- 空き家なら3,000万円まで税金がかからないと聞いたが、うちの実家が当てはまるのか分からない
- いつまでに売れば間に合うのか、「3年」はいつから数えるのか
- 令和9年で終わるという話は本当なのか
- 亡くなる前に親が老人ホームに入っていたら、使えないのではないか
- 壊してから売るのと、そのまま売るのと、どちらがいいのか
- 兄弟3人で相続したら、控除は減るのか
- 税金がかからないなら、申告しなくていいのか
- 名義が親のままでも売れるのか
- 期限があるなら、急いで売らないと損なのか
上記のような悩みに答えます。
空き家の3,000万円控除は、親が一人で住んでいた古い家を相続して売ったとき、その利益から最高3,000万円を差し引ける特例です。ところが要件が細かく、期限が2本あって早いほうが先に来ること、親が老人ホームに入っていた場合にも使える道があることは、要件の一覧を読んだだけでは分かりにくくなっています。税理士事務所や不動産会社の解説は、要件を並べたあとに相談や売却の案内へつながるものが多く、「急いで売らなくていい場合」はほとんど書かれていません。そこで、要件・期限・必要書類という基本を押さえたうえで、期限2本の具体例、老人ホーム入所のときの落としやすい点、使えない・使わなくていい場合まで、国税庁の案内と不動産登記法の条文で確かめながら整理しました。
空き家の3,000万円控除は、建てた年・住んでいた人・売り方・期限・売値の5つがそろえば使えます。ただし、親子・夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外で、相続税の取得費加算の特例とはどちらか一方を選ぶことになります。特例の期間は令和9年12月31日までの譲渡で、確定申告をしないと使えません。
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空き家の3,000万円控除の要件は5つ
要件は、建てた年・住んでいた人・売り方・期限・売値の5つです。一つでも欠けると使えないので、上から順に確かめてください。
正式な名前は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。条件を満たすと、実家を売って出た利益(譲渡所得)から最高3,000万円を差し引けます。売値そのものから引くのではなく、利益から引く特例です。
| 確かめること | 条件 |
|---|---|
| 建てた年 | 昭和56年5月31日以前に建築された家 |
| 建物の形 | 区分所有建物登記がされていない建物(分譲マンションは対象外) |
| 住んでいた人 | 相続の開始の直前に、親(被相続人)以外に住んでいた人がいない |
| 売り方 | 家を耐震基準に合わせて売る/取り壊して土地を売る/売ったあと買主が耐震化か取壊しをする、のどれか |
| 期限 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る |
| 売値 | 売却代金が1億円以下 |
| 特例の期間 | 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡 |
相続した人が3人以上で、令和6年1月1日以後に売った場合は、控除の上限が2,000万円になります。
表の5つのほかに、買う人と売り方の条件もあります。親子・夫婦・生計を一にする親族など、売主と特別の関係がある人に売った場合は対象になりません。また、相続税を納めた人が使える「相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例」とは一緒に使えず、どちらか一方を選びます。どちらが有利かは家ごとに違うので、税務署か税理士に確かめてください。
出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
要件がこれほど細かいのは、この特例が、古い家が空き家のまま放置されるのを減らすために設けられているからです。対象を「親が一人で住んでいた古い家」に絞り、耐震化するか取り壊すことを条件にしているのは、危ない空き家を残さずに次の持ち主へ渡してもらうためです。要件の一つひとつが「放置しないで、安全な形で手放す」という目的につながっています。
たとえば、昭和の終わりごろに建てた家でも、建てた日が昭和56年5月31日より後なら対象外です。建てた年は、登記事項証明書や固定資産税の通知で確かめられます。また、親と同居していた子がいた家は「親以外に住んでいた人がいない」を満たさないので、原則として使えません。まずこの2つ、建てた年と住んでいた人を確かめれば、自分の実家が入口に立てるかどうかが分かります。
3,000万円控除はいつまで?期限は2つ

期限は「相続から数える期限」と「特例そのものの期間」の2つです。どちらか早いほうまでに売らないと使えません。
「相続から3年以内」ではなく、「3年を経過する日の属する年の12月31日まで」なので、年末まで少し余裕があります。一方で、特例そのものの期間は令和9年12月31日までの譲渡と決まっていて、こちらは相続の時期に関係なく一律で切れます。最近亡くなった親の家ほど、相続から数える期限より、特例の期間のほうが先に来ることになります。
- 例:2026年3月に親が亡くなった場合
- 相続から数えた期限:3年を経過する日(2029年3月)の属する年の12月31日=2029年12月31日
- 特例そのものの期間:2027年12月31日までの譲渡
- 実際の期限:早いほうの2027年12月31日(期間が延長されなければ)
- 3年を経過する日の属する年の12月31日
- 2029年12月31日
- 2027年12月31日までの譲渡
- 2027年12月31日(期間が延長されなければ)
特例に期間があるのは、税の特例の多くが、決まった期間ごとに効果を見直す形で作られているからです。延長されることもありますが、延長の有無は税制改正で決まります。毎年の税制改正の内容と、2027年に入ってからの国税庁の案内で、最新の期間を確かめてください。
気をつけたいのは、「売る」の日付です。売買の契約から引き渡しまでには時間がかかることがあり、どの日を譲渡の日とするかで期限に間に合うかどうかが変わることがあります。期限の近くで売る場合は、どの日付で判断されるかを、契約の前に税務署か税理士に確かめてください。
期限が2本あることを知らないまま「相続から3年あるから大丈夫」と考えていると、特例の期間のほうで間に合わなくなることがあります。自分の家の2本の期限を、上の例と同じ形で書き出しておくと、残りの時間がはっきりします。
実家の売り方は3つ、取り壊す時期で変わる
売り方は、家ごと売る・取り壊して土地だけ売る・売ったあとに買主が耐震化か取壊しをする、の3つです。どれを選ぶかで、守る条件と申告に付ける書類が変わります。
古い家は、そのままでは耐震基準を満たさないことが多いため、売り方ごとに条件が決まっています。
- 家ごと売る:相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと。売る時に一定の耐震基準を満たしていること
- 取り壊して土地だけ売る:相続の時から売る時まで事業・貸付け・居住に使っていないこと。取り壊した時から売る時まで、建物や構築物の敷地に使っていないこと
- 売ったあとに買主が耐震化か取壊しをする:令和6年1月1日以後の譲渡に限り、売った年の翌年2月15日までに耐震基準を満たすか、取り壊しが終われば対象になる
3は、売主が自分で工事や解体の費用を出さなくても使えるようになった形です。ただし、翌年2月15日までに買主が工事を終えないと使えません。売買の契約で、いつまでに何をするかを決めておく必要があります。
家ごと売る場合は、耐震基準適合証明書か建設住宅性能評価書の写しを申告に付けます。
3つの形があるのは、特例の目的が「古い家を安全な形で次に渡す」ことにあるからです。耐震化して住める家として渡すか、取り壊して土地として渡すか、そのどちらかを売主と買主のどちらが担うか。その組み合わせが3つの売り方になっています。
たとえば、遠方に住んでいて解体の立ち会いや手配が難しい場合は、3の「買主が取り壊す」形が候補になります。売主は解体の費用を出さずに済みますが、買主が翌年2月15日までに取り壊しを終えるかどうかは売主が管理できないので、契約書に期限と、間に合わなかったときの扱いを書いておくことが欠かせません。反対に、自分で取り壊してから売る場合は、取り壊したあとに土地を駐車場や物置に使ってしまうと要件から外れるので、売るまで何にも使わないように気をつけてください。
どの形が向くかは、家の傷み具合、買い手が付きそうかどうか、解体を手配できるかで変わります。まず3つの形のそれぞれで「誰が・いつまでに・何をするか」を書き出し、不動産会社や税務署に相談するときの材料にしてください。
親が老人ホームにいた場合も空き家特例は使える?
親が要介護認定などを受けて老人ホームに入っていた場合も、条件を満たせば、施設に入る直前まで住んでいた家を対象にできます。
亡くなる前に親が施設に入っていて、実家は空いていた。「相続の直前に親が住んでいない」ので使えないのでは、と思いがちです。介護を経てから実家の話が来る家では、いちばん多い迷いの一つです。
国税庁の案内では、次の条件を満たせば、施設に入る直前まで住んでいた家を対象にできます。
- 親が要介護認定・要支援認定・障害支援区分認定を受けていて、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム・介護老人保健施設・介護医療院などに入所していた
- 認定を受けていたかは、施設に入って家に住まなくなる直前で判定する
- 入所したあとも、親の物品を保管するなど親のための家として使い続けていて、事業・貸付け・親以外の人の居住に使っていない
- 施設が親の主な住まいだった
この例外が設けられているのは、介護のために施設に移ることが、本人の望んだ転居というより、暮らしを続けるための選択であることが多いからです。施設に入ったあとも、実家が「帰る家」として残っていたなら、その家を親の住まいとして扱う考え方です。
いちばん落としやすいのは3つめです。施設に入ったあと、子どもが住んだり、人に貸したりすると外れます。たとえば、親が施設に入ったあと、空き家にしておくのはもったいないと考えて子どもが移り住んだり、知人に貸したりした場合は、特例が使えなくなります。反対に、親の家財や仏壇をそのまま置いて保管している状態は、親のための家として使い続けていると言えます。気をつけたいのは、入所を機に家財をすべて処分して家を空にしてしまう場合で、親のための家として使い続けていたとは言えず、外れる可能性があります。片付けを急ぐ前に、税務署か税理士に確かめてください。
親がいま施設にいて、実家を貸すか迷っているなら、貸す前にこの特例を使う道が消えることを知っておいてください。貸して得られる家賃と、将来売るときに特例が使えるかどうかを比べて決めることになります。どちらが得かは家ごとに違うので、判断に迷うときは税理士に、実家を貸す前に相談してください。
空き家特例を使えない・使わなくていい場合

この特例は、当てにできない場合と、当てにしなくてよい場合があります。当てはまるなら、特例に合わせて急ぐ必要はありません。
- 昭和56年6月1日以降に建てた家:対象外です。建築の年は登記事項証明書や固定資産税の通知で確かめられます
- 親以外の人も住んでいた:相続の直前に、親以外に住んでいた人(家族に限らない)がいると対象外です。ただし親が老人ホーム等に入っていた場合は、入所の直前に親以外の人が住んでおらず、入所してから相続までの間も貸したり誰かが住んだりしていなければ、対象になりえます(前の節「親が老人ホームにいた場合も空き家特例は使える?」)
- 相続したあと売るまでの間に、貸した・住んだ・事業に使った:対象外になります
- 分譲マンション:区分所有建物登記がある建物は対象外です
- 売る期限を過ぎた:相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売らないと使えません。売却代金が1億円を超える場合も対象外です
- 売っても利益が出ない:買った時の値段や経費を引いて利益がなければ、そもそも控除するものがありません。ただし、買った時の値段が分からないと、差し引ける額がごく小さくなり、利益が大きく出ることがあります
- いまは売らないと決めている:特例のために急いで売る必要はありません。ただし上の期限を過ぎると使えなくなるので、持ち続ける場合の費用と、期限までに売った場合を比べて決めることです
この一覧を先に置いたのは、「使える特例があるなら使わないと損」と考えて、売る決心がつかないまま売ってしまう家があるからです。特例は、売ると決めた人の税金を軽くする仕組みで、売る理由そのものではありません。
たとえば、田舎の実家で、売っても買った時の値段を大きく上回らない見込みなら、利益がほとんど出ないので、特例が使えるかどうかで結論は変わりません。その場合は、特例の期限より、持ち続けるときの固定資産税や管理の手間、兄弟の考えを軸に、売るか残すかを決めてかまいません。反対に、都市部の古い家で値上がりしていそうなら、特例の有無で手元に残るお金が大きく変わることがあるので、期限を意識して動く意味があります。
どちらに当たるか分からないときは、買った時の値段が分かる書類(売買契約書など)が残っているかを先に探してください。利益の見込みを立てるには、その書類が出発点になります。書類が見つからないと、差し引ける額がごく小さく扱われ、思ったより利益が大きく出ることがあるので、古い家ほど早めに探してください。
確定申告と市区町村の確認書が要る
この特例は、確定申告をしないと使えません。自動では適用されず、実家のある市区町村の確認書などを付けて申告します。
申告に付ける主な書類:
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
- 実家のある市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
- 家ごと売る場合は、耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
- 売買契約書の写しなど、売却代金が1億円以下だと分かるもの
申告が要るのは、要件を満たしているかどうかを、税務署が書類で確かめる仕組みになっているからです。特に「親以外に住んでいた人がいない」「売るまで何にも使っていない」といった要件は、市区町村が住民票などの記録をもとに確認し、その結果を確認書として出します。確認書が申告の要になるのはそのためです。
確認書の窓口(担当課の名称)は市区町村によって違います。お住まいの、ではなく実家のある市区町村で確認してください。
たとえば、実家が遠方にある場合でも、確認書は実家のある市区町村に申請します。郵送で受け付けているかどうか、申請にどんな書類が要るかは市区町村ごとに違うので、売る前に一度電話して聞いておくと、申告の時期に慌てずに済みます。確認書の交付までに時間がかかることもあるので、売買の契約が決まったら早めに申請してください。
税金がかからない見込みでも申告は必要です。「ゼロになるなら出さなくていい」と考えて申告しないと、特例そのものが使えず、利益に税金がかかることになります。
売る前に、名義を親から相続人に移す
実家を売るには、先に相続登記で名義を親から相続人に移す必要があります。相続登記は申請が義務で、期限があります。
相続登記は、親が亡くなって相続が始まったことと、自分がその不動産を取得したことの両方を知った日から3年以内の申請が義務です(遺産分割であとから取得が決まった場合は、分割の日から3年以内)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。
出典:不動産登記法76条の2(e-Gov法令API)/不動産登記法164条1項(e-Gov法令API)
名義を先に移すのは、買主への名義変更の登記をする前提として、相続登記で相続人の名義になっている必要があるからです。親の名義のままでは、買主に名義を移す登記ができません。相続登記は、特例の期限とは別に、売る前に必ず通る手続きになります。
相続登記の期限の数え方、法務局への申請の手順、必要書類と費用の目安は、相続登記は3年以内に|親の家の名義変更の期限・手順で順に確かめられます。
たとえば、兄弟3人で相続し、誰の名義にするかがまだ決まっていない場合は、売る前に遺産の分け方を決め、その内容に沿って登記する必要があります。3人の共有名義にして売ることもできますが、その場合は売るときに全員の同意と手続きが要ります。相続した人が3人以上で、令和6年1月1日以後に売った場合は、特例の上限が1人あたり2,000万円になることも、分け方を考えるときの材料になります。
誰の名義にするか、どう分けるかは家庭の事情で変わり、決まった答えはありません。登記の手続きは法務局の案内か司法書士に、分け方で意見が分かれているときは弁護士に相談してください。
3,000万円控除で迷ったときの相談先
ここで確かめられるのは「要件に当てはまりそうか」までです。その先は、迷っていることの中身で相談先が分かれます。
| 迷っていること | 相談先 |
|---|---|
| 要件に当てはまるか、申告の書き方 | 実家を売った人の住所地を所轄する税務署(国税庁の電話相談センターにつながります) |
| 税額の見込み・相続税とあわせた判断 | 税理士 |
| 相続登記の手続き | 法務局(登記手続の案内)・司法書士 |
| 遺産の分け方で兄弟ともめている | 弁護士 |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 実家のある市区町村の担当課 |
相談先が分かれているのは、要件の当てはめと申告は税、名義は登記、分け方は相続の話で、それぞれ扱う専門が違うからです。最初にどこへ行けばいいか迷うなら、要件の確認は税務署、税額の見込みは税理士、と覚えておけば、たいていの迷いはそこから始められます。
相談に行く前に、次のものを分かる範囲でそろえておくと、話が具体的になります。
- 実家の登記事項証明書(建てた年と名義が分かる)
- 固定資産税の通知
- 親が施設に入っていたなら、入所した時期と、要介護認定などを受けていたことが分かるもの
- 買った時の売買契約書など、取得の値段が分かる書類
- 相続人が何人で、誰が相続するか
ここからは税理士・司法書士・弁護士の仕事です。あなたの家の税額や分け方の当てはめは、家ごとの書類を見ないとできません。書類をそろえて持っていけば、相談の時間を「当てはまるかどうか」の確認に使えます。
査定は「売る決心」の前に、幅を見るためのもの
特例が使えるかどうかと、いくらで売れるかは別の話です。売るかどうかを決める前に、仲介と買取の両方で幅を見ておくと、期限に追われて決めずに済みます。
買取業者にそのまま買ってもらう方法は早い反面、仲介で買い手を探すより安くなるのが普通です。仲介は時間がかかる代わりに、買い手が付けば買取より高くなることが多い方法です。どちらが向くかは、家の状態、立地、期限までの残り時間で変わります。
査定を頼むと売らされるのでは、と心配になるかもしれませんが、査定は売る約束ではありません。特例の期限までに売るかどうかを決めるための材料として、値段の幅を知っておく、という使い方ができます。
たとえば、特例の期限まで時間が残っていて、実家の片付けもまだ手付かずという場合は、先に幅だけ見ておき、売るかどうかは兄弟で話してから決める、という順番が取れます。期限が迫っていて、仲介で買い手を待つ時間が無い場合は、買取の値段と特例の効果を並べて比べることになります。
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特例の期限までに売るかどうかを決める材料として、相続した実家がいくらで売れるかの幅を先に知っておく方法があります。相続した不動産の売却を専門に相談できる窓口に問い合わせると、仲介で売る場合と買い取ってもらう場合の両方の考え方を聞けます。相談や査定は売る約束ではないので、兄弟で話し合う前の材料集めとして使えます。
実家の次に来る、亡くなったあとの期限
相続税の申告や相続放棄など、亡くなったあとの期限は、実家を売る期限よりずっと早く来ます。
実家の特例の期限は年単位ですが、相続放棄や相続税の申告の期限はそれよりずっと短く、実家をどうするか決める前に来ます。実家の話と並行して、亡くなったあとの期限の順番を先に確かめておいてください。
亡くなったあと|期限の順番/相続放棄の期限はいつから3か月?/死後の期限カレンダー/家族葬の費用は誰がいつ払う?
名義を移す手続きは相続登記は3年以内に|親の家の名義変更の期限・手順、家の中の片づけは遺品整理は相続を決めてからにまとめています。
よくある質問
相続した空き家を3年放置してもいいですか?
放置すること自体は禁じられていませんが、この特例は「相続から3年を経過する日の属する年の12月31日」と「令和9年12月31日までの譲渡」の早いほうを過ぎると使えなくなります。放置している間に貸したり住んだりすると、期限の前でも要件から外れます。
空き家3,000万円控除の取り壊しの時期は?
自分で取り壊すなら売る前に取り壊し、取り壊してから売るまで土地を何にも使わないことが条件です。令和6年1月1日以後の譲渡なら、売った年の翌年2月15日までに買主が取り壊す形でも対象になります。買主に任せる場合は、期限を契約書に書いておいてください。
兄弟3人で相続しました。控除は3,000万円ずつですか?
相続した人が3人以上で、令和6年1月1日以後に売った場合は、1人あたりの上限が2,000万円になります。誰がどれだけ相続するかで各自の利益も変わるので、分け方を決めてから税理士に見込みを聞いてください。
税金がゼロになるなら、確定申告はしなくていいですか?
いいえ。この特例は確定申告をしないと使えません。実家のある市区町村の確認書などを付けて申告します。申告しないと、特例がないものとして利益に税金がかかります。
特例の期限に合わせて急いで売ったほうがいいですか?
特例のために急ぐ必要はありません。持ち続ける場合の費用と、期限までに売った場合を比べて決めることです。売っても利益がほとんど出ない家なら、特例の有無で結論が変わらないこともあります。
建てた年はどこで確かめられますか?
登記事項証明書や固定資産税の通知で確かめられます。昭和56年5月31日以前に建てた家かどうかが、特例の入口になります。登記事項証明書は法務局で取れます。
順番のおさらい
- 要件:建てた年・住んでいた人・売り方・期限・売値の5つがそろえば使える。特別の関係がある人への売却は対象外、取得費加算の特例とはどちらか一方
- 期限:「相続から3年を経過する日の属する年の12月31日」と「令和9年12月31日までの譲渡」の早いほう
- 売り方:家ごと・取り壊して土地・買主が耐震化か取壊し。取り壊したあとは売るまで何にも使わない
- 老人ホーム:要介護認定などを受けて入所していた場合も、入所後も親のための家として使い続け、貸したり他人が住んだりしていなければ対象になりうる
- 使わなくていい場合:利益が出ない家や、売らないと決めた家は、特例に合わせて急がなくてよい
- 申告:確定申告が必要。実家のある市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」をもらう
- 名義:売る前に相続登記で名義を移す。相続登記は3年以内の申請が義務
- 相談先:要件は税務署、税額は税理士、登記は法務局・司法書士、分け方は弁護士
- 査定:売る決心の前に、仲介と買取の両方で幅を見ておく
空き家の3,000万円控除は、使えれば手元に残るお金が大きく変わる特例ですが、売る理由そのものではありません。まず建てた年と住んでいた人で入口に立てるかを確かめ、立てるなら2本の期限を書き出し、そのうえで売るか残すかを家族で決める。この順番で進めれば、期限に追われて業者の言うまま決めることにはなりません。
確認書の窓口の名称は市区町村によって違います。実家のある市区町村で確認してください。

