- 親の要介護認定の通知が届いた。これでお金がもらえるのか知りたい
- 通知を開いたものの、次にどこへ電話すればいいのか分からない
- ケアマネジャーはどうやって探して、どう頼めばいいのか
- ケアプランを作ってもらうのに、費用がかかるのか心配
- 「要支援」と書いてあった。要介護とは相談先が違うのか
- 申請してから結果が出るまでに使ったデイサービスの代金はどうなるのか
- 住宅改修の20万円や介護用品の購入は、いつ使えばいいのか
- 結果が思っていたより軽く、納得できない
- 親が「まだ人の世話にはならない」と言っていて、すぐには使う気がない
上記のような悩みに答えます。
要介護認定は、介護保険のサービスを1〜3割の負担で使えるようになるための判定です。通知を受け取った家族が気になるのは、口座に何か振り込まれるのかということと、通知のあとに誰へ連絡すればよいのかということではないでしょうか。検索で上位に出る解説は、見た範囲では「もらえるお金はない」「負担を軽くする制度の一覧」で終わるものが目立ち、通知が届いた日から最初のサービスを使う日までを番号の順番で通したものや、その途中のどの段階でどのお金が関係するのかを対応させたものは薄く感じました。そこで、お金の流れ方・相談先・ケアプランの費用という基本を押さえたうえで、通知で最初に見る欄、効力のさかのぼりと有効期間、後から戻るお金と税の軽減、不服の期限、すぐには使わない場合の条件まで、介護保険法の条文と厚生労働省・国税庁の資料で確かめながら整理しました。
要介護認定が出ても、お金が振り込まれるわけではありません。介護保険は、使ったサービスの費用の7〜9割を保険が払い、残りの1〜3割を自分で払う仕組みです。認定が出たら、要介護ならケアマネジャー、要支援なら地域包括支援センターに連絡し、ケアプランを作ってからサービスを使い始めます。要介護の人のケアプラン作成(居宅介護支援)に自己負担はかかりません。
この記事の数字は2026年11月時点の数字です。
認定でお金は振り込まれない
要介護認定が出ても、市区町村から現金が振り込まれるわけではありません。介護保険のお金は、親がサービスを使ったときに、その費用の大部分を保険が受け持つ形で動きます。
介護保険法41条は、要介護認定を受けた人が指定を受けた事業者から居宅サービスを受けたときに、市町村がその費用について居宅介護サービス費を支給する、という形で書かれています。支給されるのは費用の9割で(1割負担の人の場合)、2割・3割負担の人は8割・7割です。つまり、費用の9割〜7割を保険が、残りの1〜3割を本人が払う分け方です。さらに、ケアマネジャーにケアプランを作ってもらうことを市町村に届け出ていれば、市町村は本人に代わって事業者へ直接支払えます(代理受領)。保険の分は市町村と事業所のあいだで精算され、家族の手元には自分の負担分の請求だけが届くので、「何ももらっていない」ように見えるわけです。
たとえば、要介護1の親が1か月の枠いっぱい(1単位10円の地域の目安で167,650円)のサービスを使い、負担割合が1割だった場合、保険の給付が150,885円、親の負担が16,765円という分け方になります。親が事業所に払うのは16,765円で、150,885円は市町村から事業所へ支払われます。
ただし、すべてが事業所への直接払いになるわけではありません。住宅改修と福祉用具の購入は、いったん全額を払ってから9割(1割負担の場合)が払い戻される償還払いが原則で、ここは親の口座にお金が戻ってくる場面です。また、家族の介護に対して現金を支給する事業は、市町村が任意で行うものとされていて、有無も中身も市区町村ごとに違います。
※お住まいの市区町村で確認してください。
認定の通知は「お金の通知」ではなく、「サービスを1〜3割の負担で使える資格の通知」と読み替えると、次にやることがはっきりします。資格は使い始めなければ何も動かないので、ここから先は、その資格をどう使い始めるかの話です。
通知で最初に見る3つ

通知が届いたら、要介護度・有効期間・負担割合の3つを先に確かめます。この3つで、相談先、月に使える枠、次の手続きの時期、払う割合が決まります。
- 要介護度:要支援1・2か、要介護1〜5か。相談先と月に使える枠が変わる
- 有効期間:認定が効く期間。新規は原則6か月で、更新の申請は満了日の60日前からできる
- 負担割合:1割・2割・3割のどれか。負担割合証で確かめる
- 効力の始まり:認定は、申請した日にさかのぼって効く
有効期間は、介護保険法28条1項と施行規則38条で決まっています。新規の認定は原則6か月で、市町村が介護認定審査会の意見にもとづいて特に必要と認める場合は、3〜12か月の範囲で定められます。効力が生じた日が月の途中なら、その日から月末までの期間が上乗せされるので、満了日は「申請から6か月ちょうど」にはなりません。手元の通知に書かれた日付をそのまま控えてください。
※お住まいの市区町村で確認してください。
効力の始まりについては、介護保険法27条8項に「要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる」とあります。結果を待つあいだに使ったサービスも、認定が出れば申請日から保険の対象になります。ただし、申請より前に使った分はさかのぼりません。結果が非該当だった場合や、見込んでいたより軽い区分になって限度額を超えた場合は、その分が自己負担になります。
負担割合は原則1割で、2割になるのは、合計所得金額が160万円以上で、かつ年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円以上、2人以上の世帯で346万円以上の場合です。3割は、合計所得金額が220万円以上で、かつ同じ合計が単身で340万円以上、2人以上の世帯で463万円以上の場合です。判定が2段になっているので、親の所得から家族が計算するより、負担割合証の記載を見る方が確かです。
たとえば、要介護のつもりで結果を待ちながらデイサービスを使い始め、届いた通知が要支援1だった場合は、使えるサービスの種類と月の枠が変わり、要支援1の枠を超えた分は自己負担です。結果を待つあいだにサービスを使うかどうかは、どこまでなら自己負担になっても困らないかを決めてから、ケアマネジャーか地域包括支援センターに進め方を確かめてください。
通知を見たら、被保険者証・負担割合証と一緒に1つのクリアファイルにまとめ、有効期間の満了日と、その60日前の日をカレンダーに書いておきます。遠方に住む子は、通知の写真を送ってもらうと日付を共有できます。
通知からサービス開始までの順番
通知が届いてから最初のサービスを使うまでは、連絡、契約、聞き取り、担当者会議、ケアプランへの同意、利用開始の順に進みます。ケアプランの原案に文書で同意してから、サービスが始まる流れです。
- 1通知を確かめる要介護度・有効期間・負担割合
- 2相談先に連絡要介護はケアマネ事業所、要支援は地域包括
- 3契約重要事項の説明を受けて同意する
- 4聞き取り親の暮らしと困りごとを話す
- 5担当者会議本人・家族とサービス事業所で話し合う
- 6ケアプランに同意原案の説明を受け、文書で同意する
- 7利用開始負担割合の分を事業所に払う
この順番は、ケアマネジャーの事業所が守る運営の基準に沿っています。指定居宅介護支援等基準4条1項で、事業所は利用の開始に先立って重要事項を記した文書を渡して説明し、同意を得ることになっています。13条9号では、ケアマネジャーがサービス担当者会議を開いてケアプランの原案に担当者の専門的な意見を求めることとされ、この会議は利用者と家族の参加を基本としています。10号では、原案のサービスが保険の対象かどうかを分けて説明し、文書で利用者の同意を得ることとされています。本人が同意していないサービスを、ケアマネジャーが勝手に入れて始める仕組みにはなっていません。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条(e-Gov法令API)
聞き取りでは、ケアマネジャーが本人と家族から、起き上がりや移動、食事、入浴、通院など、暮らしの中で困っている場面を聞いていきます。ここで出た困りごとが、ケアプランに入るサービスの種類と回数のもとになるので、「夜中にトイレへ行くとき壁をつたっている」のような具体的な場面を伝えておきます。担当者会議では、親が嫌がっていることや家族が受け持てる曜日を話し、原案を変えたいところがあれば同意する前に調整を頼めます。
たとえば、親が一人暮らしで子が遠方に住んでいる場合は、契約と聞き取りを同じ日にまとめられないか、最初の電話で相談しておくと帰省の回数を抑えられます。同居の家族がいる場合は、聞き取りに同席できる時間を先に伝えておきます。日程の組み方は事業所ごとに違うので、こちらの事情を先に伝えてください。
最初の電話の前に、認定の通知、被保険者証、負担割合証、主治医と通院先の名前、困っている場面のメモをそろえておくと、初回の電話で「いつ、誰が、どこで会うか」まで決められます。
相談先は要介護度で変わる
要介護1〜5の人は、居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所)に連絡して契約します。要支援1・2の人は、地域包括支援センターに連絡します。ケアプランを作る給付の種類が違うので、最初の連絡先が分かれます。
要介護の人のケアプラン作成は、介護保険法46条の居宅介護支援という給付で、指定を受けた居宅介護支援事業者が担います。要支援の人のケアプランは介護予防支援という別の給付で、介護保険法115条の22により、地域包括支援センターの設置者のほか、令和6年4月からは市町村の指定を受けた居宅介護支援事業所も担当できるようになりました。ただ、親の住む地域に指定を受けた事業所があるか、受け入れてもらえるかは、地域と事業所によって違います。
地域包括支援センターは、市町村が置く(または委託を受けた法人が置く)施設で、介護保険法115条の46により、地域の高齢者の総合相談や権利擁護、ケアマネジャーへの支援などを受け持っています。要介護の人のケアプランを作る場所ではありませんが、ケアマネジャーの事業所の探し方に迷ったときに、地域の事業所の情報を聞く相手になります。
契約の前には、事業所から重要事項の説明を受け、同意してから契約に進みます(指定居宅介護支援等基準4条1項)。同じ条の2項で、利用者は複数のサービス事業所の紹介を求めることができると説明されることになっていて、基準1条の2では、特定の事業者に不当に偏らない公正中立な支援が求められています。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準4条(e-Gov法令API)
最初の電話で聞いておくと、その後の話が早く進むことは次のとおりです。
- 新しく担当を受けてもらえるか、いつごろから動けるか
- 親の家まで訪ねてもらえる範囲か
- 担当者会議に家族が出られる日程を相談できるか
- 連絡の手段と、連絡を受ける家族を誰にするか
たとえば、要支援2の通知なら、まず親の住所を受け持つ地域包括支援センターに電話します。そこで担当してもらう場合もあれば、指定を受けたケアマネジャーの事業所を紹介される場合もあります。要介護1の通知なら、地域包括支援センターに事業所の情報を聞くか、自分で探した事業所に直接電話をかけます。依頼したあとで別の事業所に移したくなったときは、いまの事業所は直近のケアプランと実施状況の書類を渡すことになっています(指定居宅介護支援等基準15条)。ただし移る先が引き受けてくれるかは別なので、先方に受け入れを確かめてから動いてください。
ケアプランの作成は自己負担なし

要介護の人のケアプラン作成(居宅介護支援)は、費用の全額が保険から給付され、1〜3割の自己負担はかかりません。ただし、負担がかからないのは計画を作る部分で、計画にもとづいて使うデイサービスや訪問介護には、負担割合の分がかかります。
介護保険法46条は、要介護の人が指定居宅介護支援事業者から居宅介護支援を受けたときに、市町村が居宅介護サービス計画費を支給すると定めています。ほかのサービスのように「費用の9割」ではなく、基準で算定した費用の額が支給される形なので、利用者が払う分が残りません。対象は指定を受けた事業者が行う居宅介護支援というサービスで、ケアマネジャーとのやりとりのすべてに当てはまる話ではない点は区別しておきます。なお、要支援の人のケアプランは介護予防支援という別の条の給付です。
| 項目 | 自己負担 |
|---|---|
| ケアプランの作成(居宅介護支援) | なし(全額を保険が給付) |
| デイサービス・訪問介護・ショートステイなど | 負担割合(1〜3割)の分(食費・滞在費などは別) |
| 月の限度額を超えて使った分 | 全額 |
| 住宅改修・福祉用具の購入 | いったん全額を払い、あとで給付の分が戻る |
出典:介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
たとえば、週2回のデイサービスと週1回の訪問介護を組み合わせた計画なら、毎月の請求に載るのは、デイサービスと訪問介護の負担割合の分と、食費など保険の対象外の費用です。計画を作ったり見直したりする居宅介護支援の分を親が払うことはありません。費用が気になってケアマネジャーに連絡しにくいと感じているなら、ここを押さえておけば遠慮せずに相談できます。
原案を見せてもらったら、同意する前に「この計画で月の合計と親の負担はいくらか」「限度額まであとどのくらい余裕があるか」の2つを聞いておきます。費用の話を先に済ませておくと、使い始めてから請求を見て驚くことがなくなります。
限度額と負担割合で月の上限が決まる
1か月に保険で使えるサービスの量は、要介護度ごとの区分支給限度基準額で決まり、その中で使った分に負担割合を掛けた額を払います。限度額を超えて使った分は保険の対象にならず、全額が自己負担です。
限度額は単位で決められていて、円の額は1単位10円の地域で計算した目安です。1単位の単価は、地域区分とサービスの種類によって10.00円から11.40円まで変わります。
| 要介護度 | 1か月の上限 | 1単位10円の目安 | 1割負担で使い切ったとき |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 | 5,032円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 | 10,531円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 | 16,765円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 | 19,705円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 | 27,048円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 | 30,938円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 | 36,217円 |
出典:厚生労働省 告示「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」/介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
月の枠は、介護保険法43条1項が、居宅サービスの区分ごとに月単位で保険から支給できる額の上限を、限度額をもとに決めているものです。厚生労働省の説明では、限度額の範囲内なら1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)の自己負担で、超えた分は全額が自己負担になります。福祉用具のレンタル(貸与)もこの月の枠の中で数え、住宅改修と福祉用具の購入は別の枠です。
右端の列は枠をぴったり使い切ったときの目安で、毎月払う額ではありません。実際に払う額はケアプランに入れたサービスの量で決まり、2割・3割の人は同じ使い方で負担が2倍・3倍になります。親の要介護度と負担割合から月の自己負担の目安を確かめたいときは、計算ツールが使えます。
たとえば、要介護2の親がデイサービスと訪問介護を組み合わせて使う計画なら、まず合計が19,705単位の枠に収まっているかを見ます。退院直後でショートステイを足したい月のように枠を超えそうな月が出てくるなら、その月だけ超えた分をいくら払うのかを、ケアマネジャーに先に出してもらってください。限度額の決まり方と地域の単価は、別の記事で詳しく扱っています。
枠の中でサービスをどう組み合わせるかで、同じ要介護度でも暮らし方と月の負担は変わります。
後から戻るお金と税の軽減
認定が出ると、後から戻るお金と、税の負担を軽くできる場面がいくつか出てきます。どれも自動では動かず、申請や書類の用意が要ります。
- 住宅改修:生涯20万円の枠。費用の9割(1割負担の場合)が後から戻る
- 福祉用具の購入:年度ごとに10万円の枠。同じく後から戻る
- 高額介護サービス費:月の負担が上限を超えた分。市区町村への申請が要る
- 障害者控除:要介護認定だけでは対象にならない。対象の範囲に当たるかを確かめる(市町村長等の認定を受ける場合もある)
- おむつ代の医療費控除:寝たきりと医師の治療などの条件があり、証明の書類が要る
住宅改修は、手すりの取り付けや段差の解消などの工事に使える枠で、ひとり生涯20万円です。原則として工事の前に理由書などを添えて申請し、工事が終わってから領収書などを出すと、実際の費用の9割相当が償還払いで支給されます。上限は20万円の9割で18万円です(2割・3割負担の人は8割・7割)。やむを得ない事情があれば工事の後の申請も認められますが、例外です。要介護状態区分が3段階上がったときと転居したときは、枠が設定し直されます。
たとえば、1割負担の親が20万円の手すり工事をした場合、いったん20万円を払い、あとで18万円が戻ります。最終的な負担は2万円です。
福祉用具の購入は、入浴用のいすや腰掛便座のように購入の対象になっている用具に使える枠で、同じ年度(4月から翌年3月)で10万円までです。いったん全額を払った後、費用の9割(一定以上の所得がある人は8割または7割)が払い戻されます。対象は、指定を受けた特定福祉用具販売事業者から買った場合だけです。住宅改修も福祉用具の購入も、自己負担分だけを払えば済む受領委任払いを使える市町村があり、使えるかどうかは市町村ごとに違います。
※お住まいの市区町村で確認してください。
出典:介護サービス情報公表システム「特定福祉用具販売」(厚生労働省)
車いすや介護ベッド(特殊寝台)などのレンタルは13種目が対象で、上で書いた月の枠の中で使います。要支援1・2と要介護1の人は、介護ベッドや車いすなどのレンタルが原則として給付の対象外で、例外に当たるかは認定調査の結果などで判断されます。
高額介護サービス費は、1か月の利用者負担の合計が所得に応じた上限を超えたときに、超えた分が支給される仕組みです。上限は、たとえば課税世帯〜課税所得380万円未満の区分なら世帯で44,400円、市町村民税世帯非課税なら世帯で24,600円(年金収入等と合計所得の合計が82.65万円以下の人などは個人で15,000円)です。支給を受けるには市区町村への申請が必要で、保険給付を受ける権利は2年で時効になります(介護保険法200条1項)。いつから数えるか、2回目以降も申請が要るかは、市区町村に確かめてください。
※お住まいの市区町村で確認してください。
障害者控除は、要介護認定を受けただけでは対象になりません。国税庁は、要介護認定を受けた人は所得税法施行令10条に挙げられていないと説明しています。65歳以上で、障害の程度が知的障害者や身体障害者に準ずるとして市町村長等の認定を受けた人などが対象で、市区町村の窓口で「障害者控除対象者認定書」を受ける手続きが要ります。認定の基準と手続きは市区町村によって違います。控除の額は所得税で障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円で、所得から差し引く額であって税額が減る額ではありません。
出典:国税庁 タックスアンサーNo.1185/国税庁 タックスアンサーNo.1160
おむつ代は、傷病によっておおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けていて、おむつを使う必要があると認められる場合に、医療費控除の対象になります。原則は医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要ですが、要介護認定を受けている人は、市町村が主治医意見書の内容を確認した書類か、主治医意見書の写しで代えられる場合があります。令和6年10月の改正で、控除を受けるのが1年目か2年目以降かで主治医意見書の取り扱いが整理されたので、細かい条件は市区町村の窓口か税務署で確かめてください。要介護の認定が出ていればおむつ代が控除される、という仕組みではありません。
出典:国税庁 タックスアンサーNo.1122/国税庁「おむつ代に係る医療費控除の取扱い」
この5つは動く時期がばらばらです。住宅改修と福祉用具の購入はケアプランを作る段階でケアマネジャーと相談し、高額介護サービス費は申請が要るので、いつ・どう申請するかを市区町村に確かめます。障害者控除は確定申告か年末調整の前に、おむつ代の医療費控除は確定申告の前に、必要な書類を用意します。
結果に納得できないとき
認定の結果に不服があるときは、都道府県に置かれた介護保険審査会に審査請求ができます。期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。認定のあとで親の状態が変わったのなら、区分変更の申請という別の道もあります。
介護保険法183条1項は、要介護認定に関する処分に不服がある人は介護保険審査会に審査請求ができると定め、184条1項で審査会は各都道府県に置くとしています。期限は192条1項で、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、文書または口頭で行うこととされ、正当な理由でこの期間内にできなかったことを示せば例外があります。「認定の日から」ではなく「知った日の翌日から」なので、通知が届いた日を控えておくことが手がかりになります。
出典:介護保険法192条(e-Gov法令API)/介護保険法183条(e-Gov法令API)
区分変更は、有効期間の途中でも、介護の必要の程度が変わったときに申請できる仕組みです。要介護の人は介護保険法29条、要支援の人は33条の2にもとづいて市町村に申請します。結果が出るまでの日数は市町村に確かめてください。
| 比べるところ | 審査請求 | 区分変更の申請 |
|---|---|---|
| 向いている場面 | 認定の判断そのものに納得できない | 認定のあとで状態が変わった |
| 出す先 | 都道府県の介護保険審査会 | 市町村 |
| 期限 | 知った日の翌日から3か月以内 | 有効期間の途中でも申請できる |
| 根拠 | 介護保険法183条・192条 | 介護保険法29条・33条の2 |
たとえば、認定調査の日はたまたま調子がよく、ふだんより軽い結果が出たと感じる場合は、認定の判断そのものへの不服なので審査請求を考える場面です。調査のあとに転んで入院し、退院後に歩けなくなった場合は、状態が変わったので区分変更の申請の方が実情に合います。審査請求をしても区分が上がるとは限らず、結果が出るまでの期間もかかります。どちらを選ぶかは、まず市区町村の介護保険の窓口に、どういう判断でこの結果になったのかを問い合わせ、ケアマネジャーにも相談して決めてください。
問い合わせるときは、通知と被保険者証、調査の日に家族が気づいたことを手元に置いておきます。審査請求の様式と出し方は、都道府県の介護保険審査会か市区町村で案内を受けられます。
すぐにサービスを使わない場合

認定が出ても、すぐにサービスを使わなければならないわけではありません。認定は有効期間のあいだ効いているので、使い始める時期は本人と家族で決められます。ただし、期間が切れる前に更新の申請をしないと、使いたくなったときに認定が残っていないことになります。
介護保険法28条1項は、要介護認定は有効期間のあいだに限って効力を持つと定めています。使っていない月があっても、有効期間の中であれば認定は消えません。介護保険法2条は、保険給付は被保険者の選択にもとづいて行われ、できる限り自宅で、その能力に応じて自立した日常生活を営めるよう配慮される、という考え方を掲げています。サービスを使うかどうかは、本人が決めることが前提です。
すぐに使わなくてもよいのは、たとえば次のような家です。
- 家族や近所の見守りで、親の日中の暮らしが回っている
- 親が、家に人が出入りすることを強く嫌がっている
- 住宅改修や福祉用具の準備を先に済ませたい
- 入院中で、退院後の暮らし方がまだ決まっていない
反対に、介護する家族が限界に近い、転倒が続いている、食事や服薬が回らなくなっている、という場合は、使い始めを先に延ばさない方がよい場面です。
更新の申請は、有効期間の満了日の60日前から満了日までに行います。更新後の有効期間は原則12か月で、市町村が必要と認める場合は3〜36か月、更新の前後で要介護状態区分が同じなら3〜48か月になることもあります。災害その他のやむを得ない理由で期間内に申請できなかったときは、その理由がやんだ日から1か月以内に申請できる決まりがあります(介護保険法28条3項)。
たとえば、親が「まだ人の世話にはならない」と言っている場合でも、相談先の連絡先だけ控えておき、住宅改修のように人が家に入り続けない使い方から始める、という順番もあります。嫌がる理由が、知らない人が来ることなのか、費用なのか、できなくなったと認めたくないことなのかで、話の持ちかけ方が変わります。
使わないと決めた場合でも、更新の時期だけはカレンダーで管理しておいてください。やむを得ない理由で1か月以内に更新できる場合を除き、期間が切れると、次に使いたくなったときは新しく申請し直すことになります。
次は在宅か施設か
サービスが始まると、次に来るのは「このまま在宅で続けられるか、施設を考えるか」です。在宅のサービスを組み合わせても、夜間や休日が家族で埋めきれなくなったときが、施設を考え始める合図になります。
在宅のサービスは、月の限度額の中でやりくりします。特養や老健などの介護保険施設に入ると、ケアプランは施設のケアマネジャーが受け持ち、費用も介護サービス費と食費・居住費などの組み合わせで考えることになるので、在宅の月額と同じ物差しでは比べられません。
たとえば、要介護2で在宅のサービスを使い始めた親が、更新で要介護3になり、ショートステイを入れても家族の手が回らなくなってきた場合は、在宅を続けるための組み直しと施設の検討を並べて考える時期です。どちらがよいかは、親の希望と家族の手、月にいくら出せるかで変わります。
要介護認定とお金の全体の流れは、次のページから順にたどれます。
よくある質問
介護認定されるとお金はもらえるの?
認定が出ても、現金が振り込まれるわけではありません。サービスを使ったときに費用の9割(1割負担の場合)を保険が受け持ち、本人は残りを払う仕組みです(介護保険法41条)。住宅改修と福祉用具の購入は、いったん全額を払ってから給付の分が戻ります。
親の介護でいくら給付金がもらえますか?
認定を受けただけで、要介護度に応じた決まった額が振り込まれる仕組みではありません。決まっているのは月にどこまで保険でサービスを使えるかの限度額で、その中で使った分の1〜3割を払います。家族の介護への現金の支給は市区町村の任意の事業で、有無も額も市区町村ごとに違います。
介護で20万円もらえる対象者は?
20万円は、住宅改修の支給限度基準額です。認定を受けた人が手すりの取り付けなどの住宅改修をしたときに、20万円を上限に費用の9割(1割負担の場合)が支給され、受け取れるのは1割負担の場合で最大18万円です。原則として工事の前の申請が要ります。
遠方に住んでいても手続きできますか?
認定の申請の手続きは、地域包括支援センターや、要件を満たす居宅介護支援事業者などに代わって行ってもらうことができます(介護保険法27条1項)。引き受けてもらえるかは、市区町村や地域包括支援センターで確かめてください。担当者会議は家族の参加が基本なので、日程を最初の電話で相談しておきます。
認定が出る前に使ったサービスはどうなりますか?
申請した日より後に使った分は、認定が出れば申請日にさかのぼって保険の対象になります(介護保険法27条8項)。申請前に使った分はさかのぼらず、結果が非該当だった場合や見込みより軽い区分で枠を超えた分は自己負担です。
認定が出れば障害者控除は使えますか?
要介護認定を受けただけでは、障害者控除の対象にはなりません。市町村長等の認定を受けて「障害者控除対象者認定書」が交付された場合に対象になり得るもので、認定の基準と手続きは市区町村によって違います。
結果はいつ届きますか?
申請に対する処分は、申請のあった日から30日以内に行うと定められています(介護保険法27条11項)。ただし、心身の状況の調査に日時がかかるなど特別な理由がある場合は、30日以内に見込みの期間と理由を通知して延ばせます。実際にかかる日数は市区町村によって違います。
順番のおさらい
- お金の仕組み:認定で現金は振り込まれない。費用の7〜9割を保険が払い、1〜3割を自分で払う
- 通知で見るところ:要介護度・有効期間・負担割合。効力は申請日にさかのぼる
- 始まるまでの順番:連絡 → 契約 → 聞き取り → 担当者会議 → ケアプランに文書で同意 → 利用開始
- 相談先:要介護はケアマネジャーの事業所、要支援は地域包括支援センター(指定を受けた事業所の場合もある)
- ケアプランの費用:要介護の人の作成は自己負担なし。使うサービスには負担割合の分がかかる
- 月の上限:要介護度ごとの限度額の中で、使った分の1〜3割。超えた分は全額自己負担
- 後から戻るお金:住宅改修と福祉用具の購入は償還払い、高額介護サービス費は申請が要る。障害者控除とおむつ代は条件と書類を確かめる
- 納得できないとき:知った日の翌日から3か月以内に審査請求。状態が変わったなら区分変更の申請
- 使わない場合:認定は有効期間のあいだ残る。更新は満了日の60日前から
- 次に来ること:在宅の枠で回らなくなったら、在宅か施設かを並べて考える
通知を受け取った日にやることは、3つの欄を確かめてファイルにまとめ、相談先に1本電話をかけることだけです。お金の話は、ケアプランの原案を見るときに「月の合計と親の負担はいくらか」を聞けば見えてきます。後から戻るお金と税の軽減は時期が来たときに思い出せればよく、日付で管理しておくのは不服の3か月と更新の60日前の2つ。この順で動けば、認定を受けたのに何も使えないまま期間が過ぎる、ということは避けられます。
有効期間の決め方、受領委任払いの有無、障害者控除の認定、おむつ代の確認書類、高額介護サービス費の手続きは、自治体によって違います。お住まいの市区町村で確認してください。

