町村に配食や見守りの事業があるかを聞くことです。民間のサービスを比べるのは、その答えを聞いてからで間に合います。
市区町村の事業から聞くのは、配食や安否確認が、介護保険の訪問介護などとは別に、市町村が事業として定めるものだからです。介護保険法115条の45第1項第1号ハの生活支援の事業として、施行規則140条の62の7は「栄養の改善を目的として居宅要支援被保険者等に対して配食を行う支援」と「定期的な安否確認及び緊急時の対応を行う支援」のうち市町村が定めるものを挙げています。つまり、やるかどうか、誰を対象にするか、自己負担をいくらにするかは市町村が決めます。この事業の対象は要支援の人や、市町村が基本チェックリストで事業の対象とした人などで、元気な高齢者なら誰でも使えるものではありません。これとは別に、市区町村が独自に配食や見守りを行っている場合もあります。
出典:介護保険法施行規則140条の62の7(e-Gov法令API)/厚生労働省「地域支援事業実施要綱」
電話やメールで聞くときは、次の順に確かめると、一度で答えがそろいやすくなります。
- 配食や見守りの事業があるか(ある場合は事業の名前)
- 対象になる人(要介護認定が要るか、ひとり暮らしかなどの条件)
- 回数・時間帯と、自己負担の額
- 申し込む先(市区町村の窓口か、地域包括支援センターか、社会福祉協議会か)
- 受け取れなかったときや異変に気づいたとき、誰に連絡が来るか
聞く先は、親の住む地域を担当する地域包括支援センターか、市区町村の高齢福祉・介護保険の担当課です。地域包括支援センターは介護保険法115条の46に根拠がある窓口で、被保険者の心身の状況や暮らしの実態の把握、関連する施策の情報の提供などの総合相談を行う事業を担っています。子が遠方に住んでいても、まずは電話で「親が一人で暮らしている。配食や見守りの事業があれば知りたい」と聞いてみてください。名称と担当区域は自治体によって違います。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、要支援の認定をすでに受けている母なら、総合事業の生活支援として配食が受けられる市町村もあります。反対に、認定を受けていない元気な父の場合は、総合事業の対象から外れることがあり、市区町村の独自事業があるかどうかで答えが変わります。どちらも無い市区町村なら、民間で探すことになります。同じ「配食」でも、親の状態と住所で使える入口が変わる、と考えておくと迷いません。
聞く前に手元にそろえておくとよいのは、親の住所、年齢、要介護認定を受けているかどうか、一人暮らしか夫婦二人か、の四つです。公式サイトで先に調べるなら、親の住む市区町村の名前と「配食」「見守り」を並べて検索し、市区町村の公式ページを開きます。ページが見つからなくても事業が無いとは限らないので、最後は電話で確かめます。
訪問・配食・電話でできること
人が関わる見守りには、人が訪ねる型、配食の手渡しで顔を見る型、自動音声の電話で毎日確かめる型の三つがあります。どれも分かることと分からないことがはっきりしていて、一つで全部をまかなえる型はありません。
三つの違いは、親と接する頻度と、接したときに何が家族に届くかです。訪ねる型は頻度が少ない代わりに、会って話した様子が報告で届きます。配食は食事を届けるたびに顔を合わせられますが、受け取ったときの様子をどこまで家族に伝えるかは事業者や事業の決め方次第です。電話は毎日でも、届くのは電話に出たかどうかと、ボタンで答えた体調までです。
| 型 | 頻度の決まり方 | 分かること | 分からないこと | 費用の決まり方 |
|---|---|---|---|---|
| 人が訪ねる(郵便局のみまもり訪問など) | 郵便局の場合は月1回 | 会って話した様子・写真付きの報告 | 訪問のない日の様子 | 定額の月額 |
| 配食の手渡し(自治体の事業・民間) | 申し込んだ曜日と回数 | 受け取ったときの顔や受け答え(配達の人が気づいた範囲) | 置き配や不在の日、配達のない日の様子 | 1食ごとの食事代(自治体の事業は市区町村が決める) |
| 自動音声の電話(郵便局のみまもりでんわなど) | 毎日 | 電話に出たか・ボタンで答えた体調 | 顔色・家の中の様子 | 定額の月額 |
配食で見落としやすいのは、表の「分からないこと」の列です。手渡しのときは配達の人が親の顔を見ますが、玄関先に置いていく置き配にしている日や、親が留守の日には、顔を見る機会がそもそもありません。配達のない土日や祝日も同じです。配食を見守りの主役にするなら、「顔を見られなかった日」を家族がどう知るかを、申し込む前に決めておく必要があります。
たとえば、平日の夕食を手渡しで届けてもらう母なら、平日は配達の人と毎日顔を合わせることになります。ただ、その事業者が受け取れなかったときに家族へ連絡しない決まりなら、家族は異変に気づけません。一方、月1回の訪問を頼んだ父の場合、報告の中身は詳しくても、次の訪問までの間の様子は分かりません。頻度と中身のどちらを優先したいかで、合う型が変わります。
迷ったら、「毎日の安否」と「月に一度のていねいな様子の確認」のどちらが欲しいのかを先に決めてください。毎日の安否なら電話か配食、ていねいな様子なら訪問、と軸が決まり、足りない部分は別の型で補えます。見守り全体の型の比べ方は、別の記事にまとめています。
郵便局のみまもり訪問の中身と月額

郵便局のみまもり訪問は、郵便局員が月1回、30分程度、親の家を訪ねて生活の様子を確かめ、写真付きの報告書を家族などに届けるサービスです。月額は2,500円(税込)で、自治体の制度ではなく、日本郵便が提供する有料のサービスです。
訪問では、決まった質問7項目と、選べる質問3項目の合わせて10項目を聞き取り、その結果を写真付きの報告書にまとめて、家族など指定した先へメールなどで報告します。日本郵便の案内では、センサー機器などだけでは分からない小さな変化に気づけることを強みとしています。ケガで入院したときに保険金が支払われる保険が、追加料金なしで付くとも案内されています。
月1回の訪問だけでは毎日の様子は分からないので、同じ日本郵便には、毎日の自動音声の電話で体調を確かめる「みまもりでんわ」もあります。親は電話の案内に沿って「元気です」「いつも通りです」「元気がありません」のどれかを電話機のボタンで選び、その答えがすぐに家族などへメールで届きます。報告先は最大4名まで設定できます。出なかったときは1時間以内にもう一度電話がかかり、2回続けて出なかったときは、不在だったという結果がメールで届きます。ここで届くのはメールまでで、人が家に向かうわけではありません。
月額は次のとおりです(すべて税込・2026年10月時点)。「〜」が付いた額は最低額で、条件によってはこれより高くなります。
| 申し込む内容 | 月額(税込) |
|---|---|
| みまもり訪問 | 2,500円 |
| みまもりでんわ | 固定電話1,070円〜/携帯電話1,280円 |
| みまもり訪問+でんわ | 3,460円〜(セットで毎月110円の割引) |
| 駆けつけを付けた組み合わせ | 訪問+でんわ+駆けつけ4,340円〜/訪問+駆けつけ3,380円〜/でんわ+駆けつけ1,950円〜 |
駆けつけは、訪問かでんわのどちらかに付けるオプションで、家族の要請に応じて警備会社が親の家に向かいます。使うには警備会社と別に契約を結ぶ必要があり、駆けつけてもらうと1回につき5,500円(税込・対応は1時間以内)がかかります。申込みは公式サイトのフォームか、お客様サービス相談センターで受け付けていて、資料請求もできます。初期費用や契約期間、解約の条件は申し込む前に公式で確かめてください。
たとえば、近くに頼れる親戚がいて、毎日の電話には母が出てくれている家なら、月1回の訪問を足すだけで「顔を見たうえでの報告」が加わります。反対に、電話に出ない日があると子が仕事を抜けてでも確かめに行けない家なら、訪問よりも、でんわと駆けつけの組み合わせを先に考えるほうが不安に合います。
訪問を頼むかどうかは、「月に一度、第三者の目で様子を見てもらえれば安心できるか」で考えてください。毎日の確認が欲しいならでんわを、何かあったときに家まで行ってほしいなら駆けつけを、それぞれ足していく形です。料金や内容は変わることがあるので、申し込む前に公式のページで最新を見てください。
自治体の配食は条件が違う

自治体の配食は、同じ「配食」という名前でも、対象も回数も費用も市区町村ごとに違います。全国一律の対象や料金はないので、親の住む市区町村の条件を見るしかありません。
違いが出るのは、先に見たとおり、配食や安否確認を事業として行うかどうか、どう行うかを市町村が決めるからです。どのくらい違うかを、公式ページで確かめられた二つの市の例で並べます。どちらも、この二市の決まりで、ほかの市区町村にそのまま当てはまるものではありません。
| 比べるところ | さいたま市(在宅高齢者等宅配食事サービス事業) | 静岡市(配食型見守りサービス) |
|---|---|---|
| 対象 | 市内に住む、おおむね65歳以上のひとり暮らし・高齢者のみの世帯などで、自分で調理や買い物をするのが難しく、家族などから食事の提供を受けられない人 | 日常的に食事の準備に支障がある一人暮らしなどで、要支援・要介護の認定を受けた人か、総合事業の基本チェックリストに該当した人 |
| 要介護認定 | 条件に書かれていない | 認定か、基本チェックリストの該当が条件 |
| 内容 | 夕食の配食と安否確認 | 食事の配達を通した安否の確認 |
| 回数 | 週5回以内(月〜金。祝日・休日と年末年始を除く) | 月〜金の週5回まで(1日1回、昼食か夕食) |
| 費用 | 1食当たり400円 | 事業者が示す食事代(事業者で違う・市が割り引くものではない) |
| 申込み | 住んでいる区の社会福祉協議会の事務所(市が社協に委託) | 地域包括支援センターの職員かケアマネジャーに相談 |
出典:さいたま市「さいたま市在宅高齢者等宅配食事サービス事業」(2025年7月28日更新)/静岡市「配食型見守りサービス」(2026年7月24日更新)
市の助成や割引があるかも、事業ごとに違います。並べてみると、「自治体の配食なら安い」とも「認定がないと使えない」とも言い切れないことが分かります。さいたま市の例は、認定を条件に書かず、1食の自己負担を市が決めています。静岡市の例は、認定か基本チェックリストの該当が条件で、費用は事業者の食事代そのもので、市の割引はありません。静岡市では、自分で買い物や調理ができる人や、サービス付き高齢者向け住宅のように見守りのある住まいに住む人は対象外とされ、事業者を選んだら6か月間は原則として変えられないとも書かれています。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、元気だけれど料理が負担になってきた一人暮らしの母が、さいたま市の例と同じような条件の市に住んでいれば、認定がなくても相談できるかもしれません。同じ母が静岡市の例と同じような条件の市に住んでいれば、まず基本チェックリストに当てはまるか、地域包括支援センターに相談するところからになります。親の住所が違うだけで、入口がこれだけ変わります。
市区町村のページを読むときは、表の行と同じく「対象・認定の要否・内容(安否確認を含むか)・回数・費用・申込み先」の六つを抜き出すと比べやすくなります。とくに「内容」に安否確認が入っているかどうかは、見守りとして使えるかを左右するので見落とさないでください。どちらの市も、ページの更新日より後に変わっている場合があるので、最新は市や社協で確かめます。
受け取れなかったときの連絡を先に決める
配食を見守りに使うなら、申し込む前に「親が受け取れなかったとき、誰に、どう連絡が来るか」を決めておきます。ここが決まっていない配食は、食事の配達ではあっても、見守りとしては働きません。
配達の人が親の異変に気づいても、その先で何をするかは事業者や事業の決め方によります。家族に電話をするのか、事業者の事務所に戻って報告するだけなのか、地域包括支援センターに知らせるのかは、申し込むときに聞かなければ分かりません。連絡先が一人だけだと、その人が電話に出られないときに話が止まります。
- 1連絡の決まりを聞く誰に・何分後に・どの手段で
- 2連絡先に順番をつける子・近くの親戚・近所の人
- 3家に入る手段を決める鍵を誰が持つか
- 4親と約束する留守にする日は前もって伝える
一つ目は、事業者や市区町村に、受け取れなかったときの決まりを聞くことです。「不在のときは家族に電話が来るか」「置き配にしたときも様子を伝えてもらえるか」「何回続いたら知らせが来るか」を確かめます。二つ目は、連絡先に順番をつけることです。遠方の子だけを連絡先にするのではなく、親の家まで行ける親戚や近所の人に了解をもらったうえで、二番目、三番目に入れておきます。
三つ目は、家に入る手段です。連絡を受けて誰かが様子を見に行っても、鍵がなければ外から声をかけるしかありません。合鍵を誰が持つか、親の了解のうえで決めておきます。四つ目は、親との約束です。通院や外出、旅行で家を空ける日に配食を止める連絡を親がしないと、そのたびに「受け取れなかった」という知らせが家族に届きます。留守にする日は事業者か家族に先に伝える、という約束を親とかわしておきます。
たとえば、平日の昼に配食を頼んでいる父が、ある日インターホンに出なかったとします。事業者が子に電話し、子が仕事中で出られなければ、二番目の連絡先の近所の人に連絡が行き、その人が合鍵で様子を見る、という流れが決まっていれば、異変から確かめるまでの時間が短くなります。連絡先が子だけなら、子が電話に気づくまで何も進みません。
この手順は、配食だけでなく、郵便局のでんわで「不在」のメールが来たときにも同じように使えます。知らせを受けたあと、救急車を呼ぶか迷うときの考え方や、遠方から動くときの段取りは、緊急時の記事にまとめています。
民間の配食を選ぶときの確かめどころ
市区町村の事業が無いか、条件に合わないときは、民間の配食や宅食を考えます。選ぶときは、料理の味や値段の前に、見守りとして働くかどうかを確かめる項目を並べてください。
民間の配食は、もともと食事を届けるサービスです。見守りは、その上で事業者がどこまでやるかによって決まります。手渡しかどうか、受け取れなかったときに知らせるかどうかは事業者によって違うので、申し込む前に聞いて確かめます。厚生労働省は2017年3月に、配食事業者向けの栄養管理のガイドラインを公表していて、注文のときに利用者の体の状態や食事の様子を聞くことや、利用者に相談先を案内することなどを求めています。ただ、これは栄養管理の指針で、見守りや安否確認の基準ではありません。ガイドラインに沿った事業者だから見守りも安心、とは読めないので、見守りの部分は自分で確かめます。
出典:厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」
| 確かめる項目 | 聞き方の例 | 見守りへの効き方 |
|---|---|---|
| 渡し方 | 「手渡しですか、置き配ですか」 | 手渡しなら顔を見られる |
| 受け取れなかったとき | 「不在のとき家族に連絡はありますか」 | 連絡があれば異変に気づける |
| 連絡先の数 | 「連絡先は何人まで登録できますか」 | 複数なら一人が出られなくても進む |
| 食事の対応 | 「やわらかい食事や、医師に言われた制限に合わせられますか」 | 食べ続けられるかに関わる |
| 止め方・やめ方 | 「休むときと解約するときの連絡はいつまでですか」 | 留守の日の知らせを減らせる |
食事の制限については、親が医師から食事の指示を受けているなら、その内容を事業者に伝えて、合わせられるかを聞いてください。どんな食事がよいかの判断は、主治医や管理栄養士の領分です。食事の量が減った、痩せてきたといった変化が気になる場合は、配食を選ぶ前に考えておきたいことを別の記事にまとめています。
費用を誰が払うかも、申し込む前に決めておきます。親の年金から払うのか、子が払うのか、きょうだいで分けるのかは家族の事情で決まりますが、決めないまま始めると、食事代が続いたときに話がこじれやすくなります。支払いの方法(口座振替か、配達のときの支払いか)も事業者ごとに違うので、遠方の子が払うなら、子の口座やカードで払えるかを確かめます。
たとえば、手渡しで受け取れなかったときに家族へ電話する事業者と、置き配が基本で連絡のない事業者があれば、食事代に多少の差があっても、見守りが目的なら前者が合います。反対に、見守りはセンサーやでんわでまかなえていて、食事を届けてほしいだけなら、置き配でも困りません。何のために配食を頼むのかを決めてから比べると、表のどの行を重く見るかが決まります。
訪問・配食だけでは足りない場合
訪問と配食は、人の目で様子を見られる反面、顔を合わせない時間の異変には気づけません。毎日の安否が要る、転んだことにすぐ気づきたい、置き配しか使えない、という場合は、訪問や配食だけで済ませないでください。
先の表のとおり、訪問は月1回、配食は配達のある日のその時間だけ、親と接します。その間に転んで動けなくなっても、次に人が来るまで分かりません。先に挙げた配食事業者向けのガイドラインも、配食を利用していれば大丈夫という意識を利用者に持たれないよう注意する、としています。食事以外の暮らしや、夜中の様子までは配食では見えません。
次に当てはまるなら、訪問や配食に別の手段を組み合わせます。
- 毎日、親が起きて動いているかを確かめたい → 自動音声の電話や、動きを拾うセンサー
- 転んだことにすぐ気づきたい → 親が自分で知らせる手段や、様子を確かめられるカメラ
- 置き配しか選べず、顔を合わせる機会がない → 電話かセンサーで毎日の印を補う
- 夫婦二人で暮らしていて、片方が倒れたときが心配 → 片方の異変を知らせる手段を足す
どの機器を選ぶかは、何を確かめたいかで決まります。カメラとセンサーの選び方、家電で見守る型は、それぞれ別の記事で比べています。
緊急のときにボタンで通報できる仕組みを、市区町村が独自に用意している場合もあります。ただ、国の地域支援事業実施要綱では、緊急通報の体制を整える事業は地域支援事業として実施できないものに挙げられていて、介護保険の事業ではなく、市区町村が自分の財源で行う事業の扱いです。実施しているかどうか、対象や自己負担は市区町村ごとに違い、どこにでもあるものではありません。※お住まいの市区町村で確認してください。
たとえば、平日の夕食を手渡しで届けてもらっている母でも、土日の様子は分かりません。土日も含めて毎日の安否が欲しいなら、郵便局のでんわのような自動音声の電話を足せば、配達のない日も「電話に出たかどうか」は分かります。逆に、親が元気で毎日電話で話せていて、食事の心配だけがあるなら、いまは配食だけで足りる、という判断も十分にありえます。
親が「要らない」と言うとき

親が配食や訪問を「要らない」と言ったら、見守りの話からではなく、食事や暮らしの手間の話から入り直すと受け入れてもらいやすくなります。いきなり毎日にせず、回数を絞って試してもらう形も取れます。
「見守り」という言葉は、親には「一人では危ないと思われている」と聞こえることがあります。配食は、見守りの道具である前に食事のサービスなので、「料理が面倒な日の分だけ」「買い物に行けない雨の日の分だけ」という話にすれば、親が受け入れやすい入口になります。郵便局の訪問も、「月に一度、様子を見に来てくれる」と言い換えると印象が変わることがあります。
切り出すときは、次の順番を目安にしてください。
- 親の困りごとを聞く(料理、買い物、重い物を運ぶことなど)
- その困りごとに合う形として配食や訪問を出す
- 回数を少なくして、一定の期間だけ試してもらう
- 試したあとに、続けるかどうかを親に決めてもらう
試してもらうときは、申し込む前に、休むときの連絡ややめるときの決まりを確かめておきます。静岡市の例のように、事業者を一度決めると一定の期間は変えられない事業もあるので、自治体の事業を試す場合はその点も聞いておきます。
たとえば、「自分で作れる」と言い張る父には、平日に週に数回だけ届けてもらい、作るのが面倒な日の分にしてもらう、という形なら角が立ちにくくなります。それでも父が強く拒むなら、無理に始めず、まずは電話の回数を増やす、帰省の日に冷蔵庫の中を見る、といった家族でできることから続けます。親が介護サービスそのものを嫌がる場合の向き合い方は、別の記事で扱っています。
次は介護認定とお金の話
配食や訪問で見守るうちに、受け取れない日が増えた、食事を残すようになった、話がかみ合わなくなった、といった変化に気づいたら、次は要介護認定とお金の話に進む段階です。
静岡市の例のように、自治体の配食の中には、要支援・要介護の認定か、総合事業の基本チェックリストへの該当を条件にしているものがあります。総合事業の生活支援も、対象は要支援の人などです。つまり、認定を受けることで、使える配食や見守りの事業が増える場合があります。認定の申請は、地域包括支援センターや、要件を満たす居宅介護支援事業者などに手続きを代わって行わせることができると介護保険法27条1項に定められています。ただし、引き受けるかどうかや、どこまで手伝ってもらえるかは窓口で確かめます。
申請したあと結果が出るまでの期限は、介護保険法27条11項で申請の日から30日以内とされています。ただし、心身の状況の調査に日時がかかるなど特別な理由があるときは、30日以内に、処分にかかる見込みの期間と理由を通知したうえで延ばすことができます。実際に何日かかるかは市町村で違うので、申請のときに目安を聞いておきます。
たとえば、配食の事業者から「最近、受け取れない日が続いている」と連絡が来るようになった母なら、見守りの手段を増やす前に、地域包括支援センターに相談し、認定の申請を考えるところです。認定の結果が出たら、使えるサービスや配食の事業が増えるかどうかを、地域包括支援センターや市区町村の窓口で確かめます。
認定の申請の仕方と、認定が出たあと月にどれくらいの枠が使え、親の負担がどうなるかは、次の段階の記事にまとめています。介護の入口で何から始めるかを全体で見たい場合は、ハブの記事から読んでください。
よくある質問
配食サービスにかかる費用は月いくらですか?
全国一律の額はありません。自治体の事業なら市区町村が自己負担を決め、民間なら事業者の食事代で決まるので、1食の額に回数をかけて考えます。たとえば、さいたま市の事業は1食当たり400円、静岡市の事業は事業者が示す食事代です。親の住む市区町村で、事業の有無と自己負担を聞いてください。
配食サービスは介護保険の適用外ですか?
配食は、介護保険の訪問介護などとは別に、市町村が事業として定める仕組みです。総合事業の生活支援として行う市町村もあれば、独自の事業として行う市区町村もあり、使えるかどうかと自己負担は市区町村で違います。民間の宅食は、介護保険とは関係なく自分で申し込むサービスです。
子が遠方に住んでいても申し込めますか?
まず電話で問い合わせてみてください。静岡市の例では、利用を希望する人や家族が地域包括支援センターの職員かケアマネジャーに相談する形です。申込みの書類や本人の確認が要るかは事業ごとに違うので、相談のときに聞いてください。
毎日じゃないと見守りにならないですか?
頻度が少なくても、会って様子を確かめる見守りには意味があります。ただ、月1回の訪問や平日だけの配食では、その間の異変には気づけません。毎日の安否が欲しいなら、自動音声の電話やセンサーを組み合わせてください。
民生委員に見守りを頼めますか?
民生委員法14条では、民生委員の職務として、住民の生活状態を必要に応じて把握すること、生活の相談に応じて助言などを行うこと、福祉サービスを使うための情報を提供することなどが定められています。見守りを専門にする役ではないので、頼めることは地域で違います。担当の民生委員は、市区町村で確かめてください。
郵便局のみまもりでんわで応答がないと、誰かが来てくれますか?
来ません。2回続けて応答がないときは、不在だったという結果が家族などにメールで届くまでです。家まで行ってほしい場合は、警備会社と別に契約する駆けつけのオプション(駆けつけ1回5,500円・税込)を付けるか、近くの人に頼む段取りを決めておきます。
順番のおさらい
- 市区町村の事業:配食や見守りの事業があるか、対象・回数・自己負担・申込み先を地域包括支援センターか担当課に聞く
- 三つの型:訪問は月1回のていねいな確認、配食は配達のある日の顔合わせ、電話は毎日の安否で、それぞれ分からないことがある
- 郵便局のみまもり訪問:月1回・30分程度・10項目の聞き取りと写真付きの報告で、月額2,500円(税込)
- 自治体の配食:さいたま市と静岡市でも、認定の要否も費用の決まり方も違う。親の住所の条件を見る
- 受け取れなかったとき:連絡の決まり・連絡先の順番・鍵・親との約束を申し込む前に決める
- 民間の配食:渡し方・不在時の連絡・連絡先の数・食事の対応・やめ方を表で比べ、誰が払うかも決める
- 足りない場合:毎日の安否や転倒の即時の発見が要るなら、電話・センサー・カメラを組み合わせる
- 親が嫌がったら:食事や手間の話から入り、回数を絞って試してもらう
- 次の段階:受け取れない日が増えるなどの変化が出たら、地域包括支援センターと要介護認定の話へ
訪問や配食の見守りで頼りになるのは、サービスの名前ではなく、「顔を見られなかった日に誰が気づき、誰が動くか」が決まっていることです。親の市区町村の事業を聞くところから始め、足りない日を電話やセンサーで埋め、連絡の順番を家族で共有しておけば、人の目と仕組みの両方で親の暮らしを支えられます。親の様子が変わってきたら、手段を足し続けるより、認定の相談に進むほうが早い段階だと受け止めてください。
配食や見守りの事業、地域包括支援センターの名称と担当区域は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。
