親が訪問販売で契約したら8日以内ならクーリング・オフ|通販は返品の決まりを見る

テーブルの上の書類
  • 実家に帰ったら、見たことのない契約書がテーブルに置いてあった
  • 訪問販売の契約は、あとから取り消せるのか知りたい
  • もう8日を過ぎているかもしれず、手遅れなのではと焦っている
  • 通販で届いた同じ健康食品の箱が、押し入れに積んであった
  • 子どもの自分が代わりに手続きしていいのか分からない
  • 業者に電話をかけるのが怖い
  • 親は「自分で決めたんだから」と言って、書類を見せてくれない
  • 物忘れのせいかもしれないと思うが、本人には言い出せない
  • また同じことが起きないかが、いちばん心配

上記のような悩みに答えます。

親が訪問販売や通販で契約してしまった場面は、介護の手前で、家族が最初に「お金と契約」に向き合う場面でもあります。検索すると、弁護士事務所の解説は取消しの可能性を並べて相談を勧め、介護のサイトは買い物をやめさせる接し方を書いていますが、契約に気づいた日に家族が何をどの順番で確かめるのか、そして同じことを繰り返すときにどこへ相談をつなぐのかは、別々の記事に散らばっています。そこで、クーリング・オフ、通販の返品、期間を過ぎたあとの手段という基本を押さえたうえで、子が手伝えることと本人の意思が要ること、親を責めずに書面を見せてもらう進め方、取り消さないと決めるときの条件まで、特定商取引法と消費者契約法の条文で確かめながら整理しました。個別の契約が取り消せるかどうかの判断は、弁護士・司法書士や消費生活センターの領分なので、ここでは「どこに何を持って聞くか」までを扱います。

先に答え

まず契約書面と、それを受け取った日を確かめてください。訪問販売と電話勧誘は、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます(書面かメールなどで行います)。通販にはクーリング・オフがないので、返品の決まりを確認します。迷ったら消費者ホットライン188に相談できます。

2026年10月時点の制度で確かめています

目次

まず契約の書面と受け取った日を確かめる

テーブルの上の書類

契約に気づいたら、最初にするのは業者への電話ではなく、契約の書面を探して「どんな売り方だったか」と「書面を受け取った日」を確かめることです。この二つで、使える手段と残りの日数がほぼ決まります。

書面と日付が先なのは、やめる手段ごとに期間の数え方の起点が違うからです。訪問販売と電話勧誘のクーリング・オフは、法律で決められた書面を受け取った日から数えます。通販の返品は、商品を受け取った日から数えます。消費者契約法の取消しは、取り消せると気づいたときと契約した時の二つから数えます。起点が分からないまま動くと、期限に間に合うのかどうかも判断できません。

今日のうちにやる順番を並べます。

  1. 契約書・申込書・納品書・領収書・クレジットの明細など、契約に関わる紙を全部集める
  2. 売り方を確かめる(家に来た訪問販売か、電話で勧められて郵便などで申し込んだか、通販か)
  3. 書面を受け取った日、または商品が届いた日を、カレンダーに書き出す
  4. 期限が近い、または過ぎているかもしれないときは、その日のうちに188に電話する
業者に電話する前に、紙と日付をそろえる
  1. 1書面を集める契約書・明細・納品書
  2. 2売り方を確かめる訪問・電話・通販
  3. 3受け取った日を数える8日以内か
  4. 4188に電話する期限が近いとき

書面が見つからないときも、慌てなくて大丈夫です。クレジットカードや銀行の明細、宅配便の伝票、業者からの封筒の消印など、日付が分かる手がかりが家の中に残っていることがあります。そもそも法律で決められた書面が渡されていない場合や、書面の中身に不備がある場合は、クーリング・オフの期間が始まっていないと扱われる余地があります。書面が無いことを理由にあきらめず、そのまま相談窓口に伝えてください。

たとえば、訪問販売で結んだ浄水器の契約書をリビングで見つけ、法律で決められた書面を受け取った日が数日前だったとします。この場合は、受け取った日から数えて8日以内なら、その日のうちに通知を出す準備に入れます。同じ契約でも書面を受け取った日が半月ほど前なら、クーリング・オフの通常の期間は過ぎていますが、書面の不備や勧誘の仕方によっては別の手段が残っていることがあります。どちらの場合も、最初にすることは同じで、紙と日付をそろえることです。

迷ったときの軸は、「まだ間に合うかもしれないのに、日付を確かめないまま日が過ぎること」がいちばん避けたい事態だ、という一点です。業者と話すのは、日付と書面がそろってからで遅くありません。

訪問販売と電話勧誘は8日以内なら撤回できる

訪問販売と電話勧誘販売は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、申込みの撤回や契約の解除ができます。これがクーリング・オフです。

根拠は特定商取引法で、訪問販売は9条、電話勧誘販売は同じ法律の24条に定めがあり、どちらも書面またはメールなどの電磁的記録で通知でき、通知を出した時に効力が生じます。業者に届いた日ではなく、出した日で判断されるのがポイントです。

売り方 やめる手段 期間の起点 期間
訪問販売(家に来た) クーリング・オフ 法律で決められた書面を受け取った日 8日以内
電話勧誘販売(電話で勧められ、郵便などで申し込んだ) クーリング・オフ 法律で決められた書面を受け取った日 8日以内
通信販売(チラシ・テレビ・ネットを見て自分で注文) 返品(クーリング・オフは無い) 商品を受け取った日 8日以内(返品の特約が無いとき)

「8日以内」は、書面を受け取った日も含めて数えます。月曜日に受け取ったなら、翌週の月曜日までが期間です。週末や連休をはさむと思ったより短いので、数えたら余裕を持って早めに出してください。

ただし、どんな場合でも使えるわけではありません。たとえば、健康食品や化粧品、洗剤のように、使うと価値が大きく下がる商品として政令で決められたものを使ったり食べたりした場合は、対象外になることがあります。ただし、業者が使わせたり食べさせたりした場合は、この対象外にはなりません。「開けたら全部だめ」というわけでもありません。また、その場で商品を受け取り、代金を全部払い終えていて、総額が3,000円未満の契約も対象外です。自分から業者を家に呼んで頼んだ場合も対象外になることがあります。手元の契約がどれに当たるかは、消費生活センターで確かめるのが確実です。

たとえば、電話で健康食品を勧められて、はがきで申し込んだ親の場合は、電話勧誘販売として8日の期間が数えられます。同じ商品でも、テレビを見て親が自分から電話で注文したのなら通販の扱いになり、次の項目の返品の決まりを見ることになります。売り方の違いで使える手段が変わるので、「どうやって申し込んだのか」を親に一つだけ聞いておくと、相談が早く進みます。

なお、クーリング・オフをした場合、業者は損害賠償や違約金を請求できず、商品の引き取りの費用も業者が負担すると決められています。工事が始まっていたり、すでに払ったお金があったりする場合の具体的な扱いは、契約ごとに確かめてください。

クーリング・オフの通知は書面かメールで出す

書類に記入する手元

クーリング・オフは、業者に電話で伝えるのではなく、書面かメールなどで通知を出して行います。子は書面の準備と出す手伝いをし、契約をやめるかどうかは契約した本人が決める、という分担で考えます。

電話だけで済ませないのは、言った言わないになりやすく、出した日を後から示せないからです。効力は通知を出した時に生じるので、出したことと、その日付が後から分かる形で残すことが何より大切です。紙で出すならコピーを取り、送った記録が残る方法を選びます。メールなどで送るなら、送信したメールと送り先のアドレスをそのまま保存しておきます。業者に直接電話をかけなくても手続きは進められるので、電話が怖いと感じている人も、書面で淡々と出せば足ります。

通知に書いておくと話が早い項目は、次のとおりです。

  • 契約した日と、書面を受け取った日
  • 商品名や工事の内容、契約の金額
  • 業者の名前と、担当者の名前(分かれば)
  • 「契約を解除します」という一文
  • クレジットで払った場合は、カード会社への連絡が要るかを、消費生活センターで確かめること
  • 出した日付と、契約した本人の名前

子が手伝えるのは、書面と日付を集めること、通知の下書きを作ること、コピーを取って投函に付き添うことです。相談窓口に家族が話してよいかは、窓口で確かめてください。一方で、契約をやめるかどうかを決めるのは契約した本人です。本人が「やめたい」と言っているなら、子は手を動かす役に回れば十分です。

本人が「やめなくていい」と言っている場合や、物忘れが進んでいて自分で判断するのが難しそうな場合は、子が代わりに通知を出してよいのか、どの手段が使えるのかが、事情によって大きく変わります。判断能力が十分でなかったことを理由に契約の効力を争えるか、成年後見の制度を使うべきかといった判断は、家族が自分で結論を出さず、弁護士・司法書士や消費生活センターに相談してください。そのときは、契約書のコピーと、親の普段の様子をまとめたメモを持っていくと話が早く進みます。

たとえば、親が「やっぱりやめたい」と言っているが、業者に断りの電話をかけると押し切られそうで怖い、という場合は、電話をせずに通知だけを出す進め方で問題ありません。通知を出した後に業者から電話が来ても、「書面でお伝えしたとおりです」と答える進め方があります。それでも強く迫られるようなら、その時点で188に電話して状況を伝えてください。

通販は返品の決まりを先に確かめる

チラシ、テレビ、ネットを見て親が自分で注文した通販には、クーリング・オフはありません。代わりに見るのは、広告に書かれている返品の決まりです。

通販には、訪問販売のようなクーリング・オフの定めはありません。特定商取引法15条の3は、通販については別の決まりを置いています。広告に返品についての特約が表示されていればそれに従い、表示されていなければ、商品を受け取った日から数えて8日以内なら申込みの撤回や契約の解除ができ、送り返す費用は買った側が負担する、というものです。

確かめる順番を並べます。

  1. 注文した広告・チラシ・サイトの画面を探し、返品についての表示を見る
  2. 「返品不可」「未開封に限る」などの特約が書かれていれば、それが基本のルールになる
  3. 特約の表示が無ければ、商品を受け取った日から数えて8日以内かを確かめる
  4. 定期購入になっていないか、次の発送日と解約の方法を確かめる

注意したいのは、「通販でも8日以内なら必ず返品できる」わけではない点です。特約が表示されていれば、そちらが優先されます。また、送り返す費用は原則として親の側の負担になります。

定期購入で困っているケースはよくあります。初回だけのつもりで申し込んだら、毎月届くようになっていたという場合は、まず次の発送を止める連絡を販売会社にし、解約の方法を確かめます。初回の申込み画面にどう表示されていたかで扱いが変わることもあるので、広告や画面が残っていれば保存しておき、納得できない場合は消費生活センターに相談してください。

たとえば、テレビの通販で親が同じサプリメントを何度も注文していた場合、届いたばかりの未開封の分は、広告の返品の決まりによっては返せることがあります。一方で、以前に届いた分は、受け取った日から8日を過ぎていれば返品の対象にならないことがあるので、これ以上届かないように止めるほうが先になります。返品の手続きと並行して、次の発送を止めることを忘れないでください。

8日を過ぎても残っている手段

8日を過ぎていても、それで終わりとは限りません。法律で決められた書面に不備があった場合のほか、量が多すぎる契約の解除や、消費者契約法の取消しが使える場合があります。

8日を過ぎたあとの手段は、クーリング・オフとは別の決まりとして用意されています。どれが使えるかは、売り方と契約した時期で変わります。

手段 使える売り方 中身 期間
書面の不備などによるクーリング・オフ 訪問販売・電話勧誘販売 書面が渡されていない・不備がある・うそを言われたり威圧されたりして期間内に出せなかった 8日を過ぎても使える余地がある
量が多すぎる契約の解除 訪問販売 日常生活で通常必要な量を著しく超える契約 契約の時から1年以内
消費者契約法の取消し 店舗・通販も含む契約全般 量が多すぎると業者が知りながら勧誘した場合など 取り消せると気づいた時から1年、契約から5年

訪問販売の「量が多すぎる契約」は、特定商取引法9条の2で、契約の時から1年以内なら申込みの撤回や解除ができると定められています。ただし、本人にその契約が必要な特別の事情があったときは除かれます。どのくらいの量なら「著しく超える」のかは、親の暮らしぶりや契約の回数、期間を見て個別に判断されるので、数字で線を引くことはできません。

消費者契約法は、事業者と消費者の契約全般に使える法律です。4条で、業者が通常の量を著しく超えると知りながら勧誘し、それで契約した場合は取り消せると定めています。すでに同じような契約を結んでいて、合わせると量が多すぎると業者が知っていた場合も同じです。取り消せる期間は7条で、取り消せると気づいた時から1年、契約の時から5年と定められています。ここで使う言葉は「取消し」で、クーリング・オフの「撤回・解除」とは別の仕組みです。どちらが使えるかで手続きも変わるので、言葉を混ぜずに相談窓口に伝えてください。

たとえば、一人暮らしの親の家に、同じ業者から布団が何組も売られていたと分かった場合は、量が多すぎる契約として解除や取消しの対象になるかを相談する価値があります。逆に、その契約を必要とする特別の事情が親にあった場合は、解除の対象から外れます。どちらになるかを家族が決めつけず、契約書と、いつ何を買ったかの一覧を作って相談に持っていくのが近道です。

期限が近いときほど、自分で調べ切ろうとせずに相談を急いでください。1年や5年という期間は、起点の判断が個別になるので、日数に余裕があると思っても早めに動くほうが安全です。

188と消費生活センターで相談できること

どの手段が使えるか迷ったら、消費者ホットライン188に電話します。188は、郵便番号などを入力すると、最寄りの消費生活センターや市区町村の消費生活相談窓口を案内してくれる全国共通の番号です。

188は消費者庁そのものの窓口ではなく、地域の相談窓口につなぐための番号です。相談は無料ですが、窓口につながった時点から通話料はかかります。受付の日は施設の点検日や年末年始を除いて原則毎日とされていますが、窓口ごとに受付時間は違うことがあるので、つながらなければ時間を変えてかけ直してください。

相談するときに手元にあると話が早いものを並べます。

  • 契約書・申込書・納品書などの書面(コピーで可)
  • 書面を受け取った日、商品が届いた日のメモ
  • 支払いの方法と、払った金額が分かる明細
  • 業者の名前・連絡先と、勧誘のときの様子で親から聞けたこと
  • 同じような契約がほかにもあれば、その一覧

消費生活センターでは、どの手段が使えそうか、通知をどう出すかといった相談ができます。業者とのやり取りをどこまで手伝ってもらえるかは、窓口や内容によって違います。弁護士や司法書士に頼むべきかどうかも、相談の中で窓口に聞いてみてください。

契約したのは親本人でも、まず状況を伝えて相談してみてください。どういう形で相談を受けてもらえるか、本人と話す必要があるかは、つながった窓口で確かめるのが確実です。

たとえば、遠くに住んでいて実家にすぐ行けない場合でも、書面の写真を親に送ってもらえれば、それを手元に188に電話して、状況を伝えてみてください。期限が迫っているなら、電話で助言を受けて、通知だけは親の手で先に出してもらう、という進め方もあります。編集部の整理では、迷ったまま一日を過ごすより、分からないことを分からないまま188に話すほうが、次の手を考えやすくなります。

※消費生活センターの名称・場所・受付時間は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

出典:消費者庁「消費者ホットライン188」/特定商取引法9条(e-Gov法令API)/特定商取引法9条の2(e-Gov法令API)/特定商取引法15条の3(e-Gov法令API)/特定商取引法24条(e-Gov法令API)/特定商取引法26条(e-Gov法令API)/消費者契約法4条(e-Gov法令API)/消費者契約法7条(e-Gov法令API)

親を責めずに契約を見せてもらう

契約書を見せてもらうときは、親の判断を問いただすのではなく、「期限があるから一緒に確かめたい」と、日付の話から入るのが近道です。

親が書類を見せたがらないときは、「だまされた」と認めることがつらい気持ちが働いているのかもしれません。子から「なんでこんなものを買ったの」と言われると、「自分で決めた」と守りに入りやすくなります。言い合いになると、書類を見せてもらえないまま、期限だけが過ぎていくことがあります。責める言葉を一度飲み込むことが、結果として親のお金を守る近道になります。

書類を見せてもらいにくい言い方、見せてもらいやすい言い方
見せてもらいにくい

  • なんでこんなものを買ったの
  • だまされたんだよ
  • もう勝手に契約しないで
見せてもらいやすい

  • 期限があるから一緒に見ておきたい
  • よくある売り方らしいから確かめよう
  • 次は買う前に一声かけてくれると助かる

話を始めるときは、子の側の心配を主語にすると、親が身構えにくくなります。「この前の書類、日付だけ確かめさせてもらえる?期限がある仕組みがあるらしくて、気になっていて」という言い方です。売り方そのものに問題がある場合もあるので、「親が悪い」ではなく「そういう売り方がある」という話にしておくと、親の気持ちも保たれます。

親が「自分で決めたことだ」と怒る場合は、その場で押し切らないでください。本人が納得して使っているなら、無理にやめさせる必要がないこともあります。期限が迫っていて、本人の気持ちが決まらないときは、188に電話して、どう話を進めればいいかを聞いてみてください。

たとえば、母親が高額な化粧品のセットを契約していた場合、「こんなに高いの、おかしいよ」と言うより、「肌に合わなかったら困るから、書類だけ見せて。やめられる期間があるみたい」と声をかけるほうが、話が続きやすくなります。書類を見たうえで、本人が使い続けたいと言うなら、それも一つの結論です。大事なのは、本人が自分で選べる状態を保つことと、期限が切れる前に事実を確かめておくことの二つです。

物忘れのせいかもしれない、と感じても、このときは書類と日付の話に絞る進め方があります。物忘れの心配は、下の「繰り返すなら物忘れの相談につなぐ」の項で書くように、家族だけで先に相談できる窓口があります。

取り消さないなら、この条件がそろうとき

契約を見つけたからといって、必ず取り消す必要はありません。次のような条件がそろっているなら、取り消さずにそのまま見守るという判断もありえます。

取り消すかどうかを家族で迷うときは、親の気持ちとお金の心配の両方を見る必要があります。親が納得して買い、生活に無理のない範囲で使っているものまで取り上げる必要はないこともあります。取り消さない判断をするなら、それが「何もしない」ではなく、条件を確かめたうえでの選択になっていることが大切です。

  • 本人が契約の内容を説明でき、納得して使っている
  • 支払いがすでに終わっていて、毎月の引き落としや次の発送がない
  • 金額が親の年金や貯えの範囲で、暮らしに無理が出ていない
  • 同じ業者や同じ種類の契約が、ほかに重なっていない
  • 業者からその後の勧誘が続いていない

逆に、この中に一つでも当てはまらないものがあるなら、取り消すかどうかとは別に、188に一度相談しておくことを勧めます。特に、毎月の支払いが続く契約や、同じような契約が重なっている場合は、期間の定めがある手段もあるので、早めに相談してください。

たとえば、親が訪問販売で買った布団を毎晩使っていて、代金も払い終わっており、ほかに同じような買い物も見当たらないなら、そのまま見守る判断も十分にありえます。一方で、同じ布団が押し入れにいくつも積まれている、分割の支払いが続いているという場合は、本人が納得しているように見えても、一度相談したほうがいい場面です。

取り消さないと決めた場合も、繰り返さないための備えだけはしておいてください。玄関に訪問販売お断りの表示を貼る、知らない番号からの電話には出ないで留守番電話にしておく、契約の前に一声かけてもらう約束をしておく、といった工夫は、本人を責めずに今日から始められます。お金の管理をどこまで家族が手伝うかは、親の気持ちと暮らしぶりを見ながら、次の項目の相談先と一緒に考えるのが現実的です。

繰り返すなら物忘れの相談につなぐ

木枠のガラス戸

同じ物を何度も買う、契約したことを覚えていない、といったことが続くなら、契約の問題とは別に、物忘れの相談として地域包括支援センターに家族だけで相談してください。

契約トラブルが何度も続くときは、物忘れが関わっている可能性もあります。ただ、物忘れかどうかを家族が判断する必要はなく、病名を口にする必要もありません。消費生活センターは契約の相談、地域包括支援センターは暮らしと健康の相談、と役割を分けて考えると、両方の窓口を無理なく使えます。

地域包括支援センターは、介護保険法115条の46に根拠のある公的な相談窓口で、市町村が設置できると定められています。高齢の人の健康や暮らし、介護の困りごとをまとめて受け付ける窓口で、家族だけで相談できるかどうかや、介護保険を使うかどうか決まっていない段階でも相談できるかは、お住まいの市区町村の窓口で確かめてください。

相談のときは、いつごろから同じ物を買うようになったか、契約したことを覚えているか、お金の管理や暮らしに変化があるか、を短くまとめて伝えます。どんな窓口や仕組みにつないでもらえるかは、センターで確かめてください。判断能力が十分でないことを理由にした契約の扱いや、成年後見の制度を使うかどうかは、弁護士・司法書士や消費生活センターに相談してください。

たとえば、通販の定期購入を解約したのに、半年後にまた別の健康食品の箱が届いていた、という場合は、契約の後始末と並行して、センターに「同じような買い物が続いている」と相談するタイミングです。親の住所を担当するセンターが分からなければ、親の住む市区町村の窓口に問い合わせて確かめてください。

物忘れの心配から、次に介護保険の認定や、介護にいくらかかるかの話に進むことがあります。その段階のことは、次の記事で順番にまとめています。

認定・お金|要介護認定が出て、月にいくら出ていくか

家族だけで地域包括支援センターに相談する進め方は、こちらに詳しく書いています。

親が外出しなくなったら先に地域包括支援センターへ

親の介護、何から始める?

※地域包括支援センターの名称(「高齢者あんしんセンター」など)と担当区域は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

出典:介護保険法115条の46(e-Gov法令API)

よくある質問

訪問販売の契約は、あとから解除できますか?

法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフで申込みの撤回や契約の解除ができます。書面かメールなどで通知し、出した時に効力が生じます。8日を過ぎていても、書面に不備がある場合や量が多すぎる契約の場合は、別の手段が残っていることがあります。

8日を過ぎていたら、もう何もできませんか?

そうとは限りません。書面が渡されていない・不備がある場合はクーリング・オフが使える余地があり、量が多すぎる訪問販売は契約の時から1年以内なら解除できる場合があります。消費者契約法の取消しは、気づいた時から1年、契約から5年です。どれが使えるかは188で相談してください。

通販で買った物もクーリング・オフできますか?

通販にはクーリング・オフがありません。広告に返品の特約が表示されていればそれに従い、表示が無ければ商品を受け取った日から8日以内に返品でき、送り返す費用は買った側の負担です。定期購入なら、次の発送を止める連絡を先にしてください。

子どもが親の代わりに手続きできますか?

書面を集める、通知の下書きを作る、投函に付き添う、といった手伝いは子ができます。相談窓口に家族が連絡してよいかは、窓口で確かめてください。契約をやめるかどうかを決めるのは契約した本人です。本人が自分で判断するのが難しい場合に子が代わりに出せるかは事情で変わるので、弁護士・司法書士や消費生活センターに相談してください。

高齢の親が結んだ契約は、無効になりませんか?

契約が無効になるかどうかは、年齢だけでは決まりません。判断能力が十分でなかったことを理由に契約の効力を争えるかどうかは、個別の事情によって大きく変わります。家族で結論を出さず、契約書と親の普段の様子のメモを持って、弁護士・司法書士や消費生活センターに相談してください。

188に電話すると何をしてもらえますか?

188は、最寄りの消費生活センターや市区町村の相談窓口を案内する全国共通の番号です。つながった窓口で、使えそうな手段や通知の出し方を相談できます。相談は無料ですが、窓口につながってからの通話料はかかります。

順番のおさらい

  1. 書面と日付:契約の紙を集め、売り方と、書面や商品を受け取った日を確かめる
  2. 訪問販売・電話勧誘:書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフ
  3. 通知の出し方:書面かメールなどで出し、出した日が分かる控えを残す。決めるのは本人、子は手伝い役
  4. 通販:クーリング・オフは無い。返品の特約を見て、無ければ受け取りから8日以内に返品できる(送料は買った側)
  5. 8日を過ぎたら:書面の不備、量が多すぎる契約の解除(1年)、消費者契約法の取消し(1年・5年)を相談する
  6. 相談先:迷ったら188。書面のコピーと日付のメモを手元に
  7. 親との話し方:責めずに、期限と日付の話から入る
  8. 取り消さない判断:本人の納得・支払いの終了・重なりがないことを確かめてから
  9. 繰り返すなら:契約の相談と並行して、地域包括支援センターに家族だけで物忘れの相談をする

親の契約に気づいた日に家族がいちばん大切にしたいのは、親の判断の良し悪しを決めることではなく、使える手段が残っているうちに事実をそろえることです。書面と日付がそろえば、どの手段を使うか、取り消さないかを、親と一緒に落ち着いて選べます。同じことが続くようなら、それは契約の話から暮らしの話に移る合図で、家族だけで相談できる窓口がもう一つあります。

消費生活センターの受付時間や、地域包括支援センターの名称と担当区域は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

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この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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