介護認定調査の前に家族がしておくこと|立会いの手順・伝え方・判定の流れ

書類に記入する手元
  • 申請したら、調査員が家に来ると言われた。誰が来て、何を聞かれるのか分からない
  • 家族は立ち会ったほうがいいのか。仕事を休んでまで行くべきか迷っている
  • 親が調査員の前で「自分でできます」と言ってしまいそうで心配
  • 歩ける日と歩けない日がある。どちらの様子を答えればいいのか
  • 物忘れや夜中の行動を、本人の前でどう話せばいいのか
  • 一次判定と二次判定という言葉を見たが、何がどう違うのか
  • 結果が思ったより軽かったら、やり直してもらえるのか
  • 遠方に住んでいて、当日に行けるか分からない

上記のような悩みに答えます。

介護認定の調査は、要介護度を決めるための材料を集める面接です。家族が気になりやすいのは、調査の日の受け答えだけで要介護度が決まるのではないか、という点です。検索で上位に出る解説は、見た範囲では調査の流れと項目の紹介が中心で、家族が前日までに何を書き出しておくか、調査の日だけ親ができてしまったときにどう扱われるか、結果に納得できないときに区分変更と審査請求のどちらへ進むかは薄く感じました。そこで、誰が来るか・何を聞かれるか・どう判定されるかという基本を押さえたうえで、前日までの準備の順番、当日の立会い、日頃と違う様子の扱い、結果のあとの道まで、介護保険法の条文と厚生労働省の認定調査員テキストで確かめながら整理しました。

先に答え

介護認定の調査は、市区町村の調査員などが家を訪ね、本人と家族から日頃の心身の状態を聞き取る面接です。結果はコンピュータの一次判定と介護認定審査会の二次判定で決まり、二次判定では調査員が書く特記事項と主治医意見書が見られます。家族がしておくことは、日頃の様子を具体的に書き出して、調査に同席して伝えることです。

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目次

介護認定調査は日頃の状態を聞く面接

認定調査は、市区町村が申請を受けて行う聞き取りの調査です。介護保険法27条2項は、市町村が職員に申請した人と面接させ、心身の状況や置かれている環境などを調べさせる、と定めています。試験のように「できるところを見せる場」ではなく、ふだんの暮らしで何に手がかかっているかを記録する場だと考えると、準備の向きが定まります。

誰が来るかは、新規か更新かで変わります。厚生労働省の認定調査員テキストでは、新規の申請の調査は市町村の職員か、市町村から事務を受託した法人が行うと説明されています。更新や区分変更の調査は、都道府県などの研修を終えたケアマネジャーなどに委託できるとされているので、更新のときはふだん担当しているケアマネジャーが来ることもあります。調査員には守秘義務があり、委託を受けた調査員も同じです。

聞き取った内容は、3つの調査票に記録されます。

  • 概況調査:調査の日付と記入者、いま使っているサービス、家族の状況や住まいなどの置かれている環境
  • 基本調査:体の動き・暮らしの動作・物忘れ・行動・社会生活などを決まった選択肢で記録する74項目
  • 特記事項:選択肢だけでは伝わらない手間や、選ぶ根拠を調査員が文章で書く欄

この3つのうち、家族が知っておきたいのが特記事項です。基本調査は決まった選択肢から選ぶ形なので、選択肢にうまく当てはまらない手間は、特記事項に具体的な内容と頻度で書かれます。二次判定で一次判定を変えるときは、この特記事項か主治医意見書に書かれた手間が根拠になります。

たとえば、親が一人暮らしで、子が週末だけ通っている場合でも、調査は原則として日頃の状況が分かる場所(在宅なら親の家)で行われ、聞き取りはできるだけ本人と、日頃の様子を知る家族の双方から行うよう努める、とテキストにあります。親の住まいが申請した子と別の市にある場合の窓口は、親の住所地の市区町村の介護保険の窓口に確かめてください。被保険者が遠隔の地に居所を持つときは、調査を他の市町村に頼める仕組みも条文にあります(27条2項)。

調査員が何者かが分かれば、当日の構え方は変わります。調査員は要介護度を決める人ではなく、判定の材料を正確に集める人です。だから家族の役目は、うまく話すことではなく、材料に漏れが出ないようにすることです。

出典:介護保険法27条(e-Gov法令API)

誰が調査に来るか、委託先がどこかは市区町村によって違います。

※お住まいの市区町村で確認してください。

当日に聞かれること

書類に記入する手元

当日に聞かれるのは、基本調査の74項目と、概況調査の家族や住まいのことです。74項目の中身は、厚生労働省のテキストで定められています。

74項目は、体の動き・暮らしの動作・認知・行動・社会生活の5つのまとまりと、過去14日間に受けた特別な医療に分かれています。テキストに沿って中身の例を並べると、次のとおりです。

まとまり 聞かれることの例
体の動き・起き上がり 麻痺や関節の動き、寝返り、起き上がり、歩行
暮らしの動作 ベッドから車いすなどへの移乗、食事、排尿・排便、外出の頻度
認知 意思の伝え方、短期の記憶、いる場所の理解、徘徊
行動 被害的になる、昼夜が逆になる、介護に抵抗する
社会生活 薬の飲み方、お金の管理、買い物、簡単な調理
特別な医療 過去14日間に受けた点滴の管理・酸素療法・じょくそうの処置など

項目の多くは「やってみてもらう」か「ふだんどうしているかを聞く」形で確かめられます。テキストは、能力を見る項目について、危険がなければ本人に実際に動作をしてもらうことを原則にしています。寝返りや立ち上がりをその場で見せてほしいと言われることがあるのはこのためで、家族が先回りして答えを言うより、まず本人に任せ、違うところがあれば後で補う、という順のほうが調査の形に合います。

概況調査では、家族の状況、住まいの様子、病気や既往歴、いま使っている介護サービスが聞かれます。ただし、テキストは、家族の状況や住まいといった置かれている環境を根拠に二次判定で要介護度を変えることは認められていない、と説明しています。「一人暮らしだから重くなる」「家族が働いているから考慮される」とは限らず、環境はあくまで参考の情報です。環境そのものより、その環境の中で実際にどんな手間が生じているかが判定の材料になります。

たとえば、親が古い家で段差の多い暮らしをしている場合、家が古いと伝えるだけでは判定の材料になりません。玄関の段差を上がるときに毎回手を引いている、という手間の形にして伝えれば、移動や外出の項目と特記事項の材料になります。

聞かれることを先に知っておく目的は、答えを用意することではありません。どの場面について聞かれるかが分かれば、前日までにその場面の様子を思い出して書き出せます。

出典:厚生労働省「認定調査員テキスト」

前日までに家族がしておくこと

前日までにしておくことは、日頃の様子を場面ごとに書き出し、主治医の受診状況を確かめ、当日の段取りを決めることです。メモは調査員に伝え漏れを出さないための道具で、家族が当日に慌てずに済みます。

書き出しが役に立つのは、調査が原則として1人の調査員が1回で終える面接だからです。後から「あれも言えばよかった」と思い出しても、調査票はその日の聞き取りをもとに書かれます。テキストは、調査員が不明な点や迷う点を本人や介護者に確かめ直すことにしていますが、確かめ直してもらうためにも、家族の側に材料がそろっている必要があります。

  1. 困っている場面を書き出す:起き上がり・トイレ・入浴・着替え・食事・外出のうち、手を貸している場面
  2. 回数と時間帯を添える:毎日か週に何回か、昼か夜か、誰が手を貸しているか
  3. できる日とできない日を分ける:調子のよい日と悪い日の様子と、どちらが多いか
  4. 物忘れや行動の変化を書く:同じことを何度も聞く、薬を飲み忘れる、夜中に起きて歩き回るなど、この1か月にあったこと
  5. 主治医を確かめる:かかりつけの医療機関と、最近いつ受診したか
  6. 当日の段取りを決める:誰が同席するか、本人のいない場所で話す時間が要るか

5の主治医が大事なのは、申請を受けた市町村が主治医に意見を求めることが、介護保険法27条3項で決まっているからです。主治医意見書は二次判定で特記事項と並んで見られる書類で、主治医が親の最近の状態を知らなければ、意見書に日頃の様子が伝わりにくくなることがあります。かかりつけ医がいない場合は、市町村が指定する医師の診断を受ける仕組みがあります。

たとえば、母が家では夜中に何度もトイレに起き、そのたびに父が付き添っているのに、最後の受診が半年前だった場合は、調査の前に受診して、いまの様子を主治医に伝えておくと、意見書の材料がそろいます。物忘れが気になって受診の順番に迷うときは、次の記事で確かめてください。

親の物忘れが気になったとき

書き出したメモを調査員に渡してよいかは、当日、調査員に確かめてください。渡せなかったとしても、メモを手元に置いて読み上げれば、伝え漏れは防げます。準備に力を使うなら、もてなしの用意よりも、このメモと受診の確認に時間を回してください。

日程の決め方や連絡の窓口は市区町村によって違います。

※お住まいの市区町村で確認してください。

当日の立会いと伝え方

障子のある和室

当日は、日頃の様子を知っている家族が同席して、本人の答えと日頃の様子が違うところを補うのが基本です。本人の前で言いにくいことは、別に伝えたいと調査員に相談できます。

テキストは、調査員ができるだけ本人と介護者の双方から聞き取るよう努め、必要に応じて別々に聞き取る時間を設けるよう工夫する、としています。一人暮らしや施設にいる人でも、日頃の状況を知っている家族や施設の職員に立会いを求めるよう努める、とあります。日程についても、介護者がいる在宅の人は介護者が不在の日を避けるよう調整する、と書かれています。家族の立会いは家族の権利として定められたものではありませんが、調査員の側が同席を求めるよう努める書きぶりなので、日程の連絡が来たら、家族が同席できる日を相談してかまいません。

同席の場で家族がすることは、次の3つです。

  • 本人が答え終わるまで待ち、日頃と違うところがあれば、そのあとで補う
  • 補うときは、場面・回数・誰が手を貸しているかを具体的に伝える
  • 本人の前で言いにくいこと(失禁や物忘れなど)は、別の時間を取ってもらえるよう頼む

本人の答えをその場で否定すると、親が傷つくことがあり、調査の空気も悪くなりかねません。別々の聞き取りはテキストが工夫として挙げているものなので、玄関先や別室で数分話す、帰りぎわに伝える、といった形で頼んでみてください。

たとえば、遠方に住んでいて当日に行けない場合は、近くに住むきょうだいや、ふだん様子を見ている人に同席を頼み、前日までのメモを渡しておく方法があります。誰も同席できないときは、日程を変えられないか、電話で補足を伝えられないかを、市区町村の担当窓口か調査員に早めに相談します。遠方から動くときの段取りは、遠距離の記事でまとめています。

遠距離で親の介護が必要になったとき

同席できる家族が複数いるなら、話す役を1人に決めておくと、言うことが食い違わずに済みます。調査員は判定する人ではないので、その場で「重くしてほしい」と頼んでも結果は変わりません。頼むのは、日頃の様子を記録に残してもらうことだけです。

調査の日だけできたときは

調査の日に限って親がしっかり動けた場合でも、選択肢は日頃の状況をもとに選ぶことになっています。家族は日頃の様子を具体的に伝えれば足ります。

テキストによれば、能力を見る項目は実際にやってもらうのが原則ですが、やってもらえなかったとき、緊張などで日頃と違うと考えられるとき、時間や状況によってできたりできなかったりするときは、日頃の状況を聞き取ったうえで、概ね過去1週間のより頻回な状況をもとに選ぶとされています。介助の方法の項目は実際に介護が行われているかどうかで、行動の項目は概ね過去1か月にどのくらい起きているかの頻度で選びます。

さらに、実際にやってもらえなかった場合や日頃と違うと考えられる場合は、選んだ根拠と日頃の状況を、調査員が特記事項に具体的に書くことになっています。テキストには、選択に迷ったら迷った理由を特記事項に書く、という考え方も示されています。特記事項を書くのは調査員で、家族が書く欄ではありません。家族ができるのは、書くための材料を渡すことです。

たとえば、父がふだんは手すりにつかまらないと立ち上がれないのに、調査の日だけ自力で立って見せた場合は、この1週間で自分で立てたのが何回か、ほかの日は毎回手を引いているかを、回数で伝えます。逆に、調子の悪い日がたまにあるだけで、ふだんは自分でできている場合は、その日の様子だけを強調しても、選択の基準は日頃の状況です。能力を見る項目では、どちらの場合も、判断の物差しは「この1週間でどちらが多いか」です。

ここで、記録を大げさにしたり、言い方の型を覚えたりする必要はありません。選択の基準が日頃の実態なので、家族にできることの中心は、日頃の様子を回数と場面で正確に伝えることです。そのために前日までのメモが効いてきます。

一次判定と二次判定の決まり方

要介護度は、調査の結果からコンピュータが出す一次判定と、介護認定審査会が特記事項と主治医意見書を見て行う二次判定の2段で決まります。調査員がその場で決めるものではありません。

調査から結果の通知まで
  1. 1認定調査調査員が本人と家族から聞き取る
  2. 2主治医意見書市町村が主治医に意見を求める
  3. 3一次判定基本調査の結果からコンピュータが推計する
  4. 4二次判定介護認定審査会が特記事項と意見書を見る
  5. 5認定と通知市町村が認定し、結果を届ける

一次判定では、基本調査の結果から「要介護認定等基準時間」が推計されます。これは、入浴・排せつ・食事などの介護、家事の援助、徘徊への対応、機能訓練、診療の補助といった行為に要する1日あたりの時間として、省令3条にもとづいて推計される時間です。実際に家族が介護にかけている時間を測ったものではありません。テキストは、介護の手間の総量を専門職の話し合いで同じ結論にそろえるのはきわめて難しいため、手間の総量への置き換えをコンピュータによる判定が代わりに行っている、と説明しています。

基準時間と要介護度の区分は、省令で次のように定められています(1日あたりの介護の手間を推計した時間で、実際に介護にかかる時間ではありません。この時間だけで区分が機械的に決まるわけではなく、二次判定で変わることもあります)。

区分 要介護認定等基準時間
要支援1 25分以上32分未満
要支援2 32分以上50分未満
要介護1 32分以上50分未満
要介護2 50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上

出典:要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令1条・2条(e-Gov法令API・要介護は1条、要支援は2条)

表を見ると、要支援2と要介護1は同じ時間の幅です。厚生労働省の審査会向け資料では、この2つは時間ではなく、認知機能の低下で予防のサービスを理解して使うのが難しいか(目安として認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上)、短期間で状態が変わりやすく概ね6か月程度以内に見直しが必要か、のどちらかに当たれば要介護1、どちらにも当たらなければ要支援2、と振り分けると説明されています。手間が多いか少ないかで分けるものではありません。

二次判定では、介護認定審査会が一次判定の結果を、特記事項と主治医意見書に照らして確かめます。テキストによれば、統計の推計になじまない、その人だけの手間が特記事項や主治医意見書から具体的に認められるときは、一次判定と違う要介護度にできます。変える根拠は特記事項か主治医意見書に書かれた介護の手間に限られ、「物忘れがひどい」という情報だけでは足りず、その物忘れのために家族が何をしているかという具体的な手間の記述が要る、とされています。審査会は必要と認めるときに家族の意見を聴くこともできますが(27条6項)、家族の話が判定に入るふだんの道は、調査の聞き取りと特記事項です。

たとえば、一次判定で要介護1と出た親について、特記事項に「夜間に何度もトイレに起き、そのたびに家族が付き添って下着を替えている」と具体的に書かれていれば、審査会はその手間を見たうえで判断します。変えるかどうかは審査会の判断で、変わる場合も変わらない場合もあります。準備でできるのは、判断の材料を特記事項と意見書に届けることまでです。

出典:厚生労働省「32分以上50分未満 状態の維持・改善可能性にかかる審査判定」

結果が届くまでと届いてから

結果は、申請のあった日から30日以内に処分することが介護保険法27条11項で決められています。ただし、調査に日時がかかるなど特別な理由があるときは、30日以内に、あとどれくらいかかるかの見込みと理由を通知して延ばすことができます。実際にかかる日数は市区町村によって違います。

結果を待つあいだに介護サービスを使い始めることもできます。要介護認定は申請のあった日にさかのぼって効力を生じるので(27条8項)、認定が出れば、申請日以降に使った分は保険の対象になります。ただし、申請より前の分はさかのぼらず、結果が非該当だった場合や、見込みより軽い区分で枠を超えた場合は、その分が自己負担です。使い始めるかどうかは、ケアマネジャーか地域包括支援センターに進め方を確かめてから決めてください。

通知が届いたら、有効期間を控えます。新規の認定の有効期間は原則6か月です(効力が生じた日が月の途中なら、その日からその月の末日までの期間が上乗せされます)。市町村が介護認定審査会の意見にもとづいて特に必要と認める場合は、3〜12か月の範囲で定められます。更新の認定は原則12か月で、更新の申請は満了日の60日前からできます。つまり、次の調査は有効期間が切れる前の更新の申請のときに来る、と考えておくと、何年ごとかを気にする必要がなくなります。

たとえば、結果を待つあいだに退院の日が迫っている場合は、申請日以降のサービスが認定後に保険の対象になる仕組みがあるので、結果によっては自己負担になることも踏まえて、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談しながら動き出す方法があります。逆に、まだ急いで使うサービスがないなら、通知を待ってから相談先に連絡すれば足ります。

通知が届いたあとの動き(通知で見る欄、ケアマネジャーの探し方、契約までの順番)は、次の記事に分けてまとめています。

介護認定が出たら次にやること

出典:介護保険法施行規則38条(e-Gov法令API)

結果に納得できないとき

湯のみを持つ手

結果に納得できないときの道は2つあります。状態が変わったのなら区分変更の申請、判定そのものに不服があるのなら、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内の審査請求です。

状態が変わったか、判定に不服か
区分変更の申請

  • 介護の必要の程度が変わったとき
  • 有効期間の途中でも市町村に申請
  • 介護保険法29条・33条の2
審査請求

  • 認定の処分そのものに不服があるとき
  • 知った日の翌日から3か月以内
  • 介護保険法183条・192条

区分変更は、有効期間の途中でも、介護の必要の程度が変わったときに申請できる仕組みです。要介護の人は29条、要支援の人は33条の2にもとづいて市町村に申請します。申請すれば、もう一度調査を受け、判定の手順を最初からたどります。

審査請求は、認定などの処分に不服がある人が、都道府県に置かれる介護保険審査会に申し立てる仕組みです(183条1項・184条1項)。期間は、処分があったことを知った日の翌日から数えて3か月以内で、文書か口頭で行います(192条1項)。正当な理由で期間内にできなかったことを示したときは例外があります。請求したからといって区分が上がるとは限りません。

どちらに進むかは、次の条件で分けて考えます。

状況 向いている道
調査のあとに入院や転倒があり、状態が明らかに変わった 区分変更の申請
調査の日と状態は変わらないが、日頃の様子が伝わらなかったと感じる まず市区町村に判定の理由を問い合わせ、判定そのものに不服なら審査請求を考える
処分の手続きそのものに疑問がある 審査請求(3か月以内)

たとえば、調査の翌週に親が転んで歩けなくなった場合は、その時点の状態を見てもらう区分変更のほうが向いています。逆に、状態は変わっていないのに、伝えたはずの夜間の介助が特記事項に残っていなかったと感じる場合は、まず市区町村の介護保険の窓口に、どんな材料で判定されたかを問い合わせると、次の手が考えやすくなります。区分変更の結果が出るまでの日数も市区町村に確かめてください。

審査請求も区分変更もしなくてよいのは、結果が想定より軽くても、いまの限度額の中で必要なサービスが組めている場合です。区分が1つ違うと月に使える枠がどう変わるかは、限度額の記事で確かめられます。

介護保険の限度額は月いくらまで使えるか

出典:介護保険法192条(e-Gov法令API)

※審査請求の書式と提出先は、お住まいの都道府県の介護保険審査会か市区町村の窓口で確認してください。区分変更の窓口は自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

入院中・施設にいるときの調査

入院中や施設にいるときも、調査は受けられます。場所は、原則として日頃の状況が分かるところで、病院や施設なら、ふだん過ごしている病室や居室で行うとテキストに書かれています。

入院中の調査で気をつけたいのは、日程の決め方です。急な病気などで調査を適切に行えないときは、後日あらためて調査することもあるとテキストにあります。いつ調査を入れるかは、病院の相談員と市区町村の担当窓口に、退院の見込みと合わせて相談してください。

施設入所者の調査でも、家族や施設の職員など、日頃の状況を知る人に立会いを求めるよう努めることになっています。入院中の調査でも、家族が同席できない日は、日頃の様子を知る人が同席できないかを、日程を決めるときに病院の相談員や調査員に相談しておくと材料が欠けにくくなります。

たとえば、入院中に退院の話が出て、退院後に在宅で暮らすか施設に移るかを決めなければならない場合は、認定の結果を待ちながら行き先を探すことになります。退院を急がされたときの動き方は、次の記事にまとめています。

退院を迫られたときの動き方

なお、正当な理由なく調査に応じないと、申請が却下されることがあります(27条10項)。入院や体調不良で日程を変えたいのは別の話なので、都合が合わないときは早めに連絡して調整してもらってください。

次は在宅か施設か

認定の結果が出ると、次に考えるのは、どのサービスを使ってどこで暮らすかです。調査の準備で書き出した日頃の様子のメモは、そのままケアマネジャーとの相談の材料になります。

在宅でサービスを組むなら、月の限度額の中でデイサービスやヘルパーを組み合わせます。夜間の介助や見守りが家族で埋められなくなってきたら、施設を並べて考え始める時期です。メモに書いた「夜中に何回起きるか」「誰が付き添っているか」は、在宅で続けられるかを考えるときにも同じように使えます。

たとえば、調査の準備で書き出してみて、家族が毎晩付き添っていることに初めて気づいた家なら、結果が出る前から、在宅を続ける場合と施設を考える場合の両方を調べておくと、通知のあとに慌てずに済みます。在宅か施設かの考え方は、次のページから順にたどれます。

在宅か施設か|在宅の限界が見え、施設を考え始めた人へ

認定とお金の全体の流れは、こちらのページから順に確かめられます。

認定とお金|要介護認定が出て、月にいくら出ていくか

よくある質問

介護認定調査で何を聞かれる?

基本調査の74項目として、寝返りや歩行などの体の動き、食事や排せつなどの暮らしの動作、物忘れ、行動、薬やお金の管理などが聞かれます。あわせて、家族の状況や住まい、いま使っているサービスも聞かれます。危険がなければ、動作を実際にやってみるよう頼まれることもあります。

介護認定の調査は何年に1回ですか?

決まった年数ではなく、認定の有効期間が切れる前の更新の申請のたびに調査があります。新規の認定の有効期間は原則6か月、更新の認定は原則12か月で、市町村が必要と認める場合は長くも短くもなります。有効期間の途中でも、状態が変われば区分変更の申請で調査を受けられます。

介護認定調査ではどんな調査をしますか?

市区町村の調査員などが家や病院を訪ね、本人と家族から聞き取る面接の調査です(介護保険法27条2項)。結果は概況調査・基本調査・特記事項の3つの調査票に記録され、コンピュータの一次判定と介護認定審査会の二次判定の材料になります。

介護認定調査の裏ワザは?

判定を重くする裏ワザはありません。選択肢は日頃の状況(波があるときは概ね過去1週間のより頻回な状況)で選ぶことになっているので、日頃の様子を回数と場面で具体的に伝えることが、家族にできることの中心です。前日までに書き出したメモを手元に置いて同席してください。

調査を断るとどうなりますか?

正当な理由なしに調査に応じないときは、市町村は申請を却下することができます(介護保険法27条10項)。入院や体調不良で日程を変えたいのは別の話なので、都合が悪いときは早めに担当窓口か調査員に連絡して調整してください。

調査員にお茶は出したほうがいいですか?

お茶を出すかどうかについては、この記事で示せる決まりがないため、出すべきとも出さなくてよいとも言い切れません。準備に使える時間と気持ちは限られているので、日頃の様子のメモと主治医の受診の確認に回すほうが、調査には役立ちます。

順番のおさらい

  1. 調査の正体:市区町村の調査員などが訪ねて、本人と家族から日頃の状態を聞き取る面接
  2. 聞かれること:基本調査の74項目と、家族の状況や住まい。環境だけでは二次判定を変える根拠にならない
  3. 前日まで:困っている場面・回数・できる日とできない日を書き出し、主治医の受診を確かめる
  4. 当日:家族が同席し、本人が答えたあとに日頃の様子を補う。言いにくいことは別に伝える
  5. その日だけできたとき:選択は概ね過去1週間のより頻回な状況で。根拠は特記事項に残る
  6. 判定:一次判定はコンピュータの推計、二次判定は審査会が特記事項と主治医意見書を見る
  7. 結果まで:申請から30日以内が原則(延長の通知もある)。効力は申請日にさかのぼる
  8. 納得できないとき:状態が変わったら区分変更、判定に不服なら知った日の翌日から3か月以内に審査請求
  9. 入院中・施設:ふだん過ごす場所で調査。日程は病院の相談員と市区町村に相談
  10. 次に来ること:結果をもとに、在宅で組むか施設を考えるか

調査の前の晩に家族がやることは、メモ1枚を仕上げて、当日の同席者を決めることだけです。うまく話そうとしなくてかまいません。親が調査員の前で頑張ってしまっても、日頃の様子が回数と場面で伝われば、選択の基準は日頃の状況です。結果を受け取ったら、軽いか重いかより先に、いまの暮らしに必要なサービスがその枠で組めるかを見てください。組めないときに、区分変更か審査請求かを選びます。審査請求は、知った日の翌日から3か月以内です。

調査の日程の決め方、委託先、入院中の調査の扱い、区分変更の窓口は、自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

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この記事を書いた人

親の介護と相続の手引き編集部です。親の介護と相続の手続きについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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